”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

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異邦人たちのお茶会(モドキ)も御一緒に

(ほとんどそうとか言ってはならない


リリの大冒険(中)

「なんかお泊り会って感じでいいね~」

 

「円形にベッドが並んでいるのはどうして?」

「実はちょっと憧れていたのだ。

このように友人たちと夜更かしして語り合ったりすることにな」

 

最高主賓室よりも質は落ちるが十分な贅沢といえる大部屋。

どうやらサラが主導でデザインから関わったようだ。

装飾などにも所々”アンダーウッド”の自然的な趣とはまた違ったところが見られる。

 

「せっかくだ、何か普段話さない事でも話さないか?」

 

「例えば~?」

 

「そうだな」

 

「では、皆の事を教えてくれないか?

外界の出身なのだろう」

 

「僕たちのいた世界、時代の話ですか」

 

「いいんじゃないかしら」

 

 

「じゃあどの順で話す?」

 

「時代順でいいんじゃねえか?」

 

「じゃあ私から?

でもそうね、申し訳ないのだけど多くは話せないわ。

女子寮のある学校に放り込まれてたから」

 

「じゃあお嬢様には何を話してもらう?」

 

「日本で五指に入る財閥の裏話とかぐらいだけど興味もないでしょう」

 

「戦後すぐの時代なんだよね?」

 

「そうね、政府が大慌てで復興の為に久遠家(ウチ)にも出入りしてたから」

 

「じゃあ飛鳥の時代の復興失敗がオレの時代なのかな~」

 

「え?」

 

「レティシアとか何人かはもう聞いてるだろうけど、

戦後から荒れちゃった時代の日本から来たんだよね~」

 

「そうなの・・・」

 

少しうつむいたようになる飛鳥。

 

「飛鳥が責任感じなくていいんじゃない?

オレの時代にも財閥はあったけど二つだけで久遠ってのは知らないし」

 

 

「「えっ!?」」

 

飛鳥の驚きの声と十六夜の声が重なる。

 

「どうかした~?」

 

「いや、続けてくれ」

 

「あ~割り込んじゃったね。

じゃあその学校ってどんな授業とかやってたの?」

 

「そう言えばライカは学校に行っていなかったな」

 

「ならそれを話してくれるか」

 

「ええ、といってもそれも女学校だから少し特殊かもしれないわね。

基本的には学校敷地内の量と校舎の往復だけど、

ときどきに近くの街に降りたりもしたわね」

 

「真面目に生徒やってたんだなお嬢様」

 

「十六夜は?」

 

「ん?まあ後で話すが形だけ在学してたってとこか」

 

「僕もなんだかんだで学校には通いませんでしたねえ」

 

「そうなの?」

 

「ですから僕も学校というモノに少し興味が」

 

「なら後話せるのは、特に特殊だったんじゃないかしら私の通っていたところは。

私以外もお金持ちのご令嬢が多かったし、

授業でも馬術や「馬術!?」ええ、やはり珍しいのかしら?」

 

十六夜が珍しく声をあげた。

 

「そりゃなあ。授業で習わせるとなると近くか学校に馬房が無けりゃ無理だ。

俺の時代じゃそんなのは極一部と、農学校くらいのもんだぜ」

 

「やっぱりそうだったのね。

あと話せるようなこととなるとミサがあったり、

当時からすれば最新の授業なんかが行われていたことかしら。

外交強化を推し進める一環で新設された学校だったから・・・」

 

「どうしたんですか?」

 

「いえ、ちょっとね。

流石に話したくないことは良いわよね」

 

「何もそこまで聞き出す気はないさ」

 

サラがやんわりと話題を終わらせ頼華に視線を向けた。

 

「んじゃ次ってことで~何話せばいい?」

 

「じゃあ僕から質問。

頼華はいつ自分のギフトに気が付いたんだい?」

 

「”透過”はチンピラにケンカ売って逃げてる時で、

”空間信号”はチンピラをおちょくってる時!」

 

「チンピラとケンカばっかりじゃねえか!」

 

「いやね~?あいつらホントムカつくんだって~。

金を持ってない奴はゴミだとか、路上の屑とかいろいろ言われてさ~」

 

「「ぶん殴って善し!」」

 

「だから”ノーネーム”には親近感湧いちゃって~。

勝手に決めつけて馬鹿にする奴って嫌いだったし。

だったら、今に見てやがれ的な?」

 

「ありがとうございます頼華様!」

 

「いや~実際みんな頑張ってるしさ。

ホント”ノーネーム”入ってよかったな~って」

 

「そこは同意見だな。

っと次は俺か、そうだな。

俺も一時期ふてくされてた時期があったな、祭みたいに」

 

「おい」

 

「ヤハハハ冗談だ。

まあそんな時期の俺におせっかい焼くような馬鹿が現れてな。

しばらくはそいつと地球中いろんなところを旅して回っていた。

それこそ北極から南極、砂漠から密林。

観光名所にも秘境にも俺が行きたいと言ったところはどこへでも連れて行ってくれたな」

 

「十六夜の恩人ってところかな?」

 

「そういえなくもないが、控え目に言って母親(クソババア)だ」

 

「「こらこら」」

 

「”アンダーウッド”や北の”境界壁”も凄かったが、

外界(むこう)の建造物も捨てたもんじゃねえ。

人の手で造り上げられたものにはそれぞれ趣がある。

あのババアは『新時代の錬金術』と称してやがったか」

 

「でも人造物では”境界壁”ほどのものはそうないのではないかしら?」

 

「いやお嬢様、俺が旅した中でもイタイプ発電所なんかは端が見えねえほど巨大だった。

お嬢様の時代には無かっただろうが俺の時代には高さ300mを超えるビルや、

”アンダーウッド”よりも高い電波塔もあるぜ。

それに万里の長城なんかも巨大さでいえば群を抜いてでかかった」

 

「本当に宇宙からも目視できましたからね」

 

「「「「「ん?」」」」」

 

「ああ、僕は宇宙に行ったことが、というか宇宙空間から召喚されましたし」

 

「キング〇イナー!!」

 

「そういや宇宙服だったな最初に来たとき」

 

「だからまあ僕が話すとしたら、進んだ科学技術なんかかな」

 

「テラフォーミングは終わってるのか?」

 

「「「?」」」

 

十六夜の問いにサラとリリ、飛鳥が困惑の顔を見せる。

 

「ああ、火星移住なんかの事ですよ。

第四次入植が進められてるところだったかな。

月はあらかた開発が進んでいくらか都市も建設されてたし」

 

「黒ウサギが聞いたら泣くかも」

 

「まあ神話の住人はいない世界でしたし。

あとはそれなりに平和でしたね、局地戦はまあ残ってますが大きな戦争もなくしましたし」

 

「なくした?」

 

「まあちょっと、戦争どころでない事態が起きたというか」

 

「起こしたの?」

 

「結果的に」

 

「さあキリキリ話せ~」

 

「また後日で」

 

「だめ」

 

「耀さんの時間が無くなりますよ」

 

「そうだな、春日部の話も気になるが」

 

「もしかしてさっき思い出したことに関わるの?」

 

「ええ」

 

「?」

 

「春日部さんいいかしら、

ゲームに関わることかもしれないの」

 

「わかった。なら私の話が今度で」

 

「祭、お前が話したがらない理由ならもう寝ちまってる」

 

十六夜がさす先でリリが穏やかな寝息を立てていた。

元々遅くに出かけて、話し込んでいたのだ。

疲れもあったろう。

 

「十六夜もなんだかんだでみんなのお兄さんだな」

 

「なら話すが、僕は外界(むこう)にいたときに自分の身体を研究材料として提供していてね」

 

「祭の不死性についてか」

 

「ええ、権力者や富豪たちが跳び付いていい稼ぎになりましたね。

結果僕の血を輸血したりだとかいろいろ見当違いに不死を求める人たちが多くて。

その中でとある国が僕の細胞を元にクローン兵士を作り出す事態になりまして」

 

「またとんでもないことを考えたもんだ」

 

「噂が先行してクローン兵を倒すための兵器開発も進んだんですが、

それを僕が利用して、『僕を殺せない兵器は無駄ですよ?』と」

 

「その時の祭ならそうだろうね~」

 

「まあいろいろと利用させてもらったんですが。

結局不死の兵士殺しも不死の兵も作れなかったんです。

色々なアプローチが生まれたりしまして、

その中で狂った一人の研究者が僕の不死性を利用した永久機関を提案したんです」

 

「なるほど、ようやく繋がったな」

 

「ああ、そう言うことだ・・・」

 

「ちょっと二人で納得しないでちょうだい」

 

「すみません、まあ余談ですけど僕は逃げましたよ。

永遠拘束されて死ねないなんて嫌ですし。

発狂もできませんでしたから意識保ったままなんて御免です」

 

「まあそれも分かるが」

 

「それでどう繋がるのだ」

 

「もしかして解答の第三永久機関?」

 

「なんだ春日部も分かったのか」

 

「うん、私の時代だと必修科目でもあったから」

 

「まあその研究者が提案した永久機関も欠陥があったんですよ」

 

「そうか、答えが分かっているなら明日もう一度行けば「「無理だ(です)」」何?」

 

「答えは第三永久機関なのよね?」

 

「答えは、クリアには第三永久機関の完成(・・)まで必要です」

 

「何故確信が持てる?」

 

「『私を諦めないで』の一文だな。諦められてしまった完成が必要だと取れるからな」

 

「永久機関は人の手では作れないことが確定してますから」

 

「じゃあ何でまた明日行こうって言ったのよ」

 

「あの人形ですよ」

 

祭に言われて、店の奥に座らせてあった人形を思い出す。

 

「少なくとも永久機関が人形の形をしているとは思えなくて。

万一何らかの攻略の鍵があるとするなら、あの人形だけですから」

 

「ふーん」

 

「そうか、ならばお前たちに調査は頼んでしまってもいいか?」

 

「そうだな、久々に野郎三人で繰り出すか」

 

「無駄足かもしれませんが念のために」

 

話が纏まり今夜はこれまでとなった。

ただリリにはまだ大人の汚い部分を見せたくはない、

という配慮が今回ばかりは裏目に出ることとなる。

 

 

 

 

翌日、男子三人は朝食を終えて女子の買い物に少し付き合った後、

件の店までやってきていた。

 

「壊れた扉が何事もなかったかのように戻っている」

 

「ゲームに付随する特殊ルールってとこか」

 

「じゃあいくらか壊したマッチョも元通りってことだね~」

 

「春日部達が聞いたら泣き叫んでただろうな」

 

「ほんきであれ欲しいの~?」

 

「一体ぐらいなら面白くていいだろ」

 

「とにかく中に入りましょうか」

 

ゆっくりと扉を開けると、

店の奥から悲鳴が聞こえてきた。

 

「に、逃げてください、フォックス!

奴が!・・・・・・・”退廃の風”が来る!!!」

 

「マズイ!リリがいる!?」

 

「何!?」

 

頼華が感知した情報を伝えると十六夜が駆け出し、二人が続く。

そこには鈍色の風に取り囲まれたリリと昨日見かけた人形がいた。

 

「空間浸食された!?」

 

「使え十六夜!」

 

「おう!」

 

頼華の『進入禁止』の空間が”侵食”されたことを聞き、

風の異常性を察した二人は直接攻撃を避け、

祭が以前サーカスで取り込んでいたナイフやジャグリング用のバトンを投擲することで攻撃する。

 

「二人ともつかまってなよ!」

 

「急げ頼華!!」

 

「頼華!『耐熱対光』!!」

 

「マジで!!?」

 

投擲したものが風に触れた瞬間に消失したことを見て、

祭が最高火力を放つ準備をする。

 

「効いてくれよ!」

 

頼華が自分の後ろに回った瞬間にプロミネンスを放つ。

それも風に触れるとたちまち消失した。

 

「本格的にマズイ!!退くぞ!!」

 

十六夜の叫びと共に全速離脱を図り、

祭は風が獲物を求めて動いていることを見抜き、

時間稼ぎの為に店の奥に数発の高速ミサイルを放った。

 

 

 

 

「その人形を戻して来い」

 

事情をすべて聞いてガロロの出した答えは正しい。

 

”退廃の風”

徘徊する終末論(ラスト・デカダンス)

最果ての暴君(グリード・クラウン)

”共食い魔王”

 

数々の呼び名を持つ最強の”不倒”の魔王。

 

「まさかそんなモノが巣食う場であったとは」

 

「それほど危険なの?」

 

「嬢ちゃんたちには既に言ったな、

魔王は相手にするものじゃねえってのは。

その究極が”退廃の風”だ。

勝ち負けじゃねえ必滅だそれもこっちが一方的にだ」

 

「”盛者必衰”の顕現といったところか」

 

「ああ、一応対抗策はあるが・・・、

風の色は何色だった?」

 

「何で色?」

 

「”退廃の風”はその色によって桁数の、強さの変わる魔王なんだ。

黒が最も強く、白が最も弱い」

 

「鈍色だった」

 

「なら五桁相当か。

階層支配者就任後であれば旗印を持って追い返せたのだが」

 

「唯一の対抗手段が使えないとなると」

 

「皆様どうにかなりませんか!

このままじゃコッペちゃんはあの店でずっと一人ぼっちです!!」

 

「よいのですフォックス。

過ぎた願いでも少しの間、外に出られただけでも満足しなければ」

 

リリの涙をぬぐってやるコッペちゃんことコッペリア。

 

「はいこれ、ちょっと前のレティシアね~。

反省するように!」

 

「うむ、外から見ればこれはな」

 

「さてイカサマ師、思いついたか?」

 

「イカサマ以外も使うんだからその呼称は止めろ。

今回はイカサマになるがな」

 

「ちょっと待て、昨日自分で言っていただろう。

人の手では作れないことが確定していると!」

 

「そろそろジャックが”アンダーウッド”に戻ってるころだ」

 

「飛鳥さんは”ディーン”を連れてジャックの所まで行ってもらえますか」

 

「それはいいけど・・・」

 

「基本は十六夜に任せるよ」

 

「その間の時間稼ぎは頼んだぜ」

 

駆けめぐるやりとりにコッペリアは置いてけぼりを食らって呆気にとられている。

 

「大丈夫だよコッペちゃん!

祭様たちが必ず助けてくれるから!」

 

「フォックス!

私は決してたどり着けない”永久機関(パラドックス)”!

その完成など!!」

 

「箱庭でなら」

 

「恩恵があれば」

 

「「できる!!」」

 

祭と十六夜が力強く断言した。

 

「急ぐ必要がありますからサラさんも協力してもらえますか?」

 

「ああ勿論だ!」

 

「ガロロのおっさん、何でもいいから祭に無駄弾やってくれ」

 

「売れも材料にも利用できねえガラクタでいいなら」

 

「さて、それじゃあ行きましょうか」

 

「行くぞコッペリア。

いや今日からお前は”神造永久機関コッペリア”だ!!」

 

 

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