”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

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執筆開始から半年、長かった!


リリの大冒険(後)

 

「永久機関とはまた無茶な注文ですね」

 

依頼を受けたジャックはカボチャなりの渋い表情を見せている。

 

「確かに無茶だとは俺も思う。

だがこれが簡単に出来ちまうんだから箱庭ってのは凄いな!」

 

「どういうことなの十六夜くん?」

 

「オレにも分かるように説明して~」

 

「多くの自動車なんかに使用されてるピストン運動。

このピストン運動を外部エネルギーではなく、

物質の伸縮によって行う。

心臓が意識せずに動くようにな」

 

「なるほどそれで飛鳥嬢を連れてきたのですね!」

 

「祭君がディーンを連れて、といったわけが分かったわ。

でもそれなら、攻略法がないみたいなこと言わなくても良かったのに」

 

「コッペリアに会う前なら、ディーン優先だったんじゃない?」

 

頼華の言葉を聞いてコッペリアがまたも暗い表情を見せた。

 

「そんな顔しないの!元々あなたを助けるためにみんな頑張ってるんだから」

 

「はい」

 

「それとジャック、ディーンの修理代含めて祭からだ」

 

十六夜がギフトカードを出したのに合わせ、

ジャックも自分のを出し二枚を重ねあわせた。

代金の授受が行われて、ジャックがギフトカードを確認する。

 

「YAHHO!?なんて額ですか!?

いくらなんでもこんなにいただく訳には!!」

 

「祭から伝言。

『ついでにいろいろ改良を加えてくれると嬉しい』と」

 

「いや~飛鳥愛されてる~♪」

 

「茶化さないで!」

 

「そう言うことでしたら。

飛鳥さん、しばらくディーンをお預かりいたしますがよろしいですか?」

 

「お願いするわジャック!」

 

「さて用意はいいかコッペリア」

 

「私も覚悟を決めました。

どうか私に永久機関の輝きを!」

 

「任されましたコッペリア嬢」

 

「そだ!飛鳥!

オレも神珍鉄のカケラ、ほんのちょーっとでいいから分けてくれない?」

 

「頼華君も?一体何に使う気なの?」

 

「っふっふっふ!それはだね飛鳥くん!」

 

頼華のたくらみを聞いた飛鳥は申し出を快諾した。

 

 

 

 

「じゃあ最終確認。

メインは私とサラと祭が担当」

 

「レティシア殿とリリが松明を燃やしつつ随時援護」

 

「緊急離脱時はレティシアが全体を見つつ判断」

 

「問題なさそうだな。では行くぞ!」

 

「はい!!」

 

コッペリアが永久機関として生まれ変わるまでの間、

時間を稼ぐために”退廃の風”を抑え込んでおく必要がある。

正確には暴威を振るわれる範囲を限定し誘導しておくだけであるが。

 

五人が店の扉を開けて中に入ると、

億から不気味な気配が漂う。

 

「質量、あるいはエネルギーが大きければ大きいほど”退廃の風”は、

喰らうのに時間をかけます。

気休め程度の差ですがなるべく高熱になるように燃やしてください!」

 

「心得た!」

 

ギリギリの中で観察して見つけた攻略の糸口。

だがそれを待つようならば魔王と呼ばれはしない。

 

「来る!」

 

いち早く耀が感づき、ペガサスの脚甲を装備して飛翔する。

合わせるようにサラが炎翼を限界まで広げて両翼に分かれる形で飛ぶ。

 

「さあ来い!」

 

真正面からガロロから受け取ったガラクタやナイフなどの大波を生み出し構える祭。

 

大地の裂け目から噴き出した風は、

一瞬にして裂け目を大穴へと変え吹き荒れる。

まるで見ているかのように周囲を滞空したかと思えば、

他には一切目もくれずに祭自身、そして光を生み出す耀を狙った。

 

「悪い予感はこうも外れないかっ!!」

すぐさま退いた祭は決めていたハンドサインをレティシアに送り、

確認したレティシアはリリを抱えて一時離脱。

 

「耀!外周は駄目だ!追い込まれるぞ!!」

 

「わかってる!」

 

(意志ある魔王というより破滅というシステム(・・・・・・・・・)に近いと言っていたな!

狙う順序は何だ!霊格ならまだサラの方が上。

ならそれ以外の基準が存在するわけか!)

 

かつて外界で研究者たちと共に過ごす時間が多かったせいか、

祭の思考パターンが考察ばかりになっていることに最近気が付いた。

どことなく皮肉じみた感傷を抱いて祭は笑う。

 

「ああクソ!久しぶりに死の恐怖を感じたじゃないか!!」

 

「喜んでいる場合ではなかろう!!狙われたが最後の”退廃の風”だぞ!」

 

「そうだな!念願の死(せっかくのお誘い)だがまだ未練だらけでね!!」

 

サラの叱責を受けながらも祭、そして耀は後退をしながら時間を稼ぐ。

 

(この風は脚甲の輝きを、私を食べたがってる。

でも捕まるわけにはいかない!)

 

耀は新たに手にした”嵐天の髪飾り”によって、

”風”を認識する能力が上がっている。

その為、意図して進路が塞がれそうになったり、

周囲を囲みこもうとすることを察したりできる為、ひどく追い込まれることはなかった。

それでも地力の速力ではわずかに”退廃の風”の方が速い。

 

じりじりと距離を詰められ、

回避できる限界を越えられた。

 

(駄目だ!この距離は)

 

春日部耀が最期を確信した。

それを感じ取ったか”退廃の風”は大口を開けたかのように拡がり、

春日部耀をまるのみにした。

 

逆廻十六夜が救い出さねばそうなっていた。

 

「間一髪だな!間に合ってよかった!」

 

閃光のごとく駆け抜け耀の身体を救い上げた十六夜が微笑みかける。

 

(ああ。やっぱり十六夜は素敵だ!)

 

「遅刻ギリギリだ!十六夜(問題児)!!」

 

「忘れ物届けに来たんだろうが!(問題児)!!」

 

皮肉の応酬も勝利の確定を喜ぶものだ。

 

「そこまでです”退廃の風”よ!ゲームはクリアされました!

これ以上の現界は契約違反に該当します。

速やかに去りなさい!!」

 

燦燦と輝く翠髪をたなびかせ悠然と立つコッペリアの姿があった。

 

「いくら不倒の魔王でも、

箱庭から追放されかねませんよ」

 

コッペリアの通告をまるで悔しそうに蠢いている。

 

「おいおい、いい加減にしねえと俺もそれなりの方法で相手させてもらうぜ?」

 

耀を降ろした十六夜が右手から極光を走らせる。

夜の帳を照らしきって余りあるそれは”退廃の風”にとって極上のご馳走に違いなかった。

だが”退廃の風”は不気味に嗤い、

箱庭の中心軸の方へと消え去った。

 

「ひとまず安心ってところか」

 

「そうだね」

 

十六夜の手から放たれる極光が消えると、

代わりに一枚の旗が”ラスト・エンブリオ”の旗印が輝いていた。

 

皆が集まって勝利を喜んでいる中、

一人祭は腕に包帯を巻いていた。

 

(消滅もまた、か・・・)

 

 

 

 

”退廃の風”を撃退し、主賓室でささやかな祝勝会を開いていた。

先日のラインナップにリリ特製の煮物と、ガロロ持参の洋酒やいくつかの軽食が振る舞われた。

 

「いやあ!本当にお前さんたちは規格外だな!

”退廃の風”をゲームクリアで追い返すなんざ初めて見たぜ俺ァ!」

 

「今回のMVPはジャックですね。

本当に助かりましたよ!」

 

「いえいえ、こちらこそ随分な代金をいただいたので、

特急価格として頑張らせていただいたまでですよ」

 

「二人とも謙遜しあってないで食べなきゃもったいないよ~?」

 

「お二人ともどうぞ!

はい、コッペちゃんも!」

 

リリが切り分けたキッシュとサラダをよそってくれる。

 

「ありがとうフォックス。

こうして食卓を囲めるのも貴女のおかげです」

 

「そんな私は何にも、皆様が頑張って下さったからで」

 

「それでも。

貴方が最初にあの館から連れ出してくれなければ、こうはならなかった。

改めて言わせて下さい。皆さんも、

私を助けてくださって、ありがとうございます」

 

深く頭を下げるコッペリア。

 

「なにはともあれ。

ゲームをクリアしたわけだからリリちゃんが欲しがってたブローチもやっと買えるわけですね」

 

「そうだ!コッペちゃん!」

 

「申し上げにくいのですがあのブローチは神木から削り出したものですので、

しっかりと値を付ければそれなりの額になりますよ?」

 

「お助け料ってことでもらちゃえば~?」

 

「だめです頼華様!

母様が厳しく仰ってました。

『勤労には見合った対価を払わなければならない』って」

 

「ぐわー!一本取られた~」

 

「だからコッペちゃんにはちゃんと代金をお支払いします!」

 

真っ直ぐとそう言ったリリだがコッペリアから金額を聞かされ固まってしまった。

それを見かねたガロロが助け舟を出した。

 

「話は纏まったか?」

 

「もうお腹ペコペコ」

 

「大忙しでお昼も食べられなかったものね」

 

「では皆、手を合わせて」

 

いただきます!といこうとした時に不吉な叫びが聞こえた。

 

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!

暴れマッチョだああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

『雄雄おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

 

 

「・・・・・・・おい、あの筋肉、ゲームの一部じゃなかったのか?」

 

「ご冗談を。あれは追憶に追いやられた何某かの具現です」

 

「昨日、結構な数壊したよ~?」

 

「来店者が帰るたびに全て修復されるシステムでして」

 

「”退廃の風”は」

 

「食べず嫌いでしょう」

 

「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」

 

「みんないろいろ思うところもあるだろうし、八つ当たりがてら」

 

「”収穫祭前夜~マッチョ狩りハード~”とかなんとか」

 

「張り切って行こ~~!!おーー!!」

 

「なら私はこの料理が荒らされないように守って居よう!」

「レティシア狡い!」

「防衛なら”アンダーウッド”を守り抜いた私とディーンで!」

「心配するな!皆が戻るまで手を付けずに待っておく!」

「私も我慢するから!」

「春日部さんまで!お願い私も!」

 

「そんなにかよ・・・」

 

「ホントは待たせてあげたいけど、

お腹すいてる時に時間かかるのはィヤだしな~」

 

「あきらめろ女性陣」

 

「サラは、食事を捨てて先に逃げたみたいだね」

 

「しまった!その手が!」

「頼む!後生だ!」

「一生のお願いよ!」

 

「十六夜、もう自分たちだけでいいんじゃないか?」

 

「もう先行ってるね~」

 

「仕方ねえ、ホントに待っとけよ!」

 

「「「約束します!!」」」

 

こうしてマッチョ狩りが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

仲邑祭には悪癖と言えるものがある。

それは一言でいえば”収集癖”。

 

祭が”情報収納”のチカラの存在を知ってから、

モノの別なくありとあらゆるものを取り込んでストックするようになった。

 

中には衣服や工具、食器といった使用目的で持っていれば役に立つモノ。

あるいは役に立つか分からないがとりあえずという目的なしにとっておいたモノ。

明らかに使い道などないと思われるものまで、特に考えずに取り込んでしまう点悪い癖だろう。

 

そしてそれは箱庭にやってきて、あらゆる事態に対応するために顕著となった。

 

密輸遊びの拳銃が役に立った。

実験で取り込んだ電気を利用する機会が存在した。

『熱い!』という苛立ちで気まぐれに取り込んだプロミネンスが一番の武器となっている。

いつか使えるだろうと思い、サーカスでは散らばった道具や刀剣類を回収した。

 

暇なときには目につく全てに新しい使い道を考えたり、

今ストックしているものの使い道を考えたりしている。

 

そんな祭に、明確な使い道が思いついたものがあれば・・・

 

 

「やっと百体か、まだまだイケるかな?

十六夜が一体欲しがってたし。

千に届く前に二人に壊しきられそうだな。

急ぐか!!」

 

 

 

収穫(・・)祭前夜~マッチョ狩り(・・)ハード~”

 

まだ始まったばかりである。

 

 

 




ヒャッッハーーーーーーーー!!

ヤッテやったずえええええええぇぇぇぇぇ!!!

もう怖いモノなんかねえぜい!!!


祭君は”非人道人型精神兵器M(多数)”を手に入れた!!

ここでお知らせだオ!
今はブーメランパンツしか装備がないの(泣
だから皆さんに素敵な衣装を考えてほしいなあって(求

塗り絵感覚で応募してね!(嘘
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