”他力本願な不死”と”自由気ままな指揮者”も来るそうですよ?   作:バリアリーフ

61 / 63
自分はアレですよ? オッパイ星人じゃありませんよ
本当ですよ? オッパイ星人じゃありません!!


だけどうん、明るい変態って書いてると楽しいわ


”ヒッポカンプの騎手”スタート

 ギフトゲーム”ヒッポカンプの騎手”開始直前。

 出走ゲートで開始を待つ参加者たちの舌戦がすでに繰り広げられていた。

 

「正当にお前をぶちのめせるチャンスはそうねえからな!」

 

「いやいやヴェーザー君? そんな睨まれてもオレ困っちゃうんだけど~?」

 

「ヤホホホホ! せっかくですので私も前回の借りを返させていただくことにしましょう」

 

「ちょ!? ジャックたちも出場すんの!!」

 

「あたしも耀にリベンジするためにね!!」

 

「負けないから」

 

「それよりアーシャはなんでいつもの服なのかしら?」

 

「そりゃあフェイス・レスが自前のヒッポカンプで出場してくれてるからに決まってるだろ」

 

 

 

『ギフトゲーム - ヒッポカンプの騎手 -

 

 

 ・参加資格

   

    一、水上を駆けることができる幻獣と騎手(飛行は不可)。

    二、騎手・騎馬を川辺からサポートする者を三人まで選出可。

    三、本部で海馬を貸し入れる場合、コミュニティの女性は水着必着。

 

 ・禁止事項

 

    一、騎馬へ危害を加える行為は全て禁止。

    二、水中に落ちた者は落馬扱いで失格とする。

 

 ・勝利条件

 

    一、”アンダーウッド”から激流を遡り、海樹の果実を収穫。

    二、最速で駆け抜けた者が優勝。

 

 

宣誓

 

上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

”龍角を持つ鷲獅子”連盟 印』

 

 

「これもコミュニティの力不足ということなのね……」

 

 覚悟を決めたとはいえ飛鳥はやはり水着での出場は、出来ることならばしたくは無かった。

 参加者の女性が皆水着であれば諦めも割り切ることもできただろうが、こうしてアーシャが、そしてフェイス・レスが水着を着ずに出場していることを知ってさらに羞恥心が増したように感じる。

 せめてもの抵抗としてパレオを高めに巻きつけておヘソを晒すことだけは阻止した。

 (引き換えに素足を多く晒すことになり、パレオに隠れ切らない水着が逆に扇情的になってしまったが)

 

「だけど一つはあたしの不戦勝みたいだな!」

 

 ジャックに乗って高い位置から耀を見下ろすアーシャは体を反らし、耀の慎ましやかなソレを見て憐れむような視線を向けてくる。

 

「OKソノケンカカッタ」

 

「春日部さん! 開始前に手を出しては駄目よっ!!」

 

(ヤホホ、初めて会ったとき挑発された意趣返しは上手くいったようですねえ)

 

 アーシャの内心の緊張を知るジャックはお得意のカボチャポーカーフェイスを以て静かに賞賛した。アーシャも巨龍との戦い、古城での耀の成長を知っており自分が格下であると認め、勝つために全力で挑んでいるのだ。

 

「タルトあんた何てものを着てるのよ……」

 

「あーコRe? 白ちゃんに貰ったんだけどカワイイでSyo!!」

 

 ペストの冷ややかな視線に胸を張って自分の紺色のワンピース水着、俗に言うスク水を見せびらかすタルト。しかも胸元に”たると”と書かれた白布を縫い付けその道の人垂涎の完全装備だった。体型のそう変わらないペストは白黒の斑模様がデザインされたツーピースタイプの水着を着用している。

 余談だが客席にいた目ざといその道の人は、レティシアが子供たちの教育に悪いと片づけた。

 

「いやーフェイスちゃんと並んでゲームする日が来るとはオジサンも思わなかったなあ! 協力して”ウィル・オ・ウィスプ”を優勝に導こうぜ!!」

 

「疾く消えなさい」

 

「相変わらず辛辣だよねえフェイスちゃんは。まあ俺も平常運転で行きますかね」

 

 ポルトスがギフトカードから出したのは身の丈の倍はあろうかという刃を持つ大戦斧。

 

「待ちなさいポルトス!! いくらなんでも”断龍(ダンリュウ)”まで持ち出してはゲームが壊れます!!」

 

「んぁ? ああ”断龍(タッちゃん)”のこと?」

 

 ポルトスが出した大戦斧に観客席がどよめいた。”女王騎士”から二人もゲームに参加するということが知れ渡り注目度が高まっていたのだ。そこへ来てこの大戦斧の披露、直前まで行われている一着予想の賭け(ゲーム)のオッズが大きく変動する。

 

「ダイジョブだって、流石に両断(殺し)たりしない位の手加減オジサンでもできるからさ」

 

「そう言う問題ではなく、……ぁぁホントに消え去ってくれればいいのに」

 

(例の騎士様、怪力は間違いないが、それ以上に巧いだろうな)

 

 十六夜が警戒を強めていると音響ギフトから黒ウサギの声が響いてきた。

 

『 ――――――― 大変長らくお待たせしました!それでは今より、”ヒッポカンプの騎手”を始めさせていただこうかと思います! 司会進行は毎度おなじみ、黒ウサギが ――――――― 』

 

 

 ―――――――――――雄々オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォッ!!!

 

 

 

 猛る野郎どもの怒号が音響ギフトを凌駕した。

 

 

 

 騒がしさが落ち着くまで時間を要し軌道修正に時間がかかったが、黒ウサギも審判兼司会を唯一の食い扶持として成り立たせるほど続けてきた手前、対処もパターン化した一つでどうにかできた。

 

「それではゲーム開始に先立ちまして、白夜叉様よりお言葉をいただきたいと思います!」

 

 観客席の最前席に特設された白夜叉の席を黒ウサギが示し、立ち上がってマイクを握った。

 

『えー諸君! まず一言、―――――黒ウサギは実にエロいな!』

『さっさと開始してくださいこのお馬鹿様!!!』

 

 ガシュ!

 

 黒ウサギの投石攻撃。白夜叉は後頭部から出血した。

 確信犯の駄神(白夜叉)は同じことを繰り返し、投石を連続で喰らって血だるまになってようやくまともに挨拶を始めた。

 

『こほん。皆も知っておる通り”サウザンドアイズ”からも多くの露天を出しておる。が、此度はゲームの開催までは手が回らなかったゆえ、この”ヒッポカンプの騎手”を勝ち抜いた参加者に”サウザンドアイズ”からも望みの品を贈呈することとした! 皆ゲームに励むがよい!!」

 

 白夜叉の宣言に会場が湧き、参加者たちのボルテージが上がっていくのがみえる。

 黒ウサギがゲームルールの最終確認をしているとき、頼華が騎乗した飛鳥と白雪姫に声をかけた。

 

「嫌な予感して仕方ないからこっちの岸に寄って」

 

「っ! 行きましょう白雪さん!」

「構わないがその勘は当てになるのか?」

 

「頼華のマジモードが出てる以上確定だ! もうスタートするぞ早くしろ二人とも!!」

 

『それではこれより”ヒッポカンプの騎手”を開催する。”海樹”の果実を手にし誰よりも速く駆け抜けよ!!』

 

 

 

 白夜叉の宣言と同時に参加者たちに悪夢が降りかかった。

 

 

 

「きゃ…………きゃああああああああぁぁぁぁ!!!」

「う…………うわああああああああぁぁぁぁ!!!」

 

 

 スタートと同時に出場者の七割を脱落に追い込んだ”女王騎士”の二人。

 フェイス・レスは蛇蝎の魔剣を精緻の技で出場者の水着を含む装備だけを切り裂き、ポルトスは大戦斧をゴルフのバンカーショットの要領で莫大な河川の水をぶちまけた。

 その結果彼女の騎馬の周囲でスタートした騎手は素っ裸にひん剥かれて水中に飛び込み、後方に位置取りをしていた全ての騎馬が頭から水をかぶって失格となったのだ。

 

「馬鹿ですか!? 馬鹿ですか!! 馬鹿ですよね!! 死ね馬鹿!! せっかくの武具(ギフト)でなんてふざけたことをやらかしてるのよ!!」

 

「それはこっちの台詞だ!! 馬鹿フェイスグッジョブ!! 失格にしちまったらせっかくのお楽しみが台無しだろうが!!」

 

「何がお楽しみよ!! あなたの方が失格者出してるでしょう!!」

 

「俺が消したのは野郎連中の方が多いからいいんだよ馬鹿!! せっかくの『水着美女、騎乗でおっぱいちゃんがぷるんぷるん!! ひょっとしてポロリするんじゃね!?』計画を台無しにしてくれたな!! 剥いたから許す!!」

 

「黙れ!! そして死ね女の敵!!!!!!!!」

 

 出場者を恐怖のどん底に叩き込んだ”女王騎士”二人。その恐ろしさは、このおバカ過ぎるやり取りをしながらフェイス・レスは二本の剛槍をポルトスは大戦斧で打ち合い(じゃれ合い)ながら進み、スタート位置のよかった前にいる出場者を次々と失格にしていることだ。

 

 頼華の野生の勘によって、間一髪なんとか初手退場を免れる距離をとれ、十六夜、耀、頼華の三人がかりで”ノーネーム”の騎馬を守った。

 他で残るは最後方で別チームの騎馬の陰でやり過ごすことが出来た数チームと、ヴェーザーの緊急シェルターで凌いだ”      ハーメルン”。そして開始前に他チームを威嚇して最前列を陣取っていた”二翼”の四騎馬とその後ろにいた僅かな騎馬のみ。

 

『流石は我が仇敵の騎士!! その剣技に込められた繊細な技術には悔しいながらも賞賛の言葉を贈らせていただくむしろ纏めて剥いてしまえヒャッホオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォっっ!!!』

 

 ヒャッホオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォっっ!!!

 

『ついでにポルトス貴様!! なんて恐ろしいことを考えておる!! ワシの企み筒抜けかッ!!!』

 

 

  ポルトスb   d白夜叉

 

 

 かつてこれほどに白夜叉と意気投合した”女王騎士”がいただろうか、いやおるまい。

 

  ”ノーネーム”の出遅れは強敵相手には致命的だった。

 

「何が女の敵よ!! 貴女の方が敵じゃないの!!」

 

 もし自分がああ(・・)なっていたらという想像だけで、そして怒りで真っ赤になった飛鳥はムチを入れ追走する。白雪姫の方も軽い恐慌状態を神格保持者の誇りで振り払い続く。

 

「悪いけどここで消えてもらおうかしら!」

 

 ペストが個人的な理由だけで白雪姫を潰しにやってきた。

 

「ペストは任せたぞ!」

 

 十六夜はこれを好都合と白雪姫にペストの足止めを命じた。障害としては”女王騎士”には劣るものの自由にさせておけるほどペストは甘い相手ではない。加えて騎乗した白雪姫だけを攻撃することは相応の技量を要する。スタート近くに足止めできるだけで御の字という計算だ。

 

「悪い十六夜! こっちだけで手一杯!!」

 

 同じく”ウィル・オ・ウィスプ”参謀のジャックは頼華が今回のゲームの最大の障害と認識していた。

 

「私自身は頼華殿に勝たずともよい。これだけで難易度が大きく変わりますからね」

 

「そのままジャックを止めてればいい!頼むぜ頼華」

 

「前よりキツイけどやってみる!」

 

 頼華の”空間信号”は今回のようなレースゲームでは圧倒的な戦果を挙げるギフトだ。

 それ故に痛いと思いながらもジャックが正確にそのことを認識していたことを褒めるしかなかった。

 

 ジャックは最初にランタンから業火を惜しみなく出して、熱の檻を作り上げて頼華を閉じ込めた。もちろん殺し御法度のゲームだが、頼華が単純に焼かれ死ぬような相手でないことをジャックは知っている。

 

「さてどうしようか?」

 

 炎獄の中で『気象条件保持』の空間を最小限で作ってその中で頼華は考える。

 いつもなら素直に突破をするために動くが、対するジャックの頭の上にアーシャがいる。彼女の眼には押さえるべき相手、頼華だけが映っている。開始前に耀に宣戦布告して挑発までした彼女がここにいるのだ。

 何もないわけがない。

 

 アーシャにとって耀への挑発も全てオマケだった。釣れればラッキー、駄目でも頼華を足止めするために全力で臨むまで。

  ”ウィル・オ・ウィスプ”に収穫祭中通っていた頼華を観察して、ジャックやフェイスにも相談してたった一つだけ手を考えた。これがダメなら破れかぶれの戦い方しか残されていないため失敗なんてできない。

 

「睨み合ってても仕方ないしね! 行くよ!!」

 

 頼華がギフトカードから禁鞭を出し構える。第一段階の指揮棒のような形状での禁鞭は全体的な性能は第二段階に大きく劣るものの、軌道というものが存在しない。超人的な反応速度で躱すかただ堪える以外の手立てがないというシンプルな強さを持つ。

 

「ジャックさん!!」

 

 正に攻撃が来るというタイミングで防御をジャックに任せ、アーシャが後ろに飛びのく。ジャックの持つ不死性に全てをゆだねて仕込んでいた手を発動させた。

 

「やば」

 

 先に展開していた炎獄を拡げて半球状に頼華を囲み逃げ場を奪い、何日も前からコース沿いの地面に細工して散らしておいたアルミ粉と燐で炎獄内に大爆発を巻き起こす。

 

「手ごたえ無し!! 今ですアーシャ!!」

 

 足止めさえできれば、そんな考えでギフトゲームに勝利できるほど甘くないことをジャックはちゃんと知っている。その上で、勝つために頼華を一時的にでも戦闘不能に追い込む策を考え出した。

 ジャックの指示でアーシャは地面に手をあて、自分の全てを賭けて地中を撹拌(かくはん)した。

 

「はああぁぁぁぁああああああ!!!」

 

 心理的に炎獄で脱出経路を塞ぎ、その中を爆発という危険区域に変えれば、頼華は間違いなく”透過”のギフトで地中に逃れるはずだ。詰将棋のように組み上げたロジック通り頼華は罠にかかった。

 

「うぇ!?をををおおおおぉぉぉぉ!!」

 

 地中に潜ったとき泳ぐような感覚で移動する頼華は初めての感覚に混乱する。

 波も海流もない水中で突然荒々しい渦潮が生まれて溺れないものはまずいないだろう。ギフトのおかげで呼吸に苦は無いが、それでも上下左右が天地前後が目まぐるしく変わり三半規管を攻撃され頼華は気分が悪くなった。

 

「ダメ!! あたしの霊格(チカラ)じゃこれ以上―――――」

 

「美味しいところを戴くようで悪いがこれも勝負だ!!」

 

 あと一歩足りない、アーシャが涙し頼華が地上に出る寸前。

 地災の霊格を持つ悪魔、ヴェーザーが追い打ちをかけた。

 

「なら横槍も勝負のうちやで?」

 

 大波が三人を飲み込み、地上に上がったはずの頼華も気づけば水浸しになって失格していた。

 

 

 

 

 コース中の最初の障害であるアラサノ樹海に生き残った参加者たちは突入していた。

 その残ったほとんどが樹海内で立ち往生をしていた。

 

「本当にいいの十六夜くん!!」

 

「違和感はあるだろうが指示に従ってくれ」

 

 今飛鳥や他の参加者たちは樹海を彷徨っている感覚を味わっていた。

 

「ゲシュタルトのチカラだろうな、こう薄暗くて同じ種類の木樹の間を進んでりゃあ感覚もおかしくなってくる」

 

 進んでいても、たとえ分かれ道なく進んだとしても、認識力の低下させられた状態では同じ場所を延々と進んでいるという感覚に陥って、正しき道でないかもしれないという不安に駆られる。

 

 唯一”正体不明”のギフトを持つ十六夜だけには効果がほとんどない、その結果惑わされずに進み続けられる。

 

(やっぱり手の内バレテるとそうだよNe~。騎士様たちも流石に止まってくれないKa)

 

 タルトの分身体の一人が樹海の茂みに隠れたまま偵察をしている。

 

(耀ちゃんは樹海の上飛んでっちゃうSi、ラッテン(ラト姉)ゴメンこれ以上タルトちゃん無Ri♪)

 

 

 

 

(ただ勝つだけじゃダメ、今回の目的は植物のチカラを意識的に使うこと)

 

 樹海の上空の上空から”二翼”の集団を捉えた耀は、その進路上に急降下した。ついでに輝く旋風を広範囲に纏い流星となって嫌がらせをすることも忘れない。

 

『先日の遺恨を晴らしに来たか、小娘―――――!!』

 

 幻獣の姿のグリフィスが吼える。

 

「別に遺恨なんて関係ないし、ただ戦略的に潰しに来ただけ」

 

 振り返った耀は自身で驚いた。

 ただの嫌がらせで”二翼”の集団が半壊していたからだ。騎馬は残り一騎、サポーターもグリフィスと岸にいる一人と有翼の幻獣四頭のみ。後は河に落ちているか岸に打ちつけられて呻っている。

 

(どうしよ。実験できるかな?)

 

 耀が困惑している隙にグリフィスたちは翼をはためかせて竜巻を作り上げて耀を襲う。

 複数の竜巻が眼前まで迫り、耀は動かなかった(・・・・・・)

 

 堪えるでも抗うでもなくただ何にもせずに直立姿勢のままそこに居た。

 竜巻は耀のショートカットの髪をさらりと撫でただけで通り過ぎ、樹海の木々をなぎ倒して消えた。

 

『『なっ!!?』』

 

 グリフィスの取り巻きだろう幻獣が驚きの声をあげ、動揺した一頭が精いっぱいの羽ばたきで強風を作るもそれも髪を揺らす以上の事が出来ない。

 

(柳と相性のいい風ならこのくらいはできる。もっと力を引きだせれば直接攻撃も受け流せるようになれる!! 次は攻撃だ!!)

 

 胸の前に組み握った両手をつきだした耀は、”二翼”の全員に狙いを定めて弾けるように両手を解放した。

 

「行って!! 砲閃花!!」

 

 耀の解放した両掌から霊体でできた数多の種子が射出された。

 

『グ、グウウウゥゥゥ』

 

 騎手を庇ったグリフィスを残し他のサポーターが砲撃に沈んだ。

 

 砲閃花は鳳仙花が箱庭で品種改良された種で、収穫祭に出展されていたものだ。

 熟した鳳仙花が種子を遠くまで弾け飛ばす習性を顕著にし、種子の大きさ、重量を増すように改良されコミュニティの敷地に植える防犯用として販売されていた。

 ガロロによれば、更に改良を加えて対魔王や先の件で襲撃してきた巨人族にも対抗できる種の研究もされているそうだ。

 

(こっちは少し疲れるけどなかなか使えそう! 何を射出してるかも分かり難いだろうし)

 

『GYUAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaa!!!』

 

 耀が新しい力の検証に意識を割いている間にグリフィスが龍種の姿に変幻し、稲妻を纏わせた龍角まで生やしていた。グライアの時は”生命の目録”があったため理解できたが、まさか人化以外の変幻ができると思っていなかった耀は内心焦っていた。

 

(雷は対処できる種がまだないや……)

 

 鷲龍となったグリフィスの突進を”生命の目録”を変幻させた矛で迎え撃つ。矛先と激突した龍角。

 衝撃を覚悟していた耀だが思ったほど押し込まれることがなかった。

 

(もしかして植物の根を張る性質が踏んばる力に変換された?)

 

 推論を確かめる余裕は今は無い、だが今目の前の鷲龍の脅威はそれ程でなくなった。

 

「っふ、っやあああああ!!」

 

 矛の先で龍角を絡め取り巨人族の腕力を以て、鷲龍の巨体を樹海の大地に叩きつける。

 

『GYUァ…………』

 

 衝撃に意識が途切れたグリフィスは龍化が解け、元の姿に戻って倒れ込んだ。

 耀が残った騎馬の騎手に矛を向けると、すくみ上っていた騎手が自ら河に飛び込んで失格になった。

 

「完全勝利、ヴィクトリー!!」

 

 耀の高々と掲げられたVサインが中継されたモニターを埋め、観客の大歓声が響いたのだった。

 




まあ前半戦です
つい長く書いてしまうのでここで切って残りは次回にしようかと
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。