PSO2引退小説 「束の間の休息”Who nailed him?”」 作:sutegeri
暫くすると、テレポーターから武器を携えた竜族が帰ってきた。
「お前のお望み通りとは、いかなかったな。」
「まだ分からないじゃない。」
「確率は低いが、そうだな。」
その落ち着いた物言いにムッとする少女。
「まぁ…貴方が私の的になってくれるならむしろ好都合なのだけど?」
「残念だが、目敏く覚えているお前用の戦場はキチンと別にある。今に分かるだろう。」
と少女に捨ておきながら、竜族を迎えた。
スカーフィは竜族の装備を覗き、確認しつつ、口を開く。
「竜族の戦士よ、PTを組み共闘するにあたって、3つの方針でやらせてもらう。」
(…ナンダ?)
「一つ、お前はオレ達の
(…同士撃チハ死罪、ソウイウ狂者ハ殺シテ構ワン。)
竜族が悲しそうに項垂れる。
その後ろでは小さくガッツポーズする『鬼子』の少女が居た。
スカーフィは竜族が背後のKY少女に気が付いてないようだと確認し、話を続ける。
「2つ、オレ達が自己の生命を守るのを認めろ。しかし、お前の時のように、竜族の生命は奪わない事を約束しよう。」
(…得意ノマヒデモ使ウガ良イ。)
口調はぞんざいながら、自己の短絡的行為を恥じたのか、竜族は顔を背ける。
「…そちらに投げ飛ばす事も想定している。その時は頼んだ。」
(私ガ責任ヲ持ッテ帰還サセヨウ。)
竜族の返事に満足したスカーフィは最後の約束を言った。
「3つ目。要求に答える為にオレ達二人は全力を尽くす。
が、10の為に1を切り捨てうる事、竜族の壁にオレ達が成りきれず戦闘不能になりえる事を黙認してくれ。」
(…?)
竜族は余りに常識かつ献身的な約束事に一瞬キョトンとした。
「だがこの要望は先程の2つよりは優先度は低い。」
(ト、言ウト?)
「つまり、無理そうならお前には帰ってもらう。オレ達も帰還を確認した後、適当な所で引き上げる。…いいな?」
そこまで聞いた竜族はクックッと笑い出す。
(…回リクドイ確認ヲシタ挙ゲ句、甘い事ヲ…。
ギリギリマデ付イテキテ欲シイトハ言ワナイノダナ。)
「客を危険に晒すなど我が社の恥だ。レスタの間に合う範囲でしか戦わせないつもりだ。」
(戦士トシテハ残念ダガ、…竜族トシテハ笑ウシカナイナ。ヒトニ守ラレルナド。)
苦笑いが混じり始めた竜族に、スカーフィが失礼にならない程度に説明する。
「…邪魔な者を帰還させるだけだ。
善意による行為だと信頼されても困る。」
自分が利己主義だと主張するスカーフィに、竜族はポカンと口を開けていた。
やがてスカーフィの真顔に耐えられなくなったのか、大きな声で笑い出す。
その機微が理解できないスカーフィは少し狼狽える。
やがて、部下の少女が笑いを押し殺しているのを見つけると、憤然とした様子で頭を掴んだ。
スカーフィは、あれこれ作戦と指示を話し始めつつ、思うのだった。
(…弁明したつもりはないのだがな。)