PSO2引退小説 「束の間の休息”Who nailed him?”」   作:sutegeri

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8 疲労

竜族の戦果が不調に転じたのは、それから暫く後の事だった。

 

 

最初は銃撃を主力、

剣撃は撃ち漏らし、近接敵の牽制に使用していた。

が、今は剣撃で切り込む、

銃撃を追撃、ガード中の反撃、フォローに使用するスタイルに切り替えている。

 

二刀流としては片方ずつ使用するより、両方同時使用を狙う方が火力は出る。

更に、防衛対象が居る中、誤射の少ない剣撃重視は賢明だ。

現に、不馴れな彼でも、ヘイト奪取や討伐の面でもより良い結果が出た。

 

 

だがそれは、スカーフィの援護があってのみ成立する、危うい結果だ。

スカーフィの負担が増えている。

 

例えば。近接不馴れ故の負傷、メイト不使用のまま突撃している竜族。

それにレスタ掛けするスカーフィ。

例えば、ヘイト稼ぎ過ぎで竜族の近くに群がり過ぎる。

それをスカーフィが、横から倒す。

 

PT単位で見た効率は、下手すると落ちていた可能性が高い。

それでもスカーフィが竜族のやり方を修正させなかったのは、

そこに挑戦と成長が存在しているからだ。

 

(挑戦の無い人生など、死んだも同然だ。

 まぁ一度、死ぬ様な経験をしておくのも悪くないが。)

 

何度目か分からない、クラッカーバレットのヒットストップ援護射撃を行う。

卵を撒こうとしていたプリアーダがそれに怯み、増援はなくなった。

攻撃の精度を上げさせる為に敢えて、援護はダメージを稼がないプレイングをしている。

 

もちろん、自分が担当したヘイトは容赦しない。

目の前のディガーダをクレイジースマッシュで殴り、カルターゴのコアまで吹き飛ばし、爆散させた。

「…しかし、そろそろ限界か。」

竜族には聞こえない様、小声で一人ごこちる。

 

竜族の挑戦自体はいい方向に向かっていた。

負傷は減り、ヘイトを無闇に取らなくなり、

範囲攻撃で同時討伐するコツも掴み出していた。

 

だが、彼に疲労の影が色濃く出ているのをスカーフィは感じていた。

敵も居ない方向にフラフラと歩き出していたり、

時々放つ攻撃が単調になる、追尾による移動が増えた、等々…。

 

思考の限界だと、スカーフィは推測する。

 

 

友人を失ったショックに、慣れない戦闘スタイルと負傷。

 

慣れ始めの気の弛みに、終わりの見えない戦場の絶望が入り込み、

彼の精神力が既に折れてしまっている。

 

 

中身の疲れまで、レスタは届かない。

 

 

(もう少しだけ暴れさせておくか。)

スカーフィはそう決断した。

敵を討ちきったと彼が感じれるまで、その怒りを信頼する事にした。

 

(疲労が復讐を凌駕するのが早いか、戦果が怒りを鎮めるのが早いか…)

 

その結果は思ったよりもすぐに表れた。

スカーフィの考えが甘過ぎ(演算ミス)だった。

 

(…!?)

縦切りの構えをしてない時点で変だなとは感じていた。

開幕ジャンプ切り以外の動きは今まで無かったからだ。

 

剣先が力無く、ダラリと垂れ下がっている。

それに気付いた時にはもう遅かった。

 

竜族の意識が朦朧としている事を祈りつつ、彼は規制されたリミッターに手を掛ける。

 

 

「【そろそろ本気でいかせてもらう。】」

『暗号認証。シュラスメモリーデータ改暫、不正アクセス開始、第3リミッター、解除します!』

 

 

彼は自らの判断ミスを断罪するべく、大群待ち受ける前線に飛び込んだ。

 

 

 

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