最近いつもおなかがへっています
どれくらい時間がたっただろうか。
掛け時計はすでに午後五時を指している。
しかし静香は帰ろうとしないし、雨美は体育座りでどこか虚空を見つめている。
あー、気まずい。
なぜだ、なぜなんだ?なぜ誰も一言も喋ってくれないのだ?
いや、雨美は仕方ない。だって普段から喋らないんだもん。
でも静香は違う。YOU can speak!
確かにこの件に関しては隠していた俺が悪いのかもしれない。
静香に相談していれば解決策を見いだせていたかもしれないし。
しかし、よりにもよってこの仕打ちはないだろう?
静香は俺にさんざん説教をした後、俺に背を向けてずっと座っている。
俺はその後ろで正座させられている。
かなりの時間正座したいのでもうすでに俺の足は限界だ。
しかし、静香から許しがでないうちに体制を崩すのはよくない。
こんな俺でもそういう風に思う心はあるのだ。
もう少し、もう少しだけ我慢しよう。
ほとんど気力だけで意識を保っている気がするが頑張ろう。
きっとこれを耐え抜けばうまい飯が食えるはずだ。
ただひたすらに耐える。
コッ、コッ、コッと掛け時計の針の音だけが部屋の時間を進める。
その音を聞き取ることだけに集中する。
はっとしたとき、時計の針は午後六時半を指していた。
寝ていたわけではない、というかこの足で寝れるわけがない。
人間の集中力は恐ろしいものだ。
静香はまだ俺に背を向けて座っている。
雨美はというと、いつの間にか床に突っ伏して寝ている。
なんなんだこれは。
だいたい納得ができた。
おそらく静香は七時まで俺を正座させるつもりだ。
きっとそうだ、なにせキリがいい。
七時に終わってそのままみんなでご飯を食べて大団円。
きっとそうに違いない。
そう思うとあと三十分乗り切れる気がする。
もうすでに足からは何も感じていないので余裕だ。
俺は再び針の音を聞き取ることだけに意識を集中させる。
コッ、コッ、コッ……音は響き世界を支配する。
コッ、コッ、コッ……静かに、でもしっかりと音は世界を記憶する。
コッ、コッ、コッ……まるで清流のようにも思える。
そして時間は七時を迎える。
ゴーンゴーンと掛け時計は音を響かせた。
すると静香の体がピクリと動く。
やっぱりそうだ、彼女は七時をリミットとして定めていたんだ。
しかし、静香の第一声は思いもよらないものだった。
「やっばい……寝てた……。 」
その一言に俺の意識はさらわれ、波のように引いていく。
あぁそうか、寝てたんだ。
そりゃあ動きませんよね。
あと、人間って正座しすぎると気絶するんだ。
薄れゆく意識の中、俺は晩御飯の用意を一切していないことを思い出した。
無言要素ほとんどなくね?
…………こ、こまけえこたあいいんだよ!!