最後の王様   作:souやがみん

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アリシア

魔法が消滅し、睨み合いの中プレシアの近くとなのはとフェイトのそばにホロウィンドウが現れる。話しかけてきたのはスカリエッティだった。

「やぁ、みんな大好きスカリエッティだよ!」

木枯らしが吹く。アレ?今って春のはず、なんで木枯らしが?と思考しているとスカリエッティの顔がホロウィンドウに叩きつけられる。ぐぼぉ、と言う声が聞こえ後ろには足が見える。その足を下ろしたのは赤毛の男アデルだった。

「早く要件を言いやがれスパゲッティ。」

スパゲッティじゃないんだけどなぁと言いながら顔を上げたスカリエッティは少し清々しい顔をしていた。ガチの変態はこういう奴のことをいうんだろうなぁとどうでもいいことを考える。しかしアデルは何をやってるんだ?

「あぁ、社畜の執務官殿。アデル君にはワガママ言って少し時間をもらったんだ。責めないであげないでね。」

愉快そうに語るスカリエッティに対し睨みを利かすアデルを見るところ本当に時間をあげたようだ。あの馬鹿が戻ってきたらなのはにディバイン・バスターを撃ち込んでもらう。

「さて、本題に入ろうか。……、なんだったけ?嘘です。ごめんなさい、真面目にいきます。」

ふー、息を吐いたスカリエッティの顔は何時もの薄気味悪い笑みに戻っていた。

「私はね、プレシア君と契約を交わしたんだ。アリシア君を目覚めさせる代わりに白夜の王のDNAを回収してもらうっていう契約をね。プレシア君は確かに私に白夜の王のDNAを提供してくれた。だからね、アリシア君の復活を行った。プレシア君、喜んでいいよ。アリシア君はアデル君がここに来る少し前に目を覚ました。」

その言葉にプレシアが涙を流すのを見た。夢に見たアリシアの復活。それはプレシアの全てだった。こんなマッドサイエンティストでも人の情があるだなぁ、と思っているとスカリエッティがただね、と言葉を続ける。

「うっかりてをすべらしてしまってねぇ。白夜の王のDNAが混じってしまったんだよ。おかげでアリシア君の記憶はなく、白夜の王の記憶もないのに戦闘技術だけは高い人形になってしまったよ。」

アッハッハ!傑作だねぇと笑うスカリエッティにアデル以外の全員が言葉を失う。ただ一人アデルだけがスカリエッティに対し質問する。

「と言うことは、アリシアって子は俺と同じような強さってことか?」

あぁ、いい質問だねぇと嬉しそうに語るスカリエッティは笑顔のまま答える。

「確かに技術は同じだ。ただやはり腕っぷしは体が大事だからねぇ。普通の少女だから君の敵にはまだならないんじゃないかなぁ。」

そうか、と答えたアデルが座っていた椅子から立ち上がらず目を瞑った。

「貴方は…、私の…、殺す。」

そう言ったプレシアが転移魔法を発動させ姿を消した。不味いと思う。全員捕まえることはアデルならきっとできると思う。ただスカリエッティがアリシアという少女を戦いに狩り出せば間違いなくプレシアは殺される。自分も向かいたい。ただもう魔力が残っていなかった。なら頼りたくはないが。そう思いながらなのはとフェイトに向かい転移魔法を発動させる。驚きの表情でなのはとフェイトが此方を見る。

「コッチに寝てるのはもう戦力にならない。君ら2人ならアデルの足を引っ張ることもないはずだ。」

そう言い終わるとなのはとフェイトが転送された。そのまま仰向けに倒れる。ふと周りを見渡すともうホロウィンドウは存在していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アデルの目の前にはスカリエッティとプレシアが対峙していた。その少し後になのはとフェイトも転移してきた。十中八九クロノが送ってきたのであろう。

「やぁ、プレシア君。アリシア君とご対面したいかい?」

その口調はいつもとあまり変わらない。ただ少し挑発しているような口調にも聞こえる。ただその言葉を聞く女性は挑発には乗っていないようだ。だがその表情は怒りに染まっている。

「アリシアを返しなさい。今すぐよ。」

ハァ、と両手をあげ、首を傾げるスカリエッティは虫を見るような目をほんの一瞬プレシアに見せると指をならす。部屋の角の暗闇から一人の少女が現れる。その少女は綺麗な金髪を青いリボンで少し結んでいる。白いワンピースに黒いハーフパンツというシンプルな服装でも少女は可愛いと評価できるものだった。ただ、目に光が灯っていなかった。その目は真っ直ぐ見ているのか、違うところを見ているのか分からなかった。しかしプレシアは目を見開き顔が喜びに満ちていた。一歩一歩ゆっくりとアリシアと思われるフェイトにそっくりな少女に近づいていく。ただアリシアは感情のない表情でプレシアの方を見ているようだった。手を伸ばす。あと一歩そこまで迫った時だった、プレシアの身体がくの字に折れ床に膝をつく。プレシアの向こう側でアリシアは拳を撃ち込んだ形で止まっていた。楽しそうに笑うスカリエッティは腹を抑えている。

「言っただろう?彼女には記憶がない。あるのは戦闘技術と私への服従心だけさ。」

そう言ってアリシアの顎に手を添える。口の端から血を流すプレシアはスカリエッティを睨む。

「やはり、貴方は殺すわ。そのあとアリシアを元に戻す。」

そう言って後ろに大きく飛ぶ。距離をとると杖を構え、雷のスフィアのようなものを周りに数十個現れる。それをスカリエッティめがけ放った。

「やれやれ、そんなことをしなければ殺さず済んだんだけどなぁ。……、やれ。」

アリシアがスカリエッティを庇うように前出る。そして雷を打撃打撃打撃。全てを殴り落とした。そして音を立てず前へと出る。一歩で距離を詰めるアリシアは無表情のまま拳を繰り出す。一撃目を杖で防ぐが、二撃目で杖を弾かれ数発身体に叩き込まれる。吹き飛びそうになるプレシアの頭を掴み床に叩きつける。血を吐くのが見える。2発目を叩きつけようとするプレシアに桜色の魔力弾が迫るそれをジャンプでかわす。

「フェイトちゃん!」

後ろで鎌状の杖を握った少女、フェイトがアリシアに斬りかかる。がそれを蹴りで相殺。バルディシュを弾かれ身体が開いたフェイトの顔を殴り掴んでなのはに投げつける。避けることもできず受け止めたなのはとフェイトが壁に激突し動かなくなった。

「アリシア……、私よ、母さんよ。」

無表情のアリシアは床に倒れているプレシアを見下ろし、床を蹴る。そのままの勢いで拳を、即死の一撃を繰り出す。プレシアは目を瞑り死を受け入れ、衝撃が部屋を包んだ。




アリシアが無双ゲーを始めました。
アレェ、アリシアがラスボスと化してやがる。


次回で無印は終えるつもりです
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