衝撃が部屋を揺らす。その衝撃は一般の人なら立つことはあり得ないだろう。そんな揺れの中心に2人立っていた。1人は金髪の少女アリシア。もう1人は赤毛の少年アデル。アリシアは拳を撃ち込んだ形で止まっており、アデルはその拳を握っている。スカリエッティの零す笑いの声以外に音がない。
「やはり君が出てくるよねぇ。さぁ、アリシア。私の逃げる時間を稼いでおくれ。」
スカリエッティが後ろを向き逃走を始める。ちっ、と舌打ちをしアリシアをスカリエッティとは逆方向に投げ、スカリエッティを追う。一歩で追いつき、行く手を遮る。
「あきられろ。お前たちじゃ俺には勝てん。」
「確かにねぇ。だけどあのアリシア君はね、君の戦闘技術にプラスしてある力も持ってるんだよ。」
黄色い閃光がアデルの後ろに現れる。ローキックで体制を崩されるも次の拳を片手で防御。その勢いを利用しバク転で距離をとる。
「その魔力資質はフェイトのものか?」
ああ、と返事をするスカリエッティは転移の魔法の起動に入る。させまいと前へと出るがアリシアも同じように前へと出る。アリシアの顔面を捉えるもカウンターに身体に数発打ち込まれる。血が口に溜まるがそれを吐き捨て力で押していく。アリシアは速い拳を繰り出しアデルは常に一撃でノックアウトできる拳を繰り出す。対称的な2人だがアデルの方が徐々に押していく。アリシアの拳を身体で受け止め腹に一撃入れる。くの字に曲がっていたアリシアの頭を掴む。掴んだ頭をそのまま床に叩きつける。血が舞う。その血はアデルのものなのかアリシアのものなのかは分からなかった。ただ、アデルは笑っていた。
「あぁ、俺とここまで打ち合えた奴は久しぶりだ。もっと、もっと俺を楽しませろ!はは!はははははっ!」
アリシアをスカリエッティへと投げる。スカリエッティはそれを受け止める。転移魔法は完成している。たがアデルを見て嬉しそうな気味の悪い笑みを浮かべる。距離を詰めるアデルに向かっていう。
「彼女はまだ完成してはいないんだ。だから君と遊ぶのはまた今度だ。じゃあね今世紀の王よ。」
そうしてスカリエッティとアリシアは部屋から消えた。
「じゃあ、スカリエッティはそのアリシアという少女に君のDNAを混ぜいたのは本当だったのか。」
目を覚ましたなのはは、白い天井を見上げながら話を聞いていた。ここはアースラ内の医務室だ。ふと横を見ると同じようにフェイトが此方を見ていた。目が合った瞬間2人で小さく笑う。目を外し逆を見るとフェイトの母であるプレシア・テスタロッサが小さな寝息を立ていた。アデルとクロノの話は続く。
「あぁ、しかもまだ完成じゃない。遊ぶのはまた今度だとぬかしやがった。また近いうち奴は現れる。」
2人の会話が止まり医務室が静かになる。なのはにもフェイトにも今回の事件は堪えた。敗北に敗北を重ねていた。2人は起き上がりベッドに座る。それをアデルが確認し、此方の表情を見てかハァ、とため息をする。
「なのはもフェイトも何暗い顔してんだ?確かにお前らは負けたかも知れないが生きてるだろ?生きていればリベンジできるし強くなれる。」
なのはとフェイトが顔を見合わせる。どう思う?とフェイトから念話がくる。それを嬉しく思いながらアデルに向かって言う。
「私たち強くなりたい。誰かを守れるように。自分の世界を守るために。」
そうだな、と納得したアデルは遠い目をしていた。何を見ているかなどなのはにもフェイトにも分からない。ただ一つ分かることはアデルは絶対に負けない。誰が相手でも守ってくれて、道を作って背中を押してくれる。そんな人を師匠に持った自分が少し誇らしい。褒めたのもつかの間アデルがいじめっ子の顔になる。
「まぁ、その前に今回の戦闘の反省と改善点を明日までに提出な。あ、これフェイトもだから。」
レイジングハートを向ける。両手を挙げ降参を示すアデルを見て今度の模擬戦では絶対にハメ殺しにしてやると心に決める。さっきまでふざけていたアデルの後ろからクロノがフェイトの顔を見る。
「フェイトとプレシアさんは暫く裁判に出なくてはならない。この事件はなかなか大きいから少し難航するかもしれない。」
暗い表情になるフェイトになのはは手を握ることで応援する。それに顔を赤くして嬉しそうにするフェイトに今度は真面目な顔のアデルが言う。
「フェイトは被害者って扱いができるから、そう時間はかからないと思う。プレシアは少し時間はかかるかもしれんが俺に任しとけ。」
そうなのはとフェイトに語りかける。二人揃って首を傾げているとクロノが付け足すように言う。
「アデルは聖王教会っていう組織の騎士長と呼ばれる名誉のある地位にいるんだ。だから管理局にも顔がきくんだ。」
アレだけ強いからには何か役職についていると思ったら中々の重鎮であることをフェイトからの念話で確認する。プレシアは目を覚まさないが四人で冗談を言いながらも楽しい時間が続いた。
そして次の日、海岸にはアデル、クロノ、なのは、フェイト、アリサ、スズカがいた。アデルの手には昨日言われていた。レポートが握られている。ここに来るまでにフェイトのことはほぼ全てアリサとスズカには話した。スズカは納得してくれたがアリサだけは納得していない表情だった。
「とりあえず俺たちは管理局本部に帰る。次に会えるのは何時になるかは分からんがな。」
アデルの言葉にアリサが俯く。それを察したスズカがアデルに言う。
「本当に来てくれないんですか?」
「諦めて言ったらどうだ?アデル。」
目を伏せ少し笑みを浮かべながらクロノが挑発的な口調で言う。クロノを少し睨んだアデルは頭をガシガシとかきながら此方を見て言う。
「俺は何回かこっちに来る。この世界の武術に興味があるからな。その時で良かったらお前らの稽古も少しは付き合ってやる。」
なのは達が一斉に顔を上げる。うぐっ、とタジタジになる。年下が嫌いなわけじゃない。身内が嫌いなわけがない。ただ寄ってくる四人の子供はみんな少女である。なんか怖い。非常に怖い。戦闘中ばりのバックステップで距離を取り、転移魔法を発動する。
「ま、また今度来てやるから。じゃあな。」
そう言ってアデルはその場から姿を消す。四人の少女とクロノは笑い声を上げた。
少年たちと少女達は自分の未来を作るため奔走した。自分の不甲斐なさを実感し、強くなると決めた少女達は自分の歩みを始めた。
Asまでの半年間をちょっと書いてAs書きたいと思います