最後の王様   作:souやがみん

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久しぶりの投稿になりました。再び書き始めたいと思いますので皆さん、良ければご鑑賞下さい。


闇の書

圧倒的な魔力量に後ずさってしまう。だが踏ん張りディオーネを抱き寄せ跳躍する。はやてが完全に本の制御を放棄してしまっているため今は下がるしかない。

 

「ちっ、こうも簡単に昔のライバルたち殺されたらムカついてくるな。」

 

アデルはディオーネにしかきこえないような声で呟く。少し不思議そうな顔をしてから深刻な顔になる。きっと察してくれたのだろう。

はやての魔力がみるみる上昇するのを尻目にアデルは憎々しげに舌打ちをする。二人がはやてのいるビルとは違うビルに降り立つとクロノ以外全員が集合した。

 

「ねぇ、あれは本当にはやてちゃんなの?」

 

早々に口を開いたのはすずかだった。必死の表情でこちらを見ている。少し目をそらす。はやてとすずかが知り合いなのは知っていた。だからかアデルは口をつぐんでしまった。しかしそれだけですずかは察したのだろう。うつむいてしまった。

 

「あぁ、そうだ。だが、まだ意識は本のなかだろうな。」

 

「ということははやてちゃんを助けるチャンスはあるってこと?」

 

多分だがな。と言ってうつむく。アデル自身、いや、エルドラムの記憶にもない。だが、

 

「あぁ、だから俺たちは俺たちの全力を注ぐぞ。」

 

おう!と返事を受ける。正直に言って確実に助けられるとは思わない。最悪の事態を考慮すべき可能性もある。だが、ここでそれを言ってしまえば彼女たちの士気は完全になくなる。それははやてを助けるどころかなのはたち自身の死にも繋がる。それだけは阻止しなければならない。

 

「大丈夫か?」

 

心配そうに此方の顔を除き込むディオーネ。それを苦笑しながら大丈夫だと答える。もう迷わない。ディオーネとジークがくれたアデル自身の信念が動かしてくれる

 

「行くぞ。」

 

短いことばと共に全員が踏み出す。アデルはアリシアへと。それ以外のなのは逹が闇の書のプログラムのもとへと飛び出す。

 

「死ぬなよお前ら。」

 

アデルが言葉をかける。

 

「アデルこそ。」

 

「頑張りましょうね。」

 

「勿論さ。」

 

「うん、頑張ろう。」

 

「頑張ろうね。」

 

「うっさい、当たり前なの。」

 

一人だけセメントがいる。もうここまでくれば誰か言わなくてもわかるだろう。アデルとなのはのにらみ合いに全員が呆れるような眼を向けている。

 

「本当にやれやれだな。」

 

ディオーネの言葉に苦笑する。そして気合いをいれる。すべてを守るためにアデルは拳を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バスター!」

 

なのはが闇の書へとショートバスターを叩き込む。避けるのではなく防御するのを見てフェイトとアリサが左右から挟み込むように挟撃する。

しかし闇の書は目だけを動かし腕に装着されている武器、ナハトの尾によってすべてを弾く。弾かれた二人に魔力弾が打ち込まれる。それをアルフとユーノが防御する。足止めのためにとすずかが設置型バインドを仕掛けてはいるがそれも直ぐに破られてしまい意味がなかった。

 

「無駄だ。あの赤毛の男ならともかく貴様らには私は止められない。それだけの決定力になる威力が足りない。」

 

なのはは、そんな闇の書の言葉を無視しショートバスターを叩き込む。しかし闇の書は人差し指をなのはに向けバスターを打ち込む。全くの同等の威力により相殺される。

 

「もう貴様らの術式の大半は把握した。」

 

「ソニック!」

 

フェイトが自己加速の術式を発動し闇の書に接敵する。降り下ろすバルディシュは誰が見ても必中のタイミングだった。

だが、闇の書はそこにいなかった。

 

「だから言っただろう?もう術式は把握しているんだよ。」

 

闇の書がフェイトの顔へと当てられフェイトの体が光始める。それと同時にフェイトが目の前から消えた。

なっ!、と呟くなのは逹。それを見て闇の書は哀れみの表情で言う。

 

「あの、金髪の少女は眠っているんだ。覚めることのないな。」

 

「さっさとフェイトちゃんを返せ!」

 

なのはとは思えない叫び声と共にレイジングハートの姿が変わる。レイジングハートが槍のような形へと変化する。それを闇の書へと向け飛び出す。

 

「!?、くっ。」

 

闇の書が始めて驚きの顔へと変わる。咄嗟に張ったプロテクションにレイジングハートの切っ先がぶつかりガチガチと音をならす。なのはの顔に苦しい表情が浮かぶがそれを無理やり押し込んでレイジングハートにさらに魔力を注ぎ込む。

それを見てアリサとアルフが剣を、拳を叩き込む。だが、それをやはりナハトの尾によって防ぐ。

 

「もらったの!」

 

僅かに出来た小さな余所見をなのはは見逃さなかった。少し魔力が弱まった瞬間、レイジングハートをさらに押し込みプロテクションを、少し抜ける。

 

「くらえなの!ゼロ距離でのディバイン・バスター!」

 

プロテクションと闇の書の間で閃光が弾けた。勿論のごとくなのはは大きく吹き飛んでいた。バリアジャケットはボロボロになっているのを見ると相当のダメージがあったのだろう。

 

「それでも1発通したの。」

 

なのはの言葉に全員が苦笑いをしながらも嬉しそうな表情をしていた。今まで届かなかった一撃をやっと通したからだ。

 

「だが、それでも結果は変わらん。」

 

爆発の中から聞こえてくる声に全員が驚愕の表情を浮かべていた。いくらとんでも魔力を高めていても、あのアデルでさえ模擬戦の時に片膝をついた一撃を受けて何もなかったのように現れたからだ。

 

「あんなのどうやって倒せってのよ!」

 

アリサがみんなの声を代弁するように叫んだ。あれはプログラムだ。いくら外観にダメージを与えてもあれを止めるためには多分根本的なところを止めなくてはならない。

そういう風に考えられるとディオーネは言っていた。ならば、することはひとつだ。

 

「闇の書さん。何でこんなことするの?こんなことがはやてちゃんの望んでいることなの?」

 

「うわっ、なのはが猫かぶり始めた。」

 

馬鹿なことを言っている金髪の友人にあとでショート・バスターを叩き込むことを心に決めながらさらに言葉を繋げる。

 

「はやてちゃんがこんなことを望んでいるわけないよ。」

 

それに対して闇の書は自分自身を嘲るように笑いながら言った。

 

「我が主は平穏を望んだ。守護騎士逹との平穏な世界を。そうならない世界をそしてあの赤毛の男を怨み、壊して壊して壊してやりたいと願った。」

 

「そんなわけない!」

 

叫んだのはすずかだった。いつも物静かで争い事を嫌う彼女が叫んだ。

 

「はやてちゃんは確かにアデル君を恨んだかもしれない。怒りを覚えたかも知れない。それでも殺したい。壊したい。何てことを願う子じゃない!」

 

「何も知らないくせに勝手なこと言う・・・な・。」

 

ガチガチと闇の書が油を指し忘れたロボットのような動きを始める。そして彼女ではない。だが、彼女の声が聞こえた。

 

「あの、この子と今戦っている方、聞こえますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眠い。私は何でこんなにも眠いのだろうか。車イスに乗った茶髪の少女八神はやては考えていた。自分の家族であるシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが親友だと思っているアデル・ツーリッドと戦っている姿を見て怒りが込み上げてきて、何かどす黒い何かが自分の中から溢れたところまでは覚えている。ただその後のことが何も分からない。

 

「主よ。そのままお眠りください。今までのはすべて夢だったのです。」

 

銀髪に赤目の女性が語りかけてくる。どこか悲しそうな彼女は言葉を続ける。

 

「守護騎士逹が貴方の友と戦っていたのも全部夢です。我が主はどうぞそのままお眠りください。」

 

夢。すべてが夢。そう信じ、そう思い眼を閉じる。

・・・、でも眠れなかった。何かが、喉の奥に刺さった魚の小骨のように訴えてくる。はやて自身がはやてへと。それは何なのか。

 

「大丈夫、私が主の世界を作ってみせます。」

 

自信満々の彼女をちらっと見る。主にその胸を。豊富な胸を。

 

「分かったで。うちが寝たくない理由。そのおっぱいを揉みたいんや!」

 

たった二人しかいない空間に木枯らしが吹いた。ばっ、彼女が胸を隠す。しかしはやてはそのぎらついた眼をその豊富な胸へと向けている。

 

「あ、主?」

 

しかしはやてにその声は聞こえていない。今の彼女は野生の肉食獣と変わらない眼で、銀髪に赤目の女性を、その豊富な胸を凝視し続けている。

 

「ふかふかそうやなぁ、触ったらどないやろか?やっぱりふわふわか?それともはりがあるんかなぁ。どっちにしても触ってみないとなぁ。」

 

車イスのタイヤに手をかけ此方へと歩み寄ってくる。銀髪に赤目の女性は一歩後ろに下がる。素早く後ろに下がる銀髪の女性を見てはやては憎々しげに舌打ちを打つ。それを見て彼女は思う。我が主はこんなにもぶっ飛んだ方なのだろうか?

良く良く考えれば仕方のないことだ。真面目な人間ほど何かを失ったときの壊れ方は異常だ。はやてもそれに類するのだろうが、これはある意味酷い。乙女が完全に死に絶え、おっさんが出てきたからだ。

 

「あ、主?何を言っているのですか?そんなことを言っている場合ではないと思いますが。」

 

「ちっ、やっぱり歩かれへんのは不利やな。・・・、そういや、アデル君空飛んでたな。うちも飛べるんやろか?なぁ、べっぴんさん。うちって飛べるんかな?」

 

べっぴんさんこと銀髪の女性が答えようとしたときにはもうはやては空を飛んでいた。否、飛行魔法を使っていた。

にやにやとイヤらしい眼をしながらはやてはそのぱいおつという名の楽園に飛び込んでいた。

 

「はぁ、至福やなぁ。」

 

うっとりした表情を浮かべるはやて。何処か覚悟を決めた女性。彼女逹は馬鹿をし続けていた。

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