アリサを抱きながらホロウィンドウの男の言葉を聞いているアデルの腕の力が少し強くなる。それに伴いアリサは更に胸に顔を押し付けている。なのはは驚きのあまり目を見開いていた。クロノは少し顔をしかめながら言う。
「どういうことだ?彼女はどう見ても人間だが?」
クロノの言葉を白衣の男は苦笑しながら聞いていた。そして声をあげて笑い始める。
「ははははっ!そうだろう。そうにしか見えないだろう?やはり私の計画は完璧だ。私は完璧しか求めないからね。彼女はね、私が設計しプレシア君が作り上げたプレシア君の娘のコピーなんだよ。」
なっ⁉︎と息を飲むアデル。胸の中にいたアリサも少し反応したようで体を少し動かした。誰もが沈黙の中、白衣の男は笑みを絶やさず喋り続ける。
「プレシア君の娘アリシアはね、数年前にプレシア君の研究のテスト中に暴発した魔力の力により体のどこも傷つけずに死んだんだよ。またアリシアと暮らしたいと願ったプレシア君は私と手を組んだ。私が設計したプロジェクトFの恩恵に預かりアリシアの記憶を持った者。アリシア二世と言ったところかな?まぁ、なんでもいいや。で、できたのが彼女だよ。」
ヘラヘラしながら話す白衣の男はとても楽しそうに話す。
「まぁ、彼女にとっては失敗作のようだけどなぁ。いつもは作るところまでしか興味ないんだがなぁ。今回は君のためにしたんだよ。白夜の王。」
話を振られたアデルは男を睨むことで返事をする。怖いなぁ、なんて思ってもいないことを言う男は1人で話し続ける。
「白夜の王、覇王を殺したと言われる伝説の王。僕は君に興味があるんだ。どこかのバーで飲まないかい?」
冗談のような本気のようなこえで話す男は目が輝いていた。ウゼェと思いながらも答える。
「男のナンパは受け付けん!ていうかお前何なの?ホモなの?変態なの?あ、両方か。」
その答えに腕の中にいたアリサ、顔を真っ青にしていたなのはが吹き出していた。その答えに笑いもせずコッチを睨んでるクロノがいる。なんだあいつ。ギャグ通じねぇの?駄目だなあいつ。
「流石にアレだけ悪口を言われたのは初めてだなぁ。あぁ、私の名前はねぇ、………、なんだったけ?」
スゲェとアデルが驚愕する。自分の名前を忘れるなんてなんたるキチガイ。俺でもそれは無理だと考えていた。
「早く答えてよ、マッドサイエンティスト。」
先ほどまで青ざめていたなのはが言う。アレェ〜、なのはってこんなキャラだっけ?誰の影響だ馬鹿野郎。
「女性に罵倒されるのはなぜか心踊るものがあるのはなぜだろうか。」
このマッドサイエンティストはただの変態だった。そして何かを思い出したかのように言う。
「思い出したぞ!私の名前はスカリエッティ、トライル・スカリエッティと呼んでもらおう。」
トライル・スカリエッティと名乗った男はまだ話を1人で続ける。
「プレシア君。契約は分かってるね。彼の白夜の王のDNAを回収して貰うからね。」
目を閉じることでそれに応じたプレシアは一息の間にクロノとアルフにバインドをかけるとアデルに向かい魔力弾を放つ。とっさにアリサを背中に回し魔力弾を打撃し迎撃する。全て迎撃するとアリサを抱き、転移魔法を発動させ家の中にアリサを避難させた。
「しっかりしろアリサ。絶対守ってやるからここで待ってろ良いな。」
首を縦に動かしたアリサの頭を撫でてから出て行こうとするが袖を握られた。
「ねぇ、アレがなんなのかは分からないけどアデルは戻ってきてくれるのよね。」
目に涙を溜めて、鼻声で言うアリサを安心させるため微笑みながら言う。
「大丈夫だ。なんたって俺って最強なんだぜ。こんなとこでくたばんねーよ。それに終わったらこれについても説明してやるからな。」
そういうとアリサは嬉しそうに目を細めながら行ってらっしゃいと言った。あぁ、行ってくる。そう答えたアデルは必ず守ると誓い部屋を出て行った。
レイジングハートから警告がされる。だがその警告を聞き終わる前に魔力弾が叩き込まれる。それほどなのはとプレシアの差は歴然だった。魔力量はなのはが勝っているかもしれない。が、経験の差が違いすぎる。思考の裏をかかれなす術なく雷を纏う魔力弾に体を叩かれる。もうすでにアルフは気を失い、クロノはフェイトに対し相性が悪く一方的な展開に。そしてなのはもクロノと似たような状況だった。フェイトとプレシア、相手が入れ替わればチャンスがある。だがそんな生ぬるい考えが通じる相手ではない。残る手段はアデルがアリサを安全な場所でテンプレ展開からのかっこいい登場のみ。…………、自分で言ってて嫌になる。プレシアが感づいたようで此方に語りかける。
「あの赤毛の王様でも待ってるのかしら?確かにあの子には私では勝てないかもね。でも貴女を捕まえることで状況は変わるのよ。」
プレシアの言葉にウンザリする。なんで私が脇役なのか。確かにボロボロだし、勝てる要素はない。それでも意地でも負けない。フェイトを救うためにそんなことを考えながら言った。
「ハァ、アデル君は確かに強いし、大抵のことは1人で片付けちゃう。でも私には譲れない。フェイトちゃんを救って友だちになる。それが私の願いだから。」
そして目を閉じ赤毛の少年の言葉を思い出す。
「魔法は強くなるためにあるんじゃない。願いを叶え、誰かを救うためにあるんだ。」
言い切ったなのはに対してプレシアは残念そうに蔑むように言う。
「そう。それなら希望を抱いて死になさい。」
そう言うと雷のスフィアが数個プレシアの周りに現れる。そのスフィア一つ一つから雷を放つ。それを上空に飛び上がることで回避する。が、目の前にはプレシアがいた。読んでいたかの動きになのはの動きが一瞬鈍る。微笑むようなプレシアの杖に雷が集まり此方に放たれる。防御も回避も間に合わないタイミング。目を瞑り死を覚悟した瞬間だった。目の前まで迫っていた死という名の雷は白夜の王や王様とも呼ばれる赤毛の少年によって迎撃されていた。ニヒルな笑みをプレシアに向けアデルが言う。
「さて、ウチの秘蔵っ子に手を出した挙句自分の娘の気持ちも分からない馬鹿な母親には罰の時間だぜ。」
自信たっぷりに立つアデルは少しかっこよかった。
なのはさんはやっぱり主人公だなぁと書いてて思いました。なのはが言うからこそかっこいい言葉に意味が見出せるような気がするんですよねぇ〜
トライルというのは試作品という英語のtrialからアを抜いただけで特に意味はありませんww