レン「この国の警察は下手だねえ…車の運転。」
ケイト「なお、物理的干渉は一切せず、ドラテクだけの逃げ切りッス。」
平時なら、もっとザワザワしているんだろう。このショップも。
だが今は平日の正午過ぎ。ここにいるのは、たまたま仕事が休みになった社畜か、社会的に抹殺しとくべきニート。あるいは・・・・・・職や学業を放棄した、唾棄すべき愚か者。
つまり、俺みたいなものだろう。
ケイト「つまり、このチューナーの効果を使って、このモンスターを特殊召喚すれば
☆6☆8☆9のシンクロモンスターをシンクロ召喚出来るってことなんスよ」
レン「なるほどな。じゃあ、そいつを買おう」
ケイト「レン君、レン君。一枚しかないんじゃ引く可能性低いっすよ。三枚買おう、三枚」
レン「みっつ欲しいのかいやしんぼめ。一枚で充分だろ」
ケイト「ええ・・・マジで一枚だけ入れるつもりなんすか?1/40じゃ、確率的に・・・・・・」
レン「当たらない確率に生活と命を張るギャンブラーに何言ってんだお前」
ケイト「まだギャンブルやってたんすか!?命大事に!!
じゃあせめて『ワン・フォー・ワン』だけでも!」
レン「一枚あるからいい」
ケイト「二枚よこせ・・・何なんすかレン君ハイランダーデッキでも組んでるんすか?
ちょっとデッキの中見せてよ」
レン「ほら」
ケイトにデッキを放ると、俺はさっさとレジに向かった。丁度まえに居た客が終わった所で、そのままカードをレジに出した。
レン「・・・・・・・・・(すっ)」
「店長、これ給料前借りで会計して欲しいアル!!!」
突っ走って来たしまむら服の女と被った。
「って、うわぁ!??れれれれレンさんアル!??」
レン「誰だお前」
「え・・・・・・・・・」
何か捨てられた子どもみたいな顔になった。
別に良いか。興味ないし。
レン「・・・・・・・・・会計まだですか?」
店長「えっと・・・レン君?」
レン「何か?」
店長「その・・・彼女、物凄く悲しい顔をしているみたいなんだけど」
店長がしまむらを指さし、哀れむ顔をしている。指差されたしまむらは、何故か俺を涙目で見ている。親に借金の変わりに捨てられた子どもだって、あんな悲壮感あふれる顔はしない。
だって俺がそんな顔してなかったし。
レン「見覚えない顔ですが、俺と何か関連が?」
店長「・・・・・・・・・・・・彼女、
レン「ふぇいにゃん?聞いたこと無いですが?」
飛娘「ーーーうっそだろオマエ!!!!
昨日の今日で何をワタシのこと綺麗さっぱり忘れてるアルか!??
昨日負けたことそんなに怒ってるカ!?そんなきっぱり存在抹消しなくても良いじゃないか!!
ワタシだって悪かった思ってるネ!!だからこうして明日の生活費をリリースしてまでデッキの強化をしようとしてるアル!!ワタシがどんな思いでこの店のチンカスみたいな給料と自分の寿命を削ろうとしてると思うネ!?まだ記憶の片隅に想い出取っとく余地は残してても罰は当たらないヨ!?」
顔面を顔汁でぐしゃぐしゃにしながら縋るように叫ぶしまむら。
この惨めさと無様さ・・・こいつ。こいつは
レン「別にどうでも良いんで、店長いいから会計してください。」
飛娘「オニかアナタ!??うわああああ!!!」
レン「あのすみません、服に顔汁が付着するんで離れて下さい。密です。」
飛娘「蜜塗れにしてやるアルうううううううううーーー!!!!」
レン「汚水が汚えんだよ!!」
いい加減鬱陶しいので蹴り飛ばした。
飛娘「ふぎゃあ!?」
その汚水は放物線を描いて、丁度ケイトがいる辺りに着地点を見いだした。
ケイト「ふぇ?」
幸運にも何かが振ってくることに気付いたケイトは、広げていたデッキを仕舞って速攻その場所から離脱。なお、蹴り飛ばした瞬間にケイトが
「うわぁ・・・これじゃあ、ただの紙束じゃない・・・・・・」
とかほざいてたような気がしないでも無いが。
まあきっと気のせいだろう。だからあの汚水がケイトに向かっていったのは不幸な事故だ。決して狙って蹴り飛ばしてはいないことを断言しておく。
飛娘「プギャ!!?」
ケイト「おっと!」
レン「ちっ・・・」
短く纏まった賛辞を送る。かつて共に旅をした仲間なら、それだけでオレ達は意思疎通出来るものさ。僕らはいつも以心伝心。
ケイト「舌打ちした!?わざとでしょ!?今の絶対わざとだよね!??ゆうーー・・・レン君!!」
ほらね。
レン「ソンナコトナイヨー」
店長「
レン「
店長「お客様は神様です。」
店長にはそっと諭吉を握らせておく。するとどうでしょう。さっきまで固定電話に指を掛けていた店長が、悟りを開いたかのような穏やかな顔に。
やはり金。金はひとの心を豊かにする。
豊かついでにボタンの『1』と『0』の部分には瞬間接着材をこっそり付着させておく。
出来る男は慢心せず、ベストを尽くすべし。
ケイト「なら戦略の中核になるカードくらい限界まで投入するッス。」
レン「勝手に人の心読んでんじゃねーよ」
ケイト「ボクらはいつも以心伝心なんでしょ?」
レン「俺はオマエの考えてること全く分かんねえから、実質盗聴な。」
ケイト「分かってよ!!もっとワタシのこと分かってよ!!」
レン「面倒くせえ
ケイト「せめて彼女とか言いません?」
レン「いやです。」
ケイト「ですます調で言うの止めて下さい泣きますよ?」
レン「クソ面倒くせえ。」
自分のデッキを取り戻して、さっさと購入したカードを入れる。
レン「おら、さっき言ってたの試すから相手しろ。ケイト」
ケイト「ボクはどうせ面倒臭い女ですよーだ」
レン「・・・・・・・・・へそ曲げやがったか」
まあ、別に良いが。
レン「それならこっちでやるだけだ。」
顔面から床に突っ込んだしまむら・・・もとい中国を蹴り起こす。
飛娘「ぶおっ!??」
レン「起きろ。戦え。」
飛娘「ーーウッソだろオマエ!?ついさっき蹴り飛ばした女の子を、更にもう一度蹴り飛ばして戦えって何ダ!?デュエルか!?」
レン「今ならサービスでもう一発付けてやろう。orデュエル」
飛娘「信じらんねえアルよ、コイツ。頼み事クソエイムか」
ケイト「漏れなく『誰か』に被弾するから、ある意味100発100中なんスよね・・・・・・」
ハア・・・と大きくため息をつく二人。
何だこいつら息合うな。Aカップ同士気が合うのか?ノリも一緒だし。
ケイト「あーっと、飛娘さんって言いましたっけ?せっかくなんでここは一つ、強いと噂の『七皇』?とやらの力で、懲らしめてやって下さいっす」
飛娘「フッフッフ。そうまで言われちゃ仕方ないアル。七皇No. 6『剛拳』の力を思い知らせて上げるネ・・・!」
ケイト「よっ、チャイナ美人!ちょっと良いとこ見てみたい!」
何か知らんが、やる気になったなら何でも良いか。
レン「店長、デュエルスペース借ります。」
店長「あ、はい。エレベーターを使って地下に降りてね。デュエルディスク用のスペースがあるから。」
レン「何だこの店。地下あんのかよ。」
金の掛け方に音楽性のような違いを感じる。
別に良いけども。
レン「じゃあ行くか」
ケイト・飛娘「おー!」
やる気あるんだか無いんだか……
飛娘「あ、店長。このカード買っていくネ」
ケイト(昨日のレナさんはともかく、こっちのチャイナの人は終始相手に踊らされててロクにデータ取れなかったッスからね~。しっかり戦って貰わないと。七皇の平均値データ、取らせてもらいしょうか
まあ、あんまり期待はしてないけど。ブランク込みとは言え、切り札使ってあの体たらくだったし……)
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