遊戯王 ~Fake Origin~   作:SOD

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遊戯王 ~Fake Origin~4

みくに連れられて校舎の外に出たレンは、学校の裏山まで移動していた。

先程の閉鎖的な空間から打って変わって開放的なシチュエーションでのデュエルになる。

レン「さっきまでとは全く違う場所になっちまったな。

だが良かったのか?せっかくあそこまで賑やかにしていたってのに。

チラッと見たが、祭りの屋台見たいなのが出てたよな。アレ学割とか利くのか?」

みく「学割ってアンタ……欲しけりゃ後で幾らでもあげるわよ。アレお爺ちゃんが用意したものだから」

レン「マジか!?一度綿あめってのを食ってみたかったんだ。

あんな糸くずだか掃除して集めた埃だかみたいなのがどんな味がするのか、密かに気になってたんだ。」

みく「そんなに欲しけりゃ、買えばいいじゃない。」

レン「旨いか不味いか分からないものに金なんて出せるかよ。もったいない。」

みく「………アンタって、いろいろズレてるわよね。ギャンブラーのくせに」

レン「俺だって、生きるに困らなきゃギャンブルなんてしなかった。多分。

うん。平和に暮らせる今になってもパチンコやら競馬やらしてるのは、昔の暮らしが原因なんだ。きっと」

みく「……因みにそれ、いくら使ってるの?」

レン「一日5万くらいかな」

みく「…………アンタって、もしかして嘘つき?」

レン「失礼だな。俺は嘘なんかついてない。1日5万使って、5万以上稼いだ分は全部ドロップと交換してる健全な高校生だ」

みく「虫歯にならない?」

レン「自慢じゃないが、交換したドロップが俺の口に入ることはまず無い。いろんなところにばら撒いてるから。アレ大量にばら撒くと宝石のように輝くんだ。」

みく「食べ物が食べられない国の人たちに謝れ!!!」

レン「あれ??俺なんか怒られるようなこと言ったか……?」

 

顔に似合わず首をかしげていると…

 

レナ「お~い!にー!!」

 

後から追いかけてきたレナ一行が追いついて来た。

 

ひよの「や…やっと、おいついたのです……ぜぇぜぇ…」

そこには、レンがデュエル前に出会い、学校まで相乗りして来た新聞部の部長、文月 ひよのの姿があった。

息を切らしていないレナと相反しひよのは息切れに汗だくである。

レン「あれ?アンタ来てたのか?会場でも全く姿が見えないから帰ったのかと思ってた」

ひよの「おやおやぁ?私の姿が見えなくて寂しかったのかなぁ?

大丈夫ですよ~ちゃんと観てましたよ。メモだってばっちりです。

そして明日の一面は【意外!不良ギャンブラーは寂しいと死んじゃう!?おねえちゃんといっしょ】で決まりです!!

だから安心してデュエルしててくださいねー。お姉さんが見守ってあげますですよ~」

レン「お姉…さん??」

ひよの「そこに疑問を持たないでください!!

年上です!センパイです!お姉さんですよ!!」

レン「こんな小さな女じゃ、お姉さんと言えるだけの色気も包容力も見当たらないな。」

ピキッ――!!

ひよの「ほほ~う。そうですかそうですかー。

ていっ!」

レン「おっと!?」

ひよのは突然レンに全力の体当たりをし、レンを押し倒した。

みく「ちょっと、アンタ。話はデュエルの後にして――なっ!??」

むにゅん。

レン「ん?」

英心「おお、ここにおったか。ようやく追いつい――ってえええええええええ!??」

鈴木「あらま。レン君ってばw」

レナ「に、にーが……ちっちゃい女の子に…お、お、おっぱ……」

英心「ぱふぱふーーー!!!!」

そして、レンの顔を自身の胸と腕で包んだ。

身長の低いひよの胸は、体格に対して明らかに成長していた。

ひよの「さあ、どうですかー?レンさん。

たしかに身長は低めですが、胸はちゃーんと成長しているのですよ?

クラスメイトの子たちにも羨望の眼差しで見られるくらいには~。胸が大きければ身長なんて多少小さくたって、むしろ背が低いからこその、発する色気だってあるのですよ~?どうです~?ですー?」

みく「アンタもあたしの敵かちっこいのーー!!!デカけりゃ良いと思うなよおおおおおーー!!!」

レナ「何でもいいからにーを放してあげてー!そんないけないお店みたいなのはノーセンキューなのー!!」

レン「………。」

英心「いいいいいいぃぃーなぁああああああああああーーー!!!

拙僧もお!!拙僧も豊満なパイオツにパフパフされたいいいいいいぃぃぃぃーー!!!!」

レン「……………キモ」

ひよのに怒り狂うみくと、レンを放してほしいレナ。そしてパフパフされたい英心がそれぞれ絶叫している。

傍(鈴木)から見れば、男を取り合う女たちと、それを嫉妬する男。というなんとも男冥利に尽きる状況にも見えるのだが……。

鈴木「実際のところどうよ?レン君」

レン「………昔チームで走ってた頃を思い出す。悪夢的な意味で。

あとひよの胸で息がヤバいし、みくの髪がくすぐったくて辛いし、レナが俺を庇おうとして上に乗ってるから重い。タスケテ。」

鈴木「あ~なるほどー。いやーでもほら、ラブコメの主人公とかってさ、ラッキースケベの二三倍くらい罰を受けるからこそその存在を受け入れてもらえるって、あの人も言ってたっしょ?」

レン「………そもそもすでに飽きるほど味わった俺には罰しか残ってねえじゃねえか……」

鈴木「それはホラ、ご褒美の前倒しした分罰受けろってことじゃん?」

レン「親に捨てられて孤児になって命がけのギャンブルで生計立てるような人生でも罰が足りねえってか??」

鈴木「――うん!!!」

即答した鈴木の表情は、満面の笑みだった。

ひよの「どうですレンさん!これでもまだ私を子供扱いするですか!?色気無いですかー!?どうですかー?」

みく「胸があれば色気があるとか思ってんじゃないわよこのちびっ子!!」

レナ「部長さん達、喧嘩の前ににーを放してー!」

レン「………………てめえら……」

ついに我慢できなくなったレンは、拳を思いっきり握って

レン「いい加減にしろゴルアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァーーー!!!!」

三人のつむじに振り下ろした。

三人「いったあああああああああああああああああああーーーい!???」

 

みく「痛ぃ……」

ひよの「ああー頭の上で星がまわってましゅう」

レナ「うう…レナ、にーを助けようと頑張ってたのにぃ……」

三者三様の不満や講義をガン無視してみくとある程度の距離をとったレンは、左腕のデュエルディスクを構え直した。

レン「オラ!!さっさと続きやるぞみく!!お前のターンのメインフェイズだ」

みく「――っっ!!よくも遠慮なしに殴ってくれたわね!!倍返しにしてやるっっ!!」

ひよの「そうです!!やってやるのですみくさん!!私たちの分も!!!

乙女の身体に暴力を働いた罪は重いのです!!」

レナ「わ……元凶になったはずの新聞部部長さんまで敵に回ってる。」

レン「ついさっき俺を応援するとか言ってたけどな」

鈴木「仕方ないよレナちゃん。『女は禿げ親父の頭より薄っぺらな仲間意識と理不尽な程の自己愛で出来てる』って、昔お世話になった人が言ってたべ。」

レナ「あ…アハハ。どうしよう。レナさんその言葉に『違うよ』って言えない……。」

レン「因みに男は『5割以上の欲望と3割以下の見栄で生きている』だそうだ。」

レナ「………。」

どんな人だったんだろうなぁ。そう思いながら絶句したレナであった。

みく「さあて!気を取り直してあたしのメインフェイズ。

手札から三体の家臣を特殊召喚!!

『炎帝家臣』『邪帝家臣』『雷帝家臣』守備表示。

炎帝家臣コストで怨邪帝ガイウスを手札から墓地へ送って、邪帝家臣コストで怨邪帝ガイウスを墓地から除外。そして相手の場に家臣トークンを特殊召喚。

これであたしのターンは終了よ。」

 

レンLP2200手札5枚

家臣トークン

みくLP2800手札2枚(『風帝ライザー』『???』)

家臣×3DFF 1000

帝王の開岩 連撃の帝王

 

 

レン「さて、俺のターンだ」

レナ「キャーー!!レン君頑張れーー!!」

レン「――!???」

英心「ぬお!?なんじゃファム妹その明らかにオーバーリアクションな声援は!?」

レナ「だってほら!!このデュエル初めて、レン君の手札が6枚になったんだよ!

後攻だって言うのにハンデスされたり、かと思ったらレン君も一切躊躇なく手札使い切ったし!!

とても安心して見ていられなかったデュエルが今やっと、まともな状態になったんだよ!!すごいよ!!!」

レン&みく(あれ……?俺(あたし)らもしかしてディスられてね??)

レナ「だからレン君がまともに攻撃できる初ターンだよ!!

頑張れー!レン君ーー!!」

レン「うるせえ外野!!

俺のターン、ドロー!」

改めて自身の手札を確認するレン。

そしてドローカード。

レン「………ん?確かエクストラデッキに…。墓地は……うん。家臣トークンって……だったな。」

みく「何よ?今までに無く慎重ね……。まあ、あたしの切り札を相手にするんだから、そのくらい慎重になって当然よね!なんたってコイツは――」

レン「手札から魔法カード発動!」

みく「って結局動くんかい!!」

レン「『龍の鏡』!」

 

龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)

自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

みく「何よそれ、墓地に居るのってレッドアイズだけでしょ?どうやって融合なんて……。」

レン「ひよの、お前のカードを使わせてもらう!」

ひよの「え?あれ??だってみくさんが言うように融合素材が……」

レン「墓地の真紅眼の黒竜と、場の家臣トークンを融合する!!」

みく&ひよの「何その融合素材!?」

レナ「ここで、レナさんのワンポイントレッスン!

『トークン』は、効果の有無に関わらず、通常モンスターとして扱われるのです!」

みく「それが何よ…??」

ひよの「マジですか!?じゃあ、ダンディライオンとか御用達になるじゃないですか!!」

みく「アンタ達何言ってるの???」

レン「『紅き瞳の黒竜』よ、『輪廻を外れる命』と共に、全ての命の先を行く始祖と成れ!!

融合召喚!恐れるものは物言わぬ力『始祖竜ワイアーム』」

 

 

 

始祖竜ワイアーム 星9

融合モンスター

闇属性 ドラゴン族

2700/2000

通常モンスター×2

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

①:「始祖竜ワイアーム」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは通常モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、このカード以外のモンスターの効果を受けない。

 

ひよの「これこそ、総ての効果モンスターを無価値にするモンスターです!

まさかレンさんのデッキで召喚できるとは…」

レン「こいつは、アンタの全ての帝の効果も受けない!

これならアンタの切り札は怖くない。」

みく「こいつは……確か全国大会決勝でライアスが使ったモンスターカードだったわね。」

英心「ほほお…あやつ、思わぬ切り札を用意していたのだな。やりおる」

鈴木「こりゃ、部長さんかなりキツイんじゃね?

手札ってあとはライザーくらいだろ?残りの一枚も多分モンスターだろうけど、三体のモンスターを速攻で召喚したところを見ると、バルバロスってところか?」

英心「ほむん!こうして悪の貧乳は成敗されたのだ!!フハハハハハ!!!」

みく「それはどうかしらね?」

英心&鈴木「何!?この状況でレンを倒せる切り札が有るとでも言うのか!?」

レン「オイこらテメエら、人のデュエルで勝手に死亡フラグ建設してんじゃねえぞ!」

みく「さあ、どうするの?レン」

レン「………。」

レン(ワイアームにはモンスター効果が一切利かない。

その上でワイアームに対処するモンスターがいるとしたら、圧倒的な攻撃力か?

あるいは……くそっ、今ワイアームを失ったら、さすがに勝つのはキツいか……?)

レンの手札にはモンスターのカードは無い。

デュエル中からレッドアイズのカード以外を見せていないことからも分かるように、手札事故をおこしていた。

ここでワイアームを失えば、後半には帝に手も足も出ない非耐性モンスターばかりで戦うことになるだろう。

今までのみくのプレイングから考えて、それは決して歓迎できる状況では無い。

レン(一応今の状態ではまだワイアームを倒せるカードはみくの場に存在していない。

そして、手札からモンスターの効果を無効化する魔法・罠カードは、ここ数年で出たカードの中には無かったはず。)

昨夜徹夜でカードの知識を非効率に叩きこんだレンのライブラリーの中に、検索に引っかかるカードは無い。

攻撃しても問題は無い。しかし、藪をつつくことになるのではないかという懸念もある。

レン(………どうする?)

 

 

レナ「にー……」

みく「悩んでるわね…でも結果は同じよ!あたしがアイツを召喚すると決めた瞬間に、アンタの負けは決まったのよ!!でもそれは恥じることじゃないわ。光栄に思いなさい。あたしを本気にさせたこと!」

英心「おのれ貧乳め!悪あがきを!!」

鈴木「……反撃の機会…捨てるか?レン君」

レン「俺は――」

 

ひよの「あーもうじれったい!!レンさん!やっちゃうのです!!ワイアームは無敵です!!」

 

レン「あ?」

ひよの「レンさんデュエルの前に言ってたじゃないですか!!

『勝つ!!』って!!

私あの言葉本気でかっこいいって思っちゃったんですよ!?ここであなたがヘタレたら、私安い女みたいじゃないですかー!!」

レン「……んな理不尽な…」

ひよの「責任とれー!!負けたら明日の一面あること無いことボロクソに書いてやるー!!バカー!!勝てーー!!勝って下さいぃーー!!」

レン「……………。」

 

《いいかレン。女ってのは、女は禿げ親父の頭より薄っぺらな仲間意識と理不尽な程の自己愛で出来てるもんだ。》

《なんだよそれ!?すっげえ嫌な奴じゃん!》

《そうだな。けど、大変遺憾ながら、俺達男は、連中を機嫌良くしておく義務が有るんだ。》

《えぇ~!?何でだよ!そんな我儘なやつらを何で偉ぶらせておくんだよ!?》

《ハハッ。ガキにはまだ難しいかもな。だが、俺達男だってそう褒められたもんじゃ無い。

男は5割以上の欲望と3割以下の見栄で生きているんだ。

《それ残り二割どこ行ったんだよ?》

《ああ、そいつはな………》

 

レン「――残り二割は、男の欲望と見栄を5割以下に抑えてくれる女が出来た時に生まれる……”戦うと言う意志”。最期はそれで全てが埋まる。だからそれまでなるべく女は機嫌よくさせておけ。だったな…フライヤー」

ひよの「はえ??」

鈴木「レン…!!」

レン「ったく、アイツの言葉はいつも最後に台無しだったな……。――バトルだ!!ワイアームで炎帝家臣に攻撃!!」

ひよの「それでこそレンさんです!!」

みく「覚悟は決めたってわけね!!なら見なさい、あたしの最強のしもべ…大地の神の存在(すがた)を!!」

レナ「大地の神……ってまさか!??」

みく「三体の家臣を生贄に捧げる。」

鈴木「ちゃんとリリースって言えよ。教育上よろしくない。訴えられるぞ」

みくが三体の家臣を生贄に捧げたその瞬間――。

ひよの「きゃあ!?」

英心「な、何じゃ!??」

突如として、大地が揺れ始めた。その場にいた次第に地割れが起き、その内に木々は支えを失いその巨躯を地に伏せた。

鈴木「おっと、あっぶねえ!!」

レナ「ひよのちゃん!危ないからこっちに来て!!」

ひよの「何で一年生に子供扱いされるんですかー!?」

英心「しかし無暗に動いては危険じゃ!!ここは一番運動神経があり、剣道で見切りを習得しておるファム妹に従うべきだ!!」

そしてついには、地の底から巨大な腕が表れた。

レン「こいつが…この地震の正体か……!!くそっ、相変わらず地球と生き物に優しく無いカードゲームだなオイ!!」

みく「問題無いわ。この裏山は、あらゆる魔を封じ込めた霊山なの。だから、こいつの召喚の反動も、この山一帯だけのはずよ。」

レン「ハズって…!!そんなアバウトな保険でこんなもの召喚したのかテメェ!!」

みく「――その者、降臨せしむれば、灼熱の疾風大地に吹き荒れ、生きとし生ける者すべて屍とならん。」

レン「――ッッ!!!」

みく「さあ、来なさい。かつて大地をリセットした大地の災害。

三幻神の一柱(ひとつ)。『オベリスクの巨神兵』を召喚!!!」

『オオ……オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォーーー!!!!』

強大な腕を伸ばし、その極大の巨躯(カラダ)が、大地に立つ樹木をなぎ倒し、熱風により木の葉を焼き払い大地に降臨した。

レン「ぐっ…!!!」

レナ「うそ…うそだよ……。何でオベリスクが…三幻神がまだ地上にいるの!?」

みく「ああ…!!やっぱりこいつを召ぶと気持ちいいわ!!みんなあたしに平伏しなさい!!」

レン「くそっ……相変わらず傍迷惑なカードばっかり存在するゲームだぜ!!」

レナ「レン君!!オベリスクを倒せる!?」

レン「知るか!!カードを一枚伏せて、ターン終了だ!!

ってか突風がやべええええええーー!!」

みく「あたしのターン!さあ、行くわよオベリスク!!」

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』

 

オベリスクの巨神兵 星10

神属性 幻神獣族

4000/4000

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。①:このカードの召喚は無効化されない。②:このカードの召喚成功時には、魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。③:このカードは効果の対象にならない。④:自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃宣言できない。⑤:このカードが特殊召喚されている場合、エンドフェイズに発動する。このカードを墓地へ送る。

 

みく「ワイアームに攻撃よ!!

神の鉄槌―ゴッドハンド・クラッシャー!!!!」

 

オベリスク4000 VS ワイアーム2700

レンLP2200

 

 

レン「さあ、行くぜ!

リバースカードオープン!!『モンスターBOX』!!!」

 

モンスターBOX

永続罠

相手モンスターの攻撃宣言時、コイントスを1回行い裏表を当てる。当たった場合、その攻撃モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで0になる。このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。または、500ライフポイント払わずにこのカードを破壊する。

 

英心「この男はギャンブル以外の戦術を知らんのか!??」

レナ「でも、実際今これ以上のカードは無いよ!」

英心「………。」

レナ「いっけえー!にー!!」

レン「……。」

レナ「あれ?どうしたのにー?」

風に煽られて立つことが精一杯な中、強気を崩さなかったレンの表情が初めて青ざめている。

レナ「にー??」

レン「………突風が強すぎてコイントスが出来ねえ…!!」

召喚時から吹き荒れる突風が邪魔して、まともにコインが投げられないでいるのだった。

少しずつ弱まってはいるが、まだトスするには辛い風だ。

英心「バカかおのれは!!!」

鈴木「うわー…神どころか地球まで敵に回ってるじゃん。レン君マジ四面楚歌だわ~」

ひよの「レンさん!神に向かって投げつけるのです!!」

レン「――それだ!!いっけええええええーー!!表出ろおおおおおおおーー!!」

ブンッ!!前代未聞のワインドアップからの全力投球コイントスが、神に挑んで行く。

だが…。

英心「そんなことしたら何処行くか分かんらんだろう!!この風向かい風であろうが!!――って、痛ェ!?」

逆風に煽られて戻って来たコインが、英心の頭に直撃し、『裏』側で落ちた。

レン「くそっ!!徳の低い坊主のせいで裏目に出ちまった!!」

英心「拙僧の責か!?否、ギャンブルなどに仏が力を貸すものか!!」

レン「相手は神だろ!!異教徒との戦いくらい助力してくれたっていいだろ!」

レナ「レン君前ー!!神来てるーー!!」

レナ「あああああああああああーー!??」

 

レンLP900

 

レン「くっそ…使えねえな仏!!」

英心「それ以上仏を侮辱するなら仏敵とみなすぞ貴様!!ってか泣くぞ!!!」

レン「泣けよバカ野郎!!その涙で神が倒せるならな!!」

みく「フフフ…いつまで持つかしらねえ?そのワイアーム。カードを一枚伏せて、ターン終了。」

ひよの「うう…殴られたワイアームが痛々しいですぅ……。

レンさ~ん」

レン「涙目で見るな涙目で!俺のターン、ドロー!」

みく(どうせあいつに出来ることなんて、モンスターBOXを維持しながらラッキーヒットを狙うだけ…。だったら攻撃しなければ勝手に自滅する――)

レン「スタンバイフェイズ、モンスターBOXを維持せずに、破壊する!」

みく「はれぇ??」

レン「ワイアームを守備表示に変更。そして、カードを一枚伏せて、ターン終了。」

レナ(もし部長さんのリバースがモンスター効果無効カードだったら、ワイアームは倒される。

確かに維持コスト500は明暗を分けるかもしれない。でもLP900も400も普通は大きく変わらない。まして攻撃力4000の前じゃ尚更だし、可能性に賭けた方がまだマシな場面だって幾つもある。そんなことギャンブルデッキを使ってるにー自身が一番最初に考え着くはず。何でレン君は、可能性を潰したんだろう?あのリバースカードが、そこまでして使いたいカード……?でもだったら尚更ライフを払ってでも残した方が良い。まだ一枚も相手はサイクロンを使ってないんだし、囮として残しておく価値はあったはず……。)

みく「まあ、いいわ。維持しないならしないで、何の問題も無い!!あたしのターン、ドロー。オベリスクで攻撃!!」

英心「バカめ!ワイアームは守備表示だぞ。殴ってところで何の意味がある!

これだからパイオツに栄養が行かぬ愚かものは!!ハッハハハハ!!!」

レナ「やっぱりアレが伏せてあるんだ!にー逃げてー!ワイアームがー!!最後の希望がーー!!」

みく「さあワイアーム!そこのハゲもろ共沈みなさい!!」

英心「誰がハゲじゃ!!ベリーショートじゃ!!」

みく「リバースカードオープン『帝王の熔撃』!

これでワイアームのモンスター効果を無効化する!」

英心「何!?それではワイアームが只のバニラモンスターになってしまうではないか!!

おのれ貧乳め!!余分な養分を頭に回す暇があったら乳に回さぬか!!」

みく「フフフ…このデュエルが終わったら、次はアンタの番よ。首を洗って待ってなさい……!!

ゴッドハンド・クラッシャー!!」

レン「…………。」

神の拳に触れたワイアームは粒子レベルに粉砕され、跡形もなくなってしまった。

ひよの「あぁ…ワイアームが……レンさぁん……ううぅ…」

ワイアームが破壊されたことで、ひよのは一層目に涙をためてレンを見つめた。

レン「だから恨めしそうな目で…」

ひよの「ワイアームの敵を取ってくださぃ……うぅ…。このまま負けたら在学中ずっとレンさんの悪評を一面に書き出してやるのですー!カッコつけて負けたカッコ悪い人ってレッテルを学校中に広めてやるのですぅ……!!」

レン「………女ってのは本当に理不尽だ。」

ひよの「だから負けないでくださいぃー!ワイアームがいなくても、まだ勝つ方法はある筈ですぅ!」

レン「え……??」

レン(もしかしてコイツ、俺がワイアームを失って心が折れそうになってると思ってるのか…?今までのってこいつなりのエールだったのか……??)

 

不器用過ぎて引くわ…などと考えるレン。

 

ひよの「『勝つ!!』って言ったレンさんの言葉を信じて、公平な立場として見るべき試合にカードまで送っちゃったんです!ここで負けたら無様なのはあなただけじゃないのですぅ!

あなたの勝負には、二人分のプライドが掛ってるんですよ!!」

 

しかし、心で悪態を突きながらもその心は燃えていた。

 

レン「………心配すんなよ、ひよの。」

ひよの「ふぇ??」

レン「俺はまだ、負けちゃいない。そろそろ良い風だ。見てろよ。

リバースカードオープン!『運命の分かれ道』」

みく「そのカードは…」

英心「コイントスの結果次第で2000ポイントのライフを回復するカードか!

しかし、今外せば即負けじゃぞ!?」

鈴木「しかも、向こうさんはLP2800外しても負けじゃない。これはあまり分の良い賭けじゃないべ?レン君」

レン「このままじゃ死ぬ。やっても勝ちじゃない。命を今日つなぐだけ。そんなギャンブルは幾らでもやって来た。別に珍しいことじゃない。コイントス――!」

みく「もう今日何回目かしらね。コイン弾くの。トス」

レン「そう言うなよ。俺なんて普通の人生送ってたら絶対しない回数弾いてんだ。今日ぐらい付き合えや。みく」

みく「これで最後だといいけどね。もちろん、こんなカードの効果でライフを失うなんて許さない。

当然表を出してくれるでしょ?」

レン「その答えは、投げたコインだけが知る」

レナ「にー…!」

ひよの「うう~!」

二人の少女は祈るように手を合わせた。表か裏か。そのどちらかで勝敗すら左右する。

このデュエルは、普通のデュエルよりも、見ている方がドキドキするデュエルだ。

フサッ。

草の生えた僅かな茂みに落ちたコインは、双方異なる面を向けていた。

みく「ふん。ライフなんてもう只の飾りよ!」

レン「当然、俺は勝つ!!」

みくのコインは裏、レンのコインは表だった。

レナ&ひよの「やったーー!!!」

祈りをささげた少女二人は手を取り合って喜んだ。

 

みくLP800

レンLP2900

 

みく「ターンエンド!」

レン「……手札はそろった。ベットは用意した。あとは、このドローに賭ける!紅き瞳の可能性に!!

ドロー!!!」

みく「まさかアンタ、レッドアイズを三枚積んでるわけ?よくやるわね。ギャンブルカードにマイナーカード。何でそんなカードばっかりでデッキ組んでるの?」

レン「………分からないな」

みく「はあ!?自分で組んだデッキでじゃない!!分からないってどういうことよ!?」

レン「カードそのものには確かに強弱が有るんだろう。俺も『ツイスター』を使うくらいなら『サイクロン』を入れるよ。だが、可能性に賭けた時、勝った方がより良い状況を生むカードが有るのなら、俺はそいつを信じたい。

埋もれた凡夫や非才でも、這い上がれば生まれる可能性があるってこと、俺は教えてもらったから。

分からないのは、人が決めた価値観でカードを決めることだ!使いもせずに弱いとなじり、笑い物にすることだ!!」

レナ「おお~!!レン君カッコいい!!」

ひよの「………素敵なのです」

みく「ご立派ね!でも残念。先輩として教えてあげるわ!!いくら使いこなしても、使えないカードってのは出てくるのよ!!デュエリストの努力と実力では、どうにも出来ない限界がある!!それが事実よ!!」

レン「だったらセンパイに教えてやるぜ。カードにはそのカードに相応しい、最高のデッキ構築が必ずあるって。

この『真紅眼の黒竜』でな!!」

みく「――っっ!?三枚目!!

でも召喚出来なきゃ意味が無いわ!!」

レン「手札から魔法カード発動!!『スター・ブラスト』!!!」

 

スター・ブラスト

通常魔法

500の倍数のライフポイントを払って発動できる。自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選び、そのモンスターのレベルをエンドフェイズ時まで、払ったライフポイント500ポイントにつき1つ下げる。

 

レナ「これでライフを1500払えば、レッドアイズのレベルは4で召喚できる!」

レン「俺はライフを2500支払う!!」

全員「何で!??」

 

レンLP400

 

レン「これで準備は整った。

‐‐紅き瞳の黒竜よ、主と共に力を奮い、神を砕く力と成れ!!

召喚!真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)!!」

 

英心「何をやっとるんじゃあやつは!?何故あのような無意味な過払いを!?」

レナ「まさか…レン君!!」

レン「ライフは投げ捨てるもの。だそうだな、みく」

みく「ええ、そうよ。」

レン「俺そいつはやっぱり勿体ないぜ。俺にとってライフは、ギャンブルのための軍資金みたいなものらしいからよ。投げ捨てちゃならねえ。手札から『下剋上の首飾り』を発動!」

 

下剋上の首飾り

装備魔法

通常モンスターにのみ装備可能。装備モンスターよりレベルの高いモンスターと戦闘を行う場合、装備モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみレベルの差×500ポイントアップする。このカードが墓地へ送られた時、このカードをデッキの一番上に戻す事ができる。

 

みく「そ……そのカードは!?」

レン「これにより、俺のレッドアイズは、オベリスクとのレベルの差分攻撃力を500ずつ上げる。」

英心「なんとお!!」

レナ「だから限界までレッドアイズのレベルを…!!」

 

真紅眼の黒竜

星2

オベリスクの巨神兵

星10

10-2=8×500=4000

 

真紅眼の黒竜 ATK6400

 

みく「そんなバカな…!!神を…超えるなんて」

レン「さあ、バトルだ!!行け、レッドアイズ」

みく「でも甘いわよ!!あたしの手札にはライザーがいる!『連撃の帝王』の効果発動――!」

レン「チェーン2!『サイクロン』!!」

みく「何ですって!?」

レン「『ツイスター』では無く『サイクロン』を使うと言ったはずだ!!」

みく「ぐっ…!!」

レン「レッドアイズの攻撃!!リベリオン・メガ・フレア!!!」

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーー!!???』

『ギャオオオオオオオオオオオーーン!!!』

 

大地の神が屠られる。可能性を携えた黒き竜の炎に焼かれ。

神の消滅により、神の召喚の被害を受けた大地は、オベリスクを吸収し再び元の姿を取り戻した。

そして……

 

みくLP 0

 

この攻撃が決まった瞬間、レン・ファムグリットの勝利が決定した………。




弱いと言われ続ける真紅眼の黒竜が神に対して下剋上。
はい、言いたかっただけです。

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