ひよの「うう…せっかくの
レナ「うーん…本当は最後に撮った写真の所だけ上手く消しちゃうつもりだったんだけど……ごめんね、ひよのちゃん」
みく「いいのよ。他にもどんな写真があったか分かったもんじゃないんだから。世のため人のためよ。」
レン「つーかさらっと神業しようとしてたんだな、レナ。いつものことだが、練習くらいしてからやれよ」
全員好き放題話しながら仲よさ気に話し続ける様に、1人ポツンとしていた飛娘がようやく口を開いた。
飛娘「ちょ、ちょっと待ってほしいアル!レナ・ファムグリット、ここにいる人たちは誰アルか!?説明してほしいアル!!ワタシさっぱり分からないヨ!!」
レナ「あれ?ここにいるってことは、にーが説明してくれたんじゃないの?」
飛娘「ワタシ何も聞いてないヨ!!」
レナ「……にー?」
む~っと唸りながら、レンを非難の目で見るレナ。
レン「うむ。中国に会いにカードショップまで行ったはいいが、何で行ったのか目的を忘れちまってそのまま飯に誘ったら、たまたま待ち合わせ場所に来ていたんだ。運命って凄いな、ハハッ。」
レナ「うう~っ…にーの鳥頭~。ごめんね、飛娘ちゃん。ちゃんと説明するから。あと、にー、今晩はおしおきとしてにーの嫌いな梅干しの料理です。」
レン「それ、俺が外で食えば問題無くね?」
レナ「じゃあ、にーがちゃんと食べるまで、レナさんもご飯抜きです。伝え忘れたのはレナがにーに頼んだのも悪かったから、レナも一緒に反省します。」
レン「………。」
レンは冷や汗を掻いて黙った。自分に対する火の粉は幾らでも逃げられるが、自分の行動で他人が不利益をこうむるのは、レンのポリシーに反することだ。こうなるともう、従うより他に無い。レンを知り尽くしたレナならではのお仕置きだった。
レン「………せめて、少しでも小さいのにしてくれ…」
負けを認めたレンはお手上げとポーズを取った。
レナ「うん。分かったよ、にー」
ひよの「おお~人をおちょくるのが得意なレンさんも、妹には勝てないんですねぇ!」
レン「………(グリグリグリ)」
ひよの「ひゃあああああああぁぁぁーー!??痛いです、痛いですぅぅぅぅーー!!頭グリグリしないで下さいーー!!圧力はそうでもないのに的確にツボを突いてきて洒落にならない痛さですううぅぅぅーー」
飛娘「ずいぶん元気な子どもアルねぇ」
ひよの「子ども!?失礼ですねぇ!!」
子供扱いされた少女は、レンの両腕の拘束を外して(外してもらって)小さなカラダでめいっぱい胸を張って自己紹介する。
ひよの「私は文月 ひよの。坂上学園に通う新聞部の美少女部長、二年生!!ですっ」
レナ・飛娘「二年生!??」
レナ「そうだったのかぁ…」
飛娘「し、信じられないアル…」
ひよの「まったく、失礼ですねえ!!プンすかプンすか!!私はちょ~~っと背が低いだけで、胸はこの通り立派な大人の女性なのですよ!」
そう言って子供のような小さなカラダとは相反する大人のような豊かな胸部を両腕で寄せて上げて強調して見せる。確かにそこには、自分で言うだけの膨らみがあった。
飛娘「うう…ま、まさかこんな所にも敵がいるとは思わなかったアル!!」
レナ「にーは知ってたの?」
レン「ああ。知ってた。合法ロリだろ。部活動は違法のようだが。」
レナ「なるほど~。ああ、そう言えばレナ達って、お互いに自己紹介もしてなかったね。」
飛娘「ウソだぁ……ありえないアル」
お互い良く知らない間柄とは思えない弾け方をしていたこのメンツが、実は出会って2・3日。信じられる者がどの位いるのだろうか。
みく「そうね。とりあえずきちんと自己紹介しましょうか。
これから『長い付き合い』になるかもしれないし」
飛娘「何の話アル…??」
何で今日初めて会ったばかりで長い付き合いになることになるのか?その理由が分からなかった。
すると、横にいたレナからこっそりと耳打ちされる。
レナ「……この人は、オベリスクの所持者よ」
そう語るレナの目は、少しだけ真剣なモノだった。
飛娘「……分かったネ。」
その一言だけで、両者の会話は終了し、そして全てを理解した。
みく「じゃあ、まずはあたしからね。あたしの名前は坂上 みく。坂上学園の理事長の孫で、二年生の生徒。新設したデュエルモンスターズの研究会活動をする部活、でゅえる部の部長をしているわ。今日は、ある報告をするために、この集まりを開いた主催者よ。ここは坂上の分家が経営するレストランで、貸切にしているの。だから、ここでの会話は誰にも聞こえない。つまり他言無用であるということを忘れないで。」
みくはそう言いながら、レンとひよのの方を見た。
ひよの「改めまして、文月 ひよのです。同じく二年生です。自己紹介はさっき流れでやったので省きます。」
言い終わると、隣にいたレンに目配せする。
レン「……レン・ファムグリット。この中じゃ多分一番全員と接点があることだし、俺がどういう人間かは大体分かるだろう。次」
レナ「……レナ・ファムグリットです。レン・ファムグリットとは、義理の兄妹です。」
その発言に、レン以外の三人がぎょっとした。双子にしては似ているとは言い難いが、それでも実際に聞くと驚きがある。
レナ「剣道で女子中学全国大会の優勝記録があります。……『七皇』の1人、NO.2としてこの集いに参席するものです。」
レン「『七皇』…??」
飛娘「王 飛娘(ワン フェイニャン)ヨ。カードショップでアルバイトしながら、夜間の学校行ってるネ。同じく『七皇』の1人、NO.6として、参席スルヨ。」
レンが分からないまま、レナと同じく『七皇』を名乗る飛娘。
みく「……レン。あんたは『七皇』について、何も知らないの?」
レン「知らん。」
みく「そう、ならまずはここで私たちの話を聞いていて。」
レン「ハブですかそうですか。」
レン(察するに、ひよのも何が起こっているのかは分かっているようだしな。ハブか…寂しい。)
みく「では、まずあたしから報告します。『三幻神』の一柱、『オベリスクの巨神兵』を、一般人とのデュエルで召喚しました。被害地は、我が坂上学園の敷地内です。」
飛娘「とんでもないことしてくれたアル。いくら既に神の力が封じられているとはいえ、現状オベリスクの巨神兵は、『三幻神』の中では最強クラスの力を取り戻して来ているカードアル。弾みで覚醒なんかしようものなら、世界また滅ぶアルよ!!」
レナ「落ち着いて、飛娘ちゃん。問題はそこじゃない。そもそも、何故あなたが持っているの?そのカードを」
みく「拾ったのよ。私がでゅえる部を立ち上げる前に。中々強そうだったから、デッキに入れていたの。あたしなら操れると思って。」
飛娘「バカアルね。そんな気持ちで『三幻神』を使って。おかげであなたは神の怒りに触れることになったアル。」
レン「……神の怒り?」
ひよの「レンさんもみましたよね?オベリスクの召喚で、大地が割れたのを。」
レン「ああ。見た。」
ひよの「あれは、選ばれたデュエリスト以外が、神を召喚すると起こる、地球の崩壊現象なんだそうです。」
レン「崩壊現象ねえ…」
レナ「今回、この集まりが開かれたのは、『三幻神』の存在が再び力を取り戻してしまっているかどうかを確認するためなの。そして、その結果次第で二人に安心してほしかったの。もう二度と、『大神災』なんて起こらないって。」
ひよの「……っっ。怖いですね、またあんなことが起きるかもしれないなんて思ったら。」
レン「………。」
飛娘「だから、今回ワタシ達が呼ばれたネ。オベリスクが覚醒していないかを、見定めるために。デュエルで」
レナ「もっとも、間置かずに召喚すれば、それこそオベリスクを覚醒させることになるかもしれないから、少し間を置いて、ね。」
みく「ええ、分かったわ。面倒掛けるわね。」
レナ「そうですね。最初にオベリスクを見た時には、一瞬デュエルを中止させようかと思いました。それだけ危険なカードなんです。
本当なら、私が預かりたいところなんですが、残念ながら、現在はそれが難しい立場なんです。」
飛娘「ワタシには、そもそも
不安だけれど、貴女に持たせておく以外に無いアル。」
レン「…………。」
飛娘「身勝手のせめてもの償いとして、責任持って保管しておいて下さいネ」
みく「ええ。分かったわ。」
レン「ちょっと待てよ、中国」
飛娘「何アルか?」
レン「さっきから全く状況が掴めないが、要はそのオベリスクが元凶なんだろう?」
飛娘「元凶とはちょっと違うアル。でも、その一因であることは間違いないネ。というか、貴方もしかして、『三幻神』のカードのこと――」
レン「だったら破っちまえばどうだ?そんな物騒なもんならよ」
レナ「――それはダメっ!!」
レンの提案を慌てて否定するレナ。その表情は、これまでレンが見たことが無いほどに真剣で、焦っていた。
レナ「お願いだから、間違ってもそんなことしないで!!」
レン「何でさ?」
レナ「なんででも!!にー、お願いだから約束して。絶対に『三幻神』のカードを破ったり燃やしたりしようとしないで!!過去にやろうとして、死んじゃった人が何人もいるのっ!!だから…!!」
レン「分かった。約束する。だから取り乱すな。アンタらしくもない。」
レンを必死に止めるレナの目には、涙が浮かび、瞳には大切なものを失うかもしれないことに対する怯えが浮かび、両手はレンの両腕を痛いくらいに掴んでいた。まるで意図せず自殺しようとしている人間を止めようとするかのように。
飛娘「………。」
みく「………。」
ひよの「………。」
ちなみに傍から見ると生き別れる寸前の恋人同士のように見えなくもなかった。
みく「……義理の妹ってことはさ…」
ひよの「ええ。結婚も出来ますし子どもだって出来ちゃいますね!お似合いです!」
飛娘「レナ・ファムグリットは昔からこういう、目つきの悪い不良みたいな男が好みだったアル。」
ひよの「その話詳しくお願いします!!」
レナ「あ……ゴホン。まあ、そんなわけで、とりあえず様子を見て、いつデュエルするか決めるってことで!」
ひよの「あ~誤魔化しました。」
話がとりあえずのひと段落を迎えたところで、コースの前菜が運ばれてきた。
みく「あら?料理注文したの?」
レン「ああ。腹減ったし。全員分。」
みく「もう、誰が払うと思ってるのよ…」
レン「?俺だろ」
みく「え?」
何を当然のことをと言わんばかりに言い切るとテーブルに座る。
レン「女4人に男1人なら、俺が払わずに誰が払うんだ?国か?ダメだな。高校生が高級レストランでバカみたいに飲み食いする金を血税で賄いまーすとか、殺されても文句言えねえな。」
みく「い、いやあたしが払うわよ!!そもそもここを選んだのだって、勢いで迷惑かけちゃったあんたにせめてものお詫びがしたくて……じゃなくて!!そう!!未来の部員の活躍の前報酬なんだから!」
レン「俺は入るつもりは無いぞ。第一俺勝っただろうが。何だかわからんが、ついでにオベリスクも倒してアンタのケツも拭いてやったわけだし。」
みく「いや、あの……。だから、えっと…。うぅ………。~~~~ッッ!!じゃあもういっそそのお礼でもいいわよ!!ものすっごく不本意ではあるけど……。」
レン「そんなヤケクソな礼、聞いたことねえが…まあ、いいや。素直になれないツンデレなりに頑張ったんだろう。仕方ないから驕らせてやろう。」
みく「その上から目線ムカつくー!!っていうかデレて無いから!!ただのお礼とお詫びだから!」
レン「ああ、それがいい。そうしておけ。俺には生涯1人と決めた嫁がいるからな。惚れられても傷つけちまうだけだ。」
みく「誰がアンタみたいな人殺してそうな目した男に惚れるかあああああーー!!!」
レン「ハッハッハ。ツンデレのテレ隠しの絶叫はいいな。最高の酒の肴だ。」
ひよの「わぁ~このお料理美味しいですねー」
飛娘「な、何て贅沢なものが……ゆ、夢のようアル…」
レナ「にー。昼間から飲んで良かったの?バイクは?」
レン「今日は歩きだ。問題無い。」
みく「………未成年が飲酒は問題じゃないかしら…?」
レン「何だ、アンタ普段あんなに偉そうにしてて酒の一つも飲めないのか?まあ、いいことだ。お酒は二十歳になってからだぞ。」
ひよの「うわぁ、現行犯が何かほざいてます~」
みく「……負けるもんか。(ボソッ」
お酒くらい飲めるわよ!パーティーの時とか、偉い人とお話しする時とかちょっと口に含むくらいするもん!!」
レン「ほう、なら一緒にやるか?」
みく「望むところよ!今度は負けないから!ウェイター。白ワインを持ってきて。」
レン「俺はワイルドターキー。ボトルごと二・三本。」
レナ「あ、一本にしてください。帰る時大変なのレナなんだからね」
レン「む、そうか…。」
ひよの「もう既に奥さんみたいですね~」
飛娘「けっきょく、騒がしいのは変わらないアルね。あ~美味しいヨ。」
途中、良く分らない話をされながらも、結局勢いで誤魔化したまま、五人は料理を満喫していった。
この作品はフィクションであり、実際の人物や法律は一切関係在りません。
何が言いたいかと言うと……
未
成
年
の
飲酒
ダメ絶対
でもヤンキーとかご令嬢とか口にしてそうなイメージあるよね……。