胡蝶の夢 遊戯王GX世界   作:くらげ(仮)

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初めて二次創作にチャレンジしました。


1年生
1話 VSクロノス教諭


私――遊崎 栞が遊戯王と言うカードゲームを始めたきっかけは、くだらないもの。

高校生にもなって一人もいなかった友人が欲しかった。ただそれだけだった。

対面してやるカードゲームなら、相手が絶対に必要になる。

だから、人に声をかけることが苦手な私でも、きっと誰かと仲良く遊ぶことが出来る。

そう考えてからの行動は早かった。近所のカードショップに足しげく通ってデッキを構築した。初めて買ったモンスターのほとんどが人型であると気づいたとき私は苦笑したのを覚えている。

毎日が楽しかった。

いつか誰かとデュエルする。そんな日を夢見て毎日デッキを改造した。

 

だが、気づいたのだ。

 

誰かに声をかけなければそもそもデュエルできないことに。

 

――

 

「はあ……」

 

深くため息をつきながら自室でデッキを眺める。

毎日持ち歩いているそれを、私はデュエルで使ったことは一回もない。

 

「今日も、なにもなしかあ」

 

結局今日もカードショップで行われているデュエルをただ後ろから眺めているだけだった。

二人の人間がカードをドローして、知力の限り駆け引きし、モンスターを次々と召喚して競い合う。

その様子がとても楽しそうで、いつか私もやってみたい。そんな思いだけが肥大化する。

 

「ごめんね、使ってあげられなくて」

 

きっとこの子達もそうなのだろう。

お気に入りのモンスターカードを抜き出して、話しかけてみる。

こんなデュエリストとも呼べないヘタレに買われてしまって本懐も果たせないのだ。これがアニメだったら、きっとデッキとの絆は0に違いない。

 

「だれか、デュエルしてくれる人はいないかな……」

 

ショップで見た人たちのデュエルを元に、デッキを調整して私は眠りにつく。

私の机の上で、モンスターカードが、少しだけ輝きを放っていたことに、私は気がつかなかった。

 

「大丈夫、友達は、きっと出来るから」

 

――

 

 

「おい……起きろ!このままおちたら不味いだろ!」

 誰かが私を起こす声がする。

 目を開けると、私を起こしたらしい白ランの少年はにっこりと微笑んで見せた。

 周囲を見るとどうやら私はどこかの建物の席に座ったまま寝ていたらしい。

「まったく、受験番号が最後のほうだからって豪胆な奴だな」

「へ?受験番号?」

手元を見ると、小さな紙切れが一つ。

デュエルアカデミア入学試験、受験番号118番 遊崎 栞と刻まれた紙がそこにはあった。

「ほら、先生が呼んでるぞ?」

「あ、ええと…」

 何がどうなっているのか分からない。

 私はいつのまにか中学校の制服を着て、左手にはアニメで見たようなデュエルディスクが付いていた。

 ほっぺたをつねるが、普通に痛い。

「受験番号118番!早くするノーネ!」

「は、はいっ!」

 声をかけた人物を見て、さらに困惑は深まる。

 あれは確か、遊戯王のアニメに出てきたクロノス教授だったような気がする。

 遊戯王GX、大分記憶がおぼろげだがなんとか登場人物くらいは覚えていたらしい。

 もしかしてこれは――。

 

私は遊戯王の世界に入り込んでしまったとでもいうのだろうか?

 困惑しつつも私はディスクを構える。

 デュエルをしてみたいという気持ちは確かにあったのだから。

「デュエル!」

 左手のディスクからカードをドローする。

 私の始めてのデュエルはこうして始まった。

 

――

 

クロノス

LP4000

遊崎 栞

LP4000

 

「私の先行!ドローなノーネ。カードを3枚セット。さらに魔法カード《大嵐》なノーネ!フィールドのセットカードを全て破壊!」

 クロノスは苛立っていた。

 ただでさえ遅刻している生徒が居て、イライラしている上に、まさか受験会場で居眠りをする生徒が居るとは思わなかったのだ。

(こんな奴らを入れるわけには行かないノーネ)

 クロノスは生徒を大切にする。

 だが、それは自らを研鑽し教育者の期待にこたえる生徒に限る話だ。

 授業をサボったり、自らを鍛えようともしない人物に態々教鞭を振るうことのむなしさを彼は知っている。

 だからこそ、全力。

「破壊されたカードは《黄金の邪神像》2枚と《歯車街》なノーネ。《黄金の邪神像》は破壊されたとき邪神トークンを召喚することが出来るノーネ」

 クロノスの場に二体の趣味の悪いモンスターが現れる。

 

邪神トークン

ATK1000 DEF1000

 

「さらに《歯車街》も破壊されたとき効果を発動できるノーネ。デッキ、墓地、手札のいずれかからアンティーク・ギアと名の付くモンスターを召喚できる!出でよ!《古代の機械巨竜》!」

 

古代の機械巨竜

ATK3000 DEF2000

 

あのブルーアイズと並び立つ攻撃力を持つ、機械でできた龍がクロノスの場に現れると、会場がざわめきに包まれる。

対戦相手の少女は気圧されているのか、少しだけ後ずさりしていた。

 

「さらに二体のトークンを生贄に、《古代の機械巨人》を召喚すルーノ!さらに《天からの宝札》!カードを6枚ドローし、カードを1枚セットしてターンエンドなノーネ」

巨大なモンスター二体に、罠カードを伏せるという布陣。これは明らかに中学生相手に試験官が行うデュエルではない。

容赦はしない。

会場のざわめきを無視しつつクロノスは自らのターンの終了を宣言した。

 

――

 

「私のターン。ドロー」

 初めてのデュエル。私は鼓動が早くなるのを意識してカードを引く。《古代の機械巨人》の迫力もそうだが、周囲の観客席と思しき人々から見られていることが、普段人前に出るということのない私には恐ろしかった。

 ドローカードを確認。

 大丈夫、これならいける。

 

「――スタンバイフェイズ、メインフェイズ。私は《影霊衣の万華鏡》を発動します。エクストラデッキから《FGD》を生贄にし、《クラウソラスの影霊衣》と《トリシューラの影霊衣》を儀式召喚します」

 

クラウソラスの影霊衣

ATK1200 DEF2300

 

トリシューラの影霊衣

ATK2700 DEF2000

 

 魔法の発動と同時に、私の手札から二人の戦士たちが飛び出す。

 怪鳥クラウソラスと、端末世界を一度滅ぼした竜であるトリシューラ。それぞれの力を纏った鎧を着た戦士たち。

 カードショップでは微妙な見た目と言われるが、私にはとても頼もしい戦士に見えた。

 

「手札からいきなり二体も儀式召喚とは中々やるノーネ。ですが!《古代の機械巨人》には攻撃力で及ばないノーネ」

「《トリシューラの影霊衣》の効果を発動します。墓地、場、手札のカードを1枚ずつ除外します」

「モッツァレラ!?」

 

 召喚された戦士が氷の剣を振る。

 同時に巨大な機械の巨人、クロノスさんの手札、墓地のカードが氷の像と化し、崩れ落ちる。端末世界を凍結させたかの竜には及ばないが、それでも凶悪な効果に変わりはない。

 

「さらに《影霊衣の降魔鏡》を発動します。《影霊衣の術師シュリット》を生贄に《ディサイシブの影霊衣》を儀式召喚します。生贄に捧げられた《影霊衣の術師・シュリット》の効果で手札に《ブリューナクの影霊衣》を加えます」

 

ディサイシブの影霊衣

ATK3300 DEF2300

 次に現れたのは機械の鎧を持つ竜人。

 かつて端末世界の部族の力を結集して作り上げた狂気――AOJの力だ。

 

「《ディサイシブの影霊衣》の効果を発動します。ターン一回だけセットカードを除外します」

「何デスって!?」

 

 鎧からマウントした巨大な砲口がセットカードに向けられ、炸裂。

 ――破壊されたカードは《聖なるバリア・ミラーフォース》。

 

 なぜか、今回も仕事をできなかったと言う怨嗟の声が聴こえたような気がした。

 

「バトルフェイズに入ります。《ディサイシブの影霊衣》で攻撃」

「くっ!受験番号の割りにやるノーネ!」

 

クロノス

LP4000→3700

 

「さらに二体のモンスターでダイレクトアタックします!」

「まだ負けられないノーネ!《速攻のかかし》を手札から捨て、バトルフェイズを強制終了なノーネ!」

「ターンエンドです」

 

 手札から突如として現れた案山子、それが氷の剣による進撃を食い止める。

 ハンデスで落とさなかったあたりクロノスさんの運は凄まじい。

 このターンで決め切れなかった。

 寂しくなった手札と、攻撃表示のまま放置してしまった《クラウソラスの影霊衣》を見つつ私はクロノスさんにターンを渡した。

 

「私のターン!ドロー!」

私の場には儀式モンスターが三体。そして彼の場には何もなし。

しかし、その程度で彼があきらめる様子がないのは、彼の目を見れば分かる。

「魔法カード《天使の施し》を発動するノーネ。3枚ドローして2枚捨てルーノ。さらに《強欲な壷》で2ドロー!」

凶悪なドローターボ。

ドローしたカードを見て、クロノスさんの目が細められる。

「受験番号118番!この程度で勝ったと思わないノーネ!《ブラック・ホール》を発動!」

「みんな……!」

 

 一度場に出てしまったトリシューラは破壊耐性などの効果はない。

 黒い渦に巻き込まれる戦士たちに私は心の中で謝る。

 

「さらに《古代の機械工場》を発動すルーノ。さっき《天使の施し》で《古代の機械巨竜》二枚を墓地に落としたのでレベルの合計は16!レベル8までのモンスターを召喚できるノーネ。カモン!《古代の機械巨人》!バトルフェイズ!アルティメットパウンド!」

「きゃああっ!?」

 再び現れた機械の巨人。その豪腕が私の身体を打ち抜いていた。

 

栞 LP4000→1000

 

「ターンエンドなノーネ。さあ、この布陣打ち破れるなら打ち破るがイイーノ!」

 会場がざわめいている。

 ほとんどがため息。

 あいつ終わったな、なんて声まで聴こえる。

 私だってそう思っている。

 

「私の……ターン」

 

 デッキトップに手をかける。今の手札2枚では持ちこたえられる気がしない。

 今度は自分の場が全てカラだ。貫通効果持ちかつトラップ耐性のある古代の機械巨人相手では下級モンスターの召喚程度では耐えられないだろう。

 そして相手のLPは殆ど削れていない。

 ダメだ。このままじゃ。

 私が負けるのはしょうがない。

 でも、私と戦ってくれるこの子達のために、私は負けたくない。

 ここが何処か、なんでデュエルしているかもどうでも良い。

 ただ、勝ちたい。それだけを念じる。

 

「ドロー!」

 

 引いたカードを見て、私は微笑む。

 ありがとう。こんな私についてきてくれて。

 

「場にモンスターがいないので墓地の《トリシューラの影霊衣》と《影霊衣の降魔鏡》を除外し、《影霊衣の万華鏡》をデッキから手札に加えます。そして《影霊衣の万華鏡》を発動!エクストラデッキの《虹光の宣告者》を墓地に送り《ユニコールの影霊衣》を儀式召喚」

 

 場に現れたのは一角獣を模した鎧を纏った魔法使い。

 本当は相手の効果を無効にする能力を持っているが、彼を召喚したのは別の理由だ。

 

ユニコールの影霊衣

ATK2300 DEF1000

 

「さらに《虹光の宣告者》の効果発動。墓地に送られたとき、デッキから手札に儀式魔法か儀式モンスターを手札に加えることが出来ます――《影霊衣の反魂術》を手札に。さらに《魔界発現世行きデスガイド》を通常召喚。効果によりデッキから《儀式魔人リリーサー》を特殊召喚します」

 

 赤い髪のバスガイドが手を振るとバスから、小太りな魔人が下車してくる。

 儀式魔法、呼び出したいモンスターは揃った。ここからさらに儀式召喚につなげるが、まだ、ここで行うことは出来ない。

 ここからは綱渡り。

 分の悪い賭けだが、勝算がないわけではない。

 

魔界発現世行きデスガイド

ATK1000 DEF600

 

儀式魔人リリーサー

ATK1200 DEF2000

 

「中々の展開力なノーネ。でも古代の機械巨人に届くモンスターはいないノーネ」

「私はこれでターンエンドです」

「私のターン!ドロー!このままバトルフェイズ!アナタはそれなりに良くやったノーネ!でもこれでフィニッシュ!《古代の機械巨人》で《魔界発現世行きデスガイド》を攻撃!アルティメットパウンド!」

「《ヴァルキュルスの影霊衣》を手札から捨て、さらに《トリシューラの影霊衣》を墓地から除外することで攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了します」

 

 バスガイドに届きそうなその一撃を、墓地から現れた戦士の幻影が弾き返す。

 再び見えたその姿に、クロノスさんがうっとうしそうに眉をしかめる。

 

「小ざかしい手を使うノーネ。私はこのままターンを終了すルーノ」

「私のターン……ドロー!」

 

 心の中で手を握る。

 このターンは耐え切った。

 そして、きてくれたカードは私の望んでいたもの。

 だが、もうここまでくれば私のものだ。

 あとは、クロノスさんが手札誘発を持っていないことを祈るのみ。

 

「《影霊衣の反魂術》発動。《魔界発現世行きデスガイド》《儀式魔人リリーサー》手札の《クラウソラスの影霊衣》を生贄に捧げ、墓地から儀式召喚、《トリシューラの影霊衣》」

 

 墓地からの儀式により三たび場に現れる戦士。

 その剣はクロノスさんの手札、墓地、そして場の《古代の機械巨人》を貫いていく。

 

「バトルフェイズ。《ユニコールの影霊衣》《トリシューラの影霊衣》で攻撃」

「ノオオオッ!?」

 

 そして、二人の戦士の連続攻撃はクロノスさんのLPを0まで削り落としていた。

 

クロノス

LP

4000→0

 

「ありがとう御座いました」

 ゆっくりとお辞儀をすると、全身から力が抜けていくのが分かる。

 緊張の糸がぷっつりと切れた。

 意識が遠くなる。

「ちょっと!どうしたノーネ!」

 何人かの人が駆け寄る音を聞いて、そこで私の意識は途切れた。

 

 

――

 

「……ここは?」

 私が目を覚ましたのは、病院と思しき場所の一室だった。

 元の世界に戻ったのだろうか?

 

「海馬ランドの医務室だよ」

 

 答えたのはデュエル前に声をかけてくれた白ランの少年だった。

 まだ私は遊戯王の世界に居るらしい。

 

「まさか、デュエル直後にぶっ倒れるとはね。アカデミアに入ったら少しばかり体力を鍛えたほうがいいかもな」

 

 彼がふん!と手を折り曲げて力瘤を作っていた。

 どうやらこの世界においてデュエルマッスルは必需品のようだ。

 生まれてこのかた体力と言うものに自信を持っていない私には中々難しそうな話である。

 

「まあ、あのクロノス教授に勝ったんだ。きっと君もデュエルアカデミアに入るだろうからちょっとした助言だよ。俺は三沢大地。君は?」

「遊崎 栞」

 

 自らの名前を名乗りながら私は考える。

――学費、生活基盤諸々、どうしよう――?

 

 

 




《虹光の宣告者》。
……GXにはないカードですがTFならシンクロ使えるのでワンチャンス……(言い訳)

追記
デュエル内容修正しました


【誰とも戦ったことのない影霊衣】
作成者:栞
モンスター
《マンジュ・ゴッド》×2
《センジュゴッド》×1
《影霊衣の術師シュリット》×3
《影霊衣の舞姫》×1
《魔界発現世行きデスガイド》×3
《儀式魔神リリーサー》×1
《エフェクトヴェーラー》×2
《クラウソラスの影霊衣》×3
《ユニコールの影霊衣》×1
《ブリューナクの影霊衣》×1
《トリシューラの影霊衣》×2
《グングニールの影霊衣》×1
《ヴァルキュルスの影霊衣》×2
《ディサイシブの影霊衣》×1
魔法
《増援》×1
《影霊衣の反魂術》×1
《影霊衣の降魔鏡》×3
《影霊衣の万華鏡》×3
《ブラックホール》×1
《ハーピィの羽箒》×1
《儀式の準備》×1
《月の書》×1
《簡易融合》×1
《貪欲な壷》×1

《激流葬》×2
《神の宣告》×1
エクストラ
《フュージョニスト》×1
《虹光の宣告者》×1
《星態龍》×1
《FGD》×1
《旧神ノーデン》×1
《E・HERO CORE》×1
《E・HEROエリクシーラー》×1
《No17リバイスドラゴン》×1
《No30破滅のアシッドゴーレム》×1
《No39希望皇ホープ》×1
《SNO39希望皇ホープONE》×1
《SNO39希望皇ホープ・ザ・ライトニング》×1
《深遠に潜む者》×1
《励輝士ヴェルズビュート》×1
《ダイガスタ・エメラル》×1

サイドデッキ
《幽鬼うさぎ》×2
《エフェクトヴェーラー》×1
《サイクロン》×3
《暗闇を吸い込むマジックミラー》×2
《閃光を吸い込むマジックミラー》×2
《システムダウン》×3
《縮退回路》×2
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