更新が遅れる予感がありありとします。
「私のターン――」
「オレのターン!」
「俺のターン!」
指先に感覚を集中する。
ドローの極意はただ、受け入れること。
人事を尽くして天命を待つ――。
「「「ドロー!」」」
(これですっ!)
最良の手ごたえ、ほしかったものがそこにあるという確信。
そして私はそれを掴み出す――!
「――よし、鮭パンでした」
「オレは黄金の卵パンだぜ!」
「俺は……ううむ、DHAたっぷり鰯パン……」
昼食時、アカデミア唯一の購買。
レッドやイエロー、ブルーの生徒たちが唯一同じご飯を食べるのが昼食時だ。
ほぼ学園全員の生徒がひしめく購買はいつもどおり大盛況であった。
「――ううむ、やっぱり鮭パンは良いですね」
紙袋から適量取り出し、一口かじる。
少し硬めで胡麻を塗し、オリーブオイルで艶をつけたパンに、スモークで水分を抜いた鮭の塩気、薄皮を取ったオレンジの甘み、モッツァレラチーズのコクが絶妙のバランスだ。パンの間に塗られた芥子や緑の色合いの濃いレタスも良いアクセントになっている。ジェノサイド級の旨さとたまに言われているだけある。ちなみに男子に人気のタルタルフライ鮭パンもあるそうだ。
私達が食べているのはアカデミア名物、ドローパンだ。
ドロー力向上というデッキ開発に対する熱意とは何か別次元の方向に走った目的を兼ねた学生達の昼食である。
日に一つの当たりである黄金の卵パン20連勝という前人未到の記録を持つ十代には及ばないが、好きなパンを連続で当て続ける私の運もそれなりに良い様だ。
「遊崎はいつもそればかりだな。サモン、サーモンっ!てところか」
「三沢……」
「寒いぜ……三沢……」
「い、いいだろ別に。ちょっとしたジョークだジョークっ!」
「……」
「そんな目で俺を見るなあっ!?」
昼食を食べながらくだらない話で盛り上がる。
自分がそんなところに居るのが信じられず、私はたまに自分の頬を抓ることがある。
かえってくるのは鈍い痛みだけだ。
「――ねえ、栞」
「ウィンダ。どうしましたか?」
「いや、なんでもない。ちょっと呼んでみただけ」
ウィンダのほうを向くと、彼女は軽く目を背けた。
緑の髪に隠れて、彼女の顔は良く見えない。
ただ、彼女が少し不機嫌なのが不安だった。
(――しかし、何時になったら見えるのでしょう)
懐からデッキを取り出して眺める。
私が精霊を見るようになっても、未だに精霊を見ることのできないデッキが二つ。
【リチュア】と【影霊衣】のデッキ。
十代曰く精霊の力は感じるのだそうだ。
彼らは、いつか私の前に現れてくれるのだろうか――?
――
「制裁デュエル!?」
「ああ、二人とも聞いてなかったのか。この前廃寮に忍び込んだと言うことで、退学をかけてのデュエルだ――君たち二人がやらなければならない」
「初耳です……」
「遊崎は保健室で寝ていたからだろう。十代は知らないが……」
三沢のセリフに思わず頓狂な声を上げる私と十代。
私以外にも明日香さんや翔君、隼人君が居たはずだが、私達だけがこの制裁を受けなければいけないらしい。
難しい顔をしている私を尻目に、十代はニコニコ顔だ。
デュエルが出来る、しかも強敵とあれば燃え上がる。それが遊城十代という男だ。
「制裁デュエルかぁ!どんな相手なんだろうな!」
「何でも、プロのデュエリストが相手だそうだぞ――中々厳しいんじゃないのか?」
「かえってワクワクしてきた!よしっ!今からタッグの練習だ!栞!」
「はにゃ!?」
ずるずると引きずられながら購買を後にする私と十代。
その姿をみて、苦笑する三沢とウィンダ。
アカデミアでの生活をかけたデュエルの準備が始まった。
――それから毎日デュエルをし続け、そのたびに気絶。出席日数がさらに危険水域に達しクロノス教諭から呼び出しを喰らうのはあとの話である。
――
「我ら迷宮兄弟!」
「タッグデュエルの真髄をお見せしよう」
制裁デュエル、私達の前に現れたのは迷と宮、二つの文字を頭に書いた男達だった。
迷宮兄弟。
かつてデュエリストキングダムでキングと凡骨を相手に戦った伝説のデュエリストだ。
伝説の登場に場内が沸きあがる。
校長はサインを求めて色紙を持ってくる始末だ。
「さあ、制裁デュエルの始まりナーノ!」
対する十代はいつもどおりの笑顔だ。
私も気を引き締めて彼らを見据える。視界の端に応援してくれる明日香さんや三沢、将君や隼人君が見えて、心強い。
「デュエル!」
迷宮兄弟
LP4000
十代&栞
LP4000
「私のターン。兄者よ。まずは準備だ。まず《天使の施し》で3枚ドローし2枚を墓地に送る。その後、《冥界の宝札》を発動してから《フォトン・サンクチュアリ》を発動してフォトントークンを二つ、我が場に召喚する!」
宮の発動したカードにより二体のトークンが即座に現れる。
攻撃こそ不可能だが攻撃力2000のトークンという破格の存在に場内が沸く。
フォトントークン
ATK2000 DEF0
「この程度で驚くのはまだ早いぞ諸君!二体のトークンを生贄に現れろ《雷魔神サンガ》!そして《冥界の宝札》の効果で二枚ドロー!」
雷魔神サンガ
ATK2600 DEF2200
トークン召喚から強大なモンスターを召喚。
しかも手札消費は《冥界の宝札》によって殆どなし。
お手本のようなタクティクスに、クロノス教諭がにんまりと笑っている。
「カードを4枚伏せてターンエンドだ」
「へへっ!やっぱデュエルはこうじゃないと!オレのターン!ドロー!」
「ストップだ!トラップ発動。《ダストシュート》――相手の手札を見て一枚をデッキにバウンスする……ふむ。HERO融合デッキか。モンスターは二体……では《バースト・レディ》を戻してもらおうか」
ピーピング、そしてバウンスによるハンデス。
手札が4枚以上、さらに落とせるのはモンスターのみと言う限られた状況のみだが《ダストシュート》は強力なカードだ。
私の居た世界では禁止カードとなった『ハンデス三種の神器』の一角は伊達ではない。
「ちぇ……モンスターをセットして、カードを2枚伏せてターンエンドだ」
初手から融合を狙っていたのであろう十代がむくれた顔になる。
伏せているモンスターは……《E・HEROクレイマン》。
DEF2000は上等の部類に入るが最上級相手では紙に等しい。
どうにかして突破法を考えなければ。セットカードの内容を見つつ私は考える。
「私のターン、ドローだ。」
「さあて兄者!受けとれい。《雷魔神サンガ》のレベルを2下げて、墓地の《レベルスティーラー》2体を蘇生させる!」
「すまんな弟よ。これで準備は整った!私は《二重召喚》を発動する」
レベル・スティーラー
ATK600 DEF0
地面から這い出した天道虫型の機械が二体揃う。
最上級モンスターに必要な生贄は二体。さらに《レベル・スティーラー》の無限ともいえる蘇生能力と召喚権の増加。
(まさか、一ターン目で呼ぶつもりですか――!?)
私が思い浮かべているのは《sophiaの影霊衣》と並ぶ11レベルモンスター。かつては手札で持てる最上位として8年もの間君臨してきたモンスターである。
「さあ行くぞ!二体の《レベル・スティーラー》を生贄に現れよ《水魔神スーガ》!《冥界の宝札》で二枚ドロー!さらに《水魔神スーガ》のレベルを2下げて《レベル。スティーラー》を二体蘇生!この二体を再び生贄として《風魔神ヒューガ》を召喚!二枚ドロー!」
水魔神・スーガ
ATK2500 DEF2400
風魔神・ヒューガ
ATK2400 DEF2200
再び行われる最上位モンスターの召喚。しかも事前の準備によって手札は7枚まで増えるという暴挙である。
「最上位モンスターが三体……!」
十代が苦々しく呟くが、そこで終わりではない。
手札が七枚あれば、彼は確実に引いているだろう。
「さあ行くぞ!私は三体の魔神を合体しこのカードを召喚する!現れろ――《ゲート・ガーディアン》!」
ゲート・ガーディアン
ATK3750 DEF3400
三色の色を持つ異形の巨人が顕現する。三体の魔神を生贄にしてのみ召喚できるレベル11モンスター。特別な効果こそ持たないものの、素で最強クラスの能力を持つ。
「私はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
「私のターン。ドロー」
手札を見つつ、状況を確認する。
儀式召喚を行って一気に決めたいところだが、相手の伏せカード、手札ともに潤沢。
何らかの妨害があると見て良い。
とはいえ、攻めないと言う選択肢はない。攻めなければこちらがやられる。
「まずは速攻魔法《サイクロン》で《冥界の宝札》を破壊します」
「そう簡単にやらせはせん!トラップ発動!《魔宮の賄賂》!《サイクロン》を無効化する」
「でも私は1枚ドローできます――私は……」
「ふふ、これで《サイクロン》は手札から消えた!チェーンしてトラップ発動《スキルドレイン》!――この罠は1000LPはらって発動できる。すまんな、兄者」
「いいって事だ弟よ。そしてこの永続罠がある限り場のモンスターは効果を発動できない!」
迷宮兄弟
LP4000→3000
(……これは、不味いですね)
私の影霊衣、十代のHEROはどちらも効果を駆使して戦うモンスターたち。
それらの効果での除去が難しくなると《ゲート・ガーディアン》の打点3750が重くのしかかってくる。
「私はモンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンドです」
このターンから攻撃できるとは言え、今は《ゲート・ガーディアン》の攻撃力を抜く方法がない。私はターンを終了する。
「せっかく攻撃できるというのに消極的なターンだな……ふふ、そうだろうとも。このペガサス様からもらった《ゲートガーディアン》を越えるモンスターはいるまい!私のターン!ドロー!……まず《ゲートガーディアン》のレベルを2下げて《レベル・スティーラー》二体を再び召喚!さらに二体を生贄にささげ《雷魔神サンガ》を召喚!《冥界の宝札》の効果で二枚ドロー!」
雷魔神サンガ
ATK2600 DEF2200
「バトルフェイズだ!このタイミングで兄者が伏せていたトラップカード、《メテオ・レイン》を発動する。使わせてもらうぞ、兄者」
「いやいや、かまわない。――このカードは自軍モンスターに貫通効果を付与するカード!ハンパな防御は無駄と知れ!」
「――さあ、《ゲートガーディアン》で小娘のモンスターを攻撃!『ゲート・デストラクション』!」
「ぐ……うっ……!伏せていたカードは《儀式魔人リリーサー》です」
《儀式魔人リリーサー》
ATK1200 DEF2000
栞・十代
LP4000→2250
「さらに《雷魔神サンガ》で小僧の伏せカードを攻撃だ!」
「ぐ、ぐああっ!」
《E・HEROクレイマン》
ATK800 DEF2000
栞・十代
LP2250→1850
二体の最上級モンスターによって一気に場が空けられる。
だが、この程度で終わる十代ではない。
「トラップ発動!《ヒーローシグナル》だ!栞!デッキにHEROは入ってるよな!」
「はい。私は《E・HEROシャドー・ミスト》を特殊召喚します!」
E・HEROシャドーミスト
ATK1000 DEF1500
呼びかけに応じて現れたのは闇のHERO。
本来はすぐにマスクを呼び出せるのだが、《スキルドレイン》の中ではそれが出来ず苦しげな姿を晒していた。
「――ちっ、壁を呼んだか。私は魔法カード《闇の指名者》を発動。効果により兄者の手札に《地獄の暴走召喚》を加えてターンエンドだ」
「オレのターン!――ドロー!」
相手の場には圧倒的なモンスター。そしてトラップ。
対するこちらの場はほぼカラ。そんな状況でも十代は笑う。
どんな状況でもデュエルを楽しむこと。それが彼の強みだ。
「オレは《強欲な壷》を発動!二枚ドロー!さらに《天使の施し》で三枚ドローし二枚捨てる!――よし!魔法カード《サイクロン》だ、《スキルドレイン》を破壊するぜ!」
「チィッ!」
暴風が吹き荒れ、私達を苦しめていた永続罠が吹き飛ばされる。
あとはHEROを呼び込むだけ。
「さらに墓地に居る《E・HEROネクロダークマン》の効果を発動!レベル5以上のHEROを生贄なしで召喚だ!来い《E・HEROエッジマン》!」
E・HEROエッジマン
ATK2600 DEF1800
「高レベルモンスターを呼んだか、だが攻撃力はこちらが上!」
召喚された刃の英雄に対し、叫ぶ迷宮兄弟の兄――迷。だが、その台詞は十代にとってフラグでしかない。
「それはどうかな!魔法カード《H‐ヒートハート》を発動して《E・HEROエッジマン》の攻撃力をこのターンの間500アップ!そして、HEROにはHEROの活躍する舞台がある!フィールド魔法《摩天楼‐スカイスクレイパー》発動!」
天を衝く摩天楼の群れ。
その頂点に刃の英雄が立ち、眼下の巨人を見据える。
「攻撃だ!《E・HEROエッジマン》で攻撃だ!『パワー・エッジ・アタック』!」
「何ぃ!?攻撃力の低いモンスターで攻撃だと!?」
「《摩天楼‐スカイスクレイパー》このカードはE・HEROと名の付くモンスターが攻撃力の上のモンスターを攻撃するとき攻撃力が1000アップする!」
E・HEROエッジマン
ATK2600→3100→4100
「――攻撃力4100だと!?」
「よしっ!行け十代!」
「アニキはやっぱり凄いや!」
刃の英雄の一撃が巨人を貫く。
サイバーエンドを超えた火力に生徒達から歓声が上がる。
迷宮兄弟
3000→2550
「《E・HEROシャドーミスト》を守備表示に変更!オレはこれでターンエンドだ」
「ふふ……私のターンだな。ドロー!……お前達は《ゲートガーディアン》を倒したことで喜んでいるようだが、それは大いなる間違い!見せてやろう我らの本当のエースを!」
「兄者!やるつもりか!」
「応よ!私は《愚かな埋葬》を発動し《ファントム・オブ・カオス》を墓地に送る――さらに弟が伏せていた《リビングデッドの呼び声》で即座に蘇生!さらに弟が私に託した《地獄の暴走召喚》でデッキから3体を場に召喚!」
ファントム・オブ・カオス
ATK0 DEF0
「だが!《地獄の暴走召喚》の効果で《E・HEROエッジマン》を二体召喚するぜ」
「ふふふ……その程度、我らの前には塵芥に過ぎん!《ファントム・オブ・カオス》のモンスター効果発動!墓地のモンスターと同名のカードとなり同じ攻撃力と同じ能力を得る!私が選択するのは《雷魔神サンガ》《風魔神ヒューガ》《水魔神スーガ》の三体!」
現れたのは輪郭の曖昧な闇。
その闇が集い、三つの箱が場に出現する。
「さあ、三体の生贄は整った!《ファントム・オブ・カオス》を生贄に現れろ《ゲートガーディアン》!」
ゲート・ガーディアン
ATK3750 DEF3400
「また出現しましたか――!」
「その程度では終わりではない!――私は《ダークエレメント》を発動。このカードは墓地に《ゲートガーディアン》が存在するときに発動できる!LPを半分支払い私はこのデッキ最強のエース、《闇の守護神‐ダーク・ガーディアン》を特殊召喚する!」
闇の守護神‐ダーク・ガーディアン
ATK3800 DEF3700
迷宮兄弟
LP2550→1275
「攻撃力……3800!」
「そして《死者蘇生》を発動!蘇れ《ゲート・ガーディアン》!」
ゲート・ガーディアン
ATK3750 DEF3400
立ち並ぶ三体の巨人。
その迫力に私は一歩後ずさってしまう。
「ふふ、怖気づいたか小娘!――バトルフェイズだ!《雷魔神サンガ》で《E・HEROシャドーミスト》を破壊!」
「《E・HEROシャドー・ミスト》の効果発動!オレの手札にHEROと名のつくモンスターを一体加える!」
「それがどうした!三体のガーディアンで《E・HEROエッジマン》を攻撃!『トリプルゲートデストラクション』!」
栞・十代
LP1850→1700→1550→1350
「……ぐ……ですが、タダではやられません……!三体目の攻撃にトラップを発動します《ヒーロー逆襲》!」
「このカードは、E・HEROと名のつくカードが破壊されたとき、相手は手札を選び、それがE・HEROだった場合そのモンスターを特殊召喚し、さらに相手の場のカードを破壊するカードだ!……とはいってもオレの手札はさっき加わったこの一枚だけ。《E・HEROフェザーマン》だ!効果で《ダーク・ガーディアン》を――」
「速攻魔法発動!《禁じられた聖衣》により《ダーク・ガーディアン》を破壊から守る!」
「じゃあ《雷魔神サンガ》を破壊だっ!『フェザー・ブレイク』!」
E・HEROフェザーマン
ATK1000 DEF1000
英雄が風を起こし、相手モンスターを吹き飛ばす。
周囲はなぜ攻撃力の低いモンスターを破壊したのかと疑問の顔だが、それで良い。
十代が私のほうをちらりと見る。
恐れている暇はなかった。
ただ、前を向いて戦えば良い。
「ちっ……私はカードを1枚セットしてターンエンドだ!」
「私のターン――」
相手の場には巨大なモンスター3体。
だが、十代のおかげで邪魔な《スキルドレイン》はなくなった。
「ドロー!」
手札を確認し、場を見据える。
――このターンで終わらせる。
「私は《ブリューナクの影霊衣》を手札から捨て《クラウソラスの影霊衣》を手札に加え、さらに《クラウソラスの影霊衣》を手札から捨て《影霊衣の降魔鏡》を手札に加えます。そして《E-エマージェンシーコール》で《E・HEROブレイズマン》を手札に加えます」
手札を整え、展開の準備。
十代が相変わらず長いな、と苦笑しているのが見える。
「魔法カード《死者蘇生》を発動。墓地から《E・HEROシャドーミスト》を蘇生し手札に《マスク・チェンジ》を加えます。さらに《E・HEROブレイズマン》を召喚して手札に《融合》をサーチ」
E・HEROシャドーミスト
ATK1000 DEF1500
E・HEROブレイズマン
ATK1200 DEF1800
「何だ、小さなモンスターを並べているだけではないか!」
「恐れをなしたのだろう。気にするな兄者!」
迷宮兄弟の二人はまだ気にしていない、と言った顔だ。
ビートダウン主体のこの世界では打点こそ命。中々効果モンスターに目が行かないようだ。
……とはいえ《スキルドレイン》を使っていたと言うことは辛酸を舐めさせられていた可能性が高いが。
「私は《影霊衣の降魔鏡》を発動!墓地の《ブリューナクの影霊衣》と《儀式魔人リリーサー》を生贄に《トリシューラの影霊衣》を儀式召喚。場の《ダーク・・ガーディアン》、迷さんの手札、墓地の《レベル・スティーラー》を除外します」
「何!?」
氷の剣を持った戦士が現れ、巨大なモンスターを砕き散らす。
たとえ耐性を持っていようと対象を取らない効果には無力である場合が多い。しかも除外であればなおさらだ。
「さらに手札より《融合》を発動!《トリシューラの影霊衣》と《E・HEROブレイズマン》を融合して《E・HEROアブソルートZERO》を融合召喚!そして《マスクチェンジ》を発動して《M・HEROアシッド》に変身させます」
E・HEROアブソルートZero
ATK2500 DEF2000
M・HEROアシッド
ATK2600 DEF2100
現れた氷結の英雄、だがそれを私はすぐに素材にする。
ギャラリーからは疑問の声だ。攻撃力はたった100しか上がらず、《摩天楼―スカイスクレイパー》の強化を受けなくなる。かえって弱体化だと笑う人もいた。
「――《E・HEROアブソルートZERO》の効果発動。このカードは場から離れたとき相手の場の全てのモンスターを破壊します。さらに《M・HEROアシッド》は召喚されたとき相手の場の魔法・罠を全て破壊します!」
「なんだと!?」
だが、その直後に吹き荒れる吹雪、そして酸の雨によってその疑問は打ち消される。
残されたのはまっさらなフィールド。
巨大なモンスターたちは影も形もない。
「《M・HEROアシッド》で攻撃――!『acid rain』!」
「「ぐああああああっ!?」」
迷宮兄弟
LP1275→0
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
決めポーズを決める十代に、私は笑みを浮かべる。
急造タッグにしては、なんとか戦えたようだ。
「十代、ありがとう御座いました」
「こっちこそ!楽しいデュエルだったぜ!」
意識が遠くなる。
白くなっていく。
このまま、楽しいデュエルができればいい、そんなことが意識を失う前の私の最後の思考だった。
スカイスクレイパーはアニメ効果です。
シンクロの新しいパックが夏に出るらしいですね。
《ヘルウェイ・パトロール》のキャードが再録すれば満足できそうです。