次の日 慧音の家
宴会まであと2日
「うーん・・・」
「どうした慧音、頭を抱えて何を悩んでる?」
紅魔館での出来事から次の日に珍しく慧音は頭を抱えるほど悩んでいた
あの後、何事も無く慧音の家に帰ったらかなり焦りながら何もなかったかと聞いてきた
とりあえず少し話をした程度だと言ったら、安心したように落ち着いた。一体どうしたのだろうかと思ったが深く聞くことはやめておいた
「あぁ、ガスコイン。実は宴会に誘う者で悩んでいる者達をがいてな・・・太陽の畑に住む風見幽香と天界の者なのだが」
「何かやばいのか?」
「少々性格に難ありというか・・・」
「慧音が宴会に招待しようと思う者たちなら、俺は構わない。前に言った様に興味が無ければ好きにさせればいい」
「そうだな、そうするとしよう・・・・天人に関しては勝手に来るかもしれないしな」
悩みが解決し、いつもの調子に戻った慧音。しかし、一体どれほど力がある勢力がいると言うんだ?
下手したら博麗神社では収まらないのではないのだろうか?まぁ、俺が気にする事ではないが・・・
「すみませーん!文々。新聞記者、射命丸文ですが、ガスコインさんはいらっしゃいますか?」
「む、天狗が来たか。俺が出よう」
「分かった」
玄関からこの前に出会った射命丸文と言う烏天狗の声が聞こえてきた。彼女には前に取材をしたいという話があり、幻想郷の住人たちにこの先訪れる獣どもの対処などを新聞にまとめ公表するらしい
あと、個人的な取材をしたいらしいが俺などを公表してしまったら宴会の意味がなくなる気もするが・・・
「よく来たな。取材に来たんだろう?」
「はい。今日はお願いしますね」
「あぁ、とりあえず中で取材とやらをするとしよう」
射命丸を中に入れ、居間に案内した
射命丸の手には既にメモ帳とペンを持ってやる気まんまんな様子を見せていた
「いらっしゃい文、ゆっくりして行くといい」
「はい慧音さん、ではさっそくお願いします」
「答えられる範囲でな」
取材が始まった。最初に聞いてきたのは獣の特徴やら対処法やらだ
特徴と言っても獣にも色んな種類がいる。紅魔館に向かう道中で相手をした人型の獣憑き、動物では狼や烏、巨大な人喰い豚などもいたり、もはや人とも動物とも思えない異形の姿をした奴ら、基本的にそういった数が多く存在する獣どもは「闇に潜む者たち」と呼ばれたりする
一匹一匹の力はそこまでではないが群れると厄介な獣ばかりだ
基本的に奴らは外を徘徊するが建物内に自分から入ろうとはしない、主に外に出ている人間を狙っている
「なるほど、つまり大抵は外出しなければ襲われはしないんですね」
「俺が居たヤーナム市街の住民たちはそうだったが、ここではどうだろうな。だが、戦えない者はそうする以外他に手はない」
「では妖怪はどうしたらいいんですか?」
「人間より力がある妖怪なら普通に戦っても問題はないが、相手が数十に群れていたら一人で戦うことは控えるべきだ」
「ふむふむ、書く事が多いけどこれはいい記事になりそうですね」
「・・・それと一つ頼めるか」
「はい、なんですか?」
「幻想郷に俺以外の狩人が現れた時だ、もし話も通じず妖怪さえも狩るような者が現れた時は・・・迷わず殺せと新聞に書け」
「っ・・・」
俺の言葉に射命丸は少なからず反応した。いきなりこんな事を書くように言われれば無理もない
「ガスコイン!もしそんな事を書けば妖怪たちは容赦無く殺そうとするぞ!妖怪たちも話が通じない奴だっているんだ!」
「狩人たちは獣を狩り、奴らの血を自分の力にする。人によるが下級妖怪程度なら苦もなく殺せるだろう・・・幻想郷に来た狩人が俺の様に狂っていない事を願いたいものだ」
狩人だった俺でさえ獣の病に侵され、おかしくなっていた。この幻想郷に来てから血に飢える事もなくなり獣の病からも逃れられた
「・・・出来れば、あまり血なまぐさい事は書きたくはありませんが仕方ないですね。その辺もできる限り抑えて書いておきますね」
「すまない」
「いえいえ、問題ありません。では、次はガスコインさんの取材にうつりますね!」
「あ、あぁ・・・」
俺自身の取材に入ってから随分と元気になった。しかし、ただの狩人でしか無い俺に取材などなんの得があるんだ?
とりあえず、聞いてきたのは年齢、趣味、特技など最初は普通の質問から幻想郷に関しての感想、人里ならびに慧音の家に居候している理由も聞かれた
「ふむふむ、これだけで十分ですね。ご協力、ありがとうございました!」
「・・・あぁ」
やっと解放された。聞いた事を答えるだけだと言うのに何故取材とやらはこんなに疲れるんだ
出来れば、2度目がない事を願う
「文、取材が終わった所申し訳ないがお願いがあるんだ」
「はい?なんですか?」
「この招待状をとある場所に届けてくれないか?」
そう言って1枚の招待状を渡す慧音
「えっと・・・風見さんのとこですか?」
「あぁ、いつも通っている花屋の店主に頼むのも考えたが、最近人里へ来ないらしくてな・・・文には悪いが是非頼む」
「まぁいいですよ。最近人里に来ないというのは知ってましたし、ちょっと様子を見る程度に見に行ってみようかと思ってましたから」
「済まないな」
「大丈夫ですよ、では行ってまいります!」
ヒュン!
射命丸は招待状を持って風見幽香の元に向かっていった
その頃
天界
射命丸文のような烏天狗が住まう妖怪の山の上空を昇っいけばたどり着けると言われている場所
天界とは詰まるところ理想の具現であり、厳しい修行を積み「天人」として相応しくある人間の為に用意された異界
そんな天界を歩く二人の女性
「あーあ、退屈。久しぶりに地上に行こうかしら?」
「総領娘様、わざとだとしても私の前でそう言った冗談はおやめください」
はぁ、とため息を吐きながら呟く女性
総領娘様と呼ばれた少女は比那名居天子
比那名居家の長女、比那名居家は元々「名居」の一族に仕える神官の一族であった
天子は人間から天人となった存在。上記の様な天人としての格を備える修行をしたわけではない為、比那名居の一族からは「不良天人」などと呼ばれている
その後ろをついて行く大人びた女性は永江衣玖、彼女は天人ではなく竜宮の使いと言う妖怪
天人の召使のための妖怪ではないが、天人に対しては敬称で呼んだりと上下関係のようなものはあるらしい。今は比那名居天子のお目付け役として居る
「いいじゃない、最近は地上に行くことも無かったんだし。それに退屈なのよ此処は・・・ん?」
「どうしました?」
「あれって人?倒れているみたいだけど」
前方に横たわっている人影らしきものを見つけ、近づいて行った
「人間・・・なのでしょうか?しかし、だとしてもどうやってここに?」
「・・・ぅ」
「あっ、今唸った・・・衣玖、この人間を私の家まで運びましょう」
「またそんな勝手な事を」
「いいじゃない、これも人助けよ。逆に倒れてる人間をほったらかした、なんて方が天人の名を汚すでしょう?さっ、早く担いでちょうだい」
「わかりました、これ以上言っても聞き入れないでしょうし・・・よいしょ」
横たわっていた黄味がかった服装をした人間を背負い、天子の家に向かうことにした二人
「うぅ・・・ガ・・・・・・・イ、ン・・・・」
次回はガスコインさんは出ないです