獣になった神父狩人が幻想入り   作:BATTU

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平和と退屈

 

 

「幻想郷?」

 

 

「はい、外の世界で忘れ去られたものが流れつく理想郷とも呼ばれています」

 

 

総領娘、もとい比那名居天子との話が終わり、部屋に戻ってきた二人

 

 

とりあえず、ここがどこで何なのかを知る為に俺の事や居た場所などを先に話した

 

 

その後で返ってきたのがここは俺が居た世界とは別世界だと言う話だった

 

 

「わからない。確かに俺はヤーナム市街に居た、獣を狩り続けて、それで・・・・っ、それでどうしたんだ?」

 

 

過去の事を振り返ろうとした瞬間、一部の記憶が欠落していた。ガスコインと獣狩りをしていた時にあいつが病に侵されている事を知った後にガスコインと組むことを止め、その後は一人で戦い続けていた

 

 

だが、その先の記憶が無いのだ。獣を狩っていたのは確かだが、それ以上先は本当に思い出せない

 

 

「もしかしたら、あのスキマ妖怪が連れてきたんじゃないかしら?あいつならやりかねないし」

 

 

天子はスキマ妖怪が連れてきた犯人ではないかと告げた

 

 

「スキマ妖怪?何者だ?」

 

 

「この幻想郷の主で妖怪の賢者と呼ばれている大妖怪の一人で、名は八雲紫と言います」

 

 

「しかし、仮にその八雲紫と言う妖怪が原因だったとしても何故俺をこの幻想郷に連れてくるんだ」

 

 

「さぁ、あいつは気分しだいで適当な奴だから面白そうと思って連れてきたんじゃない?」

 

 

「・・・ハァ」

 

 

天子の予想を聞いて呆れしまいため息がでる、今は狩り装束でも無いので呆れている表情が人に見えているだろう

 

 

「とにかく、俺は今後はどうすればいいのだろうか」

 

 

問題はそこだ。どっちにしろ、俺は帰らなければならない、獣の夜を終わらせなければならない

 

 

それにガスコインの事も気がかりだ。あいつは大人しく俺の言う通りにしてくれただろうか?・・・いや、少なからず人の言う事を素直に聞くやつでは無かったからな

 

 

「やはり、元の場所に帰りたいですよね。帰れる方法はありますよ」

 

 

「本当か?」

 

 

衣玖から出た話に俺はすぐに反応した

 

 

「博麗神社にいる博麗の巫女にお願いすれば外の世界に出れる筈ですよ。もし良ければ私が案内致しましょうか?」

 

 

「衣玖が行くなら私も「総領娘さまは単に地上に行きたいだけですよね?」ナ、ナンノコトカシラ?」

 

 

衣玖の言葉に汗を流しながらしゃべり方がカタコトになる天子

 

 

「知らない事ばかりで口出しできる立場では無いが、別に連れて行くだけなら問題はないだろ?」

 

 

「ほ、ほらヘンリックだってこう言ってるんだからいいじゃない衣玖」

 

 

「・・・はぁ、分かりました。ですが、地上の方々に迷惑をかける事だけはしないでください」

 

 

「分かってるわよ」

 

 

「・・・分かっていないから言っているんですよ」

 

 

「・・・ふっ」

 

 

不意に笑みがこぼれた。こうやって他人と話すのはガスコインとヴィオラ以外では初めてだろうか、狩人になってからはただ寡黙に獣を狩る事しかしなかったからな

 

 

「ところで俺の装束は何処だ?出来ればそっちに着替えたい」

 

 

「たぶん今なら乾いてると思いますので取ってきますね」

 

 

そう言って衣玖は部屋を出て俺の狩り装束を取りに行った

 

 

「ねぇ、あなたの世界についてもっと教えてよ」

 

 

「・・・聞いてあまりいい話じゃないぞ?」

 

 

「いいわよ。私の退屈が少しでも紛れればなんだって構わないわ、この天界は平和過ぎて暇なのよ」

 

 

「平和なことに悪い事は無いだろ。確かにまだ若い君にとっては何もないのが退屈なのは分かるが」

 

 

「・・・ヘンリック、貴方から見て私はいくつに見える?」

 

 

「なに?」

 

 

いきなり天子は俺に意味不明な問を出してきた。自分が何歳に見えるかと

 

 

「貴方の予想でいいは言ってみなさい」

 

 

「・・・18くらいか?」

 

 

「あら、若いを通り越して幼いくらいね・・・まぁ、人間の頃を考えれば若いか」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「私はこう見えても百年以上は生きてるのよ。普通の人間の寿命より長く生きてるわ」

 

 

「・・・不老不死とでも言うのか?」

 

 

「まぁ、不老長寿ね。私達天人は不死ではないけど死神を追っ払う事で長く生き続けてるわ、まぁその行いの性で死神からはかなり嫌われてるけど・・・この天界は退屈な場所よ。何も起きない毎日、変わらない食事、やる事は勉強ばっかり、最初は良かったけど徐々に飽きてきたのよ」

 

 

「天人になる前と何も変わらなかったわ。比那名居家の長女として生まれてお嬢様だからとかで外に出る事もできない、家の中で遊んだって遊んでくれる相手がいなきゃつまらないだけ・・・退屈ばかりよ」

 

 

「・・・」

 

 

聞けば聞くほど羨ましい話だ。何もなく平和な場所で暮らせるその毎日に飽きたと言うのだから尚更だ

 

 

俺の世界に居る人間が聞けばどれほど羨ましく思い、どれほど天子の事を恨むだろうか。だが、それは生まれた世界が違っただけの事だ

 

 

同じ人間であっても住む国や生活によって価値観なんて人それぞれだ、だから俺はあえて何も言わなかった。言った所で虚しいだけだ

 

 

「・・・退屈しのぎになるかは知らないが話してやろう。俺が居た狂った世界の話をな」

 

 

俺は天子に自分が生まれた世界の事を話した。酷く残酷で血なまぐさい場を歩んできた話を・・・

 

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