目の前に立つのは忘れる事のない戦友であり、相棒
ガスコイン本人だ
「な、なぜお前が・・・こ、こに?」
「詳しい話は後だ。やれそうにないなら俺だけでやるがどうするヘンリック?」
「ふっ、多少ヒビが入っただけだ。俺はまだ、やれる」
ヒビを通り越して折れている筈のあばら骨の痛みを我慢しながら強気な言葉を相棒に放った
『ウオオォォォォォ!!』
ヘンリックとガスコインに向かって叫びながら黒獣は地を蹴り、二人に向かって飛びかかる
左右に離れて、黒獣の攻撃をかわしヘンリックは短銃に弾を込め、ガスコインは斧の仕掛けを作動し両手持ちになる
弾を込め終え、黒獣の後ろ足に狙いを定めて引き金を引くと同時にガスコインはもう片方の後ろ足に力一杯斧を叩きつける
斧の刃が骨を破砕し、弾が足の関節部分に直撃
黒獣は体勢を崩し、苦しむような悲鳴に近い鳴き声をあげる
「す、すごい・・・何なのあのコンビネーション」
天子の言葉に衣玖も二人の戦いに目を奪われていた
先ほどまで不利だった筈の状況があのガスコインという男が現れてから状況は一気にヘンリックの方が有利になっていった
「ウオオォォォォォ!!!」
しかし、黒獣はまだ倒れない
並みの獣よりも強大な力を持つ異形の獣、簡単に倒せないのは二人も分かっていた
バチバチッ!バチバチッ!
黒獣の体から蒼い雷光が全身の骨に迸る
また、雷光を纏った状態になろうとしていた
「同じ手は使わせるか!俺が行く!最後はお前が決めてくれ!ガスコイン!!」
「任せる!」
黒獣の体に飛び乗り、背中に引っ付いたヘンリック
黒獣は暴れて、背中に引っ付くヘンリックを振り落とそうとする
激しく揺れるなか、背から徐々に胸辺りに溜まる雷光の塊に近づいていく
あれを止めれば、雷光を纏うことを止め、雷光が霧散したショックに黒獣はもう一度倒れる
ヘンリックは雷光に向けて最後の弾が入った短銃の銃口を向け引き金を引こうとした瞬間
バチッ
「ッ!」
自分の体の中心から銃を持つ手に向かって、一つの電流が迸る感覚を感じ取ったヘンリック
そしてヘンリックの指は銃の引き金を引いた
バシュッ!!
銃口から放たれたのはただの弾丸ではない、雷光を纏った蒼い弾丸
黒獣が放つ雷光を纏い放たれた弾丸は蒼い閃光となり、雷光の塊を貫き、その直線上にもあった黒獣の顔をも貫いた
「ウオオォォォォォ・・・」
雷光は霧散し、ショックを受け地面に横たわる黒獣
「ガァッ!!」
体を獣に変え、両手で持つ獣狩りの斧をふり下ろすガスコイン
黒獣の首の骨を粉砕し、頭と胴体が離れた
「ウ・・・ウゥ・・・」
「グッ!」バキッ!
胴体から切り離された頭をガスコインは踏み砕き、黒獣は絶命した
「・・・ふぅ」
獣化を解き、横たわり空を眺めるヘンリックの側に近づく
「ヘンリック」
「・・・お前が何故此処に居て、この幻想郷に獣が居るのか疑問がつきないが・・・今は生き延びた事を素直に喜ぶとしよう」
「・・・ふっ」
ガスコインに向かって伸ばすヘンリックの手を掴み、ゆっくりと立たせたガスコイン
そんなボロボロになった二人の下に走る天子と衣玖、そして騒ぎを聞き付けてやってきた霊夢や慧音たち
ひとまず、彼らの戦いは幕を閉じた
とりあえず、黒獣パールとの戦いは終了
次の獣がでるのは当分先ですが、楽しみに待っていてください