あいつの罪とうちの罰   作:ぶーちゃん☆

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お待たせいたしました!
ついに本当にラストですっ!

どなたさまも、さがみんの最後の活躍をお楽しみくださいませ!


【後日談③】そして相模南は……

 

 

 

『……うちは、相模南は……奉仕部への入部を希望します……!』

 

 

 

そう。これこそがうちの結論。

正直声も足も超震えてる。今立ち上がったら、即コケちゃう自信があるくらいに。

 

うちがこの人達に受け入れられる訳ないもん。

でも……でもこれが相模南の答え……

 

「は?ちょ……ちょっと相模先輩。いきなりなに言ってんですか!意味分かりませんよっ」

 

ぐ……早速一色さんからの反対意見。

まぁそりゃそうだ。由紀ちゃん達から聞いた話では、この子にとってうちは仇みたいなものらしいし。

 

それでもうちの問題にまっすぐ向き合ってくれたのは、元来のこの子の優しさによるものなのだろう。

まぁこの子も同性には好かれないっぽいし、ほっとけなかったってのもあるのかな。

 

でもそれとこれとは全然別問題だもんね。

大好きな先輩を傷つけた敵が、よりにもよって仲間に入れてくれだなんて、うちだったら『こいつちょっと頭おかしいんじゃないの?』って思っちゃうだろうし。

それに……それとは別に、明らかにうちのこと警戒してるしね、この子。女として。

 

「大体ー、相模先輩って、不登校だった分の補習を毎日やってるんじゃないんですかぁ?入部したってここに来られる時間が毎日こんなんじゃ、入部の意味なくないですかぁ?奉仕部舐めてませんー?」

 

「いやおまえが言うなよ……」

 

「だってぇ!……ぶぅ〜っ!」

 

うわっ!噂には聞いてたけど、この子マジであざといっ!

たぶん比企谷以外なら簡単に落ちるんだろうなぁ……正直ムカつくけど可愛いし……

でも比企谷はそんなのに引っ掛からないっての!

 

い、いやだって!うちはこいつの黒歴史聞いてるから……ただそれだけっ!

 

「はいはいあざといあざとい」

 

ほらねっ!

ってなにはしゃいでんの!?

 

「あ……それなんだけど、平塚先生に許可は貰ってあるんだ。依頼が来ない限り、ここでは成績優秀者が二人も受験勉強してるから、一緒に勉強するのはうちの為になるんだってさ。だから奉仕部での部活動に限り、補習と同等扱いにしてくれるんだって!」

 

「なっ!?」

 

甘いよ生徒会長。それくらいちゃんと手は打ってあるっての!

それにしても、まさか比企谷が成績優秀者ってのはマジで驚いたけどね……

 

「おいおい……なにしてくれてんだよあの人……」

 

ちょっ!比企谷っ!なにその迷惑そうな顔っ!

マジでムカつく〜っ!

 

ぐぅ……でもここは下手(したて)に出なくちゃ……!我慢我慢っ!……今は。

 

「大体受験勉強っつっても、今うちは超問題児を一人抱えて吐血寸前だから、俺はもちろん雪ノ下もお前の面倒なんか見れねぇぞ」

 

「ひどいっ!?」

 

「大丈夫。うちこう見えて意外と成績いいんだ。勉強遅れてた分はこの二週間の補習でコツだけは掴んだし、あとはたぶん一人で取り戻せる。だから結衣ちゃんみたいにお荷物にはならないよ」

 

「ひどいっ!?」

 

大丈夫!入部するにあたっての問題点は無いようにしといた。

あとは部長の判断だけ……

 

満を持して口を開く部長。うちに、うちなんかにこの人に勝てるんだろうか……

 

 

× × ×

 

 

「相模さん。一つ聞いてもいいかしら」

 

「……うん。どうぞ……」

 

「私達はもう三年生であり受験生。本来なら部活動はそろそろ引退の時期でもある。そんな今、なぜ貴女は入部を希望するのかしら。今さら部活に入って、はたして貴女にとって何になるというの?確かにほぼ受験勉強をしているだけだし、それによって補習をしなくて済むというのならば貴女にとって都合がいいのかも知れない。だとしたらそれが貴女が奉仕部に入部したいという理由なのかしら」

 

 

凍らされてしまうのではないかと思えるような冷たい視線で威竦めてくる。

その表情には先ほど紅茶を淹れてくれた時の暖かさはもう微塵も感じられない。

 

分かってる。ここがあなたにとって、ううん?あなた達にとってどれほど大切な場所であるのか。

その大切な場所をそんなくだらない理由で穢されるのがムカついてしょうがないんでしょ?

 

 

雪ノ下雪乃。

うちはこの人をずっと誤解していた。ずっと勘違いしていた。

関わりを持つまでは。

 

どんな時でも冷静沈着で心を動かさない、冷たい完璧超人だとばかり思ってた。

でも実際は全然そんな事はなかった。

不仲の姉に対して嫌悪感を顕にし、比企谷の発言に大笑いし、うちの無責任な仕事の押し付けに無茶をして倒れ、そしてそんなうちを認め、やわらかい笑顔で紅茶をふるまってくれもする。

 

なんてことはない。普通の女の子なのだ。

ただちょっと優秀すぎるだけの普通の女の子なのだ。

 

だからこの威竦める視線は、ただ自分の大切な場所を守りたいって、ただ自分の大切なモノを馬鹿にするのは許さないって怒ってるだけの、普通の女の子の感情なんだ。

 

大丈夫だよ、雪ノ下さん。うちはそんな気持ちで奉仕部に入りたいってワケじゃないから。うちは……

 

 

 

「救ってもらえたから……比企谷に。この部活に。……だったら救ってもらえたうちには何が出来るだろうって。そしたらこれしか思い浮かばなかった。……救ってもらえたうち自身が、うちと同じように救いを求めてる人の手を掴むこと……救ってもらえたこのうちを、悩んでる人の為に役立てること。それがうちに出来る唯一の罪滅ぼしなんじゃないかって……」

 

 

うーん……なんかうち、この期に及んで綺麗事言っちゃってるな……

確かにその気持ちはすっごい強いけど、本音はもっと醜くてみっともないモノ。

 

たぶん雪ノ下さんにも比企谷にも見透かされてるだろうし、うち自身もこんな綺麗事だけの説明なんて望んじゃいない。

 

だからうちは本当の本音を語ろう。

 

「なんてねっ!ごめんね雪ノ下さん。こんな綺麗事じゃ、あなたの心にはなんにも響かないよね。………ぶっちゃけると、入部を希望するのは全部自分の為!このままじゃ納得出来ないから……自分に。……比企谷にはもうお前が罪を感じる事はないって言ってもらえたけど、うち自身は全然納得なんか出来てないの……ただ比企谷の言葉に甘えちゃうだけでいいの?って。うちはうち自身を納得させたい。うち自身を認めたい。罪滅ぼしする事で、うち自身を救いたい。……そんな……みっともない理由なんです」

 

 

自分で言ってて情けなくなるくらいに自分勝手だな……

自分を救いたいから他人を救う……なんつうエゴだよ……

 

でもそんなみっともない本音をブチ撒けたうちを、どうやら雪ノ下さんは受け入れてくれたみたいだ。

 

威竦める凍える視線は、その瞬間氷解するように暖かなものへと変化した。

 

 

「そう。貴女の気持ちは理解したわ。……ようこそ奉仕部へ。相模さん。貴女の入部届けを受理します」

 

 

「ありがとうっ!うち、頑張ります!」

 

 

 

相模南18歳。高校生活三年目の7月に、初めて部活に所属しました!

遅すぎでしょっ!

 

 

× × ×

 

 

「うぅ〜……眠っむ〜……」

 

ゆうべはなかなか寝付けなかった。

とにかく色んな事に興奮してたからなぁ〜……

 

ピアス眺めたりピアス付けたりピアス付けた自分を鏡に写してニヤついたり新たな黒歴史に悶えたりピアス眺めたり入部出来たこと喜んだりピアス付けたりピアス眺めたりニヤついたり……

 

いやいやいや!ピアスばっかじゃんっ!

そ、そりゃ確かにちょっと嬉しかったけどさっ……!

ちょっとだけよっ!?

 

 

うち……どうしちゃったの……?

 

 

うちは悶々とする気持ちを押し殺して、眠い目を擦りながら学校の支度をする。

 

顔を洗って制服に着替えて、髪をセットしメイクを済ませ、そしてピアスを用意する。

もちろんゆうべ大切にしまっておいたあのピアスだ。

 

「ひひっ!これ付けて部活行ったら、あいつどんな顔すんだろっ!?」

 

みんなに睨まれて居心地悪くてもじもじするんだろーなぁっ。

なかなか似合うんじゃねぇの?って、言ってくれるかな……?

 

ピアスを付けて鏡を覗きこむ。

ゆうべ何度も何度も見たのに、やっぱり可愛いな!このピアスを付けたうち♪

 

 

「比企谷の癖にこんな可愛いピアスくれちゃってさっ」

 

ニヤつく締まりのない顔を誤魔化すように悪態をついてみたけど、あんまり効果はなかったようだ。

 

 

 

よぉぉしっ!今日から部活、頑っ張るぞぉぉぉっ!

 

 

× × ×

 

 

あの日から1週間。

……………あれだけ張り切ってた奉仕部は、本当に受験勉強会だった……

いやホントによくこれで部活動を名乗れるよね……

まぁ勉強が遅れてる受験生としては、確かに助かりますけどね。

 

 

でも部活動初日は大荒れだったっ!

あのピアスを付けて部室に入ったうちを見て、みんな面白いくらいに固まっていた。

 

即逃げ出そうとした比企谷に一色さんが「逃がすかーっ!」とタックルをかまして逃亡を防ぎ、三人に囲まれる中でこのピアスを付けたうちに対する感想を発表させられてたりっ!

 

すっごい公開処刑だったよ。

まぁうちもちょっと恐かったけど、比企谷なんか真っ赤な顔でもういっそ殺してくれっ顔して

 

『ま、まぁ悪くねぇんじゃねえの……』

 

だって〜っ!

 

ムカつく事に可愛いとはさすがに言わなかったけど、あの日の出来事をまた黒歴史として胸に抱いて、毎晩ベッドで悶えやがれっ♪

 

 

「ねぇ比企谷〜、ここ分かる〜?」

 

「だから俺に数学聞いても分かんねぇっつってんだろ……雪ノ下に聞けよ」

 

「いやだって雪ノ下さん、さっきからこめかみに手を当てて唸ってるんだもん……」

 

うちはちょっと比企谷の耳元に顔を近付けて小声で問い掛ける。

よく分かんないけど、ドキドキして顔が超熱いんだけど!

隣の生徒会長がすっごい睨んでるけど気にしない気にしなーい。

 

「あのさ……ここだけの話……なんで結衣ちゃんウチに合格出来たの……?」

 

「いやそりゃ俺が知りたいっての。今や我が総武高校の七不思議の一つに数えられるほどの謎だろ」

 

「ぷっ!言えてるー!……ってかあと六個もどんな不思議が待ってんのよっ」

 

「え……?そりゃアレだよアレ……」

 

 

勉強の息抜きにそんなどうでもいい会話をしていた時、コンコン……と。

一瞬幻聴かと思われるくらいの小さな小さな音で、不意にその扉は叩かれた……

 

 

× × ×

 

 

恥ずかしいっ!うちちょっとビクッとしちゃったよ!

だって奉仕部に入部してからの一週間、ノックをする来客なんて一度も無かったんだもん。

 

つまりノックをしない来客なら良く来るんだけどね。生徒会長とか平塚先生とか。もっとも前者は来客ですらないですけどっ!

あ、あとたまに比企谷の妹の小町ちゃんが遊びに来るね。

なんか小町ちゃんてホント可愛いんだよね〜。マジで比企谷の妹なの!?って稀に思う。

 

「…………どうぞ」

 

おっと、思考が飛んでた!

雪ノ下さんがノックの主を招き入れる。

 

「……失礼します」

 

部室に入って来たのは、一年生とおぼしき可愛くて結構派手目な女の子だった。

雪ノ下さんに促され依頼者席に着くが、奉仕部の面々を見て一瞬ギョッとした。

 

そりゃそうなりますよね。冷静に考えるとなにこのメンバー!

なにも知らずに入ってきたら、うちでも逃げ出すわ。

 

「一年生……ね?今日はどういったご用件かしら」

 

最初はこのメンバーに萎縮していた一年生の女子も、覚悟を決めて語りだした。

 

「あの……平塚先生から紹介されて来ました……一年A組の千佐早智と言います。……あの……その……助けて欲しいんです……あたし……その……クラスでハブられてて……っ」

 

 

その瞬間、うちは背筋がゾワリとした。

初めての依頼……それはうちが自分自身と向き合うものだった……

 

 

× × ×

 

 

千佐さんの後悔の独白……顔が熱い。

下を向いちゃだめなのに、情けない事に顔を上げることが出来ない……

 

「あたし……中学の頃、わりと派手なグループの中心に居て、それが自信というか……ステータスっていうか……。だから高校に入ってからも、あたしはそんなポジションに居れるんだろうな……って勘違いしちゃって……入学早々調子にのっちゃってる振る舞いしちゃって……クラスの子たちからウザがられて距離置かれて………ハブられてっ………居場所もなんにも無くて……誰もあたしを見てくれなくて……もうあたしどうしたらいいのかっ……」

 

 

……なんてことだろうか……

今目の前で泣いているこの少女は…………うちなんだ。

 

調子にのって勘違いしてやらかして排除されて、誰も自分を見ても捜してもくれない……自分自身でさえも自分を見つけられない………あの時のうちそのもの……

 

 

うちは……この子から目を背けちゃいけない。この子を救えなきゃ、自分も救えない。

 

 

そして……うちが顔を上げると、みんなの視線が集まっていた事に気付いた。

比企谷も結衣ちゃんも一色さんも……そして雪ノ下さんもうちを見ていた。

 

「雪ノ下さん。うち、この依頼を受けてあげたいっ!」

 

真っ直ぐに雪ノ下さんの目を見つめ、そう宣言した。

 

「もちろん受けるつもりよ。貴女の初めての仕事ですものね。だからその言葉を待っていたわ」

 

優しげな表情でうちにそう答えてから、雪ノ下さんは千佐さんに向き直る。

 

「千佐早智さん。了解しました。その依頼受けましょう」

 

安心したように泣き続ける依頼人に、うちは声を掛けた。

 

 

「千佐さん、大丈夫。うちでさえなんとかなったんだから、奉仕部を、この人たちを信じてっ」

 

 

× × ×

 

 

「比企谷〜!ちょっと待ってよー!せっかくだからたまには一緒に帰んない?」

 

本日の部活を終え、駐輪場へと歩みを進める丸まった背中を追い掛ける。

 

「せっかくって何に対してのせっかくだよ……お前チャリだっけ?」

 

「違うけどさぁ……駅まで歩いてこうよ」

 

「やだよ、恥ずかしい」

 

………。

 

こいっつ!マジでムカつくっ!

うちと一緒に帰んのが恥ずかしいっての!?

 

「へー……美少女中学生と校門の前でイチャつくのは恥ずかしくないのに、うちと帰んのは恥ずかしいんだー」

 

超棒読みで言ってやった。

引きつってるコイツを見ると超楽しいっ。

 

「なっ……て、てめぇ……!」

 

「ほら、行くよー」

 

コラコラ、舌打ちしながら着いてくんじゃないってのっ!

ぶつくさ言いながらも、比企谷は自転車を押して一緒に歩いてくれる。

 

しばらく無言で歩いていたが、ちょっと気まずかったので声を掛けることにした。

 

「あの……さ、比企谷はさっきの子……千佐さんの依頼、なんかいい考えある?」

 

「さあな。てかさっき依頼受けたばっかで細かい内容もなにもまだ聞いちゃいねぇのに、いい考えもくそもない」

 

「そりゃそーだっ。でも……なんとかしてあげたい……」

 

なんとかしてあげたいだなんて、なんだか上から目線で偉そうだけど、そんなんじゃなくてただ単純になんとかしてあげたい……

 

「……ちょっと前までのお前と同じ目をしてたからか?」

 

「……まぁね。……ああ、この子はうちと一緒なんだなぁっ……て、思った」

 

「ったくよ……厄介ごと持ち込む代表みたいなお前が入部してきた早々こんな厄介な依頼とか……なに?お前コナンくんかなんかなの?」

 

なによ……厄介ごと持ち込む代表って……

 

「は?なに言ってんのか意味わかんないんだけど……キモっ」

 

「お前……キモいって言われる事がどんだけ俺の心を削り取ってると思ってやがる」

 

「うちもクラスで散々キモいだのなんだの言われたから知ってますけど?」

 

「なんでドヤ顔なんだよ……………ぷっ……」

 

「ぷっ!……あははははっ」

 

なにが可笑しいのか良く分かんないんだけど、なんだか二人して爆笑しちゃった!

ホント意味分からん!

 

 

「くくっ……ふぅ〜……んん!ん!……と、とにかく!うち頑張るから。あの子を救ってあげたい!」

 

するとこいつはニヤリと言う。

 

「お前自身を救う為にも……か?」

 

うっわ……なにこいつ……うちの新たな黒歴史を抉ろうと攻めてきてんの!?

……へー、だったらうちもアンタを抉ってやるよ。

 

「はいはい、そーですよっ。…………絶望を乗り越えて生きるっ!」

 

くくっ……ホント比企谷の死にたそうな顔は超〜傑作っ!

 

「てめ……グーグル先生で調べたんなら早く言いやがれよ……」

 

「いやー、比企谷超キザっ!…………絶望を乗り越えて生きるっ!!」

 

 

ちょっと!?無言で自転車に乗んのやめてよっ!

うちは比企谷を逃がさないように制服を掴む。

 

「離せ。俺はもう帰る」

 

「ごめんごめん!もう言わないから!……しばらくは」

 

「もう勘弁してください……」

 

そんなくだらないやりとりをしてたらもうすぐ駅だ。

このくだらないやりとりがなんだか楽しくって仕方ない……駅ってこんなに近かったっけ?

 

 

× × ×

 

 

さて、そろそろ駅か。正直名残惜しい。

「また明日」が遠い。

 

「あの……さ、比企谷」

 

「……あんだよ」

 

はぁ……まったく……なんだよコレ……

 

「あのさ、この依頼がうまくいってあの子を救えたらさ」

 

こんな気持ち、認めなくちゃなんないの?

 

「……一回ウチに来てくんない?」

 

「はぁ!?」

 

なんでうちともあろう者が……

 

「いやいやなんでだよ?なんでお前んち行かなきゃなんねぇんだよ……」

 

こんなやつに……

 

「うっさいな……仕方ないじゃん!お母さんがどうしても連れてこいってうるさいんだから!」

 

比企谷なんかに……

 

「余計意味分かんねぇよ!なに?お前の母ちゃん、俺を悶えさせて殺したいの?あんな話聞かれたお前の母ちゃんなんかに絶対会いたくねぇんだけど!」

 

こんなに幸せな気持ちにさせられるなんて。

 

「お母さんに恥ずかしい話聞かれたのはアンタだけじゃないっての!」

 

こんなに切ない気持ちにさせられるなんて。

 

「絶対嫌だ」

 

ったく……はいはい。もう認めますよ。

 

「へー……美少女中学生とはデートとか行っちゃうくせに、ウチには来れないんだー」

 

うちは……

 

「てめ……」

 

うちは比企谷に惹かれてる。

 

「奉仕部のみんなには黙っててあげてるんだから、これで決定ー」

 

こいつとこうしてバカ話してると堪らなく楽しい。

 

「お前……最悪だな」

 

こいつとこうして居ると、堪らなく嬉しい。

 

「へへっ!むしろ感謝しろっての!うちが喋ったら部室が地獄絵図になんだけどー?」

 

ま、仕方ないよね。お互いにあんなに恥さらしたんだし。

あんなに強いとこも弱いとこも……優しすぎるとこも目の前で見ちゃったんだし!

 

「いやマジで行きたくねぇよ……やっぱ入部を断固阻止すりゃ良かった……」

 

好きになるなっつう方が無理あるよね。

 

「アンタにはそんな決定権も立場も無いじゃん」

 

でもまぁ、この気持ちはこいつに伝える事はまず無いだろう。

 

「なにその腹立つ笑顔。どっかの生徒会長より悪顔なんだけど」

 

ライバルは強力すぎるし本人も壁高すぎだし……なによりも……うちにはその気持ちを伝える資格もないしね。

 

「ちょっとー……一色さんと一緒にしないでよ……うちあんなに腹黒くないっての!」

 

少なくとも、今はまだ……ね。

 

「いやいや思いっきり黒いだろ……黒くなきゃあんな目には合わないだろ」

 

だからとりあえずこの気持ちは封印しとこう!

今はそんな邪念は捨てて、とにかくやれる事を一生懸命やんなきゃね!

 

「いやいや比企谷それはひどくない!?……嗚呼……すっごく傷ついちゃったよ、うち……」

 

あの子を救って自分を救って、もっとこいつと一緒に歩いて存在を認識させて、せめてうちを少しでもこいつに認めさせて

 

「傷が痛すぎて、明日あたりつい口が滑っちゃうかもー」

 

叶わないまでもせめて自分の想いくらいはこいつに届けられるようになるまでは……頑張んなきゃね!

 

「なにその大根演技腹立つ。わーったよ……行きゃあいんだろ行きゃあ……あー……マジであんまお前の母ちゃんに会いたくねぇんだから、一回だけだからな……」

 

だからまぁ、んー……こういうのなんて言うんだっけ?

 

 

「はじめっから素直にそう言っときゃいいのよ!……………そいじゃあねー!また明日ー!よーしっ!明日から依頼がんばるぞー!」

 

「……へいへい、がんばれがんばれ。じゃあな……また、明日……な」

 

「うんっ!比企谷!また明日……ねっ!」

 

 

ああ、そうそう!アレだアレ!

 

 

 

 

 

 

 

 

そう!俺達の戦いはこれからだっ!!

 

 

 

なんちゃって☆

 

 

 

 

 







本編14話、後日談3話、計17話に渡る相模南の大冒険はこれで終幕となります!
皆さま、本当に最後までありがとうございましたっ(ノд<。)゜。


まさかこうして後日談を書ける事になるとは思わなかったので、後日談はかなり思い付きでなんとか筆を走らせてしまったんですけど、最後まで楽しんで頂けたのなら本当に嬉しいですっ!


さがみん好きの皆さまも、さがみんはあんまり好きじゃないけどちょっとだけ好きになれた皆さまも、やっぱりさがみんは嫌いだけど流れで最後まで読んでやったぜ!という皆さまも、本当に本当にありがとうございましたぁっ!
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