朝焼けの 山肌燃ゆる 寒空に 今よ飛び立て 白き翼よ
朝が来た。いい天気だ。
申し遅れた。私は提督の秘書艦を務める戦艦の長門だ。
私は朝から忙しい。書類を書き上げなければならないし、任務の管理だって私の仕事だ。よく提督からは身の回りの世話を頼まれたりするのだが、そんなことまで手が回らないほど忙しいのだ。いつのころからか、出撃する機会も減ってしまった。提督曰く、今は航空戦が主流の時代らしい。主砲で撃ち合うのではなく、遠距離から飛行機で攻撃するのが手っ取り早いということらしい。これも時代の流れか…。
これに追い打ちをかけるように、空母勢が装備開発に励み、空母全員に装備しても有り余るほどの烈風と流星改を手に入れた。こうしてより一層空母が強くなっていく。私たち戦艦だって負けていない。装備開発では46センチ三連装砲をいくつか開発することに成功した。さらに、金剛型、扶桑型に改二が実装され、格段に強くなった。そんな中、長門型はいつしか周りに遅れをとっているのではないか…と。
前置きが長くなった。私の鎮守府の紹介はこれくらいにして、朝の執務にあたらなければならない。提督の部屋に行こう。
「やあ。おはよう長門。」
「おはよう提督。今日の遠征は…」
「ちょっと待て。少し話したいことがあるんだけど…」
「どうした?提督。」
「実はだね。特別任務を発令することにした。セントラル海域の防衛なんだ。」
「ほう…了解した。それで、作戦の概要は?」
「大型艦を中心に12隻で主力艦隊を組み、さらに12隻で近隣海域の護衛と援護にあたってもらう。ここに詳細が書いてあるからさ。」
「ふむ…なるほど。では、早速皆に知らせなければ………んっ!?」
私は驚いた。主力艦隊の総旗艦が私だったからだ。それだけではない。主力第二艦隊の旗艦が陸奥であったのだ。
「長門、出撃してくれるね?」
「ようやく私の出番が来たか…待っていろよ!」
私はそう言い、陸奥がいる部屋へ走って行った。陸奥の部屋は私の部屋の隣だ。
ドアをノックするのも忘れ、私はいきなりドアを開けた。
「陸奥!出撃命令だ!」
陸奥は髪を乾かしていた。朝風呂にでも入ったのだろうか。
陸奥は驚いた表情をしている。
「あら。いきなり何かと思えば、出撃命令?ふぅーん…」
なんだ陸奥は嬉しくないのか。久々に活躍できる場を与えられたというのに。
「長門と一緒なら頑張れるわ。ふふっ」
そういって私に抱き付いてきた。おいやめろ。誰かに見られていたら恥ずかしいだろう…しかし、嬉しい。
「さあ、朝食にしましょう?食堂へ行きましょうね」
陸奥にそう言われ、我に返った私は、陸奥と一緒に食堂へ向かった。
食堂では数十人の艦娘が食事をしている。私は食堂の真ん中に立ち、言った。
「提督より出撃命令だ。期日は明日。至急出撃準備をせよ。ただいまより出撃する艦を読み上げる。まずは…第一艦隊旗艦!私だ!」
静寂に包まれた食堂で、少しざわめきが起こった。どうも話し声が聞こえるのは空母艦娘の方だ。無理もない。最近の旗艦はほとんど正規空母が務めていたからな。
「第二艦隊、旗艦、陸奥!」
そう言うと、私の隣にいた陸奥は、
「ふふっ。よろしくね」
と、微笑んで言った。
「支援第三艦隊、旗艦、金剛!支援第四艦隊、旗艦、比叡!」
そう叫ぶと、常にテンションが高い二人が勝手に盛り上がる。
「Year!ようやく私の出番デース!」
「気合、入れて、いきます!」
まったく……支援のほうが少々心配にはなるが、二人とも実力は十分だから大丈夫だろう。
「続いて、各艦隊を構成する艦を発表する。第一艦隊、飛龍、榛名、霧島、利根、筑摩!」
第一艦隊は飛龍、榛名を揃えるなど、運が高い艦隊となった。
「続いて第二艦隊!夕立、時雨、山城、扶桑、千代田!」
第二艦隊は時雨、扶桑、山城が揃った。これは提督が何か狙っているに違いない。
「支援第三艦隊!赤城、加賀、蒼龍、瑞鶴、伊勢!」
提督は何がしたいんだ。これは加賀が激怒するパターンだ。そう思い、加賀の方を見てみる。ああ、怒ってる。すごく怒っている。まずい。誰かが何とかしてくれ…
「第四艦隊!川内、神通、那珂、吹雪、大和!」
第四艦隊はなかなかすごいメンバーだ。川内型全員揃えるとは!それに大和とは何事だ。
「これより作戦の概要を発表する。今回の任務の目的はセントラル海域の防衛だ。皆も知っている通り、セントラル海域には油田があるが、近ごろ深海棲艦がよく出没し、タンカーなどを攻撃する事件が起こっている。今回の作戦では、深海棲艦の巣を潰し、さらにはタンカーの護衛にもあたってもらう。作戦内容は以上だ。何か質問のある者は…」
言い終わらないうちに加賀が、
「ちょっといいかしら。提督に艦隊の構成を見直すように進言してもらえないかしら?」
と、怒った声で言った。さてさて、どうしたものか…
今回の出撃は、きっと楽ではない。場合によっては最悪の事態も起こりうる……そんなことを考えながら、私と陸奥は食事のテーブルについた。間宮が注文を取りに来た。私と陸奥が食べるものはいつも決まっている。間宮には「いつもの」と言っておけば「いつもの」が出てくる。
しばらくすると、「いつもの」が出てきた。ご飯としじみ汁、漬物に納豆だ。パンやサラダを食べる艦娘もいる。しかし、私は洋食はあまり好まない。
隣に座っていた電が話しかけてきた。
「ひしょかんのお仕事、ご苦労様なのです。長門さんと陸奥さんはなんで毎朝決まったものを食べるのですか?」
「ははは……毎朝、いつものように、いつものものを食べるこの時間が…幸せなのだよ…」
…電には少し難しかったかもしれない。電はよくわからないような顔で、
「…大変そうなのです」
と一言。
食事が済むとすぐに提督の部屋に行った。陸奥も一緒だ。
…出撃は明日。各艦娘はそれぞれ艤装の手入れに忙しくなるだろう。
私はこれより提督と作戦会議だ。各艦隊の旗艦も出席する。
…この作戦が、無事に終わりますように。
そんな願いを込めて、私は空を見上げた。
編集後記
お読みいただきありがとうございます。
第一話、私の記念すべき小説デビューということで()。
文章のねじれ、わかりにくいところ等々あるかもしれませんが、その際は遠慮なくご指摘ください。これから頑張って書いていきたいと思います。
さて、本文の内容に関してですが、アニメ「艦これ」と、ゲームの「艦これ」を半分ずつ入れたような設定になっております。秘書艦「長門」目線で描いているのは、筆者が長い間Twitterにて、長門の「なりきりアカウント」を運営しているからです。(笑)
これからどうなるのか?私にもわかりません(本当です)
できれば次回もお読みいただけたら、と思うとともに、ここで筆を置かせていただきます。最後までありがとうございました。