純白の翼 -Wings of white-   作:秘書艦N

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~第一話のおさらい~

ある日、突然出撃命令を下された長門と艦娘たち。
長門はこの作戦の旗艦を任され、戦闘で指揮を執ることになった。
果たして、この作戦はどの方向へ向かっていくのだろうか…。


寒空に飛び立て

提督の部屋に陸奥とともに入った。少し遅れて、第三艦隊の旗艦、金剛と、第四艦隊の旗艦、比叡も入ってきた。いよいよ作戦会議の始まりだ。

まず、提督が重々しく口を開く。

 

「さて…揃ったようだな。今からセントラル海域防衛作戦、作戦会議を始める。君たち旗艦には…とても重要な役割がある。わかるな?」

 

この重々しい雰囲気を何とかしたかったのだろう。金剛が甲高い声で、

 

「もちろんデース!テートクをお守りすることこそ艦娘の役割デース!!」

と、空気を読まないというか…まあ、それが金剛だからな…。

 

提督は続けて、

 

「私を守る?ははは…とんでもない。私はむしろ君たちを守ってやらねばならない…それが提督というものだろう?」

秘書艦である私は、この言葉をいつも聞いていた。私が提督を信頼しているのもこれが理由かもしれない。

 

「それで…今回の作戦だが、まず第一艦隊と第二艦隊で深海棲艦の拠点の捜索にあたってもらう。また、航空母艦を中核とする第三艦隊の空母艦載機にもこの捜索には参加してもらう。他、第三艦隊と第四艦隊は付近を航行する貨物船の護衛にあたってくれ。」

 

ここまで言い終わると、比叡が、

 

「司令!食料なら比叡にお任せくださいっ!」

などと言う。嫌な予感しかしない。噂だが、比叡の作ったカレーは非常に味が悪く、もはや敵にカレーを投げつければ一撃で轟沈できる…なんて話が流れるほどだ。

 

しかし、提督は、

「よしわかった。そのあたりは比叡に任せよう」

 

うーむ…提督が艦娘を信頼するのは良いことだが…うーむ…。

 

それから、と提督は話を続けた。

「セントラル海域付近のセントラル諸島を航行していた貨物船からの情報なんだが…不思議な現象に遭遇したとの情報があった。長門の手元にその報告書がある。」

 

私の持っている作戦指揮書の中にあった。私はそれを読み上げる。

「二月二十二日…天気は快晴。時刻一一〇〇、三時方向に巨大な雲を発見…」

「一二〇〇、雲は本船に接近。突入止む無し…一二三〇、巨大な雲に突入、激しい雷雨、視程はほぼ0…」

「一三〇〇、突然砲弾が着弾、大破炎上…何物の砲弾かは不明…一三三〇、本船、轟沈…」

 

「というわけだ…私の予想だが、この巨大な雲の中に深海棲艦の巣があると思っている…しかし、この雲の中ではおそらく周りがほとんど見えないだろう…電探も役に立つかわからない…つまり、敵の位置がまったくつかめないということだ…」

 

提督はそう言い終わると、深いため息をついた。

「今回は敵の位置がわからない可能性があるという、これまでになかった厳しい戦いになるのは間違いない。しかし…この作戦を遂行しなければ、深海棲艦はますます勢いを増すだろう…」

 

すると陸奥が

「わかったわ。なら敵をおびき寄せるのはどうかしら?」

 

提督が答える。

「ほう…おびき寄せると。でも、どうやって?」

 

「簡単よ。囮よ。」

 

まさか陸奥から「囮」の話が出るとは…!

 

「ふふっ、誰かを囮にして沈めるわけではないわ。囮は偽物を作っておけばよいのよ。そっくりにね。」

 

なるほど、そういうことか…艦娘そっくりの偽物を浮かべておき、敵をおびき寄せ、その敵を挟み撃ち…というわけだ。

 

提督は笑顔になり、

「それは名案だ。早速、工廠に指示を出そう。」

 

と、早速工廠に連絡を取った。

その後、提督がさらに話し続ける。

 

「これは他の艦娘にも伝えてほしい。誰も犠牲になってはいけない。危なくなったら逃げろ。逃げることは負けじゃない」

「作戦が最優先ではない。命より優先されるものはない。」

 

こう提督がいうと、4人全員が「はい」と返事をした。

 

「…よし。ならば、君たちも明日の出撃に備えて、準備を進めてくれ」

そう言うと、提督は少し笑った。

 

そのあと、私は工廠に置いてある艤装を取りに行った。

すると明石が、

「長門秘書艦、しばらく使ってなかったせいか、主砲の調子が少々悪かったのです。修復しておきましたので、テストしてみてください!」

 

明石は頼もしい。明石に礼を言って、早速主砲を試し撃ちすることにした。

鎮守府には試し撃ちをするための設備がある。

私は久々に艤装を装着し、久々の感覚に戸惑いながらも、主砲の仰角を調整する。

艤装の調子は良い。明石のおかげだ。さて、久々に主砲に砲弾を充填し、射撃体勢に入る。ドンと大きい音。久々に撃った。なんともすがすがしい。

 

帰り際、明石に礼を言おうと思い、工廠に寄ると、先ほど注文した囮が完成しているようだった。

んっ…?なぜ囮のモデルが私なんだ。

「明石、あの囮のモデルは私か?」

「はい。長門秘書艦です。提督からのご指名です」

 

まったく…提督は余計なことをしてくれる。まあ良い。囮であれ、役に立つなら…。

 

 

 

 

…艦娘なら誰しもが持つ、闇の記憶。それぞれの海に沈んでいった、悲しみの記憶。

その悲しみの記憶を忘れることはできなくても、新たな姿となり、今、またともに戦うことができる………

悲しみの記憶を乗り越え、我々は、飛び立つ。




~編集後記~

第二話、読んでいただきありがとうございました。
ちょっとごちゃごちゃした感じは否めませんが、ストーリー的には狙い通りに進んできてます…!
次回はいよいよ出撃…と思いきや、もう一話挟みます!次回は出撃前夜の出来事です!
では、ここで筆を置かせていただきます。ありがとうございました。
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