いよいよ出撃の朝を迎えた。
果たして皆の運命は。
時は流れる。いい時も、悪い時も。
ついに、出撃の朝を迎えた。
六時ちょうどに起床のラッパが一斉に鳴らされた。
そのラッパの後に、提督がマイクを使って、全艦娘に言った。
「ただいまをもって、セントラル海域防衛作戦、う21号作戦を発動する。出撃する艦は、〇八○〇までに港に集合せよ。出撃しない艦も、出撃する艦の準備を手伝うように。今回の作戦はこれまでの作戦よりさらに厳しいものとなるであろう。今こそ皆が団結し、真の力を発揮する時である。各艦においては、それぞれの持つ力を存分に発揮してくれ。そして、勝ってまた鎮守府に戻れ。以上だ。」
こう提督は言い終わると、出撃する艦娘は慌ただしく準備に取り掛かった。私も出撃するから、陸奥とともに準備に取り掛かる。
ましてや、私は旗艦である。皆の手本にならねばな…。
8時に出撃することになっている。7時半を過ぎたあたりから、鎮守府の港には続々と出撃する艦娘たちが集まってきた。
間宮と伊良湖が全員分の弁当を作ってくれたようだ。ありがたく受け取る。
7時50分ごろには全員が集合した。ここで提督が登場し、最後の激励をする。
「さあ、いざ出撃だ。装備は万全か?作戦指揮書は持ったか?体調の優れないものはいないか?」
そう言って誰も何も言わなかったので、提督は続けて、
「…よし。今回の作戦、皆の健闘と無事を祈っている。では、無事でまた会おう!」
「…では、提督、号令を。」
私はそう言うと提督は、
「〇八〇〇、全艦隊、出撃せよ!う21号作戦を発動する!」
そう言うと、金剛が提督のもとに駆け寄り、
「無事でまた会いましょうネー!約束ヨー!」
そういって提督に抱き付く。提督は、
「わかった。頑張れよ。」
そう短く言った。
第一~第四艦隊、計24隻は、八時ちょうどに港を後に、作戦海域に進路を向けた。
第一艦隊が先陣を切るわけではない。今回は第三艦隊が露払いで艦隊の最前線に立ち、そのあとに第一、第二、第四と続く。
作戦海域付近に到着するのはこの調子だと今日夜くらいになりそうである。
後ろを振り返れば、鎮守府がどんどん遠ざかってゆく。
久々の出撃で興奮する気持ちもあったが、それと同じくらい不安もあった。
まずは敵に気付かれないように行動するのが最優先だ。鎮守府からの情報も随時受信し、艦隊に指揮を出すのも旗艦の務めだ。
出撃から2時間弱で、鎮守府より最初の打電があった。
「こちらは鎮守府。長門、聞こえるか?」
「ああ、通信は大丈夫だ。」
提督の声である。もちろん出撃前に試験はしているが、どうやら通信機器は大丈夫そうだ。
「早速なんだが…敵に動きがあった。」
もしかしたらもう我々の動きを察知したのであろうか…?
「軽巡3隻、駆逐3隻の水雷戦隊がセントラル海域付近の基地より鎮守府と逆の北方向に向かっているという情報だ。」
鎮守府と逆方向…おそらくではあるが、まだ我々の動きは察知されていないはずだ。
しかし、用心するに越したことはない。私は各艦に叫んだ。
「敵に動きがあった。こちらの動きはまだ察知されていないはずだが、航路を変更する。作戦海域には大回りして北より突入予定だったが、南より突入することにした。」
鎮守府の北西に作戦海域はあるが、今回は敵が南側に展開している可能性を考慮し、一旦東側を抜けてからUターンし、北より突入する予定だった。しかし、敵が北に動いたとなると、挟み撃ちにあう危険性がある。私は作戦変更を提督に打電した。」
「提督、作戦変更を進言する。南側より突入の作戦に変更したい。」
「了解。そうしてくれ。」
こう言うと、艦隊は進路を変えた。大回りするのを止めたので、海域には日のあるうちに到着しそうだ。
周りを見渡せばすべて地平線だ。島のようなものも見えない。
12時。第一艦隊の利根が、
「お腹が空いたのじゃー…お昼にしたいのー…」
榛名も、
「榛名はお腹が空きました。長門秘書艦。そろそろお昼にしませんか?」
第三艦隊ではもっと大変なことになっていた。
赤城が
「お腹が減って動けません!ボーキ…じゃなくて、一旦補給を!」
ダメそうである。そのとき先頭の第三艦隊の加賀が、
「1時方向に島を発見しました。そこに寄りましょう」
すると瑞鶴が
「遅いわね!今頃気付いたのかしら?一航戦なのに?」
「五航戦は黙ってなさい。」
また争いが始まってしまいそうだ。とりあえずその島の方向へ行かねば…。
私は前艦にその島に向かうように叫んだ。
しばらくすると、島がくっきりと見えてきた。小さな島だ。上陸できそうな桟橋が見えた。人が住んでいるのだろうか?
やがて島に到着すると、各自順番に島に上陸した。
人がいそうな気配はない。ただ、廃墟が不気味にあるのみだ。
海図を見ると、この島は海図には記載されていない。不気味である。
各自、弁当を開け、食べる。美味しい。冷めてもおいしいご飯である。
その時であった。唯一弁当を食べず、警戒にあたっていた霧島が叫んだ。
「対空電探に感あり!」
緊張感が走る。
皆は慌てて弁当を食べるのを止め、艤装を装着する。
「北方向より……小型……偵察機、10機程度!」
偵察機か…厄介だ。しかし、作戦海域までまだかなりある。偵察機の航続距離を考えると、嫌な予感がした。
すでに敵がこちらに向かっている可能性である。
とりあえず、偵察機を何とかしなければならない。戦艦は三式弾を充填した。
北より偵察機の群れが見えた。
一斉に三式弾を斉射する。
敵偵察機はバラバラと散ってゆく。
さすがに戦艦が何隻もいれば、一瞬である。
…しかし、こちらの動きが敵にわかってしまった可能性は高い。これは大変である。
すると、今度は私の対空電探に反応があった。
…反応が、大きい。
~執筆後記~
お読みいただき、ありがとうございました。いよいよ戦闘シーンでございます。
ここからがいろいろと面白いと思いますので…はい。
次回はいよいよ本格的戦闘に突入します。果たして、艦隊の運命はいかに!?