今回ミスティアとしかからめてません。仕方ないね。←ナニガ
「君はトリが主に果実とか種、虫や小型の小動物を何故食べるようになったか知ってる?」
そう問うのは、この森付近では見かけない妖怪である。頭には布の塊のようなものを被り、身にまとっている着物はワンピースの上に布のようなものを巻いている。そのうえ袖がなく、代わりに立派な羽毛が腕に生え揃っている。
「おいしいからでしょ?」
そう答えるのは、この森ではよく見かける妖怪、夜雀のミスティアである。相変わらず何も考えていなさそうな表情を浮かべて、考える様子もなくすぐに応答したのだ。
「まぁ、確かに美味と感じるものは食べたくはなる。でもさ、正直に言って虫はおいしいの?」
得体の知れない妖怪はわざとらしく難しげな言葉遣いを披露してみせた。しかしその見栄は服装以上に中途半端であり、ミスティア相手でなくては失笑を買うのは必須であろう。
「おいしいから食べるんでしょう? まあ最近はお酒のつまみとして食べることが多くなってきたから、味なんか分かったもんじゃないね」
こちらの雀はといえば、張られた見栄をものともせずに平然と自分の言葉を並べていく。しかしその余裕は、先の決まりが悪い言葉をからかうことなく受け流せるほど、高徳な精神を持ち合わせていることから湧いているものではない。やはり、ただ何も考えていないだけである。
さて、自分の恥ずべき瞬間を知ることなく、腕を掻くように羽繕いをしている妖怪はミスティアの答えに、あっけにとられてしまったようで苦笑を宙に浮かべていた。
「あなや……トリはここまで自分の使命を忘れてしまったのね。いい? 私達トリはかつて、この地上一帯を支配していた時代があるのよ。姿かたちはだいぶ変わっちゃったけどね」
その話を聞くと、ミスティアの顔は少し引き締まった。自分達鳥が世界を征服していた? もしそうであるなら今の理不尽な待遇に違和感を持つ。今の世を征服しているのは人間。ないし幻想郷においては妖怪である。妖怪化していない鳥たちの扱いといえば『鳥頭』などと馬鹿にされ、わずかなもののたとえにされ……決していいものではない。中には直接『阿呆』と名づけられた鳥もいるという。そもそも自分自身の扱いについて考えればすぐに分かるはずだ。
ミスティア自身の涙ほどしかない脳をめぐらせて、散々考えた挙句に出てきた言葉は「うっそだぁ」の一言。例の妖怪は思わず拍子と共に腰が抜けてしまい、その場で崩れてしまった。さすがのミスティアも驚き、すぐさま手を貸して妖怪を立たせたが、妖怪が崩れ去った元凶が自分であることは夢にも思うまい。妖怪は頭を掻きながら深いため息をついた。
「うん。分かった……どうやら記憶の最適化に重点を置いて進化したようね。私も必要ないものは忘れるようにしたし」
妖怪は呟くが、ミスティアは少し首を傾げるだけで特に尋ねようとしなかった。おおかた分からない単語について考えないようにしただけであろう。
「まぁまぁ、そんな難しいことを考えると疲れちゃうでしょ。いきなり話しかけられてびっくりしたけど、うちの屋台に来ない? これも何かの縁、ご馳走してあげるよ」
腕に生えた羽毛から、この妖怪もトリの類であると予測される。だが、脳のつくりは違うのかただのアピールなのか……ともかく何かにつけていささか難しい言葉を使って見せたり、悩んで見せたり。このミスティアの提案もすぐには答えを出さなかった。しかし答えを導き出す前に、ミスティアは妖怪の手をとった。
「あ、ちょ。待って待って。何を食べさす気よ!」
妖怪は思考を遮られ完全にうろたえてしまい、今までとは違うところから出てしまったような声色で叫んだ。そんな妖怪のことなどお構いなしに、「いいからいいから」と鼻歌交じりに足を止めないミスティア。
引っ張られるがまま、走るしかない妖怪はつかまれた手の感覚を確かめるようにミスティアの手を握り返す。人型の手。ミスティアも立派に羽のある夜雀だが、人型である。そしてこの妖怪も、鳥のような羽毛を持ってはいるものの人型。この世界では当たり前のことである。しかし妖怪の顔は改めてこわばった。そして急に、ミスティアの騒がしい歌声にも負けない声で叫んだのである。
「そもそもいったいここはどこなのよ!」
とぅーびーこんてぃにゅーど...
オリキャラの名前でないとか。ごめんなさい……私のオリキャラ。←ドクシャニハ!?
次回に期待。
おまけ↓
http://ameblo.jp/yataraku/entry-11572973751.html
改定ログ:誤字をこっそり修正(現況→元凶)
ちょこっとしたところをプチ修正(本編に大きな影響はありません)