ドラゴンの力を宿したイレギュラー   作:二重世界

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第八話 生徒会長

レクリエーションの後に簡単な身体検査をして、今は食堂で昼食を食べている。身体検査が予想よりも時間がかかったので食堂には人がほとんどいない。

クラスの中には自室で休養している奴もいるが、俺は全く異常なし。わざと負けたフリをしたんじゃないか、と保健所の先生に疑われたくらいだ。まぁ、わざと負けたんだけどな。

ちなみに雨音は俺が強く殴り過ぎたので、まだ気絶している。特に骨が折れたりはしていない。少し残念だ。

 

「やぁ、初めまして、西条飛鳥くん」

 

俺がカツカレーを食べていると、ラーメンを持った怪しい雰囲気の先輩らしき男が話かけてきた。後ろには冷やしうどんを持っている眼鏡をかけた女性が立っている。

 

「ご一緒させてもらうよ」

 

そう言うと男は俺の意見も聞かず前の席に座った。眼鏡の女性は男の隣に座る。

まずは俺の意見を聞けよ。今さらだが、何でこの学校の人間は全員、人の意見を聞かないんだよ。

 

「誰ですか?」

 

「僕はネオスクール生徒会長の皇秀司という者だ」

 

生徒会長? 確か生徒会長は生徒の中で一番強い奴が名乗る称号だったな。まぁ、一番強い奴が名乗るのが伝統というだけで絶対ではないらしいが。

 

「私は副会長の柊雅です」

 

今度は副会長か。何か生徒会長の付き人みたいな感じだな。

生徒会が俺に何の用だ? って聞かなくても決まっているな。

 

「今日のレクリエーションを見せてもらったよ」

 

やっぱり、それか。レクリエーションは優秀な人材の発見も目的だからな。だからレクリエーションで結果を出した俺に接近してきた。まぁ、目的までは知らないが。

 

「何の用ですか? レクリエーションを見たなら俺よりも優勝した灰崎静夜の方に用事があるんじゃないですか?」

 

「当然、灰崎くんにも後で話をしに行くよ。だけど僕としては君の方に興味がある」

 

何だろう。興味がある、って言われた瞬間に寒気がした。

 

「ちなみに会長は両刀です」

 

「え!?」

 

さっきの寒気はそう言うことか。男に狙われるくらいなら雨音の方がマシだ。俺の性癖はノーマルだ。

 

「酷いよ、雅くん。それじゃあ、西条飛鳥くんが僕を変態だと勘違いするじゃないか。僕はただ性癖の幅が広いだけだよ」

 

いや、俺は何も勘違いしていない。あんたはまさしく変態だ。

て言うか、その言い方だと他にも特殊な性癖があるように聞こえるんだが。

 

「まぁ、たしかに西条飛鳥くんは可愛いと思うけどね」

 

「ヒィ!」

 

生徒会長が不気味な笑みを浮かべる。

怖い、この人。俺の担任と同じ匂いがする。簡単に言うと貞操の危機を感じる。

 

「会長が変なことを言うから西条くんが怯えていますよ」

 

「いや、最初に言ったのは雅くんだけどね」

 

俺からしたら、どっちでもいい。問題は会長が変態であるという一点だけだ。

 

「ちなみに雅くんは年下好きだよ」

 

「俺、帰ります!」

 

俺は残っていたカレーを一気に食べて立ち上がる。こんな変態と人の少ないところで一緒にいられるか。貞操の危機を感じる。

後ろから俺を呼び止める声が聞こえたが無視して部屋に戻った。

 

 

 

 

 

「あ、飛鳥ちゃん。戻ってきたんだね」

 

部屋に戻ると雨音が何故か俺のベットで寝転んでいた。まぁ、予想通りだ。

俺はパソコンの前にある椅子に座る。

 

「復活していたのか?」

 

「うん。さっき戻ってきたばかりだけどね」

 

思ったよりも早かったな。まぁ、俺が昼寝している時に戻ってきて襲われるよりはマシか。

 

「にしても飛鳥ちゃん。酷いよ。何で私を殴ったのさ? もしかして睡姦が趣味なの?」

 

「俺にそんな特殊な趣味はない。雨音を殴ったのはムカついたからだ」

 

大体、あそこには灰崎兄妹がいたし先生達も映像で見ていた。その状態でそんなことをする馬鹿はいない。

いや、もしかしたらネオスクールならいるかもしれない。この学校は想像を越えた変態が大量にいるからな。

 

「え~、酷いな。私を押し倒しておいて」

 

「お前が勝手に押し倒されたんだろうが」

 

雨音をどうしたものか。これから毎日会うんだ。それどころか同じで部屋で寝ることになっている。

早めに対処しておいた方が良い。

 

「じゃあ、今度こそ押し倒す?」

 

「そうだな。今度こそ息の根を止めてやる」

 

「息が出来ないくらいの激しいキス?」

 

「一人で壁にでもやってろ」

 

俺が一人で考えられることも限られている。こうなったらネットの力を借りるか。

俺はパソコンの電源を入れる。

 

「エロ動画でも探すの?」

 

「変態の対処方だ」

 

「ああ、あの変態教師の」

 

「それもあるな」

 

そう言えば雨音以外の対処方も考えないといけないのか。

俺はとりあえず『変態に囲まれて大変だから助けて』というスレを立てる。これで何とかなると良いな。

 

 

 

三十分後、スレには録な書き込みが来ない。

『そんな変態ばかりの学校があるわけないだろ。自演乙』とか『美少女に迫られるとか羨ましいんじゃ! リア充爆発しやがれ!』みたいな感じなのばかりだ。

確かに俺も気持ちは分かるが、こんな変態ばかりの学校があったんだから仕方ないだろ。そして確かに状況だけを見るなら羨ましいかもしれないが、実際になってみると怖い。何を考えているか分からない上に危険な匂いしかしない。

中には『リアルホモカップル、アリだと思います。むしろ、その状況を実況してください』なんて書き込みもあった。いや、俺はホモじゃないし。そんなことするわけないだろ。

 

「結果はどうだったの?」

 

雨音がパソコンを覗き込みながら質問してきた。

 

「録な意見がなかった」

 

「だったら諦めて私と子作りする? 折角、学校から認められているんだからヤらないと損だよ?」

 

「断固、拒否する」

 

正直、雨音は見た目は良いから諦めても良いんじゃないか、と思う自分もいる。だが、それでも俺はヤる気にはなれない。理由は分からないけど。

 




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