地獄の獄炎を呼びし者 作:trish
「・・・はあ?」
「おいおい先輩に対してその言葉遣いはないだろう?こうみえて僕の心は弱いんだよ?」
いや、こんな返答になるのは当然だ。いまさっき来た女が生徒会長で入学したばかりの新入生が突然生徒会に勧誘されたら誰だってこんな反応をするだろ・・・
「なんで生徒会に入らなきゃいけないんですか?そもそも生徒会に入って俺に何かメリットでもあるんですか?」
「君も気難しそうな子だねえ・・・うーん・・・メリットかあ・・・」
「・・・かわいい僕と一緒に仕事できるとかは?」
「俺は寝ますね」
「まあまあ今のは冗談だ、まあまず今のアカデミアの話からしようか、メリットの話はそれを聞いたほうがわかりやすい」
「何か今のアカデミアに問題でもあるんですか?」
さっきの雑魚みたいなのがいるんだ、なにか問題があるのはなんとなく気づいていたが・・・一体なんだ・・・?
「まあ一言でいうとね・・・アカデミアの教師が弱すぎるんだよ。」
「・・・え?いまなんて?」
「そっくりそのままそういうことだよ。まあ今の世代が強すぎるとも言えるけどね。」
おいおい・・・そんなもん呆れるしかねえぞ・・・
「僕たちの世代からかな?確かそのくらいからここに入学してきたデュエリストの質が高くなってきた。それ自体はアカデミアとしては喜ばしいことだったんだけどね」
「ここにはカーストのようなクラス分けがあるのは知っているだろう?オベリスクブルー、ラーイエロー、オシリスレッド。確か君はオベリスクブルーだったかな?」
「なんで俺がオベリスクブルーだって知ってるんですか、俺制服着てないですよ」
「生徒会長だからね、生徒の情報はみんな知ってるよ。あと制服はちゃんと着てくれない?」
「嫌ですよ青い制服とか誰が着るんですか」
「君の性格はいつか矯正してあげないとダメみたいだね」
なんだこの人失礼だな、俺はまっすぐな人間だっていうのに・・・
「話が少しそれてしまったね。とにかくうちにはそういうものがある。寮とかはその差が顕著に出てるよね」
「まあそうですね、オシリスレッドの寮には入りたくはない」
「でも僕たちの世代には弱いやつはいなかった。だからオシリスレッドに所属するってのは最大の屈辱だったってわけだ」
「いつでもそうだと思いますけど」
「君はわかってないなあ。僕たちの世代は全員がプロデュエリストになれるくらいの実力は持ってた。だから全員プライドも常人の比じゃないんだよ?」
「まあ・・・負けたくはないですね」
「だから僕たちの代は壮絶だった。毎日デュエルで争い続け、負けたものはオシリスレッドに入ることを嫌い退学した。そしてやがて強いものだけが残った。」
「それでどうなったんです」
「アカデミアに残った一部の人間は気付いたんだ。自分たちは教師よりも強いって」
「そして生徒たちの教師狩りが始まった。教師である以上生徒のことをデュエルで指導しなきゃいけないからね、そして教師はことごとく生徒たちに負けた。」
「そんなのいくらなんでもおかしすぎる・・・教師なんだから生徒に負けるなんてことがあっていいわけがない・・・!」
「もちろん教師も必死に抵抗したよ。最初は生徒と教師の実力は5分5分だった。でもうちの世代は天才揃いでね、敗北からの成長も早いんだ。」
「そして教師を超えてしまったと?そんなことがあるんですか?いや、あっていいとでも?」
「仕方ないよ、化け物しかいないんだから。あいつらに比べたら教師なんてヴェーラーを打たれた未来皇ホープみたいなものさ」
「そしてその後はどうなったんです」
「さっきの激運君を見ただろう?ああいう風に学生がアカデミアを支配し始めた」
「このアカデミアを支配しているのは6人のデュエリストだ。僕たちは彼らを【六武衆】って呼んでるよ」
「そっくりそのままですね」
「デュエリストだからこういうネーミングセンスはしょうがないよ。」
「ということで六武衆はこのアカデミアを支配し、好きなように使っている。僕たちの後の世代も六武衆には逆らえず、軍門に下るもの、ここを退学するもの、負け続けオシリスレッドで辛酸を舐めているもの、様々な者がいる。」
「そんな弱い者を守るために結成されたのが僕たち生徒会、いや、【Your Beller's
】...みんなにはユベラーって呼ばれてる」
「ダサいっすね」
「君は本当直球だね。殴りたくなる」
いやユベラーはさすがにダサいだろ・・・マジで無いって・・・
「まあいいや、僕たちの目的は弱者たちと協力してこのアカデミアを取り戻すこと。このアカデミアを取り戻すために協力してほしいんだよ」
「別にその六武衆が卒業するまで待てばいいじゃないですか」
「だからさっき言っただろ?軍門に下った後輩たちも一定数いるんだよ。君がさっき戦った激運もその一人だね。そういうわけで六武衆という存在はこのままでは絶対に消えないんだ。」
「で俺に白羽の矢が立ったと」
「君は教師の方々からの評価が高くてね。『最悪の世代の再来だ・・・』ってみんな怯えてたよ」
「つまり協力という名の監視だと」
「人聞きが悪いなあ、僕は君には下心なしの期待をしてるんだよ」
「あなたの期待より俺は安らかな休息とイグナイトが欲しいです」
「ひどいなあ、君は女心とかわかんないの?」
女心?それはどんな効果だ?いつ発動する?
「そして君のメリットについての話だけど・・・言わなくてもわかるよね?」
「強い相手と戦える・・・ですか」
「ご名答。君は元々デュエルで力を見せつけるためにここに入ってきたみたいだからね。それにメリットはまだあるよ。君が満足して戦えるためにカードは惜しまない。イグナイトでもホルアクティでもなんでもこっちが用意しよう」
「ずいぶんと太っ腹ですね、何か裏でもあるんですか?」
「いや?単純な話さ。教師はそれくらい六武衆のことを畏怖してるってことだよ。早く昔の自分たちが強かったアカデミアに戻ってほしいんだよ。」
「自分たちが弱かったくせに勝手な話ですね」
「でもそう思うのは自然なことだと思うよ。教師ってのは威張り散らしたいものなんだ」
「それにこのままじゃ後輩たちがかわいそうじゃない?」
「俺にとっては先輩と同級生ですがね」
「君は頭が固そうだね」
頭突きでもしてやろうかこの女?
「ってことでさ、協力してよ?君にとってはいいことずくめだと思うけどね」
「確かに悪い条件ではないですが、あいにく俺は人の下につくのは苦手なんですよ」
「ふーん・・・」
「ということでこの話はなかったことに」
「君制服着てないよね?さっきも注意したけどさ、いくらダサくても制服は着なきゃダメなんだよ」
「なんですか今更話を掘り返して、退学にでもする気ですか」
「あ、そうだけど」
「・・・えっ?」
「制服を着ておらず、何度注意されても改善がなかった生徒は退学・・・デュエルディスクに入ってる生徒心得にも書いてあるけど」
「そんなわけがないでしょう!?制服着てないごときで退学なんて・・・くそおおおおおおおおお!!書いてんじゃねえか!ふざけんな!」
あんな真っ青な制服着てられるか!!俺は黒いコートじゃねえと落ち着かねえんだ!
「くそ・・・こうなったら着るしかねえのか・・・?あんなダサい・・・」
ん?ちょっと待て。
「先輩が着てるのも普通の制服じゃないじゃないですか。それはダメなんじゃないですかねえ!?」
「あ、これは生徒会専用の制服なんだよ、制服で一目でわかるほうがいいからね」
・・・え?
「ちなみにこれはオーダーメイドだよ。黒が基調であればどんなデザインでもいいんだよね。まあ君はそんなことじゃ釣られないとは」
「入ります」
「・・・え?」
「お願いします!俺を生徒会に入れてください!俺頑張りますから!なんでもしますから!!」
「あ・・・うん・・・君ってこんなんで折れちゃうんだ・・・」
なんと言われようと関係ない。俺はダサいのは嫌いなんだ。
「まあ・・・これからよろしくね、八重くん。僕のことは先輩って呼んでよ。」
「よろしくお願いします、先輩」
この選択が、俺を壮絶な戦いの道へと導くことになるが、それはまた後の話である