バチ。嫌な音を立ててラディッツの尻尾がクリリンの頬を叩く。
カメハウスに思い切りめり込んだ。
あーあ勿体無いなぁ。
何回壊れてるんだろカメハウスって……。
本当に亀仙人は可哀想だよな、住居壊されたら俺だったら殺してるね。
「きさまっ……!!」
悟空が俺たちの方に振り向く。
そしてゆらゆらと動くラディッツと俺の尻尾を見て驚く三人。
「し、尻尾だ……!! こいつらにも尻尾がある……!」
「気づくの遅くねー?」
「ふふふ、やっとこの俺の正体が分かった様だな……」
やっとなんかとか喋れたよ。
このままだと俺空気だったしさ?
俺は心の中でひっそりホッとした。
「正体!? どういうことだ……!!」
そして俺とは関係ない会話が続く。
暇だなーつかブルマめっちゃ可愛い。
あ、嫁さんの方が可愛いけどな! 惚気だと、なんとでも言え。
でもいい加減家族に会えないのはつらい。
ケータイの写真フォルダには俺が写っている写真は一枚もなかったが、嫁さんや母さんたちの写真などはあった。
今もその写真で我慢してるけど、茜もトリップしてきてくれねぇかなぁ。
俺はあくまでも一途だ。
他の女を可愛いと思うことはあっても好きなのは茜だけだ。
……会いてぇー。そう思うながら俺はふうと溜め息を吐いた。
「……おい、ここには月があるから何で幸いなんだ……?」
「惚けんなよカカロット、満月が輝く時こそが俺たちサイヤ人の本領発揮できる時だろ!」
ごめんラディッツお前のセリフ貰った。
と言うか俺まだ大猿になった事ないんだよな、大猿になっても意識があると嬉しいんだけどねー。
ブルマたちは何か心掛があるのかドキリとしていた。
そしてラディッツは悟空に尻尾がないことに気づき、叫ぶ。
お前も案外気づくのが遅いなぁ。
尻尾が千切れるって意識があると相当痛いよなぁ。
あーヤダヤダ、怖いぜ。
「オラはここで育った孫悟空だ!!! とっとと帰れ!!」
「そうよそうよ!!」
「そういうことじゃ、過去はどうあれ今の孫悟空は誰よりも立派な地球人なんじゃ」
「悟空はな!! この世界を救ったくらいなんだぞ!! 帰れ帰れ!」
と言うか悟飯がプルプル震えていてスッゲェ可愛いんだけど。
やっぱ俺も子供作っときゃ良かったな。
俺も悟飯みたいな素直な可愛い子供欲しい、それか悟天みたいに元気で明るいいたずらっ子でもいいなぁ。
あー妄想が膨らむ!
そして悟空の地球人宣言に怯まないラディッツは父と母の事を出す。
親の話出すとかラディッツもなかなかどうして卑怯だぞ。
ラディッツは悟飯の事を見ながら問うお前の子じゃないか? と、プルプル震えてる悟飯可愛い……。
子供って本当に癒されるよなぁ。まぁ悟飯は高校生になったら変な衣装着て正義のヒーローやるんだけどさ。
「ち、違う!!」
「とぼけてもムダだ! あのシッポはなんだ? サイヤ人の血をひいている証拠じゃないか」
「なんだってんだよ!!」
ラディッツかブルマたちの方に近づく。
ブルマたちを庇うように仁王立ちする悟空。
悟空はそれ以上近づくな、と叫ぶがどう見ても死亡フラグたっぷりなセリフだと言うことを分かっているのだろうか?
ラディッツはふっと笑って悟空の腹に重い蹴りを入れる。
軽く数mは吹っ飛ばされもがく悟空に駆け寄ろうとする悟飯の首根っこを掴むラディッツ。
わんわんと泣く悟飯、やはりまだ子供と言うことだな。
未来の悟飯がこんなに泣き虫だったとは誰も思わないだろう。
いいなー俺も悟飯抱っこしたい。
俺は記念する第2回目のセリフがその言葉になろうと気にせずにラディッツに言った。
「ラディッツー俺が抱っこするぜ」
「あぁ、頼む(抱っこ?)」
何やらラディッツの表情にはてなマークが見えたが気にしない事にした。
俺は悟飯を赤ちゃんを抱っこする様によしよしとあやす。
いやーこういう時に甥がいた俺は勝ち組だ!
ラディッツが子供は預かった宣言している中で俺は悟飯を高い高ーいをして悟飯とキャキャっとしているシュールな光景が広がっていた。
不満気な目で訴えてくるラディッツは無視する。
「悟飯君は可愛いなぁー、へへ」
「キャッキャ」
「何なの、あの野郎」
「アイツ何で悟飯とじゃれてんだ? 悟飯も楽しそうだし」
「分からんヤツらじゃ……」
諦めたのか俺を無視して話を続けるラディッツ。
100人殺すなんて、昔の俺だったら絶対出来ないけど俺は悪人を100人殺すね。
自分から罪ない奴は殺さないぜ、悪人を仕留めたら条件も果たして平和になって一石二鳥だしな。
クリリンとかは卑怯だぞと何か言っているがラディッツは聞く耳を持たない。
と言うかさっきからもう一人の気を感じる。
……スカウターで測るとピッコロの戦闘力と一致した、ピッコロかぁ。
悟飯にわんわんと泣かれてもやだし、適当に説得しておくか。
一応四歳だが将来は学者になってしまう悟飯の事だ。
「悟飯君、一回おじさん達と来てね」
「何で? お父さんは!?」
「苺大福あげるから!」
「……行く!」
ラディッツからコイツいつ買ったんだ? という顔をされるがこれは苺大福ではない。
惑星フリーザには苺大福なんて無いし、ここに来る前に言った星で奪った美味しい餅だ。
中身は苺ではなかったが美味しかったし気にしないだろう。
悟飯の好物は原作知識で知っているのだ、他にもポッキーとかな!
案の定悟飯は乗っていた、俺は悟飯に苺大福もどきを渡してもくもくと食べる悟飯を愛でていた。
可愛いなぁー悟飯可愛いー、くそいいなぁ悟空はこんなに可愛い息子がいて。
また悟飯にせがまれても平気だ。
軽く5個は奪ったし、後はお菓子とかケーキやらなんやら盗めばなんとか持つだろう。
ラディッツと俺は、悟飯を抱えたまま上に飛び上がる。
「逆らおうなどとは考えてもムダだぞ! 貴様の未完成な戦闘力では到底この兄には敵わんのだからな!」
「ご、悟飯ーっ!!」
それからラディッツは悟空に何か言っていたが面倒なので俺はラディッツより一足先にアタックボールのあるところに戻る。
悟飯は何故お父さんが自分の名前を叫んだのか分からず餅を噛み切っていた。
「よし、この中に入っていろ」
「おいおいそんな厳しい口調で言うなよ、子供だぞ。悟飯君餅5個食べていーよ!」
「わーい! お兄ちゃん好き!」
「お兄ちゃん……うへへ、そう?」
「お前……子供好きだったんだな」
おじちゃん、では無くお兄ちゃんと呼ばれた事に上機嫌になる。
俺ってば一応28歳である身なんだけどね。
やっぱりサイヤ人は戦闘民族だからより多く戦うために青年期がながいんだよ。
だから俺の実年齢は28歳だが見た目の年齢は20代前半くらいだ。
だから悟飯も俺の事をお兄ちゃんと呼んだのだろう。
それにしても地球人の癖に40代に突入して老いても未だにハンサムなヤムチャは少し羨ましく感じる。
だが完全なる咬ませ犬キャラなのでまぁ良いやと思った。
俺は悟飯を自分のアタックボールの中に入れ、餅が5個入った籠と水を渡した。
「さて……と、飯でも調達に行くとするか」
「あー腹減った、地球は美味しいもんいっぱいあるぞ」
「何故そんなに地球に詳しいのだ……む? 妙だな、危険信号が……」
「戦闘力710、近いな。まさか追ってきたのか?」
ふとスカウターに危険信号が入る。
その戦闘力の持ち主を辿ると、アタックボールに入っている悟飯のものだった。
……起こっているわけでもないのに戦闘力が高いな、なんでだ?
そう疑問に思ったが、悟空たちが来ていなくて安心した俺たちだった。
まぁラディッツは故障と勘違いしていたが。
そして問題なのは俺の脳だ。
1年後は覚えていてももうすぐ経つと忘れてしまいそうで怖い。
もしも前の世界の記憶まで忘れてしまったらと思うと少し背筋が凍る。
「反応がもうひとつ! ここに向かって来る! ひとつ……ふたつ! 戦闘力322と334!! 片方はカカロットと同じ戦闘力だ! しかし、あいつが来るはずない……勝てる見込みが0に近いのはよく分かったはずだ……第一、この場所が分かるわけがない……まいったな……完全に故障だ……まさか!! 来やがった!!!!」
独り言が長すぎて怖いぞラディッツ。
そしていつまで勘違いしているのだろうかと思い、ラディッツを見て溜め息を吐いた。
悟空は筋斗雲から降り、ピッコロは軽々とマントを翻して着地する。
「もう一人はさっきの奴か、ラディッツこいつらスカウター無しでも居場所を探れるっぽいぞ」
「何!? スカウター無しで……、なるほどだから俺たちの居場所が分かったのか」
いい加減分かっていないとは可哀想だなと思いラディッツに真実を教える。
気のコントロールを教えようとも思ったが生き残れてからだ。
そもそも俺がラディッツと一緒に地球に来たのはラディッツを死なせないためなのだ。
別に悟空たちを殺そうと来たのではない、だとしたら後のフリーザとかセル、魔人ブウは倒せないからな。
「貴様らいったいここへ何しに来た……」
「決まってるだろ! オラの子を取り返しに来たんだ!!」
「勘違いするなよ、悟飯君は自分の意思で俺たちについて来たんだ」
お前も聞いてただろう、そう悟空に行った。
これは原作とは違って本当だからな、まぁほとんど餌付けみたいな感じだったが。
ピッコロは羽織っているマントと巻いていたターバンを外す。
その2つはゴツンと音を立てて地面に転がった。
重りを仕込んでいたのか、だがそんな事をしたところで俺たちには勝てない。
ましてや原作とは違い俺がいるのだ。ふふふ。
悟空とピッコロが何かを喋りながら服や靴を脱いでいく。
と言うか悟空って合計どんくらい重りつけてんだ?
なんかtとかの重りをスーパーサイヤ人状態で普通にやってたし。
今は勝ってても悟空にはやっぱり勝てないなーと改めて思った。
「我が一族の恥だ! 死んでしまえ!!」
ラディッツのその一言を合図に悟空とピッコロが構える。
そこに突っ込むラディッツ、俺は2人と戦う気はない。
だって勝っちゃうしさ、つまんないよね。
そう思いながら俺は悟飯の居るところへ戻った。
俺は悟飯をアタックボールの中から出し、2人で三人の戦闘を鑑賞していたのだ。
「お兄ちゃんは戦わないの?」
「んー? 仲間がピンチなったら助けるよ、ヒーローだからな!」
「わ、カッコイイ!!」
「そう? うへへ」
まぁ悪のヒーローだが、心の中でそう付け足した。
俺は悟飯と2人でまじまじと三人の戦闘を見る、相変わらずラディッツが押している。
息一つ乱れていないラディッツと対照的に、二人は息切れをしていた。
暫く見ていると、2人の顔色が凍りついたように青くなった。
くそー何言ってるんのか聞こえないな、まぁ大方予想はつくが。
多分ベジータとナッパの事を話しているのだろう。
俺の事を話しているのかはわからないが……。
でもラディッツも俺の実力は分かってるしな! うん平気だ。
俺の威厳はちゃんと守れよラディッツ。