嗚呼、なんと悲しきブラック企業の被害者か。
取り敢えず何となく思い付いた簡単な転成主人公者です。
お試し短編なんで、多分連載の予定は………あるのだろうか?
設定とかもあったりしますが、その辺は連載(未定)する時に書くと思います。
…ISどうしょう………
あー…えーとだね……
何故私の有給はこうも簡単に返上されるのでしょうか。
現在は平日のお昼前。
場所はクラナガン旧市街地のオンボロ倉庫街。
目の前にはそこに腐るほどある倉庫、いや建物は腐らないから朽ちる程?
いやそんな事はどうでもいい、大切なことじゃぁないんだ。
まあ、目の前には汚い大型倉庫があるんだ。そういう場所だからあって当然な訳だが。
その倉庫の前に大型トラックが1台止まっている。目測にして300。デバイスの弾き出した数字は320。
周りには黒尽くめの男が8人。
手にはどこから流れてきたか解らないけど、形はよーく知ってるアサルトライフル。ほらあれだ、装備している人間がパニクって乱射しまくらないように3点バーストしか出来なくしたアレ。
…いやどうだったか……
…ちょいちょい話がズレるのは性分なんだ、おしゃべりな私を許してくれ。
取り敢えず、その倉庫だけは何故か犯罪臭のする一味が居るんだ。
紛れもなく特別指定マフィアの用心棒なんだけどさ。
……ここで取引されてるのは、とある遺跡から盗掘されたロストロギアと、数日前に同時襲撃された銀行と貴金属店の金庫の中身。
詰まるところ、マフィアと盗掘団の違法取引だ。
銀行と貴金属店の総被害額は……だいたい俺みたいな下級士官の生涯収入くらい。
一回の襲撃でそれだけポンと持ってこれるってんだから、防げなかった自分達を責めるべきか、相手を称えるべきか…
《こちらブラボーチーム、定位置に付いた》
「オーケーブラボー。向こうが動く前に抑えよう。5カウントでこちらは用心棒に奇襲を仕掛ける。その10カウント後にαとβの同時強襲。手筈通りにな」
《ラジャー、いつでも行けます》
《こちらα、同じくいつでも》
「ホワイトヴァレト、カートリッジロード。アイスシューター、8」
カシュッと右腕から音がして、排莢口から魔力の抜けたカートリッジが飛び出す。
周囲には冷気を纏う青い光弾が8つ。
さ、取り敢えず目の前にいるあの8人には、私の八つ当たりの相手をして戴きましょうか。
《5カウント、4、3、2、1…》
「ファイア!」
デバイスの引き金を引き、それと同時に物陰から飛び出す。
シューターは8人のアサルトライフルのトリガーに着弾。そのままトリガーに掛けていた手ごと凍らせる。
奇襲に驚き反応が鈍った隙をついてバインドシューターを発射。
1人につき3つ、計24発が8人を縛り上げ、無力化した。
「管理局だ!特定マフィア【ダルク・ファミリア】及び指名手配盗掘団【ゆりかごを墓場まで】を逮捕する!!」
「時空管理局だとっ!?お前ら、確実に撒いた筈じゃッ!?」
「確実に撒いた!!間違いねぇ!!」
「ごちゃごちゃ五月蠅い!!一斉検挙だ!!」
「捕まって溜まるか!!おいお前たち!早く奴等をどうにか「用心棒はこんな感じに丸く収まりましたよボス」なっ!?貴様っ!!」
「どーも皆様お揃いで。私は時空管理局地上本部直属、第51陸士部隊遊撃手のアルス・ピート。1人残らず豚箱へ納めに来た」
「陸士51のアルス・ピートだとっ!?」
「落とし屋アルス…」
「壊し屋アルス…」
「もうダメだ…お終いだぁ……」
なんと失礼な奴らだ。
何故私が来ただけでそこまで落胆するのか、これが解らない。
いやまあ、士気が上がる訳じゃないからいいんだけどね。
「ささ、やっちゃいましょーか」
さっきと同じようにアイスシューターとバインドシューターを精製、マフィアと盗掘団の親玉に向けて誘導射撃。
マフィアの方はほぼ無抵抗で当たってくれたが、盗掘団はそう行かないみたいで。
「ここで捕まって溜まるか!!管理局がなんだ!陸士51がなんだ!アルスとか言う若造に恐怖する必要があるものか!俺はやってやる!!」
なんとまあ勇敢なリーダーでしょう。無駄にムキムキなリーダーは、どこに隠していたか解らんような実弾式ガトリングを持ち出して、そこいら中に撃ちまくる撃ちまくる。
流れ弾やら跳弾やらが倉庫内を駆け回る。
それはもう、五月蠅いこと喧しいこととんでも無い。あと超怖い。
部隊は一時散開、放置してある鉄骨やら太い支柱やらに隠れる。
かく言う私は捕縛したマフィア組の事もあるので、プロテクションを張って防御中。
因みに盗掘団で捕まってないのはボスのみ。最初の突入で過半数を無力化、私が登場して士気大幅減したメンバーをさりげなーく確保。
てーかあの馬鹿でかい獲物はどうやって隠してたんですかねぇ……?
何かい?四次元ポケットなる物でも持ってるのかい?それともデバイスかい?
何にしても、何で持ち込みを許したんだよマフィアさんや…。
これじゃあ検挙出来ないじゃないか!!早く私を休暇に戻せ!!
「オラオラオラァ!!何ビビってんだぁ局員さんよぉ!!早く捕まえて見ろってんだ!!」
「じゃあそれ止めろよ!」
「そんなん願い下げたバァカ!!止めたら掴まんだろぉ?俺は逃げ延びるんだよぉ!!さっさとかかってこいよ腰抜けぇ!!!」
「当たると死ぬだろそんなん!誰が好き好んで蜂の巣所望するか!!」
「ウッセェ!とっとと死ね……ぇ?」
カチンッと軽い音がして、モーター独特の機械音が倉庫に響く。
所謂、球切れという奴だ。
「……と、盗掘団リーダー「アタルモ・ハッケ」、確保!!」
なんだぁこの喉に突っかかるようなスッキリしない幕引き。
あとリーダーの名前な。あんた絶対そう言うの使わない方がいいよ、うん。
―――――――
「て事で、私の有給返して下さい」
「ぁ、あぁ~有給ね!そうねまあどうにか何とか事件終わったから今晩ご飯でも「有給、返して?」あ、アハハハ…ほらお前さんの好きなもん何でもいいぞ?ほらどんどん「あ?」スマン…本当にスマン……人員不足で本当にすまん…」
有給はたった数時間、朝にフラッペ頼んで飲んでそれだけでした。
拝啓、前世のお父様、お母様。
私はここでもどうにか就職出来ました。しかも割と高給で待遇もいいです。
但し、途轍もないブラック企業でした。