集団敵に対する少数による有効戦略実地実験レポートより。
敵勢力-戦闘車両2桁以上、歩兵3桁以上、AI兵器はないと思われる。武具共に最新のものと推測
なお上記は暫定のものとする。
自陣勢力-非戦闘車(輸送車)一台、歩兵6人
武具共に旧世代兵器携行
現状前線は押されてはいるが戦略的価値は限りなくゼロと判断。よってこの前線に異常は無いものとされ実地実験は続行となる。
死体、死体、死体、ほんの数秒前まで叫び、泣き、嘆き、蠢き、様々な行動を起こし生命活動を十二分に謳歌していた者たちはそこに敵味方の差異なく皆平等に地べたに這いずり死んでいった。肉の焦げた匂いと硝煙や巻き上げられた砂埃の匂いがここが戦場であることを否が応でも理解させる。
ちょうど2分30秒くらい前の出来事だったか、ある一兵卒が運悪く頬からこめかみにかけて弾丸に貫かれた。即死、と言う面ではこの骸の下で来るべき死を震えながら待つ男よりも"運が良かった"のかもしれないが。
何故この骸の下の男がこのような仕打ちを受けているのか?
この結果には多くのプロセスがあるのだがその一つを紹介しようと思う。
この男の名はMとしよう。
至極簡単に言うとこのMは懲罰部隊へと送られたのである、懲罰部隊とは脱走兵や犯罪者など軍の規律を破ったものが所属することになる部隊である、Mの場合で言うと上官への反逆罪、一時的な名誉の毀損及び侮辱、素行不良、成績不振、などが理由に挙げられる。
懲罰部隊の特性上、不快な任務や危険な任務が必然的に多くなる、Mの場合後者だったと言うわけである。
結論から言おう。Mは死んだ。
恐怖で股下を自らの糞尿で汚し、同じ所属の兵士の骸の下で震えているところを敵兵の凶弾に散々に弄ばれ、涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにして殺してくれと懇願しやっと敵兵に"殺してもらえた"。とこんな有様だ。
生きて帰還したものの証言によると。
『死体の下で震えていたもんだから上の死体までブルブル震えていたよ、あれで隠れたつもりなんだから笑えてきたよ。』
と報告している。
ちなみにこの証言をした兵士は敵兵逃亡の罪状で今日処刑された。
非常に簡単な説明となったが是非とも以上のことをいつも念頭に置き有意義な学園生活を送ってもらいたい。
1クラス40人の教室の電子黒板に映し出された新入生用映像学習の再生が終了する。
「おい貴様らビビりすぎだ。大丈夫か〜?」
場違い感が否めない柔らかい女性の声が教室に響く。
この1年標準装備歩兵科の担任であるアシュラル=フロイライン准尉のものだ。
「…ですがアシュラル准尉、これは実際の…」
先程の映像学習がよほど精神的にこたえたのだろう、ある男子生徒はたどたどしく質問をする。
「あたりまえだ!君達もああなりたくなければよく考えて行動することだな今日は以上だ、解散!」
准尉は勢いよく教室を出て行く。
「楽しい学園生活になりそうだなぁ…」
私はため息交じりに愚痴をこぼした。
ここまで読んでくれて感謝です。感想、アドバイス頂けると嬉しいです。