ツキトside
話し合いのあと、スザクを連れてゲットー中を歩き屋台を出せそうな日本人を探した、スザクの説得もあってか、ノルマの人数は揃えられた。
「これで、会場が賑やかになるね」
「そうだな、私は久々にタコヤキが食えることが嬉しく思う」
スザクと夜の会場周辺を散歩する、温暖化ガスが発生しない世界の夜空とはこんなのも綺麗なものなのか、と、1人感動しつつ歩く。
「夏祭りのときとかよく食べてたもんね」
「あんな美味い食い物はブリタニアにはなくてなあ、魚を適当に焼いたものだとか、塩胡椒振っただけのステーキだとか、最高級ミルクを使用したシチューだとか、そんなものしかない」
外国の料理ってそういうものばかりだ、やはり、醤油で刺身や寿司を食ったり、もやしが大量にのった味噌ラーメンをすするのが一番だ、【料理のさしすせそ】が揃った日本食が、ブリタニア人である私の舌に最も馴染むというのはおかしな話だが。
「私は金のかかった宮廷料理より、田舎の優しい料理の方が好きだ」
「そうだね、僕もお母さんのごはんが一番好きだったな」
「私は母の料理は食えなかったよ」
「どうしてだい?」
「貴族っていうのは、自分一人じゃ料理も出来ないからだよ」
「そういえばツキトの家って貴族だったんだよね」
「私がラウンズになるまでは、ほとんど名も知られていなかったような家だがな」
…………動くなら、そろそろだな。
!……緊急通信、騎士団が動いたか。
「こちらツキト・アールストレイム」
『ツキトか!ゼロが牢獄を襲撃した!狙いはおそらく藤堂だ!』
腕時計を見る、予定よりも数分ほど早い、藤堂の分の無頼の準備が間に合ったのか、サザーランドの倍以上のコストのかかるものをよく用意できたものだ。
「どういたしましょうか?」
『ツキトはすぐに向かってくれ!枢木はユーフェミアの元へ行って護衛しろ!こっちに来ないとも限らん!』
さすがコーネリア、頭が回るな、しかしスザクが牢獄のほうに来ないのは嬉しい誤算だ、私1人なら騎士団に有利なようにダンスすればいいだけだからな、隙を見せて攻撃を喰らえばいいだろう。
「イエス、ユアハイネス!」
通信機を切ってスザクのほうを向く、会話の内容から察したのかその表情は険しい。
「何かあったの?」
「騎士団が牢獄を襲撃した」
「騎士団が!」
「こっちに来ないとも限らない、スザクはユーフェミア様の護衛を頼む、私はKMFで牢獄に行く」
「わかった、気をつけて」
「そっちもな、ユーフェミア様を頼んだぞ!」
頷くスザクを確認して私のグロースターのあるトレイラーに急ぐ、トレイラーに着くとロイドがコンソールをいじっていた。
「ロイド!グロースターは出せるか!?」
「もちろん出せるよぉ、こういう時のためにオーバーホールもしといたしぃ」
ロイドの言葉を聞きながらグロースターの背中に回り、コックピットに乗り込む。
「騎士団が牢獄を襲撃した、すぐに現場に行く、飛行ユニットは大丈夫か?」
「行けるけど帰りの燃料足りないかもぉ〜」
「行きの分だけあればいいさ、グロースター、でるぞ!」
飛行ユニットで高度1000m近くまで一気に上昇する、その後は徐々に降下しつつ最大速度で牢獄に向かう。
ま、ポーズだけでも急いでいるように見せるためにわざわざ急上昇なんてしたんだがな、普段ならこんな無駄にエネルギー使うようなやり方はしない。
牢獄に着いた時に飛行ユニットのエナジーフィラーが切れるのがベスト、急いで牢獄に向かい騎士団と交戦するも、エナジーフィラー切れで逃げる騎士団を追撃できず、藤堂は連れ去られる、ふっ、とんだ猿芝居だ。
芝居だとばれないよう、慎重かつ大胆に、状況の変化に応じて臨機応変に対応すれば大丈夫だ(適当に行き当たりバッタリでいいや)。
あと14分、さあて、うまくやってくれよ、ルルーシュ。
ゼロside
「四聖剣は敵を抑えろ!その間に私は藤堂の元へ行く!残存部隊は私に続け!」
「「「「了解!」」」」
ツキトの情報通りだ、警備のKMFはたったの6機しかいない、その上すべてサザーランドだ、四聖剣の月下4機だけでなんとかできる数だ、だが油断はできん、最後の最後で気を抜けば負ける。
藤堂のいると思われる牢獄の壁を破壊する、中には藤堂がいた。
「藤堂だな?」
「お前は……」
「私はゼロ、力ある者に対する、反逆者である!」
ツキトside
コンピュータの計算が正しければ時期に牢獄が…………おっと、もう壁を破壊されたか、どれ、悪役らしく邪魔してやろう。
飛行ユニットの残りエナジーフィラーすべてと位置エネルギーをかけて牢獄を破壊したKMF、ゼロの乗る無頼目掛けてダイブする、しかし後ろへの急発進により避けられる、奇襲は失敗か、まあもとより当てる気もないんだが。
藤堂を肩に乗せたまま下がっていくゼロの無頼、追撃しようと動くがすぐに四聖剣によって道を塞がれる、あのKMF、確か月下だったか、近接メインのKMFとは僥倖、闘いたいなぁ。
「ふっ、四聖剣か」
広域無線で四聖剣たちに話しかける。
『そういう貴殿はアールストレイム卿とお見受けする』
「おやおや、私の名前を知っているとは、光栄だな」
『みんな知ってるわ、いや、日本人で知らない人なんていない』
『俺たち日本人を一番多く殺した人間の名前を知らない奴なんてな!』
そうだったのか、結構殺した記憶はあるが、なるほど私がナンバー1だったわけだ。
っと、そんな場合じゃない。
ガギィィィイイイ!!
4機の月下のうち1機が斬りかかってきた、危なげなくランスで受け止める。
「ほう…………いいパワーだ、押し負けそうだ」
第7世代相当と言われるだけはあるな。
『余裕そうだな!』
横から残りの月下が突っ込んできた、正面を除く左と右、死角の背後からの同時攻撃、避けられんだろうな。
『死んでいった者たちの!』
『怒りを受けろ!』
ああ、避けられんなこれは。
まあ。
「そい」
ガギィィギャギャギャギャ!!
『なに!?』
避ける必要もない、ランスの柄で右からくる月下の手首を払い、左手で抜刀したMVSを振って左と背後からくる月下の斬撃を受け止める、四聖剣といえどこんなものか。
「甘いなあ、四聖剣!」
スラッシュハーケンを正面の月下の量脚部に撃ち込み動きを殺す、続いてMVSを起動させ左の月下の左腕を肩口からばっさり切り落とす、最後にランドスピナーを使い回し蹴りの要領で背後の月下の腹部を蹴り飛ばす。
『くっ!一瞬でそれほどの動きを』
『これがラウンズの実力っ!』
「どうした?終わりか?この程度か?もっと争ってみせろ!厳島の時のように!」
ランスを振る、正面の月下以外は私のグロースターから距離をとった、脚が死んだ正面の月下はランスにあたり吹き飛ばされる、派手に吹き飛んだが損害はそこまで大きくない、装甲が少し凹んだくらいだ、本気で殺す気なら刺すんだが…………殺すと今後に影響が、な。
『ぐぅっ!』
「まずはひとぉつ!どうした四聖剣?どうした日本人?それほどのKMFに乗っておきながら、この程度か!?ハァッ!!」
ヴァイブレーション機能が起動したMVSを振りかぶり左の月下に斬りかかる。
『なめるな!』
が、受け止められる、パワーでは若干月下が勝るため、つばぜり合いとなる。
『我らの力を侮るな!』
そこに後ろからの奇襲、これは普通にランスで受け止める…………いや、柄で刺す。
『がはっ!つ、柄で……』
もちろん刺さるはずもなく、ガラ空きの胴にぶち当たり、月下の腹部装甲がひしゃげる、あ、これでは中のやつ死んでしまうか、次は自重しよう。
「その程度の力では侮られていても文句は言えないな」
にしても味気ない、こいつら本当に強いのか?微妙なんだが…………いや、藤堂なら、藤堂ならこいつらより強いはずだ。
そうとなれば…………。
「こんなものか?こんなものでよく我らがブリタニアと皇帝陛下に逆らおうなd『うおおおおお!』
話の途中で突っ込んでくる無頼、こいつは…………雑魚だな。
「雑魚は引っ込んでいろ」
ランスでコックピットごと串刺しにする、ランスを伝って赤黒い液体が地面に落ちる…………固まった血って落とすの大変だって聞いたな、すまない整備班、これからは中身を攻撃しないようある程度自重する。
「ふん、雑魚が粋がるからこうなるんだ、まったく面白くない…………さあ、藤堂をこちらに渡してもらおうか」
ん?ゼロ…………ルルーシュからか。
「何かご用でしょうか?」
『ツキト、殺すなとは言わないが、できるだけ控えてくれ、損害が大きいと士気が下がる』
「了解しました、無力化にとどめますが…………藤堂はKMFの操縦がうまいと聞きます、手加減できかねますが…………」
『お前ならできる、信じろ』
そう言って通信をきるルルーシュ…………ゼロ。
信じろ、か…………やるだけやってみるか。
ゼロの乗ったKMFとおそらく月下が入っているであろうトレイラーにゆっくり歩いて近づく、まだ藤堂は月下に乗り込んでないのか?早くしろよ!でないとユーフェミアに説得されたスザクとランスロットが来ちまうだろうが!何のためにリハーサルなんてやらなくてもいいことを計画して牢獄の警備を減らしたと思ってるんだ!怪しまれないように日本の各警備KMFを様々な理由つけて減らした私の苦労を水の泡にする気か!
トレイラーとの距離がおよそ30mをきったところでトレイラーの側面が開いて四聖剣の月下とは少し違う月下が飛び出してきた、四聖剣の月下と同じチェーンソーのようなブレードを振りかぶって、って早!?
「ちっ!」
ランスでは斬られる!MVSで防ぐ!
「貴様…………この太刀筋、藤堂か!」
『いかにも!』
「ぐぉ!?」
一段パワーが強まる、両手でブレードを持ち上から押し付ける月下、片手でMVSを持ち下から防ぐグロースター、パワーも立ち場も不利だな。
右手のランスを空いた胴に向けて振る、藤堂の月下か後ろへと後退した、これくらいは避けるか。
しかし、四聖剣より明らかに早かった、四聖剣は当たる直前に紙一重で避けていたが、藤堂はその前からすでに動き出していた、厄介だな、これじゃあ不意打ちは効きそうにない。
「なるほど、ナリタでギルフォードとやりあったと聞いたが、実力は確かなようだな」
案外楽しめるかもしれないな。
右手のランスを地面に突き刺し、MVSを右手に持ち替えて両手で握る。
『………何の真似だ?』
「貴様とは、正々堂々とした勝負をしたいからな」
『騎士道か、ならば私も武士道で行かせてもらう!』
月下とグロースターのランドスピナーが同時に地面を蹴り、両者の距離が一気に0になる。
『セイ!』
「ハァッ!」
グロースターのMVSと月下のチェーンブレードがぶつかり、チェーンが回転することによって火花が散る。
数秒のつばぜり合い、私はランドスピナーを使って後退、つばぜり合いから離れ、即座に急発進、MVSで月下を貫かんとする。
しかし月下のチェーンブレードの腹の部分で軌道をわずかにそらされ、月下の頭部装甲を少しだけ剥がしただけであった、藤堂は月下のチェーンブレードをMVSに当てたまま滑らせ、グロースターの腕を切断しようとする、MVSから左手を離して月下の手首を掴み、動きを止める、止めきれずにグロースターの胸部装甲が少し削れる。
「やるな!」
『貴殿もな!』
やはりこの男、藤堂は戦士だ!一対一の真剣勝負でここまで熱くなったのはジェレミア卿との模擬刀での斬り合い以来だ!楽しい!楽しいぞ!!
「ハハハッ!!」
一旦距離をとる藤堂、間髪入れずに突撃する私、MVSで下から上へ向かって切り上げる、それを避ける藤堂、ランドスピナーでそのまま1回転して月下の頭部を狙いMVSを振る、とった!
だがその一撃でさえも藤堂の月下のチェーンブレードで軌道をそらされる。
「貴様は素晴らしい!ここまで熱く、ここまで楽しい戦いは久方ぶりだ!」
思わず叫ぶ、ハハハハハ!!楽しい!楽しいぞ!!この命の削りあいが!ハハハッ!ハハハハハ!!
そして、幾度目かの斬撃とスラッシュハーケンの応酬の果て、遂に攻撃が当たった、藤堂の月下のチェーンブレードは私のグロースターの右腕を、私のグロースターのMVSは藤堂の月下の右腕を、それぞれ同時に切断した。
同時に、MVSはバッテリー切れで振動が止まり、チェーンブレードは回転をやめ、両方の武器は支えを失い地面に突き刺ささった。
「ハァ、ハァ……楽しかった……ぞ、藤……堂……」
『ぐっ、ハァ、ハァ……』
息も絶え絶えで通信を送る、藤堂も限界のようだな。
グロースターの脚部が高速戦闘でイカれ、膝をつく、月下も限界だったようで、同じように膝をついた。
機体も、そのパイロットの著しく消耗してしまったか、しかし、私には、いや、おそらく藤堂にも、達成感が確かに存在した、強敵との戦いが、命の削りあいが、獣のような斬り合いが、大きな充足感となり、疲労感と相まって脱出する気力さえ薄れてしまった。
ランドスピナーの音が聞こえる、ランスロット、ではないな、おそらく四聖剣の月下だ、とどめを刺すつもりか…………ふっ、いいぞ、とどめを刺せ、その判断は正しい…………。
『やめろ朝比奈!』
『藤堂さん!?なぜ!』
それを止めに入る藤堂。
『勝負はついた……引き分けだ』
『でも!ここであいつを倒せば!』
『いや、藤堂の言う通りだ、こちらに高速接近するKMFが検知された、撤収だ!』
『ゼロ!あなたは……』
ゼロが通信に入り、藤堂と朝比奈の仲裁をし、撤退指示を出す、しかし聞く気がないようだ、ランスロットの距離が7kmをきった、仕方ない、ゼロの後押しするか。
「ふふふふふっ」
『何がおかしい!?』
「ここに近づいてきているKMFは、我がブリタニア最強の機体だ、第5世代の私の機体とは違う、さっさと帰ったほうがいいぞ?」
『何を!』
「頼みの藤堂は疲弊しすぎている、ここで戦い続けるのは無意味だ、ゼロはそこらへんがよくわかっている、良い指揮官だな、だが……」
距離およそ0.5km、遅かったか。
「無意味だ」
『ゼロおおおおおおおおお!!!』
『上から!?』
『くっ!四聖剣は白兜と当たれ!残りは藤堂を連れて撤退だ!』
上空からランスロットの奇襲、グロースターと比べるのもおこがましい速度、ランスロットのMVSがゼロの無頼の両腕を吹き飛ばす、そのまま脚を狙うが四聖剣が邪魔に入り、ゼロの前に立ちふさがる。
スザクはゆっくり私の方に後退してきた。
『大丈夫かいツキト?』
スザクが話しかけてきた。
「私は無事だ、だがグロースターはもう動かん、ランドスピナーと脚が死んだうえ、腕もない、残ったのは機銃くらいだ」
『......藤堂さんと戦ったんだね』
察したか。
「ああ、とても強かった、やつの腕と脚を殺すのがやっとだった」
『やっぱり藤堂さんは……』
「お前は藤堂と面識があったんだったな……」
今のスザクでは藤堂は殺せないか、もとより期待してはいなかったが。
「スザク、奴らを殺せとは言わない、無力化すればいい」
『わかった、ツキトは脱出できる?』
「ああ、だがここのほうが安全だ、もう少しここにいさせてもらうよ」
『危険だったらすぐに逃げて』
「スザクもな、気をつけろ、四聖剣はかなりの手練れだ」
客観的に見たら、だけどな。
スザクが仕掛ける、だが四聖剣は戦う気がないようで後退している、スザクと話している間に説得したか、ふぅ、ひやっとした。
煙幕を張りつつ逃げる四聖剣と騎士団。
「スザク、追うな」
『ツキト!なんで……』
「お前のことだ、どうせフルスロットルでここまで来たんだろう、エナジーフィラーの残量はどのくらいだ?」
『…………もうほとんどない』
「じゃあ諦めろ、追いかけてもエナジーフィラー切れになる、しかも、ご丁寧にも煙幕にジャマー効果も付いているようだ、これじゃレーダーが使えん、残念だが…………またしても私たちの負けだよ」
『…………くそ!』ガン!
スザクがランスロットの内部を殴る音が聞こえる、悔しいだろうが、耐えてくれ。
およそ一時間後、特派のトレイラーが迎えに来た。
騎士団と四聖剣を取り逃がし、藤堂を持って行かれ、帰ったらコーネリアが怒るだろうな、いや怒られるだけならまだいい、最悪、ラウンズ降格だろう。
あーそうそう、さっきの広域通信、騎士団がジャマーをかけていたらしく、近距離にいた騎士団連中とゼロ、四聖剣と藤堂以外には聞かれていなかった、問題発言も多かったし、聞かれてないならそれでいい。
トレイラーから出した持ち運びできるテーブルと折りたたみ椅子に座ってセシルが出した紅茶を飲む。
スザクの表情は暗い、知り合いが敵につくことの辛さは私にはまだわからない、だが、裏切られる痛みはわかる。
スザクは悩んでいる、助言を与えようとも思ったが、今回はスザクに任せようと思う、人間は成長する生き物、人外の私が成長を阻害してはいけない。
そんな中、トレイラーに脚部機能全死のグロースターを回収中だったロイドが慌てた様子でこちらに走ってきた。
「大変だ大変だ大変だよぉ〜!」
「どうした?あっ、まさかグロースターの飛行ユニットに傷でも…………」
「そんなことはどうでもいいんだよぉ!」
そんなことって…………それくらい重要なことって言ったら……ガウェイン?
「ガウェインが!盗まれちゃったんだよぉ!」
「えぇ!?」
「なにっ?」
ここはスザクと一緒に驚いておこう、リアクション薄めに。
「僕のガウェインがぁ〜……」
「盗まれたって、騎士団にですか!?」
「そうみたぃ〜、あー僕のガウェイン……」
「おそらく、陽動作戦ってとこだろうな、牢獄へ主力を送っている間、残存兵力で隠密に奪取したんだろう、手口は?」
「整備施設に運ぶトレイラーに紛れ込んでたみたい……僕の〜」
「紛れ込んでいたのか…………警備の薄さを突かれたか、くそっ!」
イラついてる風にテーブルを叩く。
「まんまと陽動に引っかかっているうちに最新鋭兵器を盗まれるとは…………不覚だった……」
「そう!最新鋭なのがまずいんだよぉ〜、ハドロン砲が解析でもされたらまずいよ〜」
「クッソォ!ゼロぉおおお!!!」
夜の闇にスザクの怒号が響いた、スザクの瞳は執念に燃えていた。
簡単な聴取が終わり、会場に帰ってきた、兵士は皆疲れていた、牢獄にきた兵士も、私とスザク不在の間会場を警備していたKMFのパイロットたちも、皆疲れきった顔をしていた。
出迎えは誰もおらず、ユーフェミアのいる個室まで疲れた顔の兵士たちが並んでいた。
門番に確認をとり、中に入る、ユーフェミアは椅子に座って寝ていた、おそらく私たちの帰りを待っていたのだろう、思わずスザクと顔を見合わせる、なんとなく笑いがこみ上げてきて、喉の奥ではないくつくつと笑う。
だんだん今夜のことがどうでもよくなって、ユーフェミアを起こさないようにベッドに運び、ふとんをかけ、個室を後にした、報告は明日にしよう。
「スザク」
「なんだいツキト?」
「私たちは、騎士団を取り逃がし、藤堂まで連れて行かれた、だが、ユーフェミア様の寝顔は守れた」
「うん」
「皇族に使える身として、護ることがいかに難しいか知っている」
「うん」
「スザク、私たちが今日失ったものは大きい、しかし、守れたものはそれ以上に大きい、スザクが増援としてきてくれなかったら、私は死に、騎士団がそのままユーフェミア様のいるこの会場に攻めてきたかもしれない、だがスザクが来てくれたおかげで騎士団は撤退した………………スザク、お前は立派だ、こうしてユーフェミア様を見事に守ったのだから、誇ってくれ」
「ありがとうツキト、でも僕一人でユフィを守ったんじゃない、ツキトがいたから守れたんだ」
「ふふっ、スザクらしいな、だが、騎士となったら一人でユーフェミア様を守れなくてはな」
「ツキトは力を貸してくれないの?」
「もちろん貸すさ、だがいつでも貸せるわけじゃない、私が加勢できないときは、お前が一人で守り抜くんだ、そのときは覚悟しておいてほしい、そして、誓ってくれ、どんなことがあろうと、ユーフェミア様の一番の味方であり続けると」
足を止めてスザクの目を見る、透き通った迷いのない目だ、もう答えは決まっているようだな、聞くまでもなさそうだ。
「誓うよ、僕はユフィの騎士として、ユフィのそばに居続ける、そして、ユフィの一番の味方になるよ」
「その覚悟、確かに聞いたぞ」
スザクにはもう迷いはない、藤堂を殺すことも、ユーフェミアのためだと割り切り、躊躇も迷いもなく殺すだろう、少々早い【鬼神】の誕生だ。
「ふーーっ、動いたら腹が減ったな……」
「そうだね、ご飯ってまだあるかな?」
再び歩き出す、さっきのシリアスはポイだポイ。
「特派のトレイラーに缶詰くらいはあると思うが…………そうせなら、ラーメンでも食いに行かないか?」
「え?でも遠いんじゃない?」
「安心しろ、ゲットー内のラーメン屋だ」
「え!?あったの!?」
「昼間に屋台人探ししてるときに見つけたんだ、ボロいテントだったが、うまそうなスープの匂いがした」
「本当!?じゃあ行ってみよう!」
「あーちょっと待ってくれ」
「どうしたんだい?ツキト」
「さすがにゲットー内でブリタニア軍の制服はまずい」
「あ、そっか、私服に着替えようか」
「だな」
現在時刻は11時、この時、時間のこと、ましてやカロリーについてまったく考えておらず、日本人に混じってスザクとチャーシュー麺(チャーシュー2倍ネギアブラマシマシ)とチャーハン(並)を食った。
ついでにラーメン屋の人と仲良くなった、なんとなしに式典の日に屋台を出してくれないか言ってみると意外にもOK、スザクとともに驚いた。
1日の終わりに誰にでも友好的な日本人の強かさを再確認した。