ツキトside
あれから二日、第二次シンジュクゲットー掃討作戦まで残り二時間をきったところ。
正午からの作戦という情報だったためルルーシュに学園を休んでもらった。
「ツキト、衣装はできたか?」
「はい、色は黒で統一してありますが通気性が良いので暑苦しいことはないかと、マスクも通気性を優先してありますが、万が一を考えコイルガンを二、三発耐えられる強度にしました」
「パーフェクトだ、では行こう」
「はっ」
盗んで保管しておいた車を引っ張りだしてシンジュクゲットーに向かう、揺られること二十分、シンジュクゲットーに到着した。
「俺は着替えておく、ツキトも変装を」
「はい」
今回の私の任務はルルーシュの援護、細かく言うともしルルーシュの指示に従わない者がいた場合、ブリタニア軍の識別番号を出すグロースターに搭乗してそいつを攻撃する、そうすることによって、ルルーシュの言うことを聞かない者は死ぬ、と思わせることができる、ただの茶番、自作自演の劇だ、これでは拍手はもらえそうにないな。
そのために私はまず変装(歩兵装備)してクロヴィスのいる拠点に近づき、クロヴィスに会って正体を明かしグロースターを使わせてもらう、というわけだ。
………クロヴィスについて聞いておくか。
「ルルーシュ様、クロヴィス様はどのようにいたしましょうか?」
『クロヴィスはお前に任せる、コーネリアさえおびき出せれば第二段階はクリアしたも同然になる、頼んだぞ』
「イエス、ユアハイネス」
しばらくしてルルーシュが着替え終えて出てくる。
「ツキト、準備はいいか?」
「はい」
「よし、では手筈通りに」
「イエス、ユアハイネス」
クロヴィスのいる拠点…………移動拠点に向け人離れした速度で走る。
拠点が見えた、窓にクロヴィスが見える。
「止まれ!IDをチェックする、名前は?」
「マクシミリアン・テルミドールだ」
「…………よし、通っていいぞ」
「ご苦労様」
雑なセキュリティだな、ルルーシュでも突破できるわけだ、見回りの兵も少ない、本当に拠点かここ?
「失礼します!クロヴィス殿下にお伝えしたいことがあります」
「なんだね?」
歩兵装備のヘルメットを外す。
「グロースターを使いたいのですが、ありますか?」
「ツキト!来るんだったら言ってくれればよかったのに!」
クロヴィスが椅子から立ち上がり興奮気味に言った。
「申し訳ありませんクロヴィス様、子供の時にやった変装ゴッコを思い出しまして」
「懐かしいなあ、ルルーシュは女装したんだったか」
「あまりに似合いすぎていて写真を撮って自慢したら後日婚約の申し込みがありましたね」
「あれは笑ったよ、ナナリーも喜んでいたね」
「【お兄様がお姉様になったのなら、一緒にお風呂に入れますね!】でしたね」
「あれは傑作だったよ、はっはっは」
話についてこれずポカンと口を開けて固まるバトレーたち、面白い顔してるな。
「おっと忘れるところだった、ツキトのグロースターは特派に預けてある、話は通しておくから好きに使ってくれ」
「ありがとうございます」
移動拠点を出て特派のところに行く。
「失礼する」
扉を開けて中に入る。
「あーら、いらっしゃーい、君がナイトオブサーティーン?意外に小さいんだね〜」
ロイドがお出迎え、原作通りの性格だな。
「ちょっとロイドさん!失礼ですよ!すみません、ロイドさんってこんな感じの人で……」
セシルも原作通り大変そうだ。
「構わんよ、それより、私のグロースターは?」
「あ〜、あの紺色のグロースターでしょ?ちょっと改造しちゃったけど、問題ないよね」
「改造?」
改造?というか紺色って、私のカラーじゃないか、クロヴィスもなかなかに粋なことをする。
「うん、試作型のフロートユニットを取り付けてみたんだ〜、最大稼働時間はまだ十分くらいだけどね〜」
フロートユニット!?もう試作型ができていたのか!?
「飛べるのか?」
「うん、理論上はね、まあ飛べなくても加速用程度には使えるはずだから」
ふむ……………使ってみたいな。
「あの、別に外してもいいんですよ?」
どうやら私が長考していたのをフロートユニットが邪魔そうに考えていると思ったのかセシルがそんなことを言ってきた。
「…………こいつのデータは?」
「ま〜だ何もないよ、それにつけたのが初めてだから」
「よし、ならば私がデータ取りをしよう」
「お〜、ありがとう、これで実用化に近づくよ〜」
「ロイドさん落ち着いてください!」
クルクルと踊り出すロイド、元気だなこいつ。
「セシルさん、何かあったんですか…………ってツキトさん!?」
「おおスザクか、数日ぶりだな」
「あ、はい、先日はラーメンを奢っていただきありがt……ってなんでツキトさんが!?」
「ああすまんな、クロヴィス様とちょっと挨拶をしてきてな、グロースターに早く慣れたいから使わせてもらうことにしたんだが…………もっとも、改造された上芸術的な紺色に塗られているとは思わなかったが」
「クロヴィス殿下自らがデザインされたんだそうです、【旧友の乗る機体だから】と言って」
「クロヴィス様自らが…………そこまで期待されては、武功をあげてこねばな、よし、ロイド!グロースター発進の準備を!」
「はいは〜い」
カタカタとモニターを見ながら打ち込んでいくロイド。
「それからスザク、ランスロットの準備を」
「ええ!?でもランスロットは……」
「私の随伴と言えば文句は言われまい、ロイド!ランスロットの準備も頼む!今日はデータが取り放題だぞ!」
そう言うとロイドがピクリと震える。
「あっはは〜ざぁんねんでした〜セシル君、今日は徹夜だよ〜」ニコニコ
満面の笑みでそういった。
「その割には嬉しそうな顔ですねロイドさん………はあ……」
「あはぁ、あはは〜」
本当に嬉しそうな顔だな、女より研究、ってところか、私も似たようなものか、私の場合、女より国家(ブリタニア)だがな(ただしアーニャは除く)。
「というわけで、スザク、ランスロットにて待機、クロヴィス様の出撃命令に従い我々はツーマンセルで出撃する」
「了解しました!」
スザクは敬礼を返しランスロットの保管場所に向かっていった。
「グロースターのプログラム終わったよ〜」
「ありがとう、よいしょっと……」
グロースターのコックピットに乗り込む、うん、数日ぶりの操縦桿は冷たいな、温かいのもどうかと思うが。
さて、出撃と同時にフロートユニットを起動して戦場を真上から支配してくれる…………と思ったが、接近戦主体のこいつではな…………せめてライフルかロケットランチャーでもあれば…………。
『聞こえます?実は、新しく作ったロケットランチャーがあるんだけどぉ………』
ナイスタイミングだロイド!
「今すぐそいつをよこせ!上空から撃ち下ろしてやるから!」
『何気に酷いこといいますねえ……セシル君、そっちお願いねえ、スザク君、向こうに赤いコンテナあるから持ってきてくれない?』
『あ、はい、持ってきます』
ここだけ見るとスザクがただのパシリに見えるな、まあグロースターよりもランスロットの方がパワーがあるし、こういった使い方もできるわけだ、民間用KMFは装甲と武装とランドスピナーを外して使っていると聞いた、なんでもぺしゃんこに折りたためるのだとか。
『ロイドさん、赤いコンテナってこれですか?』
『そだよ〜、ツキト君、その中に待望のロケットランチャーが入ってるよ〜』
コンテナが開き中のロケットランチャーが見える、おお!これはいい!
「ありがとう、これで上空から一方的に、且つ効率的に殺せるな」
『使ったら感想ちょうだいね〜、フロートユニットの方もね〜』
「もちろんだ、だが私は少々辛口だぞ?」
『研究者としてはそっちの方がありがたいんだけどねえ』
ロイドは兵器、というか研究の話となるとテンションが上がるな、それにいい奴だし、機会を伺って引き入れるのも手だな、だがそうするとラクシャータと喧嘩しそうだな…………まあいいか、その時はブリタニアの国是の通り、競い合ってもらうだけだ。
『クロヴィス・ラ・ブリタニアの名の下に命じる!第二次シンジュクゲットー掃討作戦を開始せよ!全軍出撃!各々武功を挙げよ!』
始まったか。
「スザク、発進するぞ!」
『了解です!』
「ツキト・アールストレイム、【グロースター改】、でるぞ!」
ランドスピナーで地面を滑走していく、後ろからランスロットがついてくる、それを確認してルルーシュに連絡を入れる。
「ルルーシュ様、作戦開始しました」
『確認した、お前はどの機体だ?』
「紺色のマント付きの機体です」
『後ろの白兜は?』
「第七世代KMF【ランスロット】、厄介な機体です、第五世代のサザーランドなど、ただのいい的です」
『そいつの管理は頼んだ、こちらはこのまま始める』
「イエス、ユアハイネス」
通信を切った後すぐに先行していた死に急ぎサザーランドが撃破された。
作戦開始したな、だが、まだだ、こんなのただの待ち伏せでしかない。
ルルーシュの…………ゼロの力をレジスタンスに知らしめるには、奴らにとっての指導者たる存在として認めさせるためには、この程度では足りん。
最低でも十機は撃破される必要がある、それから撤退も、どちらもやらなければならん、簡単にはいかないだろうな。
「スザク、私は一旦空に上がりナビゲートする、お前はそれに従い敵を殲滅せよ」
『了解!』
「フロートユニット起動!いくぞグロースター改!戦場を支配するのだ!」
フロートユニットが起動し、脚が地面から離れ、ランドスピナーも完全に地面から離れ飛翔する。
『ほ、本当に飛んだ………』
通信をスピーカーモードにして……。
「臆病なテロリスト諸君、今投降すれば死刑が懲役二百年にまで減刑される、投降する気はないかね」
自分でも思うが、上から目線すぎるな、まあいい、これは挑発だ、これで敵がアサルトライフルでも撃ってくれば………。
っ!
アラートが鳴った瞬間にその場から動く、この連射速度はアサルトライフル、鹵獲したサザーランドのものか。
スピーカーモードをオフにしてスザクに繋ぐ。
「スザク、今のが見えたか?」
『はい、三時の方向にサザーランドを確認しました』
「破壊しろ、奴らはテロリストだ!」
『了解!』
さて、このままでは暇だな、ロケットランチャーでも使ってみるか。
ふむ、こうして担ぐと改めてその大きさを実感するな。
ふとその時、先ほどの部隊とは違うテロリストのサザーランド三機が九時方向から二時方向に向かっているのが見えた、ロケットランチャーを照準、発射。
尾を引いて飛翔する弾頭は先頭のサザーランド二機を吹き飛ばした、これでは脱出は無理か、というか弾速が予想より速いな、データの修正もしておくか、できれば三機とも吹き飛ばしたかったが。
通信が入る、ルルーシュからか。
『おいツキト!お前は何をしている!?』
「上空からランスロットのナビゲートです、瓦礫が多く道がわかりにくいうえ、トラップがある可能性が………」
『それに引っかけるのがお前の仕事だろう!?』
「お言葉ですがルルーシュ様」
『なんだ!』
「ランスロットのパイロットは枢木スザクです」
『な!?』
通信機の向こう側でルルーシュは絶句する、まあ当然か。
っと、今度は誰だ?別の部隊からか。
「どうした?」
『こちらB6!敵サザーランドにより四機大破!損傷が激しい!応援を!』
「現在位置は!?」
『3ー5です!敵の待ち伏せを受け、現在3ー2に向けて後退中!』
「了解!そのまま後退し、友軍の支援まで持ち堪えろ!」
3ー5はあっちだ、3ー2となると………ちっ、遮蔽が少ないか、直接ロケットランチャーで吹き飛ばしてやる。
「こちらX1、これより砲撃支援を行う!」
ロケットランチャーを3ー4地点に向ける…………サザーランドが通過した!あれは友軍、なら次はレジスタンスのサザーランド!視認はできないが、威嚇でもいい、ロケットランチャー発射!
ロケットランチャーの弾頭が次々と瓦礫を吹き飛ばす、しばらく撃ち続けているとサザーランドの残骸らしきものが高く飛び上がった、やったようだ。
「こちらX1、敵サザーランドに攻撃を加えたが撃破したかは確認できていない、十分に警戒しつつ本陣まで後退せよ」
『了解、本陣まで後退する』
なんとか救えたか、救う必要はなかったがな。
さて。
「スザク、そちらの様子は?」
『敵サザーランド六機目を撃破!現在残存敵サザーランドを追跡中!』
「エナジーフィラーは持つか?」
『ええと…………帰投分しかありません』
「なら本陣まで後退して補給を行え、上空から後退を援護する」
『了解です!』
うむ、双方に被害が蓄積している、若干こちらの被害が大きいが、概ね予想通りだ。
ん、今度はルルーシュか、中継役は忙しいな、ま、特等席の代金だと思えば………って。
「エナジーフィラーがもうきれそうだな………」
ランスロットより燃費が良いはずのグロースターにフロートユニットを取り付けただけでこの減りようか、燃費が悪すぎだろう、秋水じゃあるまいし。
おっと、通信を忘れるところだった。
『ツキト、ランスロットはどうなっている?』
「エナジーフィラーが限界値を超えそうになったので私と一緒に帰投させています」
『わかった、それとツキト』
「なんでしょうか?」
『…………スザクは俺の敵だ、だが、同時に友達なんだ』
「殺すな、ということでしょうか?」
『………ああ』
「わかりました、枢木スザクは死なせません、私が守ります」
甘いな、だがそれでいい、表から見れば才色兼備の魔王、裏を返せば継ぎ接ぎだらけの魔王、それでいいんだ、そうでなければお前はルルーシュではない。
『頼んだ…………そろそろ頃合いだ、全軍に撤退命令は出せるか?』
「ラウンズとしてクロヴィス様に進言してみます」
『ダメでも連絡をくれ』
「了解しました」
通信が切れる、クロヴィスのいる移動拠点に通信を繋ぐ。
「こちらX1、クロヴィス様?」
『クロヴィスだ、何かあったか?』
「そちらでも確認済みとは思われますが、これ以上の損害は士気の低下につながります、ラウンズとして撤退を進言します」
『ふむ……………確かにそうだな、こちらサザーランドはすでに二十機………二十一機落とされた、向こうも同じ分だけ落としたがこれでは損害が激しくなる………バトレー、全軍に撤退命令を出せ、攻撃をしつつゆっくり撤退させろ』
『はっ!』
通信が切れる、うまくいったか。
通信をルルーシュに繋げる。
「撤退命令が発令されました、成功です」
『よくやった、クラブハウスで落ち合おう』
「了解しました、祝いますか?」
『まだだ、と言いたいが少しくらいは作戦の成功を祝しても問題ないだろう、帰りに適当な物を買ってきてくれ』
「イエス、ユアハイネス」
通信を切りスザクに繋げる。
「スザク、撤退命令が出たようだが、そちらはどうなっている?」
『まだ補給中です』
「そうか、では私も帰投する」
通信を切って特派に向かい針路を取る、滞空してるだけでこの減りようか、まだまだ完成には遠いな、というか帰れるのか?この残量だとランスロットに迎えにきてもらわないとダメかもしれんな。
予想通りにエナジーフィラーが途中で切れ、ランスロットに牽引してもらった、久しぶりの実戦ではしゃぎすぎたか?そんなわけないか、フロートユニットの燃費が悪すぎるのが原因だな、あとメーターを見なかった私、半分私が悪いな、うん。
「すまんなスザク、モニターは見ていたんだがな………」
「見落としてしまうことは誰にでもありますよ」
「そうか…………今回の作戦、成功したと思うか?」
誤ったあとスザクに作戦について聞いてみた。
「…………自分は、失敗したと思います、テロリストに反撃を許し、KMFも多数撃破され、撤退を余儀なくさせられたのですから」
「確かにな、無理矢理押し込んでも良かっただろう、だが損失を考えた場合な…………」
「その通りです、今回はテロリストに勝ちを譲ってあげましょう」
「そうだな、次は確実に殲滅する」
特派の扉をくぐるとセシルがココアを用意していた。
「あ、任務ご苦労様です、ココアです、どうぞ」
「「ありがとうございます(ありがとう)」」
ココアを受け取りロイドの元に向かう、モニターとにらめっこをしているロイドの背後に立つ。
「フロートユニットはどうだったぁ?」
「燃費が悪すぎだ、十五分しか飛べんようでは実用化は程遠い、三十分くらいにできるか?」
「う〜ん、今回のデータから燃費を良くしてもプラス三分くらいだしぃ、今はちょっと無理かなぁ」
「三分も増えるなら充分だ、とりあえずの目標は三十分を目処にしてくれ」
「はぁい、それでロケットランチャーはぁ?」
「データと弾速が違っていて焦ったぞ、だが威力は悪くないな、弾道も素直だ、爆風の範囲がもう少し広ければ広域破壊にも使えるんだがな」
「広域破壊かぁ、かんがえたこともなかったねぇ、弾頭をケイオス爆雷にするとかどう?」
「着弾と同時に鉄の花火か、面白いな、早速シミュレーションだ」
「はいはぁい」カタカタ
ロイドとは話が合うな、それにいい兵器を作る、しばらくは特派に世話になりそうだ。
ココアを飲む、うむ、この辛さが絶妙で…………ん?これココアだよな?なんで辛いんだ?
…………深く考えない方が良さそうだな、とりあえず飲み干しておくか………………まあ普通に美味しいんだが、確実にココアの味じゃないよな?
「ツキトさん、クロヴィス殿下がお呼びです」
「む、そうか、今行く」
何のようだ?今回の撤退について報告しろとかか?
まあいい、クロヴィスのいる移動拠点の部屋に入る。
「失礼します、クロヴィスs…………!?」
部屋の中ではクロヴィスがブリタニア歩兵にコイルガンを突きつけられている様子だった、クロヴィスは落ち着いていて騒ぐ様子もない。
隠し持っていたナイフを持ち歩兵に襲いかかろうとする。
「待て!」
クロヴィスから静止の命令、聞き入れるしかない。
「彼は私を撃たない、だから安心してくれ」
「しかし!」
「ふっ、兄上、随分と腑抜けてしまわれましたな」
歩兵がヘルメットを取る、そこにいたのはルルーシュだった。
「ルルーシュ様!?なぜクロヴィス様に銃を……」
「黙っていろ!」
「っ!………イエス、ユアハイネス」
ルルーシュ、何を考えている?スザクを軍から辞めさせるつもりか?いやルルーシュはそんなことをしないはず…………。
「クロヴィス、俺の言う事を聞けるか?」
「久しぶりに再開した弟の頼みかい?それともテロリストとしての要求かい?」
「……………テロリストとして、だ」
「そうか…………なら聞く事など何もない、去れ!」
「言う事を聞かねば殺すぞ!」
「死の覚悟などとっくの昔にできている!ルルーシュとナナリーが死んだと聞いたあの日から、ずっとな!」
「なっ!?」
ルルーシュが驚きコイルガンが揺れる。
「あの日、エリア11を占領したあの日、ルルーシュとナナリーが死んだと聞かされた、とてつもない喪失感だったよ、その日からずっと死んだように生きてきた」
「クロヴィス………」
「私は無力で、無知で、どうしようもなく馬鹿で、世間知らずで…………ルルーシュの方がよっぽど大人だよ」
「なにを……」
「ルルーシュ、君が私を撃つつもりなら、一言だけ、言わせてもらいたい」
「………どうぞ」
「すぅー…………はぁー…………………
おかえり、ルルーシュ」
「っ!兄上!」
「こんな駄目な私を兄と呼んでくれるのか、ありがとうルルーシュ」
「なぜ!なぜですか!なぜ逃げないのですか!?」
「私は、自分の無力さゆえにルルーシュとナナリーを一度死なせてしまった、だから君の一発は、受けなければならない、これは、私の意地だ」
クロヴィスは堂々と言い返し目を閉じた。
ルルーシュのコイルガンは震えがまし、今にも床に落ちてしまいそうだ。
やがて…………。
「…………」
「………ルルーシュ?」
ルルーシュはコイルガンを下げた。
「すみませんでした、兄上、失礼なことを………」
「いいんだ、私は怒ってはいないよ」
そしてクロヴィスに頭を下げたのだ。
「改めて、兄上にお願いがあります」
「なんだい?」
「コーネリアを、姉上をエリア11の総督にしてください」
「いきなりだね、なにが目的か聞いてもいいかい?」
「………シュナイゼルを、殺すためです」
言ってしまうのか!?
「そうか………兄上を殺す、か…………コーネリアに連絡を取ってみよう、テロリストたちが手に負えないと言えば来るだろう」
「兄上……」
「ルルーシュ、これはせめてもの罪滅ぼしだ、お礼はいらない、それに、私もテロに加担してしまったんだ、口外はしないでくれよ」
クロヴィスは微笑んでそう冗談を言った。
「はい、誰にも、口外いたしません」
「ありがとうルルーシュ、ツキト」
「はっ!」
やっとお呼びか。
「ルルーシュとナナリーを………私の大事な弟と妹を頼む」
「イエス、ユアハイネス!」
良い兄を持ったな、ルルーシュ。
「私は本国へ帰るよ、テロリストにより意識不明の重傷を負った、ということにでもしておくよ、ルルーシュも早く行った方がいい、そろそろ巡回が来る時間だ」
「はい…………兄上、お元気で」
「ルルーシュたちもね」
クロヴィスは笑顔で見送ってくれた、ルルーシュは瞳に涙を浮かべている。
「…………ツキト」
「なんでしょうか?」
「兄上は…………立派だな」
「そうでございますね」
「…………帰ろう、帰ったら次の予定を練るぞ」
「イエス、ユアハイネス」
涙をぬぐって決意を瞳に宿すルルーシュ。
これでこそ、私の主人に相応しい。
コーネリアが来た場合のことも考えておかねばならない。
これで第一段階は終了、目的に一歩前進したか。
これからも歩んでいこう、ブリタニアの進化のために。
オール・ハイル・ブリタニア!