コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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お待たせ!


『終戦』、そして『復興』

no side

 

 

それは、無数の残骸の上空に突如現れた。

 

識別ナンバーは未登録であり、友軍とは到底思えないブリタニアらしい風貌の飛行型KMF。

 

KMFは対空砲火の隙間を滑るように、縫うようにして、要塞上空へと到達した。

 

『ユーロピア連合共和国の諸君!私は、神聖ブリタニア帝国ナイトオブラウンズが1人、ツキト・カーライルである!』

 

KMFのスピーカーを通して発せられるナイトオブラウンズ、ツキト・カーライルの声。

 

『このような戦争はもう無意味だ、最後の1人まで殺しあう必要はないはずだ…………我々神聖ブリタニア帝国は諸君との講和を申し込む』

 

「ふざけるな!俺たちの仲間がどれだけお前たちに殺されたのかわかってるのか!?」

 

「こんなとこで諦められるか!1人でも多く道連れにしてやる!」

 

講和の申し入れに激怒したユーロピア連合共和国軍の兵士たちは口々にツキトへと、ブリタニアへと怒りを向ける。

 

損得で考えられるのなら、そもそもこんな戦争などとっくにやめている。

 

だがやめることはできない、そんなこと、できるはずがない。

 

敵にも、ブリタニアの奴らにも、同じ目に合わせてやらなきゃ気が済まない。

 

それがダメなら、せめて一矢報いて死んでやる。

 

彼らはそう硬く誓ったのだ、遠いところで安寧の眠りを手に入れた戦友、家族、恋人に。

 

その決意を無かったことにして講和など、できるものか、と。

 

だが━━━━━…………。

 

『私は悲しい!このような、血で血を洗う冷徹な戦争が悲しい!友人、家族、恋人…………親しい隣人たちが殺され!その復讐のために武器を取って死んでいく人々を見るのが悲しい!』

 

いきなり、悲壮な叫びが聞こえてくる、驚きのあまり、その場のすべての者が、口を閉じてKMFを見ることしかできなくなった。

 

『野戦病院で、帰還兵の家で、私は何度も、何度も何度も耳にするんだ、彼らの悲痛な声を、叫びを!…………彼らは言うんだ、【なぜ敵は人間なんだと】、【ツノでも生えていれば、人間でなかったら楽だったのに】と………私はもう、彼らが苦しむ様は見たくない…………君達も!君達も同じはずだ!こんなにも心を傷だらけにして、こんなにも人が死ぬまで戦いを続けて……何になる?何が残せる?この有限の大地に、無数の残骸を墓標のように突き立てて、後世の人々になんと教える?』

 

『私は━━━━私はそんなの嫌だ、みんな嫌なんだ、こんな、人が死んでいくことに、何も感じなくなっていくのが…………君達もそうだろう?同じだ、同じ人間なんだ、同じ言葉を話せるんだ、だから━━━━』

 

KMFのハッチが開き、操縦手━━━━ツキト・カーライルがKMFの頭の上に乗っかり、マイクを手に持って立った。

 

「もう、終わりにしよう…………終戦だ、もう………………血が流れるのは、見たくない……」

 

気がついたら、手に持っていたライフルは床に落ちていた。

 

気がついたら、涙を流し手で顔を覆って嗚咽を漏らしていた。

 

戦場は、戦場ではなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキト・カーライルは長きに渡る戦争を講和という形で終結させた。

 

確実に殲滅できる包囲陣を引きながら日和った、と受け取った指揮官などは文句を垂れ抗議したりした。

 

しかし、兵士たちは逆だった。

 

皆、屈託の無い表情で笑っていた。

 

人を殺すために引き金を引き、悪夢を見ることがなくなったのだとツキト・カーライルへの感謝を示した。

 

銃も敵意もない元敵国同士だった兵士たちは、強く、硬く、涙を流しながら、終戦という平和へ祈りつつ、抱き合ったという。

 

講和会議はブリタニア側からの申し込みということもあり、礼儀をもってユーロピア共和国連合最後の土地、ヴァイスボルフ城で執り行われた。

 

会議は難航したが、ユーロピアにはもはや余力はなく、独立した国家群としての役割を負うことは不可能、結果論だが、ユーロピア共和国連合の領土は自治区として神聖ブリタニア帝国に吸収された。

 

だが、瓦礫だらけの平原の復興の援助には、誰もが首を横に振った。

 

それもそう、利益を生まない雑草しかない原っぱに、それこそ無数に転がるKMFや戦車などの残骸を撤去するのに、どれほどの時間と労力、そして金が必要なのか………。

 

それは領土欲しさに参戦したユーロブリタニアの保守的な貴族も、難色を示すほどだった。

 

そんな中、即座に対応したのは日本エリアでの一件もあって復興のプロとも呼ばれたツキト・カーライルであった。

 

ツキトは私財を投げうちユーロピア共和国連合内のあらゆる事業に声をかけ、街中の動ける若者を雇用して復興への助力を求めた。

 

それだけではない、日本エリアからも労働力の募集をアッシュフォード家に依頼した。

 

「なあ、俺たちもやれるよな?」

「当然よ!でなきゃ、筋肉が泣くぜ!」

「社長!俺……俺!長期休暇の申請よろしいでしょうか!?ユーロピアで!」

「焦るなよキミィ、ところで諸君、ちょっと早めの社員旅行はどうかね?ユーロピア復興ツアーなんだがね」

「「「しゃ、社長!」」」

「力自慢の土方のわし(35)、汚れ好きの土方の兄ちゃん(29)、エリート誘導員のおっさん(41)、応募します」

「みんなも、お父さん、お母さんに感謝して、ユーロピア復興支援、行こうね!」

 

なお、暴走する軍人もいたというが………。

 

「ツキト君が私財を投げうって戦災復興…………私が行かずして誰が彼の師匠を名乗れるのだ!すぐに発つ!」

「ジェレミア卿お待ちください!」

「離したまえクレア君!休暇申請は出しておいたはずだぞ!」

「ジ、ジェレミア卿に命令が下っているのです!これを!」

「命令?…………ほほう、なるほど………」

「おわかりいただけましたでしょうか?」

「理解した、マリアンヌ様の命とあれば喜んで従おう………それで、準備の方はすでに?」

「はい、2時間前よりマリアンヌ様の命により、特別輸送機を用意しております」

「メンバーは搭乗済みか?」

「すでに完了しているとのことです」

「よろしい!ならば堂々と馳せ参じようではないか!栄光あるユーロピア特別派遣隊として!」

 

と、先読みしていたマリアンヌの手紙によって警備等担当の派遣隊としてジェレミア等優秀な隊員を送ることに。

 

そして、ツキト・カーライル傘下であるアッシュフォード家の申し出なら………と大勢の日本人から応募が来た。

 

当初の推定の3倍に登る人数が集い、そこから参加可能な人員を選定し、選ばれたもの達は軍の輸送機で広い大陸へと飛び立った。

 

大勢の復興を望む希望が、廃墟と化したパリへと終結、失われた輝きを取り戻すための戦争が始まった。

 

いざ戦災復興!……とスタートは良かったが、肝心のツキトがブリタニア本国より召喚を命じられてしまったのである。

 

それでもツキトは召喚日時までの日数を使い復興の指揮をとった、名残惜しいパリの復興半ばにして本国へ旅立った。

 

現在は傘下のアッシュフォード家の者によって復興は順調に行われている。

 

本国に降り立った際のインタビューにて。

 

「なぜ、一文無しになってしまってもおかしく無いほどの財産を投げうつことができるのですか?」

 

ツキトはこう答えた。

 

「一文無しになっても私は構わない、仮にそうなったとしても、彼らはきっと私を助けてくれるだろうから」

 

すると、別の記者がこう言った。

 

「とある男性より『娘と孫はやらん!』とメッセージがありますが、返答はありますか?」

 

この質問にキョトンとしたツキトだったが、意味を理解すると笑みを浮かべた。

 

「こう伝えて欲しい、『また会って話をしましょう、今度はあなたも含めて』と」

 

そう答えるツキトの表情は嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナナリーside

 

 

かっ………………。

 

「「かっこいい…………!」」

 

「さすがはカーライルさん、まったくキザじゃないわ!」

 

「同感です、爽やかで自然な感じです」

 

他の人ならキザな言葉も、ツキトさんだと嫌味なしに聞こえてくる。

 

っというかまた惚れさせたんですか…………もう、ツキトさんは本当に……。

 

「これでカーライルさんも帰ってこれるのね」

 

「まだ本国でのお仕事が残っているので帰ってこられるのは3週間後くらいでしょうか」

 

「(数ヶ月も待たされて、結局帰ってくるのが半年後なんて………ナナリーも強くなったわね)……まだまだかかるのね」

 

「ラウンズですし、復興もありますからね」

 

数日前、咲世子さんが通帳を見て青ざめていたのは記憶に新しい。

 

お金を引き出したら桁がいくつか減っていたのに気がついて詐欺にでもあったのかと疑ったみたい。

 

慌ててドジを踏みまくる咲世子さんがかわいかったですね。

 

「あっ、メールきました」ピローン

 

「忙しい日程でメールを毎日………2人ともタフね本当」

 

「ふむふむ…………1週間もかからないそうですね」

 

「え?早くない?」

 

「どうやら書類を提出して軽い質問をされるだけで、世話になった人にお土産をあげたらすぐに帰ってこれるそうです」ぽちぽち

 

「へー、お世話になった人か……皇族の人かな?」

 

「皇族の人ですけど、大半はそのメイドさんやコックさんみたいです」

 

「さっすが庶民派ラウンズ、でもなんで?」

 

「コーネリア様やユーフェミア様のお家、『リ家』なんですって」

 

「あー……納得」

 

律儀な人ですねツキトさんは…………。

 

「早く帰ってこないと、いい女を逃がしますよ、って返したら?」

 

「大丈夫ですよ、ツキトさんは浮気はしませんから…………襲われはしますけど」

 

「うっそ……………え?抵抗とかしないの?」

 

「私が襲った時もそうですけど、手錠とかしなくても絶対に暴れないんですよ、ツキトさんって」

 

「へー、それはなんとも草食系な……………ってちょいちょい待ち…………襲ったの!?」ガッターン!!

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

「え、えーと………」

 

このあと、騒ぎを聞いて先生が駆けつけてくるまで質問責めにあいました。

 

迂闊でした……。

 

時間は過ぎて昼休み。

 

教室でマリーさんと対面でお弁当を食べながらお話しします。

 

「いやー、うん、すごいわナナリー」

 

「うぅ………」

 

「襲ったってのは、まあだいたい雰囲気とかで察してたけど、手錠って…………」

 

「いえ、その…………こう、必死に身をよじるツキトさんがかわいくてつい……」

 

「うわあぁ………………」

 

「な、なんですかその反応!?」

 

「いやあその………ナナリーってドSだったのねって、そしてカーライルさんはドMだったのかって思って」

 

「しょうがないじゃないですか、いくら誘ってもツキトさんは基本的に添い寝までしかしてくれないんですから、それでちょっと魔が差して手錠をはめちゃうくらいは誰でもします」

 

そうです、寝顔がかわいいからついつい手錠に手が伸びてしまって………。

 

「そのままハメちゃうのはどうかと思うんだけど?」

 

「気持ち良くしてあげてるのでいいんです、むしろwin-winです」

 

あんなに激しく乱れちゃうくらいに私を感じてくれているんですから、絶対にwin-winなはずです!

 

「うんまあ、そうかも知れないけどさあ……」

 

「ツキトさんが本当に嫌なら私はそこでやめます、嫌なことはしたくないので」

 

「あっ、そこは止められるんだ」

 

「あ、当たり前じゃないですか!?」

 

「なんで言い澱むのよ………」

 

お昼休みが終わるまで、マリーさんとツキトさん談義をしていました。

 

これについては昨日も一昨日も、ですけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

皇族への訪問と一泊を挟み、ホテルから宮廷までの送迎リムジンの中で私はC.C.に電話をかけていた。

 

「研究は進んでいるのか?」

 

『そこそこのスピードだな』

 

「ロイドがやっているのにそこそこのスピードとはな……」

 

『サイコウェーブ(精神感応波の隠語)自体未知な部分が多い上、制御自体難しいモノなんだ、着々と成果が出てるだけマシだ』

 

「それもそうだが…………あまり時間をかけてもいられんのだ」

 

輻射波動機構以上に余白が多く未知な部分の残る革新的技術、それが精神感応波。

 

ロイドのアニメを見てそれを参考にちょっとしたおふざけマシーンを開発したことから端を発する精神感応波を利用した兵器群。

 

超常的な全方位攻撃を可能にしたKMF、【ガウェイン・アンジェラⅡ】。

 

共感覚、情報共有能力を持たせた小型スパコン搭載型自立二足歩行兵器、B型アンドロイド学習型【ヘンゼルとグレーテル】。

 

これらは特派によって開発されたものであるが、皇族のイザコザ(ギネヴィアなど)によってシュナイゼルではなく私の傘下のグループになったため、私が特派に重要研究対象として研究を命じている。

 

『お前にしては焦るじゃないか?どうしたんだ?』

 

「いや……………そうだな、C.C.、私は焦っているよ、サイコウェーブの技術が進めば、【治療】ができるはずなんだ」

 

『【治療】……………あれはまだ仮説じゃなかったか?』

 

「サイコウェーブがもたらす影響は、キネシス能力(ギアス)にもきっと通じるはず………ロイドの仮説なら、【削除】も不可能ではないはず」

 

『とはいえ、そううまくいくのか?私としてもうまくいってほしいが、まだ仮説段階だろう?』

 

精神感応波…………この技術は

要するに脳から発せられる電気信号を、例えば声に変換するために声帯に電気信号を送って振動させて声を出させる【命令】そのものといってもいい。

 

【こうすれば、こうなる】、【AをBにするにはCをしなければならない】、のような命令を脳が電気信として発し、それを受信できる装置を搭載したものが、さっきのガウェイン・アンジェラⅡやアンドロイドだ。

 

例えば、意思の疎通が困難な動物に受信装置を内蔵すれば、飼育員の電気信号を受信することができるようになり、より正確に気持ちを伝えることもできるだろう。

 

送信機と受信機だけでなく、送受信できる装置があれば、互いに精神感応波を通したコミュニケーションを取ることができ、言語の壁も乗り越えられる。

 

精神感応波は万能電波と言える、では、全能たる力を持つギアスは、どんな伝達方式を取っているのか?

 

ギアスというのは突き詰めれば超古代の催眠術とでもいうべき摩訶不思議な代物、催眠術に関して科学的な説明をロイドに求めたことがある。

 

催眠術とは、要するに対象に何らかの事象を脳に深く印象付け、刷り込むことで効力を持つ。

 

ギアスもまた同じものなのではないか?

 

ギアスキャンセラーの特殊電波はその逆順なのでは?

 

精神感応波技術は、特殊電波を使用するギアスキャンセラーからヒントを得たとロイドは言っていた。

 

なら……………精神感応波によってギアス能力の抹消することは、可能なのではないか?

 

「仮説とは言え、ロイドのアテはなかなか当たる、試す価値はある」

 

『なるほど、お前の言い分はわかった………だが焦り過ぎだぞ、ロイドが過労死しては意味がないんだ、わかってるか?』

 

「……………肝に命じておく」

 

『そうしてくれ、お前がしくじると特務士官の私も立場がないんでな』

 

「わかったよ、気をつける」

 

『頑張れよ?若造』

 

プツッ

 

まったく、言いたい放題やってくれる。

 

だが、しっかりやることをやる優しい素直な奴だってことはわかってる。

 

「ホント…………いい女だな」

 

私の周りには、いい女とかっこいい男が多過ぎる…………。

 

並外れた才能と身体能力があっても、あそこまでかっこいい男にはなれないなぁ。

 

「せめて私も、ダールトンくらい渋い顔だったなら良かったんだがな」

 

無い物ねだりほど、悲しいものは無いな。

 




ダイジェスト

TKTニキ「もう戦争やめよう?ね?」ウルウル
ユーロピア兵「「「そうだよ!もうやめましょうよ!終戦!」」」
ブリタニア兵「「「ラブアンドピースの精神は当たり前だよなあ?」」」
TKTニキ「(計画通り!)」ニヤッ

貴族s「「「「(復興資金なんて一文も)無いです」」」」
ユーロピア民「「「「「「あああああああああ!!!(悲痛な叫び)」」」」」」
TKTニキ「あ、おい、待てい!わしが出すぞ!」
ユーロピア民「「「「「「神かよあんた」」」」」」
貴族s「「「「ファッ!?」」」」
TKTニキ「あ、そうだ(唐突)、アッシュフォードのおやじ、お前ちょっと日本エリアから若えやつ集めて、仕分けろ(無茶振り)」
アッシュフォードのOYJ「えぇ…………、おかのした」
日本エリア民「「「「「「行きますよぉ〜イクイク、復興ゥ〜」」」」」」


皇帝陛下「ちょっと……話いい?」
TKTニキ「かしこまりぃ!」
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