コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

74 / 96
ちょっと長め&白い神登場回。




『外なりし神』の前には『超常』すら霞む

no side

 

 

コッ、コッ、コッ…………

 

ウィィイン……

 

灯りのない長廊下を歩くツキト。

 

人気はなく、窓もなく、ただ入り口からまっすぐ伸びる道の先は闇を湛えている。

 

コッ、コッ、コッ…………

 

闇の中へと身を沈めながら歩く事数分、突き当たりの扉についた。

 

扉にパスワードを打ち込むと、扉を開けて中に入る。

 

中は広い空間が広がり、学校の体育館ほどの広さがある。

 

そこに、無数の液体で満たされたカプセルが配置され、コードが無造作に散乱している。

 

カプセルの下部には装置があり、モニターにはカプセルの中の状態を逐一観測して得たデータを映し出している。

 

カプセルはどれも液体で満たされてはいるが、それだけであり、なんの固形物も入っていない。

 

ツキトはカプセルと装置を素通りすると、奥の方にある扉を開け、進んだ。

 

そこにあったのは、巨大な鋼鉄の独楽。

 

おおよそ、人の手で回せる大きさではなく、おとぎ話に出てくる『かぼちゃの馬車』のように大きく、扉も付いている。

 

無論、独楽のような形のため、馬車のように車輪も馬もない。

 

ツキトは目の前の独楽をしばし睨み付けると、近くのコンソールを操作した。

 

モニターに文字と数字が浮かび上がり、それを読み、反芻し、眉をひそめた。

 

モニターには、独楽の名前が映し出されている。

 

【KGF有用性実証試験機】

【FXF-503Y:ジークフリート】

 

「…………狂っている」

 

そう吐き捨てたツキトは、怒りの表情を…………浮かべてはおらず、無表情であり、次いで悲しみを含んだ微笑みを浮かべる。

 

「…………私も、狂っているのだろうがね」

 

そう呟き、コンソールにUSBメモリを差し込むと、データのコピーを始めた。

 

「英雄ジークフリートはプリュンヒルトを騙したせいでハゲネに討たれ、後に妻クリームヒルトは彼の財宝に取り憑かれてしまい、在りかを知っているが頑なに拒むハゲネを拘束し無抵抗なまま斬殺、それを知ったヒルデブラントが激昂、クリームヒルトを斬り殺した…………だったか?」

 

ジークフリートはただ一度の嘘で己の身を滅ぼし、妻のクリームヒルトは財宝に目がくらんで堕ち、ハゲネは頑なに拒んだ末に殺され、クリームヒルトは何も得ることもなくヒルデブラントに斬り殺された。

 

誰もかれもが自業自得で凄惨な末路を辿った、第三者にしてみれば阿呆のような三文芝居、当事者にしてみれば後悔と懺悔で顔もあげられない気持ちだっただろう。

 

それが、ニーベルンゲンの歌、嘘が復讐を呼び、復讐は財宝への執着へと変わり、そして最後は戦士の誇りと怒りによってピリオドが打たれる。

 

馬鹿の一つ覚えのように殺し殺されを繰り返し、ラストは生き残った者たちが死んでいった者たちを思い悲観に喘ぐ。

 

「ジークフリートのようにはなりたくないものだ」

 

コピーが終わり、USBメモリを抜き取ると部屋を後にするツキト。

 

「さて、ロイドに押し付けて帰るか」

 

長廊下を歩くツキト、遠く離れた病室のベッドで、1人の男が体調を悪化させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

「黒の騎士団と猟犬部隊でKMF試合の大会を?」

 

「ま、言ってしまえばそんな感じだ」

 

スザクといつものラーメン屋で話し中、かねてより考えていた交流試合について話した。

 

「目的は言わずもがな交流だ、かつてトウドウが教育を担当した猟犬部隊と、ゼロの親衛隊の紅白試合だ」

 

「へえ、猟犬部隊ってことは、ツキトも出るの?」

 

「猟犬部隊は私直属の部隊であって、私自身は部隊員ではないからなあ…………まあ、出ないさ」

 

「そっか、でも、親衛隊って言ったら、あの赤いKMFとそのパイロットもいるって事だよね?勝てるの?」

 

「KMFはしっかり整備されたサザーランドで行う予定だ、装備、弾薬も個数を統一させる、ズルはさせないさ」

 

「なるほど、それなら安心だ」

 

騎士団の内部分裂はもう始まっている、今更修復などできない。

 

せめて内部崩壊は防がなくてはならない、でなければ、このままでは崩壊するか、暴走を始めかねない。

 

交流試合で力を示せば、過激派の行動を十分に牽制できる、キョウトでの一斉摘発の一件も相まってそう簡単には動けないはずだ。

 

そういえば、キョウトの一件はユフィに任せきりだったな、交流試合前にチラッと様子でも見に行くか。

 

とはいえ、向こうに残ってる要人といえば…………幼女しかおらんか。

 

「そういえば…………スザクは確か、キョウトの……スメラギ、と言ったか、その女と知り合いだったと記憶しているが、どんなやつなんだ?」

 

「皇神楽耶、のことかな?」

 

「スメラギ カグヤ………ちょっと日本語で書いてくれないか?」

 

えっと……どんな字だったっけ?(素)

 

「えっと、皇に神、楽に耶……こんな感じだよ」

 

ほうほう…………。

 

「スメラギ カグラヤ 、か」

 

「あっ、ラは要らないよ、カグヤでいいんだ」

 

「そ、そうなのか?……うぅむ、やはり日本語は難しい…………忘れてるのもあるんだろうか?」

 

むむむ……小学校の漢字ドリルを引っ張ってくるか……だいぶ昔のことだからなあ、どこにやったのか。

 

「1ヶ月後にはユーロピアで会談もあるし、全く面倒だ」

 

「ユーロピアで会談?向こうには使節団がいるんじゃないのかい?」

 

「『戦争を終結させた英雄が同席せずして会談はならず』と、皇帝陛下よりお言葉を賜ったのでな…………フレンチ共はヘドが出るほど嫌いだが、行くより他ない」

 

「え?ツキトってフランス人が嫌いなの?」

 

「まともに戦わずチーズを食いながら白旗を上げる人間を好きになれるなら、私は英雄勲章をあげたいね」

 

ユーロピアの人間は嫌いじゃない、むしろあの無意識な連帯感や共存している雰囲気は好きだ。

 

だがカエル野郎共、てめえらはダメだ。

 

「1ヶ月後から1週間ほど不在になる、その間、しっかりコーネリア様とユーフェミア様をお守りしろよ?」

 

「わかってるさ、僕に任せてよ」

 

「頼もしい限りだ…………それと」

 

ホルスターから銃を抜いて店内の客に向けて構える。

 

「ヒィッ!?な、なんですか!?私がなにk」

 

銃口を向けられた客は動揺して持っていたカバンを抱きしめて震えだした。

 

「カバンに仕込んである隠しカメラとレコーダーを寄越せ、10秒以内だ」

 

「ツキト、警察を呼んでおいたよ」

 

「ナイスフォローだ、スザク」

 

ふむ、スザクも気づいていたのか、勘の鋭さはさすが主人公と言ったところ。

 

スザクが見せてきたケータイの画面には警察の電話番号と通話中の文字がある。

 

「ち、ちくしょう……」

 

記録できる類の装置をスザクに没収させる、2分ほどで警察官が駆けつけてきた。

 

「枢木卿より要請を受け、参りました!」

 

「この男を拘束して吐かせろ、中華連邦のスパイかもしれん、こっちは証拠品だ」

 

「はい!」

 

「ま!待て!違う!違うんだ俺は!」

 

「徹底的にやりたまえ、手加減は無用だ、君たちや君たちの組織の行動が、日本エリア全体の治安維持に直結することを留意せよ」

 

「は、はい!必ず!ご期待に添えるように!」

 

「ありがたきお言葉……感謝いたします、カーライル様!」

 

「ほら!歩け!暴れるな!」

 

喚く男が数人の警察官に連行されて行く様を見ながら、今一度席に座りなおす。

 

……たった一声でここまでやる気を出してくれるとはな。

 

ついでに軍と対立関係にある警察組織に恩を売れたことだ、良しとしよう。

 

「…………まあおそらくマスコミだろうがな」

 

「わかるの?」

 

「勘だ、まあ別にどうでもいい、あの程度のことはその時期になったら公表するつもりだったからな」

 

「たしかに、ユーロピアとの会談って言えば大きな出来事だし、その時期になれば宣伝してただろうしね」

 

諸君は、戦後処理のゴタゴタがようやくなりを潜めて、治安が回復しつつある中で、改めて会談を行うということの重要性は承知しているだろう。

 

ブリタニアは敗戦国であるユーロピア連合国への様々な要求を行うだろう、金はもちろんのこと、技術、特にあの白いゴキブリの技術とかな。

 

「殺虫剤ぶちまけたいくらい嫌いだが…………」

 

「?、何が?」

 

「え?……あぁ、ユーロピアのKMFのことだ、ゴキ…………虫みたいで気持ち悪くてな………」

 

「それは…………たしかに気持ちよくないね」

 

「いくら高性能でもあれには乗りたくない」

 

アレに乗るとか、本当なんの罰ゲームだよ………。

 

「味噌チャーシューメンもやし大盛り、炒飯と餃子セット、お待ちぃ!」

 

「あ、きたよツキト!」

 

「おぉ……パラパラの炒飯!」

 

これだよこれ!やはり炒飯はパラパラでなくてはな!ベチャベチャの炒飯なんぞ滅べば良い!

 

「むぐむぐ…………」

 

「ズルルル…………」

 

うむ、うむ………細切れのチャーシューの味が濃い目で米がうまい。

 

紅生姜も一緒に食べるとまた違った味に…………やはり中華料理は良い。

 

中華連邦は、うまい飯は作れても、現状がアレでは、昔の人に笑われてしまうだろう。

 

原型は作れても、ここまで進化させたのは間違いなく日本独自の文化があってこそだろう、考える脳みそがある人間は実に有益だ。

 

中華連邦攻略など、ブリタニア改革の第3段階の最序盤でしかない…………せめてブリタニアを飾る花として、煌びやかに散らせてやる。

 

暫しの間、その偽りの栄華を尊ぶが良い。

 

「大将、餃子ひとつ」

 

「へいヨォ!」

 

それはともかく、ここの餃子は本当に美味しい、噛んだ瞬間に肉汁が溢れでる感触がたまらない……本当にいくらでも食えそうだ。

 

「うーん……親父さん!僕も餃子ひとつ!」

 

「へいヨォ!待ってな兄ちゃん!」

 

む、スザクのやつ、私の炒飯と餃子セットを見てると思ったら、なるほど食いたくなったか、このジューシーな餃子が!

 

値段も手頃で量もあるという圧倒的なコスパを誇る、ランチタイム限定で2割引のこの餃子を!

 

一皿6個入り5.5ドルの餃子を!

 

「ほう…………スザクも食いたくなったか」

 

「ツキトがすごく美味しそうに食べてるから、気になっちゃって、ちょっと物足りないから食べてみようかなって」

 

「ナイスだ、うまいぞーここの餃子は」

 

「ツキトにそこまで言わせるなんて…………楽しみだなあ」

 

ラーメンを完食したスザクと、同じく炒飯と餃子を完食した私とで駄弁る。

 

何のことはない、どうでもいいような世間話から勉強の話、友達の話など様々。

 

先程のイキスギィたマスコミなど完全に忘れ、至って平穏な時間を過ごした。

 

なお、ジャンケンで支払いを決めようとした結果、私が支払うことになった。

 

おい、白い神、ジャンケンの才能カンストしてるんじゃないのか、普通に負けたぞ、どういうことだおい。

 

などと、支払い直後にしては驚くほど軽くなっていない財布を片手に、外の神々に向けて殺意を特急で郵送する。

 

と言っても、今の私にできるのはCの世界を通して殺意を水のように流すことだけだが。

 

さすがに乗り込んでいくのは無理だ、生身だからな。

 

死んで、完全に滅んで、神の一柱になれば別かもしれんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?

 

なんだ、真っ暗だな。

 

スザクと分かれて、それからクラブハウスに帰って、珍しくナナリーもいなかったから昼寝でも、と思ってソファに雑魚寝したはず………。

 

咲世子の差し金ではないだろう、なら…………。

 

「うむ、予想通りか、いや消去法の結果は予想とは言わんか」

 

「神界パニックにしておいて第一声がそれですか」

 

つぶやいた声に突っ込みが入る、声の方向に目を向けると、いつもの白い神が立っていた。

 

「神様は人間のおもちゃだからな、諦めろ」

 

大昔から連なる偶像化の歴史がそれを物語っていよう。

 

擬人化とか特にな。

 

「偶像崇拝を否定はしませんが、不定形である我々を偶像化することは推奨されません」

 

「偶像化することで人目を引きつけ、多くの信者を作るのが常套手段だからしようがない」

 

そうして儲けてうまい飯を食うわけだ、うまく考えたなホント。

 

伊達に世界一売れているわけじゃないんだぜ、聖書って。

 

「こればかりは存在自体が不定形であることを恨みます」

 

「貴様らのことなどどいでもいい…………と言いたいところだが、此度の訪問はイヤに唐突だな?」

 

まさか雑魚寝をしたところを無理やりCの世界経由で意識だけ接続させられようとは。

 

私自身そっち方面はガバガバプロテクションだから仕方ないが、それでも不法侵入くらいの罪は被せても良いだろう。

 

「すでにご存知のはずでは?」

 

「端的に申し上げるのなら、今朝方、会議中に郵便物が届きまして、開けて見たところ神殺し特有の濃厚な殺気が充填されていましたようで、一瞬でパニックに陥り、現在復旧作業中です」

 

想像以上に効果は大きかったようだ、というかイメージの話だったんだが本当に郵便物として贈られるとは…………。

 

個人の脳内にしか存在しないイメージや図形を、形にして転送するシステム…………新しい研究課題としてロイドに話に行ってみるか。

 

「で、貴様は復旧作業に回らずにこんなところで道草食っていても良いのか?」

 

「実に不本意ですが、この世界の管理の担当者として、あなたの様子を見て報告しなければいけませんので」

 

「排除しよう、とかは思わないのか?」

 

「その案は既に破棄されています」

 

「如何して?私を排除するべきと唱えた神がいたんじゃないのか?」

 

「既に我々外の神と同格の神格を会得したあなたを排除するために、推定50の神と、3000以上の管理世界の存在が消えてしまうのは痛手と最高神は判断したようです」

 

「おい待て、今世界が3000個って言ったか?」

 

いやそれ以前に、50もの神が殺される可能性があるっていう計算はどう出した。

 

「我々の中には複数の世界の管理を行う者もいます、その者たちは私よりも上位の権限と力を持っています」

 

目の前の白い神の上位互換までいるのか…………最高神がどんな存在かますます気になる。

 

「質量と神格から計算した結果、彼ら総員ならばかろうじてあなたを退けられると解答を得ました、しかしその代償として、50のかみ及び彼らの管理世界は消滅してしまう……それだけです」

 

「なるほど………」

 

管理するものがいなくなってしまえば、そこの世界も道連れで滅んでしまうのか。

 

「ところで、参考までに聞きたいんだが、神に挑んだ者はいたのか?」

 

「幾星霜という無限の時間の中で、およそ1000人ほどでしょう」

 

「意外と少ないんだな、もっと多いものと思っていたが」

 

「身の破滅だけでなく存在や魂そのものが消滅する可能性が高いこと、また挑んだとしてもさほどメリットがないこともあり、基本的に挑まれることは稀です」

 

まあ……たとえ勝っても消滅する可能性があるからな、メリットも【神に勝った】という箔がつくにしても、その直後に存在が消えては無意味だ。

 

「また、我々に挑んできた1000人の人間たちは、ほとんどが端末によって処理されました、今こうしてあなたの目の前にいる私も、端末です」

 

「端末?」

 

疑問符をつけて言うと、白い神がいつの日か見たボードを取り出し、そこに端正な文字を書いていく。

 

「我々が管理世界に入るためには、自らの様々な、そして膨大な【質量】を極小に抑えなければ世界そのものが突然の膨張によって弾けてしまうのです」

 

「限界まで膨らませた風船の中に、ドライアイスを入れるようなものか」

 

「ついでに秒単位で耐えた世界は数える程もありませんでした」

 

どれだけ大きいんだお前ら…………。

 

「…………ん?じゃあ私がいてもこの世界が壊れないのはどうしてなんだ?」

 

いつのまにかそこにあった椅子に座ってそう聞く、椅子に座った瞬間に学校でよく見る机が出てきたのを確認して謎の笑いがこみ上げてきた。

 

もちろん顔には出さんが。

 

「神格を得たあなたの存在や質量は人間のソレとは逸脱したものではあります、しかし、肉体を持つ以上は制限がかかります」

 

「制限?」

 

「世界の内側において自他共にその存在が認識できるよう、様々な制限がかけられています、例として【才能】などが当てはまります」

 

「あぁ、そういえば、私の転生に際し削ったとか言ったな」

 

「他の神からの妨害があったからというのもありますが、事実、あの状態で転生させれば、最悪の場合母胎の中で神格が目覚め、この世界にある一切合切の存在が押しつぶされる危険もありました」

 

「たかが才能の値一つでか?」

 

「才能に関してはそれほどリスクはありません、問題は、外なる神へと至れる素質を持つ人間の魂が、内なる世界にてそれを認識して覚醒してしまうことです」

 

「覚醒するとどうなる?」

 

「我々と同等の存在へと昇華し、管理世界内部を我々と同等の質量で無意識に支配しようとして管理世界を崩壊させ、管理世界と共に外なる世界や神界を含むすべての輪廻から外されます」

 

白い神が『【内なる世界で覚醒を認識】→【神格の増幅、大質量化による世界内部からの膨張】→【管理世界崩壊】→【転生者の存在を証明できず、全次元において消滅】→【輪廻より追放】』と、順繰りに書き、そこから枝を伸ばした。

 

「しかし、そうならなかった場合、例外というものも存在します」

 

「ほう?」

 

「私の管理世界のひとつが、その世界の万象、宇宙の果てまでのあらゆる法則が塗り替えられたことがありました」

 

「…………はっ?」

 

ちょっと待て、宇宙を含めた管理世界内部の法則を塗り替えた?

 

「それは、その転生者がお前たちと同等の存在に覚醒し、神へと至った、ということじゃないのか?」

 

「いいえ、そもそもその人間は転生者でもなんでもありませんでした、人間として生まれ、生き、老いて、死ぬはずだった魂…………それが何の因果か、その世界の内側の神の介入によって変わってしまったのですが…………今は関係ありませんね」

 

宇宙の法則までまるごと塗り替えるやつらの話が今関係無いとか…………関係しかないと思うんだが。

 

伸ばした枝の先に【例外あり】と加えてそう言った。

 

「話を端末に軌道修正します、先程も言った通り、質量の差によって崩壊してしまう世界に対し、人間でいうところの【宇宙誕生〜人類誕生】までの無量大数に限りなく近い時間を以って、干渉する手段として作られたシステムが端末というものです」

 

最大級の突っ込みポイントが出てしまったが、身体がこわばり無表情のまま唖然としてしまって突っ込みどころではない。

 

「つまり端末とは、本来の質量を人間1人程度の大きさにまで縮めた分身体であり、できることも精々が人間のレベルでできることが上限です」

 

なんだその超絶万能な影分身の術。

 

「つまり、今のお前はマリアンヌや咲世子以上に強いわけか?」

 

「肯定します、現在の私の端末はこの世界において最も上位の存在であり、拮抗した戦闘力を持つという意味では3人ほどいます」

 

「私は入っていないのだな」

 

「前に話した通り、我々は神殺しの因子を持つあなたに触れるだけで存在が消滅してしまいます、端末もその例外ではありません」

 

なるほど、私であれば触れることさえできれば、どうであれ勝てるわけか。

 

「なるほど………それで、実際にお前たちのボスのところまで殴り込めた奴はいたのか?」

 

「お察しかと思いますが?」

 

「推理の域を出ないから聞いているのだ」

 

「答えましょう、0です、ただの1人もいません」

 

「だろうな」

 

「近づけたという意味でなら、神界の門…………玄関口のようなものですが、これを通り、庭の入り口まで入り込んだ者がいましたが………その場にいた上位神に衝突、質量差による圧力で押し潰されました」

 

「存在ごと押し潰される、か…………改めてお前たちの存在のぶっ飛び具合がわかった」

 

触れるだけで、いや、近寄るだけで質量差で圧壊し存在がすべての輪廻から抹消される…………もはや戦う戦わない以前の問題だ。

 

「絶対的と言っていいほど勝ち目は無いわけか…………ま、寿命で死んだら挑んでみるのも、また一興であろう」

 

「興味本位で挑まれて我々の個体が減少させるのはやめてください」

 

「それもそうか……じゃあこうしよう、私が死んで、お前たち神に挑む、それで私が負けたら……というかほぼ確定で負けるのだが……まあ、負けた時は、私も諸君と同じ存在となり、世界の管理者となろう」

 

「…………それならおそらく大丈夫でしょう、個体は大きく減少しますが、あなたの神格なら個体減少によるデメリットを上回るメリットとなるでしょう」

 

「それは、お前という個体の判断か?」

 

「いいえ、最高神による推測に基づく結論です」

 

私が先のような質問をすることくらいはわかっていたのか…………つくづく最高神という存在は、目の前の白い神の数億……いや、兆も京も鼻で笑うほどと考えたほうがいい。

 

もはや那由多や不可思議、無量大数という次元なのだろう…………勝ち目など無いでは無いか。

 

世界の果てまで法則を塗り替える力を持っていたとしても、それでもなお、白い神たちには足先程も届かない。

 

最高神からすれば、私たち人間がいかに神格を得ようと、いかに人間を逸脱した異常性を身につけようと、爪先でつつけば消しとばされるほどに、私たち人間は弱い。

 

向こうからすれば涅槃寂静以下の存在でしかない、それに、最高神と白い神たちの間は到底説明できるレベルではないほどに開きがある。

 

どんな存在も、躊躇なく戦うということを諦めるだろう。

 

つくづく、内側の人間でしかない私が、外側の神という存在を知ってしまったことは、私の転生人生の中でも最大の発見であり、最大の失敗だろう。

 

勝つためにあらゆる策を用意し、戦場を用意し、罠を仕掛け、心を惑わし、対抗できる力を身につけるこの私が、【絶対に何をやってもどう転んでも勝利することができず】、【如何なる状況であれ存在が抹消される】ような存在を知ってしまったのだから。

 

これが転生前の青二才でしかなかった私が知っていたら………悍ましい末路を辿っていただろう。

 

精神的余裕が生まれたからこそ、私は壊れることなく無事でいられるのだろう、転生による精神補強様々だな。

 

「そろそろ接続が切れます、今後はあのようなことをしないように」

 

「控えるようにする…………あぁそうだ」

 

「なんでしょうか?」

 

「英雄ジークフリートについて、お前たちはどう思う?」

 

私の質問に対し、白い神は答える、答えを聞いたあと、すぐに視界は黒に塗りつぶされた。

 




わかりやすい解説(?)コーナー!

内側の世界(世界の内側、内世界など)=人間が営みを行い動植物が生きる世界。

外側の世界(世界の外側、外世界など)=人間には認識し得ない領域、完成された神々の楽園(ブラック企業)。多くの神がそこにて世界の管理を行う。

世界の管理=外側の世界の神々が、内側の世界を管理すること。あらゆる現象は管理する神によって決められる。

白い神(またその同僚)=世界の外側の神界の住人。クッソ強い。ここにおける白い神はコードギアスという内側の世界の管理を行う管理者の一柱。

コードギアス原作登場人物=世界の内側の住人。どのような外道
邪道を行おうが外側には決して敵わない、どうであれ管理される側を脱せぬ存在。

上位の神(上位神)=白い神同様に外側。白い神以上に存在・質量が圧倒的に、文字通り桁がいくつも違う、白い神とは桁違いの数の世界を管理しているスーパーエリート。

最高神=内側、外側両方の森羅万象あらゆるものすべてを凌駕する絶対存在。その存在を知れば普通の人間は狂い、その姿を見れば昇天し、触ればその人間の存在は消滅する。あえて記すが、【絶対に勝てない】。

存在の消滅=内側の世界の存在が外側の世界の存在を認識し、それに触れてしまった時、その質量の差からくる力がその者の輪廻を破壊し、存在を抹消する。

ツキト=コード保持者絶対殺すマン能力とコードの能力が反発する作用によって神格を得た転生者。普通に戦えばマリアンヌや咲世子のようなチートキャラには勝てない、半チートキャラ。神格を解放すれば神殺しの因子を濃く纏い、触れるだけで神を消滅させられる。

神格解放=得ただけでは神格はほとんど意味はなく、カリスマ性の底上げや運が若干上がる程度。解放、つまり完全なる死を迎えれば、外側の神と同等の質量を以って外側の世界の神界へと辿り着けるようになる。



で、強さの順番をまとめると。

ルルーシュ<<<一般人<<ナナリー<<スザク<<<<<<咲世子≦マリアンヌ<<<<<【素質の壁】<<<ツキト<<<<<<<<<<<<<<<<<<【『内側』の壁】<<<<<<<<白い神(端末)<<<<<<<【『外側』の壁】<<<<<<<<<白い神(完全体)=その同僚<<<<<<<<<<<<<<<【質量の桁の壁】<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<上位の神<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<最高神

だいたいこんな感じ(白い目)

パワーインフレが実際ヤバイ、何がヤバイって白い神の端末レベルでもマリアンヌを片手間に数極回は殺せるくらいヤバイ。

なお、神格発揮したツキトなら最高神にも勝てる可能性はあります。

【触わることができれば】問答無用でツキトの勝ち確定ですから、ね?簡単でしょ?

なお、近づくことさえ不可能なレベルな模様。

ついでに、世界の法則を塗り替えた人間とかいうのは、人気のアレですよアレ!黄金の……とか、水銀の……とかってやつですよ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。