問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
奥から、翼の生えた靴を履き、騎士のような防具をつけた男達がやってきた
「くそ!石化は失敗したか!」
「例の″ノーネーム″もいるんだがどうする!?」
「邪魔するようなら構わん、斬り捨てろ!」
俺は適当に心のなかで相づちを打つ
「斬り捨てろ………ねぇ。それは穏便じゃないなぁ」
十六夜は獰猛に笑いながら呟く
「まいったな、生まれて始めておまけに扱われたぜ。手を叩いて喜べばいいのか、怒りに任せて叩き潰せばいいのか、黒ウサギはどっちだと思う?」
「と、取り敢えず本拠に逃げて下さい!」
黒ウサギが十六夜と悠雷を本拠に引っ込ませようとする
しかし、悠雷は全く動かなかった
黒ウサギは諦めて、十六夜だけを本拠まで連れ込む
「レティシアさん。どうする、行くのか?」
「ああ。今の私は″ペルセウス″に所持される身だからな」
レティシアは微笑を浮かべ、ペルセウスの騎士達のもとへ飛んでいった
そして、押さえつけられるように、縄をかけられ、猿轡を噛まされた
悠雷はその様子を黙って見ていた
「これでよし…………危うく取り逃がすところだったな」
「ギフトゲームを中止してまで用意した大口の取引だ。台無しになれば″サウザンドアイズ″に我ら″ペルセウス″の居場所はなくなっていたぞ」
「それだけじゃない。箱庭の外とはいえ、交渉相手は一国規模のコミュニティだ。もしも奪われでもしたらーーー」
「箱庭の外ですって!?」
黒ウサギが驚嘆して叫ぶ
おっと、あいつらのマナに敵意が見えるな
「一体どういうことです!彼らヴァンパイアはーーー″箱庭の騎士″は箱庭の中でしか太陽の光を受けられないのですよ!?そのヴァンパイアを箱庭の外に連れ出すなんて…………!」
「我らの首領が取り決めた交渉。部外者は黙っていろ」
そう言うと、唾を吐き捨てた
これ以上は止めておけ、何て言っても相手さんは聞いてくれそうにないな
「こ、この…………!これだけ無遠慮に無礼を働いておきながら、非礼を詫びる一言もないのですか!?それでよく双女神の旗を掲げていられるものですね、貴方達は!!!」
「まあまあ、そんぐらいにしとこうぜ黒ウサギ」
悠雷が清々しい笑み?を浮かべ黒ウサギをなだめる
「ふん。そこの小僧、良くわかっているではないか、我らにたてつこ………」
ペルセウスの騎士は何を勘違いしたのだろう?
「世間には礼の一つも言えない大人だっているんだ。そのなかにこいつらも入ってるだけじゃないか」
やばいな。悠雷が相当怒ってる
こいつがこういう言い回しをするときはだいたい怒ってるときだしな
悠雷の怒りに気付いた俺は、一応、一言だけ言わせてもらった
「おい、悠雷!ほどほどにしとけよ!」
悠雷は、引きつった笑みを浮かべる
「わかってる」
またしても、煽らなくていいのにも関わらずペルセウスの連中が煽りだす
「なに何が分かってるだ、餓鬼!我らに…………」
「その下り聞いたから。ああ、そうか。他のコミュニティを侮辱することしか芸のない奴らだったか。失敬失敬」
うっすらと笑みを浮かべながら悠雷は言った
そして、またペルセウスの騎士が反論しようとする
しかし
「後、侮辱するなら相手を選んだ方がいいぞ」
悠雷がそう言った直後、俺達の頭上に黒い雲が集まり、悠雷へと落雷する
「雷速」
本人は躊躇う様子もなく、落ち着いた言音で言う
こいつの得意な技は雷速。なんでも、タケさんがよく使う便利な技の一つらしい
肉体に雷を纏わせて、速度を雷と同じにするというものだ
もっとも、悠雷の場合は劣化版らしく、時間制限があるらしい。だが、それでもはっきりいって見切れる速度ではないが
「お前らは、俺の逆鱗に触れた。無駄な抵抗は苦痛が襲うだけだぞ」
悠雷は電の出力を上げ、回りに放電させる
ペルセウスの騎士達の顔が絶望に染まる
どうやら、ペルセウスの騎士たちは誰を侮辱したのかわかったらしい
相手は人の敵う領域ではない
「そ、総員退避!!」
リーダー格の男が叫ぶより早く、ペルセウスの姿が突如として消えていく
「ちっ、逃げたか」
そう言うと、悠雷は雷速を解き、地面へ降りてきた
「おつかれ」
体に相当な負担が掛かっていることを知っている俺は、労いの言葉をかける
「おう」
悠雷は少し疲れた表情で、返事をした
落ち着いたので、周りの音がやっと拾えた
すると、後ろから楽しそう?に遊ばれてる黒ウサギの声が聞こえる
「痛い痛い痛い!い、十六夜さん!黒ウサギはあの無礼者に天誅を」
黒ウサギが体をボールをバウンドさせるように上下に揺らされていた
「もう、みんな帰ったぞ」
「え?って逃げ足早すぎるでしょう!?」
ウサ耳捕縛の刑から解放された黒ウサギが驚愕の声をあげる
「黒ウサギ、ちゃんと前見とけよ。それともお前の感覚器官はすべて耳に持ってかれてるのか?」
俺は、呆れた目で黒ウサギを見た
「おっと、それより"サウザンドアイズ"に向かうぞ」
状況が飲み込めている十六夜は、テキパキと黒ウサギに指示を出す
「ああ。黒ウサギ、他の連中も呼んでこい」
俺は、最低の人員だけにしようと判断する
「いや、飛鳥と真だけでいい。あの二人の耳に入れておいて損はないだろ」
「春日部はいいのか?」
「見た感じじゃ分からないが、以外と耀の心情は揺れやすい。あまり交渉には向いてない」
「てなわけで、黒ウサギ。飛鳥と真を起こしてきてくれ」
「え?あ、ええと?」
どうやらいきなり話を振られた黒ウサギは頭の処理が追い付いていないようだ
なので、俺と十六夜は同時にある行動を取った
「「回れ右!全速前進!」」
そう、号令である。これが以外と効果覿面だったりする
「は、はい!」
…………どうやら、本当に効果覿面だったようだ