キドside
あれから一時間くらいは町の中を探したが、何処にもシンタローはいなかった。あいつの体つきからして、そんなに遠くへは行けないはずだ。それにエネと連絡が着かないのが不可解だ。まさか…誘拐されたんじゃ……
「あれ?団長さん、何でここに?」
「俺達もシンタローを探していたんだ」
「すいません……」
今のモモの表情は昼間の時とは真逆で、目に涙を浮かべていて、顔色も真っ青になっていた。あんなに皮肉を言っていても、やはり兄は兄、心配になるのは当然だな。
モモのためにも、早くシンタローを見つけないとな。それに、行方不明になった新入りを見つけられないなんて、団長としての示しが付かないからな。
「お前が何故謝る必要がある?お前に落ち度なんてない」
「それにあいつにはこの団の情報を話してしまったしな。必ず見つけるさ」
「団長さん…ありがとうございます」
「礼なんていらな……何だ?カノ」トントン
「ねぇキド、あれって…落ちてきたのかな?」
カノの指差す方向を見てみると、数本の鉄骨が落ちていた。
何故だろう……あの鉄骨から凄く嫌な予感がする。まるであの鉄骨が落下したことによって、誰かが死んだ……そんな気がしてならない。
「何すか……これ」
「どうした?…嘘……だろ」
セトが見ている鉄骨にびっしりと赤い液体のような物が付着していて、それからは鉄の臭いが嫌なほど漂っていた。
それとセトの手には千切れた白いイヤホンが握られていた。
「これってシンタローさんのイヤホンっすよね……?」
「確かにお兄ちゃん、そんなイヤホン着けてました。てことは……嘘」
「えっ……シンタロー死んじゃ「馬鹿なことを言うな❗」えっ?」
「シンタローは死んでない❗絶対に死んでない❗」
「キド❗落ちつい「これが落ち着いていられるか❗」」
「あいつはまだ生きている❗俺達が信じてやらなくてどうする」
あいつが生きているなんて根拠も確信もない。むしろ死んだ確率の方が高い。だけど、俺達が死んだと認めればシンタローは本当に死んだことになる。だから、俺達があいつの生存を信じてやるんだ。だから、全員顔を上げてくれ。でなければシンタローは……
「……そうですよね…まだお兄ちゃんは生きてます❗お兄ちゃんがこんな所で死ぬわけがありません❗」
「そうだね、まだ諦めるのは早い。また探そうよ」
「そうっすね。まだシンタローさんは生きてるッス❗だからマリー、また一緒に探しに行くッスよ❗」
「うん❗」
その時、皆がシンタローが生きているという希望を持つことができた矢先に、絶望の足音が俺達に近づいてきた。
「君達何してんの?」
「何者だ?お前」
「誰だって良いじゃん」
柄の悪い男だ。関わってもろくなことが無さそうだし適当にやり過ごすか。
「あんさ~俺今暇だからさ~ちょっと、殺されてくれない?」シュオーン
「何⁉」
「何なんすか⁉あれ⁉」
「ひぃぃぃぃ❗化物❗」
目の前のチャラ男の顔が崩れ、陽炎のような物が男の体を包み、灰色の兎の耳のような物が付いた化け物へと変貌した。
「皆、俺から離れるな❗」
「あっ?消えた……何処に行きやがった❗」
目を隠す能力……こんな状況であれば、どんな能力よりも最強だ。非武闘派の俺達にとってはエクスカリバーよりも強力な武装になる。今のうちに全力で逃げれば間に合う。
「今のうちに逃げ…ぐっ❗」
「「「キド❗(団長さん❗)」」」
「ここにいたか…」
何故バレた…?あいつには見えていないはずじゃ……ぐっ❗息が……首を掴まれて呼吸ができない…それに、俺が捕まったせいで能力が切れた。
「見えてなくても気配と音でわかんだよ……それにお前やっちまえばさっきの消えるやつは使えなくなんだろ?じゃ死ね❗」シュルシュル
化け物は右手の指を針のように変化させ、俺の右目に突き立てる。
右目ごと頭を抉り取るつもりか……糞❗何て握力だ❗…振りほどけない……ここで俺が死んだら、あいつらは逃げられない…誰か…誰でも良いから助け…………て
ズシャ❗
「あああああぁぁぁぁぁあああ❗❗」
「げほげほ❗……何が起き…た」
気がつくと、化け物が左腕を押さえながら悲痛な悲鳴を上げ悶え苦しんでいて、さっきまで俺の首を掴んでいた化け物の左腕が、足下で灰に変わった。
何かに切断されたのか?だが何に?駄目だ……何が起きたのかわからない
「大丈夫か⁉」
「あぁ…何だ⁉お前⁉」
「これは……その」
「まぁそれは置いといて……もう終わりだ❗化け物❗」
化け物の次は何なんだ⁉何かの戦闘アバターのコスプレ?助けてくれたのは助かるけど、こんな時間にそんな姿で出歩くか?常識的に考えて。
だけど、何処かで聞いたことのある声だな、この不審者。
不し…戦闘アバターは、持っていた刃が光っている妙な形の剣を構え、ベルトに付いている携帯?をスライドさせボタンを押す。
exceed charge
キドsideout
内容薄くてすいません