ゾンビが出てきそうなダクトや水道管だらけの、人気のない薄暗い裏通りを通り、俺達は基地の入り口?らしきドアを開き、ゾロゾロと入っていく。
こんな不気味な場所から出入りするのかよ……まともな神経のある奴のすることじゃない。これだから中二病患者とは関わりたくないんだ。正常な人間までも、底無し沼に引きずり込もうとする。
「素敵な部屋だね」
素敵だと…………この天上の高い落ち着かない部屋がか?何かのお世辞?それならセンスない……だってつまらないもの。本音だとしたら、中身まで見た目通りな奴だ。
「まぁここに座ってよ~キドの恥ずかしい話は座って聞い…いだっ❗」
「おい❗ベルトで殴るなよ❗てか返せよ❗」
「……あぁすまん」
こいつ……あいつの頭ベルトで殴る時、何の躊躇いも無かった……壊れたらどうしてくれるんだ。まぁ俺のじゃないけど
「で、このベルト何なんだ?」
「カイザギア……あの姿に変身するためのツールさ」
「そんな名前だったのか」
「それよりもお兄ちゃん、そのジャージの破れた部分の血は何?……」
やっぱり聞いてきたか……まぁ聞かない方がおかしいよな。見せるべきだろうか?…………いや、化け物だと知ったらあいつらだって……だけど、これ以外に良い言い訳が思い付かない。軽蔑されたらもう一生、あいつの世話になることになるな………まぁそれも悪くはないかも
シュオーン
「ひぃ❗ししっ…しっシンタロー⁉」
「マジか…クス」
「さっきのと同じやつか⁉」
「どうゆうこと……お兄ちゃんが…」
「シンタローさん……が」
やっぱりこう言う反応するよな。目の前で知り合いが化け物に変異して、冷静な方がよっぼど化け物だ。これが正しい反の……あれ?おかしいな………涙が出ている気がする…でも、この姿じゃ涙なんて出ない。
感傷に浸ろうとした瞬間、テーブル に置いたスマホから声が聞こえる
「御主人」
「何だよ……?」
「姿は変わっても、中身は何も変わってないんですよね?私達を殺そうと思ってたりしませんよね?と言うか、昨日、百合百合な漫画読んでた御主人ですよね?」
「殺しなんてするわけねぇだろ❗って何でその事知ってるんだ⁉」
「で~す~よ~ね❗御主人にそんな度胸無いですもんね❗」
何だろう?凄ぇイラつく。俺が生前の時と性格が変わってないことを信じてくれているらしいが、この人を舐めきった口調と笑い声、そして人の羞恥を笑い物にする性格が俺の信頼度をぶち壊す。
「ま…まぁ、お兄ちゃんがそんなことするはず無いよね……じゃないと守ってくれなかっただろうし」
「それもそうだな。すまなかったシンタロー…助けてくれたのに」
「ごめんね…シンタロー」
「シンタローさん、すみません」
あれ?案外すんなり信じてくれた。それも助けたことが理由で。どうだエネ❗これが俺の人望の厚さだ❗そこらのラノベ主人公とは違うんだよ❗
「別にいい」
「それで、何故その姿になったんだ?」
「ちょっと❗キド。それは駄目だよ」
良かった~漫画のこと追求されなくて。あれのことバレる方が、俺的には一回死んだことがバレることよりヤバイからな。結構過激だったし、モモとマリーには見せられん。
「あぁ実は一回死んで、覚醒したんだよ…オルフェノクに。証拠はこの破れたジャージと血痕」
「「一回死んだ⁉」」
「あぁ、でも今は生きてる」
「オルフェノクってさっきの姿のこと?」
「そうだ。俺は死んだことで極希の確率で蘇生できたんだ。だから前と変わらない」
「3つ言い忘れてたことがある」
ソファーで座っていたユサが急に立ち上がり、意味有りげな表情で話始めた。
そういえば、こいつさっき笑ってたな。オルフェノク化したのが馬鹿馬鹿しかったのか?だけど、何故か聞くのが怖い。まるで毒蛇の口に指を入れるかのような恐怖心を感じた。
「そのベルト……オルフェノク以外が変身すると、5分後には死に至るから、絶対に変身しないでくれよ。キドさん」
「「「えっ?」」」
「キド……ぷぷ…何でベルト着けてるの?」
「いや…その…………団長として、団員にこんな危険な物を使わせるわけにはいかないと思って」
いや、ただ気に入ったんだろ?カイザギアを。とりあえず返せよ、それは俺にしか使えねぇんだから、お前が持ってても意味無いじゃん。ただの痛々しい奴にしか変身できないよ?
「まぁとりあえず、この基地の場所を知ってしまったからには、この団に入ってもらおう」
その勧誘のやり口、詐欺と何ら変わらねぇじゃん。いつか訴えられるぞ。て言うか、俺が今すぐ訴えたい。俺の優雅なニート生活を潰された報復として。
「無論そのつもりさ。後、シンタロー君、スマホはあげるけど、基地や帰る場所があるなら、さっきの部屋の話は無しで」
「そんなのありかよ❗」
「世の中甘くないってことだよ」
「何の話?お兄ちゃん」
「あっ❗いや❗それは……と❗とりあえず❗後二つを早く話してくれよ❗」
「キョドりすぎ、じゃあ二つ目について話そうか」