牙狼~ゲイムギョウカイに吹き荒れる金色の嵐~   作:狼の騎神ガロ

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今回、オリジナルの魔戒騎士と女神が登場です!心して刮目せよ!

そんな11話、どうぞ!



11話 思惑

「稜牙さん、解析が終わりました……これはとんでもない物かもしれないです」

 

いつものようにエレメントの浄化に行こうとすると、稜牙はイストワールに声をかけられた。続けて言うには、うずめにも同行して欲しいとのことだ。

―――――

――

「来たぞ、イストワール」

 

うずめを連れて、再びイストワールの元にやってくる。

 

「ありがとうございます。ではさっそく、稜牙さんとうずめさんの持つ勾玉の正体について教えますね。単刀直入に言うと、これは女神の力を蓄えた結晶です」

 

女神の力…稜牙はふとした疑問を問いかける。

 

「ということは、シェアクリスタルってことか?」

 

イストワールは首を横に振る。

 

「いえ、ですが、この勾玉について知るためには、ゲイムギョウカイが、二つの国に分かれていた時のことをお教えしなくてはいけません…」

 

そしてイストワールは語り始める…

 

「今のプラネテューヌ、ラステイション、ルウィー、リーンボックスの四国家となる前、ゲイムギョウカイは、二つの国家に分かれていました。陰の国【レギス】と陽の国【アロダ】の二つに…そしてその国家にも当然、女神は存在していました。レギスの女神 ルナティクスハート、アロダの女神 シャインハートです」

 

「ちょっと待ってくれイストワール、陰の国って言うのはどういうことだ?」

 

一度イストワールの話を中断させ、イストワールに尋ねる。

 

「それは、ルナティクスハートが、陰の感情の力、つまりネガティブエネルギーをも自身の力とできたことに由来します」

 

ネガティブエネルギー…それは女神の力の源であるシェアエネルギーと対になる人々の負の感情の力。女神にとって毒でしかないエネルギーのはずの力をルナティクスハートは自身の力にしたという。納得したのか、稜牙とうずめは頷く。

 

「では、話を戻しますね。この2人の女神は、お互い高め合うライバルのような間柄でした。そんななか、ある強大なモンスターが、レギスに現れました。おそらくホラーだと思われます。そして、2度目の襲撃の時、金色の騎士が、そのモンスターを退けました」

 

「それってもしかして…」

 

牙狼?といいかけてうずめは稜牙を見る。イストワールは頷く。

 

「はい、おそらく牙狼だと思います。ですが騎士の力を持ってしても、完全にそのモンスターを倒すことはできませんでした。そこで二人の女神は、自身の力を騎士に授けました。その力でモンスターを倒すことはできましたが、女神は消滅。そこで、騎士が自分の中に残っている女神の力を、この勾玉の中に封じ込めた…というわけです。うずめさんのもつ紅い勾玉にはシェアエネルギーを、稜牙さんの勾玉にはネガティブエネルギーを…」

 

イストワールの話を聴き終え、うずめは自身の首からぶら下がってる勾玉に目を移す。

 

「なるほどな…だからこうして、女神なのにシェアをもらわなくても生きていられるのか」

 

「そして稜牙さん、本題はここからです。今まで、この勾玉が光ったことはありますか?」

 

「いや、これが初めてだ。」

 

「おそらく、稜牙さんの言っていた、勾玉が光る反応は、稜牙さんの負の感情に反応してだと思われます。それが初めてとなると…なにやら不穏な気配がします」

 

イストワールは青い勾玉を稜牙に渡す。

 

「稜牙さんの負の感情が暴走したら、どんな結果になるかはわかりません。でも、稜牙さんならきっと大丈夫だと思います。これは稜牙さんが持つべきです」

 

「ありがとう、イストワール」

 

イストワールに礼を言うと、稜牙たちはエレメントの浄化に向かう。

――――――

―――

「珍しいな、邪気が一切感じられないぞ」

 

一通り歩き回ってザルバが言う。邪気がないということは、おそらく誰かが先に邪気を浄化した…ということになる。

 

「君がこの管轄の魔戒騎士かい?」

 

程なくして、稜牙たちは誰かに声をかけられる。そのほうを見ると、白い魔法衣を着た、茶髪の男性がいた。

 

「あの…誰ですか?」

 

「あぁ、失礼。俺は統牙、涼原統牙。元老院付きの魔戒騎士だ」

 

稜牙に笑顔を向けて答える統牙。疑いの目をかけていた稜牙たちは、すぐに驚きの表情へと変わった。

 

「元老院!?」

 

稜牙たちが驚愕するのも無理はない。元老院とは魔戒騎士や魔戒法師を束ねる最高機関で、元老院に所属するということは、それだけの実力があり、なおかつ、名誉あることだということだ。

 

「俺は黄金騎士牙狼の、叢雲稜牙です」

 

「そして魔戒法師兼女神の天王星うずめだ」

 

簡単な自己紹介をしたあと、統牙に会釈をする。

 

「牙狼か…ということは、仁さんの弟子ってことか……あ、そうだ、君たちに見せたいものがあるんだ。時間はあるかい?」

 

ふと思い出したかのように尋ねる。

 

「俺は大丈夫です。うずめはどうする?」

 

「稜牙が行くってんなら俺も行くぜ…無茶されても困るしな」

 

うずめは答えるが、最後の方はボソボソと喋っていて、稜牙には聞こえなかった。

 

「よし、ならついてきてくれ」

 

統牙の後を稜牙たちはついていく……

――――――

―――

統牙に連れられついたそこは、誰もいない洋風の大きな家だった。入るなり、巨大な階段が、稜牙たちを出迎えた。階段を登ろうとすると、統牙は立ち止まり稜牙に尋ねる。

 

「君は、仁さんの弟子…ということは、少ない犠牲をも払わず、すべての人間を守ろうとする…ということでいいね?」

 

稜牙はただ頷く。すると統牙の目が鋭くなり、一歩踏み込み、稜牙にけりを与える。とっさのことで判断が遅れ、稜牙は倒れ込む。

 

「なにするんだいきなり!」

 

稜牙は立ち上がり統牙に聞く。統牙は魔戒剣の剣先をうずめたちに向ける。

 

「仁さんの考えはおかしい。この世には救う価値のない人間だっている、平気で罪を犯すやつらだ。俺はそいつらを贄にして、世界を救う。ホラーベルシファの力でな!」

 

ベルシファ…その言葉を聞いたとき、稜牙の中で何かが切れた。稜牙は立ち上がり、魔戒剣を構える。かすかに、青い勾玉が光り始めてることを知らずに…

 

「ふざけるな…なんでベルシファの力を!」

 

「君も知ってるだろ?ベルシファの作る結界は他のホラーを引き寄せない。つまり、救いようのない人間をベルシファに喰わせれば、俺たちは必要なくなる…平和な世界が実現する!」

 

「救いようのない人間……?そんな人間なんていないんだ!」

 

統牙はため息をこぼす。

 

「やはり、君たちとは考えが合わないな…そこまで言うなら、消えろ」

 

統牙は剣を振り下ろす。稜牙はそれを受け止め、それをいなし、剣を振り上げる。だが統牙は剣を逆手に持ち、それを止める。統牙は稜牙を押し、逆手のまま剣を横に振るう。稜牙は一歩下がり避ける。

 

「平気で罪を犯すやつにも救う価値があると?なぜそう思う」

 

剣を振るいながら稜牙に尋ねる。剣で受け止め、答える。

 

「そんな人間の先にも、希望を信じる光がある……俺は、その光を信じている!」

 

「思い上がるな…そんな希望は簡単に消えてしまうんだ!」

 

剣を振り上げ稜牙を蹴りとばす。統牙に向けて、球状のエネルギーが飛んでいく。統牙はそれを切り裂きそれが放たれた方を見る。そこにはオレンジハートがいた。

 

「なに二人とも掟に反してるの!」

 

オレンジハートの言う掟…それは『特別な場合を除き、魔戒騎士どうしの決闘を禁ずる』というものである。

 

「いまさら掟がなんだっていうんだ。結局、君たちは俺を闇に堕ちた魔戒騎士とするはずだ。ならもう俺は斬るべき相手だろ?」

 

嘲け笑うように反論する。稜牙は一つ息を吐き、剣を構える。

 

「そうか…なら遠慮はしない!」

 

「仁さんの考えを持つものは…ここで消す!」

 

二人は鎧を召還する。統牙の鎧は、白く、耳は牙狼よりも曲線が強い。そして、牙狼よりも西洋鎧然としていた。

 

 

天命騎士 狼輝<ROKI>…それが統牙の称号であった。

 

 

「よし、こうなったら…シェアリンクフィールド展開!」

 

オレンジハートが叫び、左手を胸の前に構えると、左腕の円盤状の装備から光が放たれ、空間は青白く、そこら中に浮遊した足場のある場所となった。

 

「ここなら、シェアのおかげで魔導力を制御できるから、召還時間は無限だよ!」

 

うずめは高らかに宣言するが、召還時間が無限になるのは、狼輝も同じことであった。

 

「なに敵にまで塩を送ってるんだよ!…まぁいいか、これで全力以上の力であんたと戦える!はぁぁ!」

 

牙狼は踏み込み、剣を斜めに振り上げる。狼輝は左腕でとめ、X字に牙狼を斬る。

 

「……時間はないか…悪いが早々にカタを付けさせてもらうぞ……神騎!」

 

狼輝は自身の魔導馬…『神騎』を召還し、跨る。

 

「轟天!」

 

牙狼も負けじと魔導馬を喚ぶ。互いに走り出し、併走する形となる。

 

「へぇ、魔導馬を召還するまでにいたったか…そうこなくちゃな!」

 

狼輝は片手で手網をもち、牙狼を斬ろうとする。牙狼は払い、斬る。それを足場を飛び移りながら繰り返す。さらに足場を移ろうとしたとき、狼輝は片手で手網を持ちつつ、神騎から降り、牙狼に飛び蹴りを与える。牙狼は体勢を崩す。狼輝は再び神騎に乗り、後ろ足で、轟天ごと蹴らせ、その反動で自身は、近くの足場に移った。轟天と牙狼も、かろうじて足場に打ち付けられるにとどまった。

 

「もうお前に構ってる時間はない。まだ俺も魔戒騎士…ホラーを狩らなくちゃないからな…神騎、頼むぞ」

 

神騎が一声唸ると、空間に魔法陣のようなものが現れ、その中に入ると、狼輝は消えた。

 

「稜牙、大丈夫!?」

 

シェアリンクフィールドを解除し、召還を強制解除された稜牙に駆け寄る。

 

「あぁ。……でも、あいつには逃げられちまったな…クソッ!」

 

統牙を止められなかった自分、そして統牙への憎しみ、怒り…そういった負の感情が、稜牙の頭の中をかけ巡った。そんな中、青い勾玉が、さらに強く、眩しい光を放つ。

 

「な、なんだこの光!」

 

稜牙たちはあまりの眩しさに目を伏せる。光が収まり、目を開けると、プロセッサユニットのような装備に身を包んだ少女が目の前にいた。青い髪に金色の瞳の少女は背伸びをし、辺りを見渡す。自分の状況に気づいたのか、少女はハッとする。

 

「あれ?私、なんで生きてるの?確かあの時、迅牙に力をあげて消滅したはずだけど…あの、ところであなたがたは何者ですか?」

 

「いや、こっちが聞きたいんだけど…俺は叢雲稜牙、こっちはオレンジハートこと天王星うずめ」

 

少女に自己紹介してみせる稜牙。少女も自己紹介するのだが、すぐに稜牙たちは驚くこととなる。

 

「そうですよね…いきなり目の前にいたらびっくりしますよね。私の名前はマイナ、またの名をレギスの女神、ルナティクスハートといいます」

 

ここに、女神が復活した瞬間である…




ザルバ「出会いというのは突然だ。そこから始まる物語というのもある。次回『銀閃』白銀の嵐、巻き起こる!」

白銀の嵐とは果たして…詳しくはまだ語れませんが…魔戒騎士ではありません

次回もお楽しみに!
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