牙狼~ゲイムギョウカイに吹き荒れる金色の嵐~ 作:狼の騎神ガロ
そして今回は時を超えやってきてしまった剣豪と稜牙が勝負!新キャラも登場!
お楽しみに!
はるか昔…ゲイムギョウカイを震撼させた剣豪がいた。その剣豪と勝負したもので、無事に生きて帰ってきた者はいなかったという。しかし、彼は一度の敗北により、その命を落とした。
その者の名をモトチカと言う…
――――――
稜牙たちとハプルムの戦闘が行われた数時間後、1人の和服の男性が、ニブルシティをさまよっていた。腰には2本の剣を携えている。
「よう、大昔の最強の剣豪、モトチカ」
そんな男性の元に、本の上に乗った黒い羽の小さな妖精が現れる。クロワールだ。
「なんの用だ」
モトチカと呼ばれた男性はクロワールのほうに目をやらずに尋ねる。
「オレはお前に有力な情報をあげようと思ってここに来たのさ…この時代の最強の剣豪のこととかさ」
「この時代最強の剣豪?」
モトチカが尋ねるとクロワールはニシシと笑い、モトチカに一枚の写真を渡す。
「叢雲 稜牙…おそらく俺の知ってる中では一番強い剣豪だぜ。やつはまだ数日はリーンボックスにいるはずだ。探して、戦ってみたらどうだ?」
モトチカは無言で頷き、どこかへと去って行った。
「さぁ、おもしれーもん見せてくれよ?モトチカ…いや、ホラー ハバキリ…」
モトチカの後ろ姿を見てクロワールはこんなことを呟いていた。
――――――
翌朝、リーンボックスの協会内部で、コントローラーを騒がしくガチャガチャと動かす音が聞こえる。
「なるほど…これは確かにベールが熱中するのもわかりますね…まさか徹ゲーをしてしまうとは…」
「そうですわよね?あ、もうすぐでボスが倒せますわよ!マイナさん、気を引き締めていきますわよ!」
音がするほうでは、マイナとベールが『四女神オンライン』というMMORPG
に熱中していた。ちなみに、マイナはベールのサブ垢を使ってプレイしている。そうこうしてるうちに、ダンジョン最深部にいるボスはマイナの一撃によって倒された。
「やった!やりましたよ!ベール!」
「えぇ…もう少し時間はかかるかと思いましたが…でも、無事倒せたのが何よりですわ!」
2人は立ち上がり、ハイタッチをして喜ぶ。
「MMORPGですか…みんなで協力して巨大なボスを倒したりする…私が女神として頑張ってた頃にはそういうのがなかったですからね…これはベールがハマるのも無理ないですね」
「そうですわよね?さぁ、それでは次はクエストに参加しますか…」
そして再びコントローラーに向かおうとする二人だが…
「べるっちもまいっちも懲りないな…そろそろ飯にしないか?」
うずめがやってきて、ゲームをやめるように促す。
「あ、あの……うずめさん、あと一つクエストをやってから…」
「そうですわ、あともう少しで終わりますので…」
マイナたちがあと少しゲームをやらせてくれと願うが…
グゥ〜
不覚にも2人の腹の虫がなってしまった。
「ほら、腹減ってるじゃねぇか。さ、飯食うぞ飯!」
うずめはそんな2人を引きずっていく…
――――――
朝食を食べている頃、テレビでは、5pb.がパーソナリティーを務めるラジオ、『ふぁいらじっ♪』の公開収録の模様が生中継されていた。
「夕べにライブをしたばっかりなのに、大変だな…5pb.は」
感心しながらその模様を見ている稜牙。
「そりゃもちろん、5pb.ちゃんはリーンボックスの歌姫って呼ばれるほど人気だからね!」
ネプテューヌの説明を聞いて納得する。そしてTVの向こうの5pb.は、再び投稿を読み始める。
「さてさて、次は…ペンネーム【俺はギョウザじゃない】さんからの投稿です。
『5pb.さん聞いてください、なんか最近、影が薄いんです。ギルドのメンバーからも『あれ、いたんだ』みたいなことを言われたり、果てには名前すら覚えられえないみたいなんです。どうすれば、5pb.さんみたいに存在感を出せますか』」
稜牙たちはこの投稿主になんとなく覚えがあった。
「ね、ねぇ、これってもしかして…」
「ネプテューヌもわかったか?実は俺もなんだ…てかもうペンネームのところで察した」
「なぁ、ねぷっち、稜牙、これってもしかして…」
うずめの問いに、ネプテューヌと稜牙は静かに頷く。
(これ絶対響也だ……)
こんなことを思いながら…
――――
その後、稜牙とうずめ、そしてマイナはニブルシティを訪れていた。
「ここが…ニブルシティ…」
「懐かしいな…いろいろと」
ニブルシティは、稜牙が戦っていた時とほとんど変わらず、ビルが立ち並び、人で賑わっていた。変わったところといえば、ニブルヘイム・コンポレーションに関する建物が一切無くなったことだろうか…
「さすが、ゲイムギョウカイ1平和な都市と呼ばれただけありますね…」
マイナが通り過ぎてく人々を見て言う。
「ほんと……あんなことがあったなんて、全く思えないほどにな…」
稜牙はそんなことを呟く。人々はニブルヘイム・コーポレーションによる悪夢など、忘れているようだった。いや、番犬所がニブルシティにいる人間の記憶を操作したため、ほとんどの人は忘れているのだが…
「ところで、どうしたんだ稜牙?いきなりニブルシティに行く…だなんて」
うずめが問う。というのも、朝食を食べ終えた時、稜牙はうずめたちに『これからニブルシティに行くけど、お前らも来るか?』と突然言われたからである。
「ゼドムの件から半年近くたったからな…魔導ホラーの被害に遭った人たちの墓参りみたいなもんだ」
稜牙たちがたどり着いたのは、今は使われていない廃工場。
「あの、稜牙さん、ここは…」
「ここは、人間の魂を封じる実験をしていたところだ。ここで何人もの命が失われた…」
答える稜牙の拳は強く握られていた。
「お前が、叢雲 稜牙で合っているか?」
すると工場の正面に立つ稜牙の目の前に、袴を着た男性が現れた。稜牙たちは警戒する。
「あんたは……誰だ」
「名乗る必要はない…お前はただ剣を取れ…そして俺と戦え!」
目の前の男性は剣を抜刀し構える。
「ザルバ、こいつはホラーか?」
「いや、邪気は感じないぜ」
ザルバに確認を取ると、稜牙は警戒を解く。
「なら、あんたとは戦う理由がない。俺はモンスターしか斬らない主義でな…」
その一言が、目の前の男性を憤慨させることとなった。
「お前には無くとも俺にはある。最強の剣豪と戦うのが俺の望み、そしてお前はそれを叶える者なのだからな!」
男性は剣を振り下ろす。稜牙は体の軸をずらし避けるが、すぐに男性は剣を水平に振るう。
稜牙はその剣を振るう腕を掴み、男性を押す。男性は後ろに数歩下がるが、再び剣を振るおうとする。
しかし、男性の目の前に円状の何かが現れ、男性はその中へと消えていった。
「な、なんだったんだ…今の…」
突然現れ、突然消えた男に、稜牙は戸惑いを覚えていた。
―――――
その男は暗いトンネルの中へと転送された。
「よぉ、モトチカ」
男…モトチカの前にクロワールが現れた。
「なぜ邪魔をした」
「邪魔じゃねぇよ、それに、あいつはあのまま戦っても絶対に剣は抜かなかっただろうよ」
ニヒヒと笑いながらクロワールは言う。
「本当にあの叢雲 稜牙というやつが最強なのか?やつはモンスターしか斬らないと言っていたぞ」
睨むようにモトチカはクロワールを見る。
「あぁ、事実だぜ。やつは魔戒騎士、人に憑依するホラーっつうモンスターと戦ってる奴らだ。そしてそのホラーってのは、お前の剣にも宿ってる」
「俺のこの剣にも…だと?」
モトチカはまじまじと自分の剣を見つめる。クロワールは頷いて、続ける
「あぁ、もしお前が本当に叢雲 稜牙と戦いてぇんなら、お前の命をその剣に捧げて、ホラーになれ。………まぁ、もうすでにお前は1度死んでるんだけどな?」
「どういうことだ!」
クロワールに向かいモトチカが叫ぶ。クロワールは耳を抑える。
「そんなキーンってなる音立てんなっての。お前は1度死んでる。でも、その剣に宿るホラーによって魂と肉体は元に戻ってる。
あとはお前が選ぶだけだぜ。ホラーとなってまでも魔戒騎士と戦うかどうか」
クロワールの問いに、モトチカは剣で自身を貫き、それを答えとした。
モトチカの身体を黒い瘴気が包み、そして剣を抜き取ると、その傷は修復され、黒い瘴気は消えた。
「………これで本当にホラーになったのか?俺は」
自分の手などを見た後クロワールに問う。
「あぁ、これでお前はホラーになったぜ。しかし驚いたぜ…ホラーに憑依されてんのに、人間としての自我がホラーを上回ってるなんてな…」
クロワールは感心の眼差しをモトチカ…いや、ホラー ハバキリに向けていた。
―――――
「はぁ…ついニブルシティに長居しちまった…ごめんな、こんな時間になっちまって」
「いいって、今日は指令なかったんだろ?後は協会に戻ってゆっくり休もうぜ」
様々な場所を巡って、協会に戻ろうといていた稜牙たち。
「また会ったな、叢雲 稜牙」
そんな稜牙たちの目の前に、再びあの男が現れた。
「またあんたか、言ったろ?俺はモンスター以外斬るつもりは無いって」
「いや、お前はどうしても俺と戦うことになる」
目の前の男は高らかに宣言する。
「稜牙、やつはもうホラーになっている…だが何かがおかしい」
何かに気づいたザルバが稜牙に告げる。
「どういうことだ」
「やつはホラーになっている。だがやつの自我は人間のままだ」
「なんだって!?」
稜牙は驚愕していた。
ホラーに憑依された人間は、肉体も、魂も、自我も、ホラーに支配される。しかし、目の前の男は、自我がホラーに支配されていないというのだ。
「ここではあれだ、場所を移そう…」
―――――
男に連れられたのは人も車もない駐車場だ。
「ここでなら無駄に人間を斬ることは無い。俺とお前の…真剣勝負だ…」
男は剣を抜き、体の前で構える。
「なんで…どうしてホラーになってまで俺に戦いを挑む!あんた…命を犠牲にした…」
稜牙は拳を強く握りしめ叫ぶ。
「甘ったれたことを言うな!」
稜牙の言葉を遮り男が言う。そして男は続ける。
「俺がなぜ戦うのか……だと?それは剣に聞け…
それともなんだ?
お前の剣は、想いも覚悟もなんも感じとれず、何もこもってないただの鈍か?」
この言葉が、稜牙に火をつけることとなった。稜牙は魔戒剣を引き抜き、手の甲に刃を乗せ構える。
「覚悟ならあるさ…
人を守るために…あんたらホラーを斬る覚悟が!」
稜牙が斬り込み、男はそれをかわし、続けて剣を振り下ろす。
稜牙はそれを剣で止め、互いに押し合う形となる。
「フン…ただの鈍ではなかったようだな…」
「まだまだ…これからだぜ!」
稜牙は押し上げ、袈裟懸けに剣を振るう。男は自身の後方に下がり回避する。
――――
「すげぇ…」
「これが剣士同士の戦いですか…あ、ちなみに、私たちは今存在感を消してるので稜牙さんたちは気づいてません」
うずめたちは稜牙たちの邪魔にならない場所でその様子を見ていた。その最中、
「おぉ!これは結構熱い戦い!いいねいいね、こういうの!」
突然うずめの近くから少女の声が聞こえる。
そこには焦げ茶色の短めの髪で、黒いTシャツの上から赤いパーカを羽織っている少女がいた。
「なぁ、あんた誰だ?」
うずめは少女に問う。しかし、マイナは感涙のような涙を流していた。
「まさか…プリム…なの?」
プリムと呼ばれた少女は、にっこりと微笑む。
「うん、久しぶりだね、マイナ!…でも、まずはあの熱い戦いを見よ、ね?」
―――――
うずめたちを全く気にせず(というよりマイナの能力により気づかないのは当然なのだが)、稜牙たちは剣を交え続ける。何度か刃と刃をぶつけると、男は剣の柄で稜牙の腹部を突く。
柄による突きを鳩尾に受け、稜牙は鳩尾を抑え膝をつく。
「さらばだ…」
男が剣を高く構える。そして稜牙の首めがけて思いっきり剣を振り下ろす。稜牙が一瞬フッと笑っているのを知らずに……
キィン!
金属と金属の当たる音が響くと、男の剣は、近くに突き刺さっていた。男は、一瞬のことで何が起きたかわからない様子だった。
見ると、稜牙が剣を振るった後だった。
「一瞬、完璧に勝ったと思ったろ…油断は、命を落とすぜ」
稜牙は立ち上がり再び剣を構える。男は自身の近くに突き刺さっている剣を引き抜く。
「そろそろ終わりにするか…」
男は全身に力を込め、一声叫ぶと、その姿を、三日月の兜と紫の甲冑を纏った骸骨……ホラー ハバキリへと変える。
そして稜牙も牙狼・翔の鎧を纏う。
互いにゆっくりと構えを取り…
「ハァァア!」
同時に走り出し、剣をぶつけ合う。互いに押し合うが、思いっきり牙狼・翔が押し飛ばし、一気に駆け出す。
「これで!」
牙狼・翔がハバキリに近づくと、まず逆袈裟で剣を振るいハバキリの体勢を崩すと、剣を振るう腕を後ろにもっていき、
そこから勢いをつけてハバキリを突き刺す。牙狼・翔が剣を引き抜くと、ハバキリは人間の姿になって倒れる。
「叢雲 稜牙…と言ったか…お前ほど強い剣豪と戦えて、俺は満足だ…」
男は自身の剣を牙狼・翔に差し出す。鎧を解き、稜牙が剣を受け取ると、男は満足気に微笑み…
そして消えていった…
「いや、あんたのほうが強かったよ…」
稜牙は剣を見つめ呟く。
「稜牙…」
うずめたちが稜牙の元に歩み寄る。稜牙はうずめの近くにいる焦げ茶色の髪の少女に疑問を持つ。
「なぁうずめ、そっちの人は?」
稜牙に聞かれると、少女はニッコリと微笑む。
「初めまして、この時代の黄金期士 牙狼、さっきのキミの戦い、熱かったよ!
アタシは陽の国【アロダ】の女神
シャインハートことプリム…
誰よりも熱い展開が好きな女神だよ!」
「陽の国 アロダ…まさか!」
何かに気づいた稜牙はマイナの方を見る。マイナは笑顔で頷いていた。
「はい、私の……相棒とも言える人です」
ザルバ「誰しもが何かに縋りたくなる時がある。絶対なる存在や、悠久の過去に…次回『懇願』在りし日の光は何処に」
いかかでしたでしょうか今回…今回の話は、MAKAISENKI8話『妖刀』のオマージュとなっています。
そしていよいよマイナの相方であるプリムが登場!彼女の力にも期待してください!
次回もお楽しみに!