牙狼~ゲイムギョウカイに吹き荒れる金色の嵐~   作:狼の騎神ガロ

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どうもガロです。今日まで4日間旅行に行っていました。ですがまさか三日目に過呼吸で倒れるとは……

みなさま、お体は大事にしてください。
さてはて、今回は久々の独白シリーズ。第2回は零士!結構な設定改変が行われた激ノワのキャラとの出会いの話プラスαでございます…


ver.白石 零士 離別~bitter&sweet~

よ、俺の名前は白石 零士。銀牙騎士 絶狼だ。実は、みんなに話したいことがあるんだ。俺が絶狼の称号を継承してからまもない頃の話……とはいっても、若干愚痴みたいなものだからさ…

ほら、リーンボックスから取り寄せた『ときめきイチゴケーキ』でもつまみながら聞いてくれよ。

――――――

リーンボックス…ゲイムギョウカイの中で最も大きい国だ。そこの緑の管轄で俺はホラーを狩っていた。

そこである洋菓子屋を見つけたんだ。『サオリ』っていう洋菓子屋でな?なんでも、店主さんの娘さんの名前から取ったらしいんだ。俺は気がついたらそこの常連さんになっていた。さっきのときめきイチゴケーキってのも、そこの店のやつなんだ。

そんなある日のこと

 

「あ、あの…いつもこのお店に来てくださってますよね」

 

ピンクの髪を束ね、ハート型のヘアピンをつけているパティシエ風の少女が話しかけてきた。

 

「え?……あぁ、ここのケーキがたまらなく美味しくてさ、つい来ちゃうんだ」

 

「本当ですか?……嬉しいです」

 

彼女はにっこりと微笑んでいた。それが心からの笑顔に見えて、嬉しかった。

 

「あ、あの…もしよかったらお名前を聞いてもいいですか?私はサオリっていいます」

 

「白石零士。魔か…いや、なんでもない」

 

自己紹介の時に、危なく魔戒騎士って言いそうになってしまってさ。それはいいとして、これが俺とサオリの出会いだった。

――――――――

それからというもの、俺が店に来ると、サオリはいつも俺に話しかけてきてくれた。

 

「そういえば、零士さんはいつもお昼くらいに来てくれるけど、お仕事は大丈夫なんですか?」

 

「あぁそれは大丈夫、俺夜勤だからさ」

 

「どんな感じのお仕事なんですか?」

 

「えーっと…まぁいろいろとね?」

 

こんな感じの他愛もない話ばっかりだった。でも、ホラーといえど人間を斬っている俺にとっては、安らぎに他ならなかった。

 

そんな俺達の様子を微笑ましい様子で見ていた人がいた。ちょっとヒゲを生やしたダンディなイメージの男性…サオリの父親のマコトさんだ。

 

「おぉ、サオリがこんなに男と話すとはな!お前さん感じよさそうだし、どうだ?俺はお前さん、大歓迎だぞ?」

 

マコトさん…いや、【親父さん】って言ったほうが言いやすいな…親父さんはサオリの肩を叩きながらそういった。歓迎って言うのは…まぁ察してくれよ。そんなことを言われれば、当然俺もサオリも顔を赤くして…

 

「ちょ、ちょっとパパ何を言ってるの!?」

 

「そ、そうですよ親父さん、きっと娘さんには俺なんかよりきっといい旦那さんがいますって!」

 

こう反論していると、サオリが急に俺の方を向いたんだ。そして…

 

「わ…私は…零士さんが旦那さんなら、いいかな…って思ってます!」

 

すっごく顔を赤くして俺にこう告げた。俺は呆気にとられて、親父さんは『よく言ったサオリ!』とでも言うかのようにこめかみをおさえていた。しばし沈黙が流れると、たどたどしくサオリが喋り始める。

 

「あ、あの…一目惚れ、だったんです。気さくに話してくれるし…気づいたら、零士さんと話すのが楽しみになっていたんです……れ、零士さんはどうですか?私のこと…」

 

サオリの告白に、俺はすぐに答えることができなかった。なんせ、異性から好意を向けられるのは初めてだし…シルヴァがそういう感じで話してくるのは別として…そして俺は…

 

「……俺は…まだ自分の気持ちがよくわかってないんだ。好きっていう感情も…男ばっかの家で育ったからさ…」

 

苦笑いしながらこう答えるしかできなかった。すると、サオリはホッとした様子だった。

 

「あの…私、まだチャンスがあるんですね…よかった…答えは今じゃなくていいですから…」

 

サオリの言葉を最後に、俺はその店を出た。俺は今後悔している…その時に自分の思いを伝えなかったことを……

そう、悲劇が訪れてしまうんだ…

――――――

それから数日後の夜のこと…

 

「ふぅ……今日はこんなとこかな?シルヴァ」

 

『そうね、大体こんなところかしら。お疲れ様、ゼロ』

 

「シルヴァ、できれば称号じゃなくて名前で呼んでくれると嬉しいかな…」

 

ホラーを討滅し終えて、サオリの店のある通りを歩いていた。この頃は、まだシルヴァは俺のことをゼロって呼んでいて、零士って呼んでくれるようになったのは、稜牙に会う直前頃なんだ。

……それはいいとして、サオリの店の前を通り過ぎたその時…

 

「きゃぁぁぁ!」

 

「この声は、サオリ!?」

 

サオリの店のほうから叫び声が聴こえてきた。それから程なくして、店の扉を開けて、ピンクと青のパジャマを着たサオリが俺のところに駆けてきた。

 

「零士さん、パパが…パパが!」

 

「親父さんがどうかしたのか!?」

 

俺の背中に隠れたサオリは、涙を浮かべていて、今にも大粒の涙が流れてきそうだった。

 

『ゼロ、邪気を感じるわ、近いわよ!』

 

「え?今の声どこから…」

 

「後で話すから、今は落ち着いて、サオリ」

 

シルヴァに言われ周囲を警戒すると…

 

「サオリ…行かないでくれ…サオリ…」

 

店のところから親父さんが出てきた。でもその親父さんの姿は変わり果てていたんだ。両腕が、刃の生えた悪魔の腕になっていて…

…そう、邪気の正体は親父さん。親父さんは、ホラーに憑依されていたんだ。最愛の娘が遠いところに行ってしまうのではないか…そう思う気持ちが陰我となってホラーを呼んだんだって、今ならはっきりとわかる。

 

「サオリ、今から辛いことを言うよ?君の親父さんは、モンスターになった…今この場で倒さないと、君も親父さんに食べられるし、多くの被害がでてしまう…」

 

「そんな……パパ…」

 

サオリはその場にしゃがみ込み、涙を流す。受け入れ難い現実を押し付けられては、こうなるのも仕方ないのはわかってる。俺はサオリに背を向けた。

 

『ゼロ、本当に倒せるの?』

 

「なにいってんだシルヴァ、相手が誰であろうとホラーは斬る。それが魔戒騎士だろ?」

 

シルヴァと短い言葉を交わし、俺は絶狼の鎧を纏った。

 

「零士……さん?」

 

サオリが驚いたような声を上げるが、それを気にせずにホラーに向かった。ホラーの飛ばしてくる刃を、サオリに当たらないように二振りの銀狼剣ではねのけながら走り、

 

「はぁぁぁぁ!」

 

片方の剣でホラーの腹部を突き刺した。剣を引き抜くと、ホラーはゆっくりと膝をついて倒れた。

 

「サオリ……サオリ…」

 

異形となってしまったその手で、ホラーは…いや、親父さんはサオリの方へと手を伸ばした。サオリは怯えていた。

 

「こいつ、まだ!」

 

慌てて、銀狼剣を連結させて突き刺そうとした……その時だ。

 

「その声は…零士か?」

 

「!?」

 

ホラーと化した人間は人格すら奪われるはずなのに、俺の名前を呼んだ。

 

「お前さんになら…サオリを託せる…きっと…」

 

細々とした声で親父さんは話す。俺は鎧を解除していた。そして俯きながら呟いた。

 

「なぁ、嘘でもいい……お前に親父さんとしての心があるなら、俺の後ろにいるあんたの娘さんを見てくれ。俺は…あの娘を泣かせてしまった…そんな俺に…あんたは自分の娘を託すって言うのか?」

 

気がつくと涙を流していた。その涙は頬をつたい、親父さんに当たった。そして…

 

「フッ……お前さんはサオリのために泣いてくれてるじゃねぇか。他人のために泣けるんなら、いい男に違いねぇよ…」

 

その言葉を最後に、親父さんに憑依したホラーは消えた。俺は、拒絶されるのを覚悟で、サオリの元へと、ホラーの記憶を消すために歩いた。でも……

 

「零士さん…零士さん…」

 

サオリは拒絶するどころか、俺に抱きついてきて、大粒の涙を流した。静かに抱きしめて、札をサオリに近づけていく。

 

「サオリ、俺のことは忘れてくれ。俺がそばにいたら、サオリをまた悲しませてしまう。サオリから笑顔を失わせたくないんだ…」

 

そして札が頭の寸前に来たところで

 

「私も!」

 

「サオリ?」

 

その言葉で俺は動きを止めた。

 

「私も…零士さんから笑顔が消えるのは嫌です…パパがいなくなっちゃったのは悲しいです…でもそれと同じくらい、零士さんが悲しい顔をするのが、私は悲しいんです…うわぁぁぁん!」

 

「サオリ…」

 

俺だって悲しかった。親父さんにはいろいろと世話になったし…でもそれ以上にサオリが悲しいはずなんだ…俺はその時決めたんだ…

 

 

 

 

 

 

「サオリ、ようやくわかった、俺の気持ちが。俺はサオリが好きなんだって…だから、これからも、笑顔でいような?二人一緒で……」

―――――――

これが俺とサオリの話、俺がプラネテューヌに来て間もない頃、稜牙が、『リア充はお前の方だろ』って言ってたことの真実だ。でもって、なんでこの話をしたのかって言うとだな…最近稜牙の様子が変わったんだ。ちょっと前に稜牙と話したんだけどな?

――――――――――

「なぁ零士、恋人がいると強くなれるものか?」

 

「おぉどうしたんだ?稜牙…いきなり恋だの愛の話なんかしだして…頭のネジ、エムープサの飛んだ次元に置いてきたか?」

 

「正常だっての!いや…あいつは愛を求めていたし、その次元で一緒に戦ったやつは、まるで恋人みたいな深い絆で結ばれてたし」

 

「なるほどね…まぁ、精神的に成長できるし、心の支え…っていうのはあるかな…俺だって、サオリがいなかったらニブルシティの時に精神破綻してただろうし」

 

「そうなのか…心の支え…か…つまり俺にとってのうずめってことか…」

 

「そういうことだ、わかってるならさっさとうずめに告白しちまえばいいのに」

 

「そうだな……」

――――――――

っていうことがあってさ?サオリとの出会いを思い出してた…ってわけだ。まぁ稜牙が別の次元で何をしてきたのかはわからないけど、あいつの恋の行方、ちょっと気になるな!




いかがでしょうか。零士とサオリ、そして自分の気持ちに気づいている稜牙の恋の行方、ご期待ください。次回は前回の予告通り『学園』をお届けします。

お楽しみに!感想お待ちしております!
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