牙狼~ゲイムギョウカイに吹き荒れる金色の嵐~ 作:狼の騎神ガロ
ニコ動の公式配信でゴールドストーム見てるのですが…秋月ダイゴ…あれ絶対、獣身騎士戲牙ですよね…
それはそれとして、どうぞお楽しみください!
廃病院風のお化け屋敷の中の食堂だったところ、女神候補生たちの所に男が戻ってきた。その近くではゾンビのような男性が、ネプギアたちが昼に出会った子供達を連れていた。
「その子達に何をする気ですか!」
「せっかくここに来たんだ、このお化け屋敷のタネを明かしてあげるよ」
そう言うと男は子供たちの頭部を掴み引き抜く。すると子供たちにうり二つの青いオーラのようなものが現れ、肉体の方はグタッと倒れてしまう。
「何をしたの!」
「その青いオーラは何!」
ユニやラムが問い詰めるが男は構わずその青いオーラを吸い込んでから話す。
「この子供たちの魂を食ったのさ。別に肉体は食わない……簡単に言うと、俺がこいつらを殺したのさ…ハハハハ!」
高らかに笑う男。その姿にネプギアたちは軽蔑と怒りの表情を見せる。
「許せない…どうしてこんなことを!」
「どうして?馬鹿言えよ、お前らだって、この死体に追われてキャーキャー言ってた身だろ?そんなに言うなら今ここで作ってやるよ」
そして男はおもむろに鎌を取り出すと天に掲げる。するとその鎌から鎖のようなオーラが現れ子供たちに巻き付いていく。オーラが消えると、子供たちはムクッと立ち上がる。その姿はこのお化け屋敷のゾンビそのものだった。
「う…そ…」
一転、ネプギアたちの表情は青ざめた。すると先程よりも甲高く男は笑う。
「これが真実さ女神候補生、お前らはここにいるゾンビが僕が喰った人間達とも知らず、恐怖を楽しんでいたって訳さ!まったく人間は愚かだよな…自分から恐怖に突っ込んでくなんてさ…」
そしてネプギアたちに歩み寄る。
「さぁ次はお前らの番だ女神候補生…」
男が一歩ずつ近づくたび、ネプギアたちは震え出していた。だが…
「ハァァァァ!」
勢いよくドアを壊しながら稜牙たちが入ってくる。吼狼は着地するとすぐ鎧を解く。
「稜牙さん、あいつがホラーです!」
「そうか…わかった」
クロウに言われ稜牙は剣を構える。女神たちも武器を取り出す。
「ふん、魔戒騎士が増えたところで無駄だ。やれ」
男は先程作った子供たちのゾンビを女神たちに差し向ける。
「!?あれって…お昼に会った子供たち!」
「くそっ…どういうことだよ!」
女神たちは驚き武器をおろしてしまう。なおもゾンビとなった子供たちは女神に迫る。
「こいつら…」
稜牙は子供たちに向かおうとする。しかしブラックハートがそれを止める。
「待って稜牙!あの子たちを救う術があるはずよ!」
稜牙は構えを解こうとする。するとザルバが告げる。
「残念だがノワール、今のこいつらに生気は感じられない。こいつらはもう死んでいるんだ」
死んでいる…その言葉がノワールに重くのしかかる。
「う…そ…私は…守れなかった…ってこと?」
「あぁそうそう、こいつらなんども『女神様助けて!』って叫んでたよ…子供の命すら守れないんだな、女神ってのは。さ、自分たちを守ってくれなかった女神に復讐してやりな」
さらに追い討ちを掛けるように男が言うと子供たちの他にもゾンビたちが現れ女神を襲い始める。
「私は…私は!」
だがブラックハートは絶望していて身動きも取れなかった。助けられなかったこと、自分の無力さに…パープルハートたちとクロウはゾンビの攻撃を受け流すだけであった。みかねた稜牙が鞘から剣を抜かずにゾンビたちを攻撃しながら喝を入れる。
「ノワール!こいつらを救えなかったことを悔いてるのはお前だけじゃない!ネプテューヌも、あそこに捕まってるユニたちだってそうだ!いいかノワール、今お前がするべきことは悔いることじゃない、これを繰り返さないことだ」
あらかた片付けると、今度は子供たちが襲ってくる。稜牙は剣を抜き子供の一人を突き刺す。
「なんで…なんであなたはそんなに簡単に…ちょっと前まで生きてた人間なのよ!」
その様子を見てノワールは叫ぶ。生きていた人間を切ることなんてできない…そう思っている。構わず稜牙は残りの子供たちを斬る。
「ならお前は生きているから、ラステイションを襲ってきたテロ組織を見逃すのか?違うだろ?一人でも多くの人間を守るために剣を取る。それが女神じゃないのか?相手が誰であろうと」
そして剣を鞘に入れる。そしてノワールに手を差し延べる。
「俺だって好きでこんなことやってるわけじゃない。辛いさ……だから繰り返さないために、自分ができることをするんだ」
繰り返さない、助ける…稜牙の言葉がブラックハートに再び立ち上がる力を与えた。ブラックハートは稜牙の手を取り立ち上がる。
「そうね…ありがとう稜牙、私は、今私ができることをするわ、繰り返さないためにね!」
ブラックハートが一気に前進する。男は鎌をブラックハートに向けて振るうが、それは呆気なくかわされブラックハートはネプギアたちのところにたどり着き、ネプギアたちの枷を外す。
「お姉ちゃん!」
「もう大丈夫よ、ユニ、みんな!」
ユニとブラックハートはギュッと抱きしめ合う。
「まったく、無茶するわねノワール」
「でもこれで少しは楽になったぜ」
パープルハートたちはその姿を見て肩をなでおろす。
「さて、ゾンビはどうでもいいとして…どうする?人質にするような人もいなくなったが」
稜牙は再び剣を構える。彼の瞳はまっすぐにホラーの男を見ている。
「おのれ、おのれ魔戒騎士!お前らさえいなければ!」
男は逆上し稜牙に向かい鎌をひたすら振るう。一撃一撃を体制を変えながらよけ、鎌を振るう隙を利用し鞘で男の腹部を突く。男は少しよろける。間髪入れずに回し蹴りを腹部にいれ男は壁の方に吹き飛ぶ。そのまま壁を突き破り男は外に出る。幸い、お化け屋敷は他のアトラクションから離れており、さらにここから離れたところでイベントが始まるとのことで、人は誰一人としていなかった。男を追って稜牙は歩いていく。そのあとを女神たちはついていく。
「なぜだ、僕は恐怖を楽しむ人間を手助けしていただけだ!死ぬときの恐怖は何物にも劣らない…そのスリルを楽しませているだけだ、封印される筋合いはない!」
男は憤慨して叫ぶ。それに、静かに、だが、明らかな怒りを男に向けながら稜牙は反論する。
「あぁ、確かに人間はあんな感じで恐怖を楽しんでるよ…でも殺したらそのあとには悲しみと恨みしかないんだ…お前は、恐怖じゃなくて悲しみを作ってるんだ…それを今終わらせる!」
「ブダセムア…ブダセムア!」
難解な言語を話し、男は異形へと変わる。マントを羽織っていて全体像はわからないが、顔は、骸骨に似た顔が正面と左右に一つずつついている。
「なるほど、死魂ホラーテムロラか…やつは魂だけを喰らい肉体を僕として使役している。だがその僕もすべて倒した、やつが放つ武器さえかわせば問題はないだろう」
ザルバが解説を入れる。小さく頷くと再び剣を構える。女神化を解いたネプテューヌたちが稜牙の後を追ってやってくる。
「クロウ、ネプテューヌたちは任せた」
稜牙はそう言うと剣先で円を描く。クロウは万が一のためにネプテューヌたちの前に立つ。
「させるか!」
テムロラは鎧の召喚を防ぐためにメスや注射器などの医療機器を放つ。だがもう遅かった…テムロラの放った医療機器は金色の狼の鎧に弾かれ消滅する。牙狼は剣を胸の前で構えてから腰のところに持ってくる。と同時に牙狼の背後には魔法陣が浮かび上がる。
「あれが牙狼?」
「すごくキラキラしてるね、ロムちゃん」
「うん…」
候補生たちがそれぞれの感想を呟くなか牙狼はゆっくりとテムロラに向かい歩く。一歩、また一歩…足を地につけるたびに足元からは炎が吹き出す。テムロラは再び医療機器を放つが鎧に触れた時点で消滅する。ダメだと知り、テムロラは鎌で攻撃する。牙狼は剣を持ってない手で柄を握り振り払い、隙ができたところに正拳突きをくらわす。テムロラは仰け反り後ろに下がる。そして鞘から剣を引き抜き上段から斬り下ろす。だが浅く斬ってしまいさらに仰け反るだけとなってしまった。
「稜牙さん!」
クロウが手裏剣のような武器を牙狼に向けて投げる。牙狼は振り返り剣をその手裏剣の方に向ける。すると牙狼の剣…牙狼剣の刃の上を手裏剣が滑り牙狼剣が電気を帯び、その剣を構える。手裏剣はそのまま牙狼を過ぎテムロラに突き刺さる。そして牙狼は走り出しすれ違いさまに真一文字に腰部を切り裂く。斬撃と電撃を受けテムロラは消滅する。
「すごい……あんなあっさり…」
候補生たちは圧倒的な牙狼の強さにほとんど声が出なかった。剣に付いた血を払うように剣を振るい鎧を解く。
「ふぅ、さて…どうする?クロウ」
息を吐き、お化け屋敷のほうに歩きながら尋ねる。
「このままにしておくのも……僕がやります」
稜牙が頷くとクロウは鎧を召喚する。先程の猛禽類のような頭部ではなく、狼のような頭部になっていた。吼狼が青い炎を纏うと、稜牙はただ静かに祈るように剣を構える。
「ちょ!?これって何?」
ネプテューヌが戸惑うなか、他の女神たちも稜牙と同じように祈るようにしている。それにつられてネプテューヌも祈る。そして吼狼が剣に纏った炎を衝撃波のようにお化け屋敷に放つ。みるみるうちにお化け屋敷は燃えていき、十数秒のうちに、跡形もなく焼失した。遠くでは、花火が上がっていた……
―――――――
――――
もう夜遅いとのことで、女神たちはラステイションの協会で夜を明かすことにした。女神たちが寝ている頃、稜牙は1人、協会のベランダで物思いにふけっていた。
「また失ってしまったんだな…守れるはずの命を……」
小さく呟きながら拳を握る。すると後ろから突然声をかけられる。
「あら、さっきやるべきことは悔いるのではなく繰り返させないことだって言ったのは誰かしら?」
「………ノワールか。ノワールも寝れないのか?」
「ま、まぁそんなところね」
ノワールは静かに稜牙の隣に立つ。
「俺、魔戒騎士になってから助けられなかったことがなんどもあったけど……失うのはどうも慣れないな。」
「そうね、でもそんなことに慣れちゃダメでしょ」
「それもそうだな」
冷静なノワールの突っ込みに稜牙はただ笑うしかなかった。
「稜牙、えっと…その…あの時はありがと…」
ボソッとノワールは言う。その顔は赤くなっていた。
「いや、俺はあの時やるべきことをやっただけだ。感謝されるようなことはしてない」
稜牙の言葉にノワールは首を横に振る。
「いいえ、あなたのあの言葉がなかったら、私はあのままだったから…あ、そうだ稜牙、お願いがあるの」
そしてノワールは正八面体の結晶を稜牙に差し出す。女神の力の源…シェアの詰まった結晶、シェアクリスタルである。それを知っている稜牙はノワールに問う。
「これって……どうして」
「私たちもやっぱりホラーを退治はできなくても、退けるくらいの力は欲しいと思って……見てるだけっていうのは無理みたい」
ノワールの言葉で、稜牙の脳裏にはある光景が浮かび上がった。
――――――
とある神殿、その中央には、輝きを失った牙狼の鎧が鎮座していた。その近くで、少年と鳳凰の装飾が施されている狼が向かい合っていた。少年はその狼に告げる。
「もう見てるだけなのは嫌だ!俺に…あの化物を倒す方法を教えてくれ!」
狼はただ静かにその少年を見ていた…
――――――
「…………稜牙?」
ノワールの言葉で我に返った稜牙は一瞬ビクッとする。
「いや、なんでもない……えっと俺の知り合いの魔戒法師に聞いてみるよ」
ノワールからシェアクリスタルを受け取る。
「じゃあよろしくね稜牙。寝れないのはわかるけど、ちゃんと寝なさいよね。おやすみ」
「ああ」
そしてノワールはまた部屋へと入っていく。それを見届けると、稜牙は再び外の方を向き首からぶら下げた青い勾玉に触れ呟く。
「お前には何も失って欲しくない。だから、できれば騎士と法師としての再会はごめんだぜ……うずめ」
――――――
――――
和風なイメージの町並みのブランが治める国ルウィー、その郊外で、一人の少女が空を眺めていた。下のほうでまとめた赤髪のツインテール、学校の夏服のような服装の少女は稜牙のもっている勾玉の上下を反転させたようなネックレスを首にぶら下げていた。
「今の俺知ったら…怒るだろうな…でも俺だって見てるだけってのは嫌なんだ。わかってくれよ…
稜牙」
ザルバ「女神も魔戒騎士も、人を守りたいという思いは同じらしいな。それにしても…
次回『橙神』おいおい、なんで女神が魔導筆を持っているんだ?」
いかがでしたか?感想お待ちしています!