牙狼~ゲイムギョウカイに吹き荒れる金色の嵐~   作:狼の騎神ガロ

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今回は稜牙の過去の話です

しかしダンケ……ほとんどルー大柴のまんまじゃ…

それでは、どうぞ!


8話 継承

稜牙たちが蓮華の小屋に戻る。そこには堅人も同伴していた。空は曇り、月明かりすらない真っ暗だった。

 

「さぁ、話して貰おうか、お前が牙狼を継いだ経緯を」

 

「あぁ……このことについて話すなら、8歳頃から遡らないとな…」

 

稜牙が語り始める。それは別れの物語…

 

――――――side稜牙

俺の生まれたルウィーの小さな村では、漆黒に染まった牙狼の鎧が崇められていた。かつてルウィーに訪れた災いを、この国の女神とともに封じた存在として…その側には、牙狼剣が刺されていた。

 

「稜牙、実はね?牙狼の鎧は、昔本当に金色に染まってたの」

 

俺の母さんは、その管轄では結構名の知れた魔戒法師だった。俺たちは、よく、牙狼が奉られてる神殿に訪れてた。そして来る度に牙狼の神々しさに…憧れていた。

 

「ねぇ母さん、僕も牙狼になれるかな?」

 

「えぇ、なれるわ。いつかきっと、あなたに守りたいものがあるならね」

 

母さんは優しかった。そして、その頃から、うずめがいた。うずめの両親と俺の父さんが知り合いらしくて、うずめの両親が病気で亡くなった時、うちで引き取ったんだ。

 

「うずめも牙狼になる!」

 

「フフ、うずめちゃんは牙狼にはなれないわ、うずめちゃんは、魔戒法師になったら?」

 

「えぇ、ダメだよ母さん!うずめは僕が牙狼になったら守るから!」

 

子供の頃の俺は、平気でそんなことを言っていた。もう今思い返すと、すごく恥ずかしいよ。

 

「……わかった、じゃあうずめ、稜牙が牙狼になるの待ってる!」

 

俺とうずめ、そして母さんは本当の家族のように話してた…

 

「そうだ!二人にプレゼントがあるの」

 

母さんは2つの勾玉を取り出した。一つは青いやつ、そしてもう一つは、その青いやつをひっくり返した赤いやつ。

 

「母さん、これは?」

 

「お守りよ…あなたたちがモンスターに襲われず、無事に生きられるように」

 

そして俺に青い勾玉を、うずめに赤い勾玉を手渡した。

 

それから3年後…

その日は…とっても強い雨が降っていた。

 

「雨強いね…」

 

やつは突然現れた。そいつは、堕天使のような姿をしていた。母さんは俺たちを匿い、魔導筆でそいつと戦っていた。けど、そいつにはなにも出来なくて、母さんたちは……

 

俺たちの目の前で無残に喰われた。

 

「稜牙、強く生きて…そしてなって…誰もが認める…」

 

それが母さんの最後の言葉だった。

――――――sideout

「まずはここまでかな」

 

ひとつため息をこぼし、稜牙は回想を終える。ネプテューヌたちにとってはとても重かったのか、なにも話してはいなかった。そんな重い空気を払拭したのはうずめだった。

 

「しっかしそんなこともあったな……あの頃の稜牙、今では恥ずかしいことも平気で言うし…」

 

「それは今もかもね…」

 

小さく呟くとノワールはコホンと咳払いをし、稜牙の声真似をしながら言う。

 

「『今お前がするべきことは悔いることじゃない、これを繰り返さないことだ』……なんて普通の人は言えないわよ」

 

「とはいえ…それは師匠の言葉だけどな…」

 

再び稜牙は回想を始める。

 

 

――――――side稜牙

そのあと、俺はうずめを連れて逃げた。なんで逃げたのかはわからない、たぶん、直感で逃げなきゃ死ぬって思ってたのかもしれない。気がついたら牙狼の神殿に着いていた。着いたらすぐに、俺は牙狼剣を引き抜こうとしていた。

 

「なぁ!俺に力を貸してくれよ!牙狼は…人間を守るんだろ?だったら俺に力を貸してくれよ!守るための力を!」

 

必死に引き抜こうとしても、剣はいっこうに抜ける気配がなかった。すると、誰かがこっちに向かって歩いてくる音が聴こえた。俺たちはさっきの化け物じゃないかって怯えていた。でもやってきたのは、白く、羽のような装飾のついた狼だった。その狼が俺に向かって言う。

 

「そんな生半可な覚悟じゃ、牙狼剣を引き抜くことはできないぞ」

 

その狼に向かって俺は叫んだ。

 

「じゃあどうすればいいんだよ!」

 

「その前にひとつ聞く…なぜ牙狼の力を求める?復讐か?それとも、君の目の前にいるあの娘を守るためか?」

 

狼はうずめを一瞬見てから、まじまじと俺を見る。

 

「俺は…俺は…もう見てるだけなのは嫌なんだ!だから…俺に牙狼の力を…あの化け物を倒す力を俺に教えてくれ!」

 

「稜牙…」

 

ただ、ただ必死に叫んだ。すると狼は一瞬の光のうちに消えて、目の前には茶髪のボサボサとした髪に、これまた羽のような装飾のついた魔法衣を着た男性がいた。その人こそ神室仁だったんだ…

 

「よし、わかった。俺が剣を教えてやる…だがいいか?これは“悔いるため”ではなく、“繰り返さない”ためだ」

 

そして修行が始まった…

――――――sideout

 

 

「……なるほどな…仁さんがそのホラーを退けて牙狼の神殿に来たってことか…ところで、そのホラーってなんなんだ?」

 

堅人の言葉に稜牙が細々と答える。

 

「ベルシファだ…」

 

「な!?ベルシファ……そんな恐ろしいやつが復活してたのか…」

 

堅人は驚き、それ以上何も言えなかった。疑問に思ったブランが尋ねる。

 

「そのベルシファというホラーはどの位強いの?」

 

「ベルシファは、ホラーの始祖とされるメシア…そのメシアより生まれた“メシアの瞳”という異名を持つホラー。その昔、他のホラーを寄せ付けない街規模の結界を作り出し、その結界の中の人間を喰らい尽くしたと言われている……」

 

ザルバが説明する。話がずれたと思ったうずめは、急かすように稜牙に言う。

 

「なぁなぁ、そういや魔戒騎士の修行ってどんなのやるんだ?俺、すぐに楓さんのとこ行ったろ?だから魔戒騎士の修行とか気になるんだ」

 

「魔戒騎士の修行なんて、そんな興味あるか?」

 

「もちろんよ、あなたは黄金騎士…並の魔戒騎士とは違う修行をしてきたはずよ」

 

ブランが確信して言う。困惑していたが、稜牙は再び話し始める…

 

 

―――――side稜牙

修行って言っても……仁さんが剣振ってるの見てそれ真似したり、仁さんと組み手したりくらいかな…修行とは関係ないかもしれないけど、ある日こんなことを聞かれたんだ。

 

「なぁ稜牙、君が大切な人と一緒にいる時、車か何かがこっちに向かおうとしてるとする。君はおそらくその人を連れて避けるだろう…でもその後ろには、何十人もの人がいて、君たちが避けてしまうと、その人達が犠牲となってしまう。さて、こんな状況下で、君はどんな行動を取る?」

 

とってもきつい質問だった。大切な人を守りたい。でも、そのせいで多くの罪のない人が犠牲になってしまう……悩んだ末こう答えたんだ。

 

「俺が犠牲になれば、どっちも救えるんですよね?」

 

少しの沈黙の後、仁さんは大袈裟に笑い始める。

 

「ハハハ、魔戒騎士としては最良の選択だ。でも、自分の命すら簡単に捨てられるようなやつが、誰かを守れるとは思わないな。自分も、大切な人も、すべてを守れ」

 

そして剣の持ち手を俺に向ける。手に取ると、その剣はあまりに重くて、地面に突き刺さった。

 

「どうだ?重いだろ。それが君が継承しようとしてるものの重さ……“人々の命”の重さだ。この重さを忘れるな…さて、再開だ!」

 

そして再び剣を振り始めた。

 

 

その夜、仁さんのホラー討伐に同行した。そのホラーは、斬る度に分裂する、“ルディス”と呼ばれるホラーだったんだ。厄介な能力に苦戦していた仁さんは、鎧を召喚し剣を構えた。すると目の前には宇宙が広がっていた。

 

「いいか稜牙、俺の最大の技を見せてやる。イメージしろ、俺の背後には宇宙が広がっている、そして、星々のエネルギーを一つにして、それをすべてにホラーにぶつける」

 

その言葉通り、王牙の背後の星々が一つの巨大なエネルギーになった。

 

「大凰激烈!」

 

そしてそれをルディスに放つ。エネルギーがルディスに触れた瞬間、ルディスは一瞬で分裂体共々消滅した。仁さんは鎧を解き、俺の方を向く。

 

「これが俺の技だ。お前ならきっとできる」

―――――sideout

 

 

「そして一年前くらいに、牙狼を継承したんだ」

 

この言葉とともに稜牙は話し終える。だがブランとネプテューヌはどこか腑に落ちない様子だった。

 

「なんか…物足りない」

 

「そうだよね…なんというか『俺の屍を越えてゆけ!』みたいな物があるのかと…」

 

ネプテューヌの言葉に稜牙は一瞬肩をすくめ、うつむく。

 

「……そんな話もあったんだけど…それを話すには、まだ気持ちが落ち着かないんだ…その話は、今度でいいか?」

 

稜牙が細々と話す。その時、稜牙の勾玉が淡い光を放っていたのを堅人は見た。

 

「……ちょっと、風に当たってくるよ」

 

「お、おいちょっと待て稜牙!」

 

「話は聞けた。俺はこれで失礼する」

 

そして小屋を出る。堅人とうずめがそのあとを追う。小屋の中には、女神たちと蓮華だけとなった。

 

「どうしちゃったんだろう稜牙…もしかして私、触れちゃいけない琴線に触れちゃった?」

 

苦い顔をしてネプテューヌが恐る恐る話す。蓮華は天井を見上げながら話す。

「そりゃ気持ちの整理がつかないよ…だって、

 

 

稜牙が自分の手で仁さんを殺したんだもん」

 

 

「そう……だったのね、だからあんな感じに…」

 

「なんか申し訳ない気分ですわ…」

 

その場に沈黙と重い空気が訪れた。

―――

森の中で、稜牙は1人ぼーっと空を眺めていた。

 

「稜牙、ようやく追いついたぜ…」

 

うずめが息を切らしながら稜牙のもとに駆け寄る。息を整え、まっすぐに稜牙を見つめ尋ねる。

 

「なぁ稜牙、仁さんは本当に…」

 

「あぁ、仁さんは…」

 

稜牙は言いかけて空を見上げる。晴々としていて、月光が稜牙とうずめを照らす。そしてまた稜牙の勾玉が光る。それもさっきよりも明るく…

 

「稜牙、勾玉が!」

 

うずめが勾玉を指さしながら言う。

 

「稜牙、邪気ではないが、それに似た何かをそれから感じるぞ」

 

ザルバが言う。邪気ではなく、負の感情のようなものらしい。そしてまもなく、光は消えた。

 

「なんだったんだ今の…」

 

稜牙はただ呆然とするしかなかった…

――――

プラネテューヌの郊外、一人の魔戒騎士がホラーを追い詰めていた。鎧を召喚しており、それは白く、耳は牙狼などの鎧より丸みを帯びていて、全体的に、西洋鎧然としていた。

 

「お、おい!話が違うだろ!負の感情を集めればそれでいいんだろ!?なんで斬られなきゃないんだ!」

 

ホラーと思わしき男性は、たじろぎ、その白い狼から離れようとしている。だが白い狼は何も言わずにホラーの心臓に剣を突き刺す。

 

「嘘だ……俺は、俺は!」

 

それがホラーの最後の言葉となった。ホラーから黒い瘴気が現れ、それが白い狼が持っている黒い結晶に吸い込まれる。

 

「数年前は不完全だったが…もうじきゲイムギョウカイを包むほどの結界を作れるか……頼むぞベルシファ、この世界に住む人々のために…」

 

鎧を解くと、白い魔法衣に身を包んだ、茶髪の男性が結晶を眺めていた…




ザルバ「それはとても無邪気で、自分の欲に忠実な人間、稜牙、お前にだってこんな頃があったろ?
次回『子供』早く帰れよ?奴らの時間になる前に」

稜牙が仁を斬ってしまった経緯は後々明らかになります

次回もお楽しみに!
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