問題児たちが異世界から来るそうですよ?~『終の夜』の軌跡~   作:ブレイアッ

12 / 12
スマホで書いてるので予測変換が出て気づかぬ内に間違えて打っていて読み返したら『フェイス・マガール』とかあって吹いた



10話『クロの実力』

 飛鳥、耀、クロの三人はガロロの所有する山小屋で特訓していた。人があまり来ない場所にあるため、少しくらい派手に暴れても問題ないくらいというのがこの山小屋を使うことになった理由だ

 

「ふぅ……」

 

 冷たいお茶で喉を潤す。やわらかな甘みと口のなかに広がる豊かな香りが疲れを癒してくれるような気がする

 

「なんだ、気に入ったのか?坊主」

 

「うん」

 

 素直に頷くクロ。それに気をよくしたのかガロロはガハハと豪快に笑いながらクロのコップに茶を注いだ

 最近は息子たちが素直に甘えてくれないとクロに愚痴る。どうやら会って間もないのにクロのことを気に入ったらしい

 

「(*≧∀≦*)♪」

 

「エペタムも美味しいって」

 

 コップに刀身を突っ込むエペタム。コップの中に入っているお茶はエペタムに吸水されるように減っていく。元々石を食べたという伝承が残っているくらいだ、これくらいのことは当然のことなのだろう

 箱庭広しと言えども飲み食いする剣なんて聞いたことがない。初めての見る剣にガロロは興味津々にエペタムを観察した

 

 飛鳥と耀もクロ同様に休憩をとっている。飛鳥はこのおいしいお茶の味と香りを優雅に楽しみ、耀はもちろん美味しくお茶やお茶請けの串団子を食べている。高速で、刹那の間に皿から消えるくらいには

 

 山小屋の庭でのお茶会。ほのぼのとした日常の1ページ

 突然、ガロロと談笑していたクロの表情が変わり、隣にある耀が食べ終えた皿から串を数本とり、山小屋の外側にある木々に向かって投擲した

 

 突然のクロの行動に目を丸くする飛鳥と耀。それを見たガロロはため息をついた

 クロが投擲した先にある木々の影から声がした

 

「おや、先客がいたようですね」

 

「(#`皿´)」

 

「がるるるぅ」

 

「お前ら落ち着け、ソイツは敵じゃない」

 

 え?と飛鳥と耀は声のした方を見る。二人とも、木々の影からした声に聞き覚えがあった

 木々の影から現れたのは純白のドレススカートと鎧を身に纏い、顔には目元を隠す仮面を付けた女性。この前の魔王のギフトゲームで何度も飛鳥たちを危機から救った騎士

 

「貴女は………!」

 

「お久しぶりです」

 

 銀髪を黒いリボンの髪飾りで纏めたポニーテールを風に揺らす彼女はクイーン・ハロウィンの寵愛者

 

 仮面の女騎士はガロロに会釈し、訊ねる

 

「失礼、“クロ”という方をご存知でしょうか?」

 

「クロなら俺だけど」

 

 仮面の女騎士はしばしの硬直の後、ガロロに確かめるように目線を合わせた。ガロロは頷く

 

「そうですか………貴方が」

 

「俺に何の用?」

 

女王(クイーン)からの命令です。貴方と手合わせしろと」

 

:::

 

 ガロロが所有する土地の中でも開けた場所。そこでクロとフェイス・レスが向き合っていた

 

「いきなり手合わせって、君の主様は何を考えてるのかな?」

 

「さぁ、私には理解しかねます。あの方は結構気まぐれですので、ただの暇潰しか、それとも………」

 

「スカウト。ってやつかな?」

 

 ガロロが用意した手合わせのための舞台、立会人はガロロとその場に居合わせた耀と飛鳥だ

 

「ルールを確認するぞ。時間無制限、勝利条件は相手に決定打を与えるか相手が降参するかの二つのみ、ただし相手を殺すことは絶対にしてはならない。いいな?」

 

 ガロロがギアすロールを読み上げる。クロとフェイス・レスは同時に頷いた

 エペタムが飛び、クロの左手に収まる

 

 

 クロは目を閉じた

 すぅ……と小さく深呼吸する

 エペタムを持つことで体に力が行き渡る。思考はより鮮明になり、五感は普段より敏感になる。身体能力の底上げ。それがエペタムが主である戦士にもたらす恩恵だ

 目を開く。エペタムの身体能力強化によって強化された視覚は対峙するフェイス・レスのドレスの刺繍もはっきりと写した

 

 

 フェイス・レスは驚愕していた

 女王(クイーンハロウィン)からいきなり「クロという少年と戦ってこい」なんて言われて不本意ながら十代半ば頃の少年と手合わせすることになったのだが、戦いの場に立ち、対峙してわかった

 目の前の少年は、間違いなく“強い”

 

:::

 

「ねぇ、ガロロさん。開始の合図はしなくていいの?」

 

 外野で観戦する飛鳥の何気ない一言。クロとフェイス・レスはすでに戦闘準備は整っている

 だが、返ってきたガロロの言葉は飛鳥の想像とは違ったものだった

 

「もう、始まってやがる」

 

 汗がガロロの頬の毛を湿らせる。顔は緊張に固まり、目は一瞬たりとも見逃すまいと見開いている

 

「始まってるって………」

 

 耀の目にも二人は対峙したまま開始の合図を待っているようにしか見えない。時折手がピクリと動いたり身体が揺れたりはしているがそれに意味があるようには見えない

 

「……………いいか。お嬢ちゃん達、戦闘者には大きく分けて二つのタイプがある」

 

 ガロロは視線を動かすことなく喋りだす

 

「一つは天賦の才で戦うタイプ、嬢ちゃん達や十六夜がその良い例だ。もう一つが磨き上げた技術で戦うタイプ、これはレティシアなんかが当てはまる。

 前者は才能を伸ばし、後者は技術を伸ばす

 才能を伸ばした前者は戦いにおいて真っ先に動くことが多い、才能と直感で戦う。十六夜などはその良い例だ

 それに対して後者の技術を伸ばした者はよく武芸者と呼ばれる。研鑽を重ねた武芸者の一撃は非常に繊細かつ精密。フェイス・レスはその良い例だ

 

「武芸者同士の戦いは手の内の読み合いから始まることが多い、見たところクロもあの仮面騎士も武芸者のタイプだ。何も始まってないようで、かなり高度な手の内の読み合いが目の前で起こっている」

 

「読み合い………?」

 

「んー?」

 

 どうやら二人にはまだ早いらしい。じっと見てみるが手の内を探っている様子は全くわからない

 そもそも、飛鳥と耀の二人にはクロが戦うということ自体が考えられない。二人の中でのクロのイメージは犬っぽい不思議な少年でしかないのだ

 

「まあ、よく()てな。そろそろ動くぞ」

 

:::

 

 先に動いたのはクロだった

 体勢を低くしての突撃、フェイス・レスはそれを連接剣で迎撃する

 

(っ!?)

 

 しかし、急に歩幅を小さくして減速し、さらに地面スレスレまで低くしたクロは迫り来る連接剣の下を潜り抜けてその凶刃を回避する

 さらにクロは隠し持っていた串をフェイス・レスの足元めがけて投擲する

 連接剣を避けられたこと自体は予想済み、手元で刃を動かして背後からの強襲に切り替えようとして、足元に迫る串気付き、横に飛ぶことで回避する

 

(っ!)

 

 ちょうど回避した先には寸分違わず眉間を狙って放たれた小石、クロは串を回避されること前提で罠を仕掛けていたのだ。しかも回避するであろう位置に

 咄嗟に連接剣の柄で防ぐ。しかし、小石だと思っていたそれは小石ではなく土の塊だった。柄にぶつかると同時に砕け、土が飛び散る。その一瞬がフェイス・レスの視界を妨げ、ほんの僅かな隙を生み出す

 

ギィン!

 

 フェイス・レスの懐にまで飛び込んだクロの一撃は剛槍によって防がれる。フェイス・レスの直感と今までの研鑽による反射行動によってギフトガードから剛槍を出現させたのだ。並みの鍛練ではここまでの(わざ)は使えない

 懐に飛び込んでの攻撃が防がれることは予想済み、流石に槍が出てきたことには驚いたが

 フェイス・レスの武器で近接戦闘ができるのは槍だけだ。しかし、クロの持つエペタムは短刀、超近接武器だ。今の二人の距離は完全密着状態、間合いで言えばクロの距離、槍では迎撃しにくい

 クロは追撃を仕掛けようとするがそれよりも速く自身に迫ってきた脚を腕を交差させることで防ぐ、とはいえ、女性とは思えない威力にクロの身体が浮いた。そのまま連接剣を収納したフェイス・レスは槍を両手で持って凪ぎ払う。ちょうどバットのように振られた槍で打ち上げられる。かろうじてエペタムでガードし、斬られることは防ぐ

 打ち上げられたクロは五十メートル程吹き飛ばされてしまう

 危なげなく着地したクロの頬を矢がかすった。クロの視線の先には剛弓を構えた体勢のフェイス・レスがいた。今の一撃は狙えばクロの顔面を射ぬいていた。そう判断したクロは両手を上げた

 

 勝者:フェイス・レス

 

:::

 

 飛鳥と耀が空気を吸い込む。目の前の戦闘を息を忘れて見ていたのかと言われると答えはNoだ。先のクロとフェイス・レスの攻防は一息にも満たない僅かな時間で行われていただけ、それを理解した飛鳥と耀は身震いし、そして思い知った。クロという少年の強さを、自分達との間にある圧倒的な差を

 驚愕する二人をよそにクロとフェイス・レスは握手をかわす

 

「私は“クイーン・ハロウィン”直属の騎士、“女王騎士団(クイーンズナイツ)”の第三席。女王(クイーン)より与えられた名は顔亡き者(フェイスレス)。フェイスとでも呼んでください」

 

「ん、俺は“ノーネーム”に所属するクロ………強いね、フェイスは」

 

「いえ、貴方も相当な猛者(もさ)かと……はっきり言って見くびっていましたが、戦ってみて分かりました。女王(クイーン)が興味を持つわけです」

 

 笑い合う二人

 

「フェイスは鍛えてもらったって感じだね、とても綺麗だ」

 

「ありがとうございます。そう言う貴方は戦場で身に付けたようですね、とても実践的な戦い方でした。あの正確な投擲にはひやりとさせられましたよ。次は本気(・・)の貴方と戦ってみたいものです」

 

「それはこっちの台詞、本気でぶつかり合う事が無いように祈るよ。その時がくるとすれば敵同士で命を懸けの戦いだろうね」

 

 十代半ばの少年と仮面を付けた女性が笑い合う。奇妙で微笑ましい絵面だが話の内容は物騒だ

 

「ι(`ロ´)ノ(クロヘッド」

 

「あいてっ」

 

 クロの手元からすり抜けたエペタムが峰でクロの頭を叩いた。どうやら無視するなと言いたいらしい

 

「それは……? 意思を持っているようですが」

 

「ああ、紹介するよ。コイツはエペタム。今の俺の牙だ」

 

「エペタム…たしか、アイヌの……伝承に登場する武具でしたね」

 

「あ、知ってるんだ」

 

「<( ̄^ ̄)>」

 

「威張るな」

 

「? エペタムと意志疎通が出来るのですか?」

 

「まあね、少しだけだけど。そう言えばフェイスの武具も凄いよね」

 

 とかなんとか、二人だけの世界に入りこむクロとフェイス・レス。このやりとりは約一時間程続いたという

 

 

 クロに友達が出来ました

 

 余談だが

 

 飛鳥はフェイス・レスの自分の時よりも丁寧な自己紹介に不満を覚えて、耀はフェイス・レスと楽しそうに話すクロを見て不満そうな顔をしていたそうな

 

「何よ、私の時と態度が違うじゃない」

「クロの飼い主は私なのに………」




フェイス・レスとほぼ互角に戦うことができる実戦経験と戦場で培った戦闘技術。召喚士の軌跡の時には使えなかった(魔法戦の方が便利)設定です。因みに武器は何でも使える模様、徒手空拳も得意

>ι(`ロ´)ノ(クロヘッド
何気に気に入ったエペタムの顔文字
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。