問題児たちが異世界から来るそうですよ?~『終の夜』の軌跡~   作:ブレイアッ

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(待ってる人がいるかわからないけど)お待たせしました!第1話です!



1話『召喚剣士の復活』

“ノーネーム”本拠

 

「はぁ……」

 

『どないしたんや、そんな溜め息なんかついて折角“アンダーウッド”の収穫祭へ行けることになったっていうのに』

 

“ノーネーム”の貯水池近くにある小屋の中で春日部耀が溜め息をつく。傍らには耀の友達で保護者役の三毛猫がいる

 

「ねぇ、三毛猫は“源修也”って知ってる?」

 

源修也。白夜叉の口から放たれたこの名が春日部耀の中にずっと引っ掛かっていた

 

『何言っとるんやお嬢は。当たり前やろ、修也のあんちゃんはお嬢の箱庭に来ての友達第1号でぶにゃっ!?』

 

突然、耀が三毛猫を持ち上げてガクガクと揺らす

 

「それ、どういうこと。教えて」

 

『お…教えるから降ろしてつかぁさい!このままやったら腹の中身が……うっぷ』

 

「あ、ごめん」

 

『あー死ぬかと思った…』

 

「そんなことはどうでもいいから早く教えて」

 

そんなことと来たか。三毛猫は心の中で苦笑して、違和感に気付いた

 

『お嬢、何でそんなこと(・・・・・)訊くんや(・・・・)?』

 

「………………………え?」

 

言ってる意味が解らない。そんな表情を三毛猫に向ける

 

『このコミュニティの中ではお嬢のことはこの三毛猫がよく知っとる。お嬢は昔から基本的に自分が知らない他人についてよく知ろうとはせえへんかった。そのお嬢がなんで知らない他人についてそんなに知ろうとするんや?』

 

「それは………………」

 

何も言えない。ただ、何か本能のようなものが“源修也”という名にひっかかるのだ

 

『そうや、なんで気付かんかったんや』

 

「どういうこと?」

 

『お嬢は大切なことを忘れとる。いや、お嬢だけやない。この“ノーネーム”の皆が忘れとるんや』

 

「み…三毛猫?」

 

普段とは違う三毛猫の様子に戸惑う耀

三毛猫は急に立ち上がって言った

 

『白夜叉の所に行くで、お嬢!』

 

「う、うん!?」

 

その時、ドサッという音が小屋の外でした

 

「今のは………人?」

 

耀の聴覚は人の何十倍も優れている。今の音だけで小屋の外で何があったのかを理解した

 

「三毛猫、誰かが小屋の外で倒れてるみたい。だから白夜叉のとこに行くのは後回し」

 

それだけ言って小屋の戸を勢いよく開ける

そこには黒い髪の見慣れない格好をした一人の少年が倒れていた

 

:::

 

“ノーネーム”本拠内部

 

耀が運んできた少年は“ノーネーム”の本拠内にある空き部屋のベッドに寝かされていた

彼の周りには拾ってきた耀と三毛猫はもちろん。十六夜、飛鳥、ジン、黒ウサギ、レティシアといった“ノーネーム”主力メンバーがいる

 

「それで、扉を開けたらコイツが倒れていたと」

 

「でも変ね。この子が倒れるまで春日部さんが気づかないなんて」

 

「うん、足音もしなかったし空を飛んでた音もしなかった。なんていうか急にその場に現れたって感じだった」

 

ほう?と十六夜が興味を持ったように眉を上げる

 

「そいつは不可思議な話だ。じゃあコイツは突然現れたって言うのか?瞬間移動みたいに」

 

「本来であれば黙って私達のコミュニティに入り込んだ曲者として縛り上げて色々と聞き出しているところなのだが……無理に起こすのも気が引けるな」

 

レティシアが少年の顔色をうかがいながら言う

 

「とりあえず、彼が目を覚ますのを待ちましょう。彼から話を聞くのはそれからでもいいはずです」

 

「なら、私が看病する」

 

:::

 

月灯りが草木を照らす夜

“ノーネーム”本拠のとある一室の窓の外から黒い翼を広げ、空中に浮かぶ男が窓の向こう側にいる少年を見ていた

 

「むぅ………これは予想外」

 

月灯りを受けて美しく煌めく黒翼を揺らしながら男、シュヴァルスティアは溜め息をついた

 

「意気揚々と下層に来たはいいけれど、まさか『源修也』だけが実体を持つことになるとは………アヤツのせいか」

 

シュヴァルスティアは実体が無いかのようにすぅと壁をすり抜け、部屋の中に入る

部屋の中にあるベッドには黒い髪の少年が眠っている

 

「ふむ、なるほど」

 

シュヴァルスティアは少年を見てからクスリと笑う

 

「コレはもう私の分身ではないな。れっきとした一つの命だ」

 

シュヴァルスティアの胸の辺りから夜空を切り取ったような黒く美しい刀身の刀が飛び出し、彼の手の中に収まる

 

小さな神様()から離れてまであの少女の傍にいたいと思うその気持ち、受け取った。これからは私の分身でもなく、兵器でもなく、一つの命として、『源修也』として生きろ」

 

シュヴァルスティアは少年の心臓に当たる部分に刀の切っ先をつける

 

「君の活躍、しっかり楽しませてもらうよ」

 

シュヴァルスティアが柄から手を離すと黒い刀身の刀は少年の身体に溶け込むようにして消えた

 

「う……ん」

 

「クク、コウメイあたりに怒られそうだな」

 

そう言ってシュヴァルスティアは夜の闇に溶け込むようにして消えた

 

:::

 

………………………まぶしい

 

瞼越しに刺さる朝日に起こされ、俺は目を開けた

 

 

 

……………………………………………………は?

 

 

俺は布団を吹っ飛ばしながら跳ね起きる

周りを確認するとここは“ノーネーム”の本拠の中、それも俺が使っていた部屋だ

 

おかしい、色々とおかしい

たしか俺は黒死斑の魔王のコミュニティ“グリムグリモワール・ハーメルン”との戦いで魔力が尽きて消滅したはず………なのに

 

「なんで………俺は生きているんだ?」

 

ガチャと音をたてて部屋のドアが開く

 

「あ………………」

 

そこには、俺が初めて恋をした相手で、俺の主、一番会いたくて、一番会いたくない人がいた

その人の名は

 

「よかった、気がついたんだ」

 

春日部耀

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