問題児たちが異世界から来るそうですよ?~『終の夜』の軌跡~   作:ブレイアッ

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初のオリジナルゲームです!
問題児といえばバトルやほのぼのとしたドタバタコメディもいいですけど、やっぱり魔王のゲームの中にある謎解き的な要素も大事だと思います


4話『天に昇る龍を討て!』《前編》

“ノーネーム”舞台区画跡

 

崩れかけた塔の上でクロは弓と矢を両手に持ち、辺りを警戒していた

彼のズボンのポケットの中には黒く輝く羊皮紙が入っている

ここに来る前に空から落ちてきたものだ。クロにはこの羊皮紙に見覚えがあった。そう、魔王の契約書類(ギアスロール)だ。しかし、そのギアスロールには肝心のゲーム名、ゲームルール、勝利条件、敗北条件、そして主催者(ホスト)の名も記されていない。真っ黒なギアスロールには宣誓の印だけがあった

 

(敵の姿はまだ見えない。だが、こちらに近づいてきているのは感じる………今の俺で、どこまでやれるか)

 

クロの額を汗が流れる

 

ギアスロールには何も書いていないがゲームとして機能している。本当は何も書いていないのではなく、何か特殊な恩恵でギアスロールの文面を隠しているのか

周囲に気を配りながらクロはこの魔王のゲームについての考察をする。レティシアや十六夜、黒ウサギがいればどうにかなったかもしれない状況、だが、彼らはこの場にいない。さらに考察を続ける

 

(そういえば、このギアスロールを拾った時に魚の臭いがした。もしかしたら魔王は水が関係する場所から来たのか?)

 

その可能性は十分にある。元々、この箱庭では水源を確保することが難しい。南側はともかくこの辺りはトリトニスの滝などがあるがそこの主であった白雪姫は十六夜に敗れ、隷属させられたと聞いた。ほかにある水源は“サウザンドアイズ”支店の周辺にある水路があるが、そこには太陽の主権を持つ白夜の星霊、白夜叉がいる。他に上げるならば“水樹の苗”があるこの“ノーネーム”だ。もし敵が水を得ることで強くなるタイプの魔王なら“名無し”を襲って力を蓄えてから白夜叉の元に向かうだろう。名無しを襲っても他のコミュニティは名無しを助けるようなことをしない。安全かつ確実に力を蓄えることができる場所がこの“ノーネーム”だ

 

(そう考えれば辻褄は合う。箱庭最強種である白夜叉に何の備えもなく挑むような輩はそういないだろうしな)

 

分厚い雲が太陽を隠し、辺りが急に暗くなる、それと同時に風が強くなってきた

 

(………来る!)

 

クロから見て西側に黒い影が現れた

 

クロは弓を構え、矢を引く。武器庫から拝借したこの弓の射程距離は200メートル、敵の歩く速度から考えて敵が射程圏内に入るまで後2秒

 

クロの額からたれた汗が頬を伝い、落ちた

 

(今………!)

 

ビュッと風邪を切る音と共に矢は一直線に敵の心臓めがけて飛んだ

 

(何っ!?)

 

しかし、矢は敵に当たる直前に軌道が逸れ、地面に突き刺さった

 

(外したか、なら次は!)

 

第二矢を構え、放つ

今度も一寸の狂いなく矢は敵の心臓めがけて飛ぶがまた、当たる直前に軌道が逸れ、地面に突き刺さった

 

その後、矢を3回射ったが全て同じ結果となった

 

(矢避けの恩恵か?水が関係してて矢避けの恩恵、またはそれに類する恩恵を持つ者なら敵の正体は限られてくるはずだ)

 

敵は歩く速度を緩めることなくこちらに近づいてきているのは。その先にあるのは貯水湖、さらにその先には子供たちがいる本拠がある

 

(矢が効かないのなら直接出向くまでだ!)

 

弓と矢を置き、槍と剣を持つ

突然、クロの元に突風が襲いかかる

 

「うわぁぁぁああ!」

 

そのままクロは塔と一緒に空中に巻き上げられる。十メートルほど巻き上げられたクロはそのまま自由落下し、地面に叩きつけられる。その衝撃を前に転がることで逃がした

 

「ぬぅん!」

 

着地した先からクロを大きな足が襲いかかる。それが当たる直前に後ろに跳躍、威力を逃がしながら後ろに跳ぶ

 

「ぐぅ………」

 

槍を構え、蹴りを放ってきた方を見る

そこには二メートルはこえる巨漢がいた。特徴的な白く長い髭と幾何学的な白い紋様の入った青いハチマキと服。腰には帯から下げられた紐に鞘に収まった刀がぶら下がっている。少なくとも2000年代の日本では見ない服装だ

 

「この矢を射ったのは貴様か?小僧」

 

巨漢の右手にはクロが射った矢があった

 

「ああ、その通りだ」

 

「中々の腕だ。この風の中で軌道を予測し、的確に急所を射る。並の戦士なら出来ない芸当だ」

 

巨漢は矢を指先で真っ二つに折って続ける

 

「この矢が先より強ければ、ワシを射ぬいていただろう」

 

(射ぬけた………?ということはコイツには矢避けの恩恵は無いのか?)

 

「一つ、質問がある」

 

「ほう?言ってみよ」

 

「アンタは……魔王か?」

 

「如何にも。ワシは魔王だ」

 

巨漢の魔王は低く、威厳のある声で答えた。この巨漢からは魔王だというのに威風堂々とした威厳に満ちた空気を纏っているように感じられた

 

「そうかい、なら……お前を討つ!」

 

槍を構えての突撃

しかし、その一撃はかわされた

 

続いて巨漢の魔王の背後に入り込み、死角から脊髄を狙った一突き

槍の穂先を左手で掴まれ、防がれる

 

(コイツ……!見た目の割に素早い!それに、力も強い)

 

巨漢の魔王に掴まれた槍はビクともしない

 

「なるほど、初撃は足を狙って機動力を落とすため、二撃目は死角からの必殺の突き、そして」

 

ガッ!

 

「くっ!」

 

「三撃目は暗器での刺突か。その様子だと後十二撃手先まで攻撃の手段が用意されているのだろうな。中々、巧い戦い方をする………だが」

 

パキンと槍とダガーが折られる

 

「弱い、弱すぎるっ!」

 

巨漢の魔王の膝蹴りがクロの体に食い込み、吹き飛ばす

 

「グッ………カハァ!」

 

50メートル近く離れた先にある崩れかけた建物の壁に叩き付けられ、壁を突き破って止まったクロの口から血が飛んだ

 

「ガッ………ハァッ、ハァッ、ハァッ」

 

(マズイ……アバラがやられた)

 

痛みを堪えながら目を開いた先には穴があった。どうやらクロが叩き付けられた建物には地下室のようなものがあったらしい

クロは痛む体を引きずって穴の中に転がり込んだ

 

ザッザッザッと音をたてながら巨漢の魔王が近づいてくるのを耳で聞きながらクロは額から汗を流しながらさっきの攻防でのことを思い出していた

 

 

(ヤツと接近戦をしてわかったが、アイツは自身の体を中心に風が渦巻いている。その風が邪魔をして矢を外させたんだ

それと、もう一つ、わかったことがある。

あの風はただ身を守るためじゃない)

 

クロはポケットから何も書かれていない黒いギアスロールを取り出した

 

(さっき蹴られた時にわかった。あの風はこのギアスロールの内容を歌ってるんだ)

 

蹴られる寸前、クロは巨漢の魔王を中心に吹く風の中で歌声を聞いた。ほんの一瞬だったが、不思議と歌詞は全て聞き取れた

 

クロは頭の中で文字が書かれていないギアスロールの内容を巨漢の魔王の風が知らせた歌から推測する

 

~§:§~

 

・プレイヤー勝利条件

 

天に昇る龍の名を明かし、これの魂を西に送れ

 

 

・プレイヤー敗北条件

 

・一週間以内に勝利条件を満たせなかった場合

・プレイヤー側の代表者が死亡した場合

 

 

・プレイヤー側ペナルティ

 

・プレイヤー側の中からホストが一名選び、選ばれた者をホストに差し出す

 

~§:§~

 

(ゲーム名までは分からなかったが、勝利条件と敗北条件さえわかればこっちのモンだ)

 

クロはギアスロールのにおいを嗅ぐ

 

(やっぱりだ、このギアスロールからするにおいとヤツの靴のにおいは全く同じもの、シャケのにおいだ)

 

クロは高鳴る胸に手を当てて軽く深呼吸する

 

(よし、解けた)

 

このゲームの謎が、何故ギアスロールに何も書かれていなかったのか、ゲームの内容が歌としてプレイヤーに知らされるのか。勝利条件を満たす手段が

 

(問題は、どうやってヤツを倒すかだ)

 

足音はもう数メートル先まで来ている。クロは刀を抜き、地下室から躍り出た

 

「ほう、隠れるのは止めたのか?」

 

「ああ、待たせたな。お前のゲームの謎は解いた」

 

「何?」

 

「行くぜ、戦闘開始だ!」




「ゲームの謎が解けた」という読者(プレイヤー)の方がいましたら感想に書いてくださいね。考察でも構いませんよ~!
ヒントは本文の中に撒き散らしていますからね!
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