問題児たちが異世界から来るそうですよ?~『終の夜』の軌跡~   作:ブレイアッ

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と、とりあえず召喚士の番外編のことは忘れてください


7話『“終の夜”の目覚め』

「う………ぁ………」

 

クロが目を覚ますと知らない空間で寝ていたいた。真っ黒な空間の中で自分のみを認識ふることができる

 

「あれ………俺は確か、ニタイパカイェと戦って、それから…!」

 

クロは首筋に右手(・・)を当てる

クロはニタイパカイェとの戦いで自ら喉元を裂いた。それだけではなく、肋骨は全て折れ、内臓はグチャグチャになり、右腕からは骨が突きだし、息をする度に全身に激痛が走るほどの大怪我を負ったはず。それなのに息苦しくもなければ血が出た痕もない。完全に元通りになっている

 

『おや、ようやくお目覚めか』

 

何処からか声が響いた

 

「っ!誰だ!」

 

クロは立ち上がって叫ぶ。クロの声は真っ黒な空間に反響した

 

『そう警戒することはない。私はキミで、キミは私、私は私で、キミはキミだ

訳あって私は姿を見せることができなくてね、声だけで我慢してほしい』

 

声は続ける

 

『キミの戦いは見せてもらった。敵わないと知りながらも立ち向かう様は他の命と変わらない。だが、キミは死んでしまった。これではキミを見て楽しむことができない。ならばどうするか?私は、キミに渡す、正確には返すモノがあるのを思い出した』

 

「何………?」

 

何故かこの声の主が発する言葉を素直に聞くクロ。自分が死んだという事実もすんなりと飲み込めた

 

『ふふ、キミの本当の霊格(存在)だよ』

 

クロの胸から黒い刀がすらりと抜き出る

 

『それはキミの魂のようなモノだ。それに本来あるべき“力”を与える。それをすれば、少なくとも生き返ることはできる』

 

クロは返事をしない。する必要もなく、声を発する理由もない。無意識のうちにこの声の主に身を任せていた

 

目の前に浮かぶ黒い刀がドクンッと脈打った

 

『キミの本来の霊格を与えた。今、キミの目の前にあるモノはキミの魂の形で、キミの存在そのものだ』

 

クロはその刀に触れた。その瞬間、その刀のもつ力と、その意味を理解した

 

「コイツは…………」

 

『ふふふ、驚いたかな?キミが感じた通り、キミの霊格は宇宙(世界)を破壊した功績から成り立っている。その力をすべて引き出せば箱庭そのものを破壊することすらできる概念破壊の力だ』

 

「こんなものが、何故この箱庭にある」

 

『おや、知らないようだね。この箱庭は地球という星が存在する宇宙(世界)のものだ。ところが、キミはその世界から来たものではない。箱庭というシステムに当てはまらないイレギュラーな存在だ。私もまた同じ。私がこの箱庭に来た時はありとあらゆる存在が総攻撃を仕掛けてきたよ。箱庭史上で人類最終試練や神話関係なく一つとなったのはその時くらいじゃないかな?皆、外宇宙(異世界)からの訪問者を排除しようとしてたよ』

 

「それで?」

 

『最終的に私の本体は箱庭の第一層に封印されることになったよ。箱庭を破壊しない程度の力を残してね。その力に本体の意思を持たせたのが私だ』

 

「………………」

 

『ま、そんなことはどうでもいい。その力を扱うのはキミ次第だ。今キミがいるこの空間は箱庭と隔離されている。ここでその力を制御する練習をしてみようか』

 

「ああ、耀から嫌われるのは嫌だからな。家族を守れる強さが手に入るなら、何でもしてやる」

 

『ふふ、おもしろい。ならばその牙をもて、キミの本来の霊格。世界を破壊する“終の夜”の力を操ってみよ』

 

 

:::

 

「う………ぁ………」

 

クロが目を覚ますと見知らぬ顔があった。陽光と見間違うほどの美麗は銀髪に鈴のついた簪を挿し、紫の着物を着た美女。なのだが、何故か婆くさい雰囲気をまとっているこの女性は、目を覚ましたクロに笑みを浮かべる

 

「目が覚めたか。随分と変わり果てた姿になったものだな、“源修也”」

 

源修也

この名を知っている者はこの箱庭には少なくとも一人しかいない

 

「アンタこそ、随分と変わり果てた姿になったな。白夜叉」

 

「五日も眠っておってから口を開いて一言目がそれか、少しは女性を誉めることを覚えろ。それでは耀に逃げられるぞ?」

 

「それは嫌だな。飼い主に嫌われたら飼い犬として困る」

 

「何が飼い犬じゃ。北欧のフェンリルも尻尾巻いて逃げ出すような狂犬じゃろうが、おんしは」

 

「そいつは言い過ぎだろ。ってかフェンリルってなんだ?」

 

「ユカラは知っておっても北欧神話は知らんのか、おんしは」

 

「えっへん」

 

「威張るな。馬鹿者」

 

ペシ

 

「いてっ」

 

扇子でクロの頭を叩く

 

「はぁ、何故此処に消えたはずの者がおるのかはこの際訊かんわ。どうせ死んだり生き返ったりを繰り返すおんしのことだ、また変な術でも使ったんじゃろ」

 

「あー、うん。そういうことにしとこう。俺もよくわからないし」

 

「ほう、大魔王でも知らぬことがあったか」

 

「止めてくれ、俺は魔王じゃない………そうだ!ニタイパカイェはどうなった!?」

 

「うむ、おんしのお陰で大きな被害が出る前に倒せた。東の階層支配者(フロアマスター)として、礼を言わせてもらう。ありがとう」

 

突然頭を下げる白夜叉に顔を赤くして照れる

 

「随分と人間らしくなったではないか。昔は機械のようだったというのに」

 

「そう言うアンタこそ、随分と老けたじゃないか、昔は少女のようだったとイテッ!痛い!地味に痛いから扇子で叩くの止めてくれよ!」

 

「うるさいわ!デリカシーにかける阿呆にはこれくらいの罰が必要じゃい!」

 

ペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシペシ

 

::閑話休題::

 

魔王ニタイパカイェはクロが倒れた後、神格を返上した白夜叉の手によって葬られた。否、吹っ飛ばされた

 

「ゲームをクリアするのに魔王を殺す必要は無かった!?」

 

「うむ、別に勝利条件に打倒するとは無かった。アレはあやつのゲームメイクミスじゃな。魔王、ニタイパカイェを魂つきでそのまま西に向かって投げてもゲームクリアとなっておったのだよ」

 

「なんだよ、それ」

 

「ニタイパカイェも自分が作ったゲームにこんな穴があったとは理解しておらんかったようじゃの。箱庭のはしっこまで吹っ飛ばされて隷属されたことに驚いておったわ。そのままユカラの本丸から来たポイヤウンペとトゥムンチカムイに引き渡してユカラの本拠に連行されて行ったわ。もう魔王として悪さはできんだろ。これからはユカラの英雄ポイヤウンペを育てた経験から後世のプレイヤー育成をするそうじゃ」

 

竜巻の魔神も主催者としてまだ青かったのだと、呵々(かか)と人懐っこく笑う白夜叉。こういうところが人々から愛される由縁なのではないかとクロは思った

 

「んな馬鹿なことが………それじゃあ十六夜がちょっと強めに「ていっ」ってやったら簡単にゲームクリアじゃないか。俺のあの戦いは一体何だったんだよ」

 

「いや、私が来るまでおんしが戦って致命傷では無かったとはいえ傷を負わせてくれていたおかげで魔王のゲームを最小限の被害でクリアすることができた。おんしの戦いは、決して無駄では無かったぞ」

 

「……………そうか」

 

少し、嬉しそうに笑うクロ

 

「ところで、おんしは何故そのように幼くなったのじゃ?」

 

「え?」

 

「うん?」

 

白夜叉は袖口からギフトカードを取りだし、その中から手鏡を出してクロに手渡す

クロは鏡に写る自分を見て

 

「ちっちゃくなってるぅぅう!!?」

 

叫んだ

 

ニタイパカイェと戦っていたときのクロは十六夜と同じくらいの背丈で見た目も十代後半くらいだったのだが、鏡に写る自分の姿は幼くなり、見た目の年齢は大体十代中頃の14~15くらいで、ベッドから急いで出て立った時の背丈は耀と同じかそれより少し小さいくらいにまで縮んでいた

 

「なに、そこまで驚くことはあるまい。この箱庭でロリ化したりショタ化することはよくあることじゃ」

 

「いやいやいや!」

 

「それはともかく、これから黒ウサギを拉致するついでにおんしをアンダーウッドまで連れていってやろう。早く耀に会いたくて堪らないのだろう?」

 

「うぐっ」

 

「中々、可愛くなったではないか。どれ、この白夜の星霊、白夜叉様が直々に“アンダーウッド”の大樹のもとに落としてやろう。さあ!行くぞっ!!」

 

ぐいっとクロの首筋を掴んで窓から飛び出す白夜叉。クロは一瞬のことで抵抗する間もなく、引っ張られていった

 

「いぃぃやっほぉぉおおう!会いたかったぞ!黒ウサギィィイ!!」

 

飛び出した勢いでそのままに、奇声を発しながら窓から出てすぐのところにある畑の傍でレティシアと何やら話をしていた黒ウサギの前に着地

 

「平天の旗本へスカウトに行くから、黒ウサギも付いて来るのだっ!」

 

「はいぃ!?」

 

「わかった。白夜叉殿」

 

「レティシア様!?」

 

グワシっ!と黒ウサギを抱え(もちろんその時に胸を揉むのを忘れない)また跳躍。着物だというのにパワフルに動く白夜叉に振り回されながらクロはされるがままに“ノーネーム”の本拠を後にした




石を投げないでくださいね?
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