涼宮ハルヒの未来陥落〜止まる時間に何を望む〜   作:カオミラージュ

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二話です、お楽しみください!


episode 2〜時間は平面に崩壊する〜

episode2〜時間は平面に崩壊する〜

 

 

 

 

 

トゥルルルル

トゥルルルル

 

ピッ

 

「もしもし?どうした古泉」

 

「こんな時間に申し訳ありません…っ」

 

「どうした?何を焦ってるんだ?」

 

 

電話越しの古泉の声はとても焦っていた。

何時ものような余裕がなく、切羽詰まってるって感じだ。

また厄介ごとか?やれやれ…。

 

 

 

帰ったばかりの夜7時、もう着替えて家着だったのに俺は、私服を考えるのが面倒だから制服を着て長門の家に向かった。

 

 

 

〜長門 家〜

 

 

「どうも、お急ぎ頂いてすみません」

 

「キョン君、ごめんね?」

 

「…座って」

 

 

「わ、分かった」

 

 

俺とハルヒ以外のSOS団が揃っていた。

それも、全員が青ざめた顔をしていた。

 

長門は何時もの顔。だが、少し翳りが見える。

古泉からは余裕が消えている。

朝比奈さんは泣き跡が見つかるほど動揺してる。

 

 

「何があったんだ!?」

 

 

「はい、これを見てください」

 

 

そう言うと仕切りを始めた古泉が、「機関」で作ったプリントの様なものを出してきた。

 

 

「…これは?」

 

「これは、この世界の時間平面を表す線です」

 

「…通常は真横一直線」

 

 

長門が口を挟む。

通常は真横一直線? だけどこのプリントの絵は…

 

 

「はい、その通り屈折しています。

と、言うよりかは破壊と言った言い方で構わないですね、朝比奈さん」

 

 

「は、はぃぃ…。。

えっと、その、TPDDを誰かが無断使用してぇ…ぐすっ」

 

 

全員焦ってるんだろう。

長門、古泉、朝比奈さんが間髪入れず交代で説明してくるからごちゃごちゃになる。

ここは俺が冷静に仕切ろう

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ、

解説がごちゃごちゃだ、どんな鬼展開なのかは知らないがとりあえず古泉、お前が一人で落ち着いて説明してもらってもいいか??」

 

 

 

「そ、そうですね。 確かに分かりにくかったと思います。」

 

 

「…謝罪する」

 

「ご、ごめんなさぃぃ」

 

 

「いいんだ長門、気にするな。

朝比奈さんも、大丈夫ですよ。

古泉、頼む」

 

 

「はい、もう一度プリントを。

長門さんが言った通り、通常は時間平面上を表すグラフは一直線です。

微細の揺れもない物なのですが、これは途中で一直線の棒が折れ、欠けていますよね?」

 

「ああ」

 

「朝比奈さんたち未来人が使うTPDDについてはご存知ですか?詳しく熟知はされていますか?」

 

 

「んー、禁則事項が多かったからな…。

要はタイムスリップする不思議な力…でいいんだろ?」

 

 

「ご名答、その認知で構いません。

TPDDとは本来、「未来人」の上のクラスの人達が様々な状況を加味した上でやっと使用を許可するレベルの高等技術なのです。

そしてそれを使えるのは今この時代に派遣されてる未来人は朝比奈さんだけです。

そして朝比奈さんは使ってないそうです」

 

 

「…ハルヒか?」

 

「それは我々機関の調べと長門さんの感知で涼宮さん仕業ではないということが分かっています。」

 

「ハルヒじゃないのか!? なら、どうなってんだ」

 

 

「このグラフの折れている部分は後二週間後の夜3時〜です。

つまり…

僕らにはこれ以上の未来が無いのです」

 

 

「それはおかしいぞ!?

ならなぜ朝比奈さんは消えないんだ?」

 

「確かに、朝比奈さんはTPDDを使い二週間よりも遥かに先の未来からここにやってきました。

なので二週間後以降の僕らの未来が無いなら同時にここにいる朝比奈さんにも未来が無くなる=消えて無くなる、それは僕も最初に疑問を抱きました。

これに関しては長門さんの口から聞いた方が早いと思います」

 

 

「…そうか、長門」

 

「…朝比奈みくるの居た時代の「二週間後」には世界は崩壊しない。」

 

「どういうことだ?」

 

「この時代に居ようと、朝比奈みくるは未来から来た。

つまり朝比奈みくるが例えば1年後の未来から来たと仮定する。

私たちは今から二週間後に未来が途絶えそこで生物としての進行が停止、世界は停止する。

が、朝比奈みくるの時間だけは流れて行き、一年と二週間後に朝比奈みくるの時間も停止する」

 

「…つまり、この不思議な現象に掛かった者はその掛かった者の時間で二週間後に消えるんだな?」

 

「大雑把だけれどそれで正解」

 

 

「…ハルヒ関連じゃなく俺たちにだけ火の粉が降りかかるなんてな…」

 

「それは違いますよ、この場合僕も長門さんも僕らをベースに話しただけです。

この世界に今この時代に存在する全ての生物の未来が無いのです。

だから我々も此れほどの焦りを抱いています」

 

「わ、私だけ何年も一人で時間が流れるんですかぁっ!? 」

 

 

朝比奈さんは驚いている。

朝比奈さんも理解してなかったのか…。

 

 

「なぜ時間が壊れたんだ?それが分からないのか?」

 

「ええ、それを現在最優先事項で検証中です…。

長門さん達「情報統合思念体」、更には周防さん達「天蓋領域」も取り急ぎこの事態の解決作を模索しているみたいです。

朝比奈さんも上司に連絡を取り、解決策を最優先事項で練ってます」

 

 

 

超能力者、宇宙人、未来人の本気か。

こりゃ思ったよりも早く解決できるんじゃないのか?

 

そう思ったが、この表情を見てればそうじゃないことくらい俺にも分かったってもんだ。

 

 

「長門、お前の親玉でもこの事態を解決できないのか?」

 

「…難しい」

 

「そうか…」

 

 

「取り敢えず現時点での早急な解決策はありません、貴方の耳にも挟んでおいて欲しかったものと考えて頂いて結構です」

 

 

なら電話で良かったんじゃ無いのか?

…とかは言わん、だが俺も現状を把握しきれてないわけだ。

ハルヒのトンデモ能力ならまだともかく、原因すら分からない事件に巻き込まれているわけだからな。

正直心当たりも無いし手の打ち所も施しようも無いわけだ。

 

 

そして朝比奈さんを家まで送り届け、俺も家に帰る。

 

 

…また訳の分からない異邦人の仕業か?

やれやれ、勘弁してくれよ…。

 

 

 

 

家に帰り部屋着に着替える。

もう時刻は夜10時を超えていた。

 

そろそろ寝るか、動き回って疲れ……

 

トゥルルルル

トゥルルルル

 

…勘弁してくれ

 

 

 

 

「もしもし?キョン?」

 

 

「なんだこんな時間に、どうしたんだ」

 

 

掛けてきたのはハルヒだった。

 

 

「いやね、別にこれと言った用はないのよ」

 

「ならもう切っていいか?」

 

「ダメよ。どうせ暇でしょ?」

 

「…返す言葉もないがもう眠いんだ」

 

「授業中ずっと寝てたじゃない…くすっ」

 

「あのなぁ…」

 

 

そんなこんなでハルヒと一時間以上話し込むまで俺は時間の経過に気付かなかったってワケだ。

 

 

「ったく…。 ?? げっ!もう11時24分だと!?

一時間以上も話しちまったのか…」

 

「なに?もうそんなに話したの?

そう言えば私なんでキョンに電話かけたのかしら?」

 

「知らねーよ!」

 

「ああ、そうだ、不安になったのよねー」

 

「…不安??」

 

 

驚いたな。

ハルヒの口から「不安」なんて単語を聞くとは思わなかったぜ。

 

 

「昨日もだけど少し前からずっと同じ様な夢を見てるのよ。

古泉くんが急に動かなくなって、有希が死んじゃって、キョンも居なくなってみくるちゃんも居なくなるの。

私はなんでか知んないけど動けなくって。」

 

 

 

…おい…それって…

 

 

 

 

 

プルルルル ガチャ

 

ワンコールで出る。やっぱこいつ寝てないんだな。

 

 

「どうされましたか?貴方から掛けてくるなんて。先ほど別れた時もう寝ると言ってませんでしたか?」

 

「悪いなこんな時間に。こっちだって好きでかけてるんじゃないんでな。」

 

 

俺はさっきのハルヒの夢の話を古泉にする。

古泉にも心当たりはあったし、俺が思った通りだった。

 

 

「なるほど、だからこの2週間 閉鎖空間と《神人》がやたらと出ていたのですね。

原因が分からず右往左往していたのですが…

お陰で理由が発覚しました」

 

「そうか、お役に立ててなによりだ。

それもそうだが古泉、これはどういうことだ?」

 

「涼宮さんもこの事態をどうやら感覚的に把握しているのですよ。

世界に今から2週間後以上の未来がないことを、涼宮さん本人は気づいていませんが涼宮さんの力が感覚的に感じ取ってるわけです。

それが不安や恐怖につながって涼宮さんにストレスや憂鬱として伝わってる様です。」

 

「願望実現能力にもそんな能力があるのか!?」

 

「どうでしょうか。その辺りは機関ではまだなんとも。

明日、長門さんに聞いてみるのはどうでしょうか?

僕の憶測としては涼宮さんの「願望実現」の例の力が「全てを知りたがってる」故に世界に起きているこの事態を感覚的にですが把握しかけてるのだとおもいます」

 

古泉は少し焦りを隠せない様な感じが出ている。

ここで俺は二つの疑問を投げ掛ける。

 

 

「なあ古泉」

 

「なんでしょう?」

 

「その「2週間後の未来の停止」についてなんか分かったことないのか?」

 

「現時点では残念ながら我々機関ではなんの情報もありません、誰も寝ずに動いていますが…」

 

「だったらお前も動かなきゃなのか?俺の電話のせいで動けてないのか?」

 

「お気になさらず。貴方はキーパーソンですからね。

貴方の疑問には答えられる範囲で答えるのが当然です」

 

そうかい、それは良かったよ。

一つ目の疑問は「まだわからない」と言われてしまったわけだ。

そして二つ目を問う。

 

 

「あと、ハルヒの夢だが」

 

「はい」

 

「内容がリアルだよな?

これが実現するなんてことないよな?」

 

「それはないと思います。

なぜなら涼宮さんの力は「願望実現」の能力です。

彼女が不安に思ってることが実現する筈はありません。

 

ですが、僕は恐らくこのまま2週間何も出来ず停止の日を迎えるとしたら…

動かなくなり、長門さんは情報統合思念体との連絡が途絶え端末で言うところの「死」を迎えるのでしょう。

そして朝比奈さんは帰れませんから、朝比奈さんが来た未来が何年後なのかは知りませんが何年間かは一人ぼっちで時間が過ぎる、つまりいなくなったという表現でも大丈夫でしょう。」

 

 

「やっぱそうなるんだよな…」

 

「恐らく、です。

涼宮さんが夢に見ているのですから。

願望ではないので涼宮さんの力で実現するわけでは無いでしょう、ただこのままいけばそうなる、と警告されてる予感がします」

 

 

「そうか…。…?おい、なら待てよ?

俺はどうなるんだ?

ハルヒの夢では居なくなる、としか聞いてないが…

俺は未来から来てない、この時代で生まれてるんだぞ?

お前と同然、動かなくなるんじゃないのか?」

 

「僕が貴方からその話を聞いた時最も注目したのはそこです。

やはりこの事態…貴方がどうにかする力を持ってるのでしょう。

明日長門さんも交えその点を話しましょう」

 

 

「そうだな、すまんなこんな時間に。

切るぞ」

 

「ええ、おやすみなさい」

 

 

 

結局日付が変わっちまった。

まあいいか、部活仲間との親睦を深める長電話ーー

 

世界が止まる前に少しでも足掻いておきたい

何も出来ない俺だが密かにそう思っていたのは誰にも内緒だ。

 

 

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