涼宮ハルヒの未来陥落〜止まる時間に何を望む〜 作:カオミラージュ
あの眉毛をくねくねしながら敵をなぎ倒す朝倉さん、とてもそそります。笑
では、話が進んでいくepisode6をどうぞ!
episode 6〜止まった時間に戻れなくても〜
「…受信」
「来たのか?」
「きた。
パーソナルネーム朝倉涼子から情報を受信。
解読中 すこしまっていて」
「あ、ああ」
俺と長門が部屋でふざけたことをしている内に朝倉がやってくれたようだ。
やれやれ、俺を殺そうとした時(改変世界では刺されたな…)の顔がフラッシュバックするぜ。
あの妖艶な顔で藤原も仕留めたのか?
藤原、同情はしたくないがしてやる。
「解読完了 概ねを伝える」
「おう、教えてくれ」
「パーソナルネーム喜緑江美里は天蓋領域 周防九曜に破れ地球に強制転送された。
朝倉涼子は力を制限されているため喜緑江美里が破れた周防九曜には勝ち目はなかった」
「どうしたんだよ」
「情報統合思念体は朝倉涼子の力を一時的に制限解除することを喜緑江美里の提案にて受諾。
本来の力に戻った朝倉涼子の手により「天蓋領域 周防九曜」は破壊。
「未来人 藤原某」はTPDDを破壊され未来に強制転送、二度と時間遡行は出来ないただの人間になった。
喜緑江美里は地球転送後、「天蓋領域」への周防九曜の連絡路を遮断。
未来停止は回避された」
難しすぎる。俺以外のやつらも絶対飛ばしたことだろう。
長門よ、もう少しだけ分かりやすく…とはカッコ悪くて言えず
「つまり、未来停止は無くなったんだな?」
「そう」
当たり障りのない、誰でも理解できた最後の一文を取って俺は長門に確認をいれた。
良かった、これで俺たちの未来は続くんだな。
そう思って俺は一つ疑問に思う。
「解決したんだよな?
でもさ、俺、必要だったか?
何もしてないんだが…」
「…それは」
「うん?」
「… 朝倉涼子を呼び戻す」
長門が話を逸らしたぞ。
顔を俯けながらな。
そうかい。暇潰しでも寂しかったから、でもなんでも構わない。
長門に必要とされるなら、な。
「ふぅ〜終わった終わった〜」
「あ、朝倉」
「げ、キョン君?なんでここに居るのかしら?」
「わたしがよんだ」
「へぇ〜」ニヤニヤ
「そのニヤニヤを止めんと連結を解除させるぞ」
「そのセリフカッコ悪いわよ、長門さん頼みじゃない」
「うっ…」
痛いところを突かれてしまった。
例え殺されかけた前科があっても、おちょくられてしまっても、言うことはある。
「なあ、朝倉。
俺たちの未来を守ってくれてありがとうな。
やっぱお前強いんだな、本来の力に戻った瞬間解決するなんてよ」
「礼には及ばないわ。わたしや情報統合思念体の時間まで止まるんだもの。
そうね、そこにいる怒り気味の長門さんには負けるけどね」
「…別に怒ってなどいない」
「な、長門さーん、どうして怒ってらっしゃるんですかね…」
「他のインターフェースに浮気したら連結を解除すると言ったはず」
「浮気なんかしてねぇ!」
「あらあら」クスクス
「長門やっちまえ」
「了解」
「ごめんなさいってば! もう!世界を守ったのにこの扱いは酷いわ!」
「…ぷ」
「…なによ」
「あっははは 朝倉、お前もそうやって笑えるんだな」
「わたしだって笑うわよ。無表情の長門さんじゃないんだから」
「…わたしだって笑える」
「へぇ、見たことないわよそんなプログラム。
笑ってみてよ」
「あははは」
(無表情だ…)
俺たちは訪れた平和を楽しんでいた。
長門も、朝倉も、喜緑さんも。
長門は見える所で。
喜緑さんは見えない所で。
朝倉は体を駆使して。
宇宙人たちに地球は守られたのだ。
地球人代表として言おう。
守ってくれてありがとな。
ピッ
ピッ
ピッ
〜機関〜
「古泉、これは…!?」
「森さん、どういうことかは分かりません。
歪みから帰還した朝倉涼子を観測しましたが、なぜ…」
〜次の日〜
チュン チュン
目覚めのいい朝だ。
小鳥の囀り、陽が射す音までサンサンと聞こえてくるような、そんな朝だ。
しかしそれはその直後 一音にて劈かれることとなる。
ピリリリリリリリ<アルハレータヒーノコトー
「んん… もしもし?」
「朝早くにすみません…古泉です…」
目が覚めた瞬間の電話だ。
俺はまだ寝ぼけていたが、はっきり分かる。
古泉が疲れ果てていることくらい。
「どうした、疲れた声をして」
「結果として3日ほど寝れませんでして…」
どういうことだ?
いや、2日寝れなかったのは知っている。
未来停止をなんとかするために頑張ってくれていたらしいからな。
でも3日目は変じゃないか?
長門達が世界を救ってくれて、機関の古泉ならその情報はもうとっくに知ってるだろうに。
「閉鎖空間か?」
「いえ、涼宮さんは安眠されています。
正直本当に助かっています。
この問題と閉鎖空間の同時は死にますね」
「この問題?」
正直俺は焦りを隠せなかった。
この次に古泉から発せられる言葉を聞きたくなかった、それが本音だ。
「未来停止は終わっていないんです」
俺の血が青ざめた、そんな音も鳴り響いた様な気がした。
外ではゴミの清掃業者が作業をする音が鳴り響いた、普遍な朝だった。
学校に早く行き、屋上に駆け上がる。
そこには本当に疲れが見えている古泉、こちらも寝ていないであろう朝比奈さん、そして長門、朝倉、喜緑さんが居た。
「こちらに来て。不可視遮音フィールドを注入する」
長門はそういうと近寄った俺の腕を甘噛みする。
「揃いましたね、これでもう誰にも聞かれません」
「どういうことよ。わたしたちがちゃんと止めたんじゃ無いの?」
朝倉は不機嫌そうに古泉に話しかける。
そりゃそうだ、時空の歪みとかいう謎の場所まで行って頑張ったのに止まってないなんてな。
「皆さんこれを見てください」
そう言って古泉が見せて来たのは二日前も見た時間平面を表す直線だった。
本来の時の流れならこれは微細にも動かない完璧な直線らしい。
二日前はまばらに揺れていた。
だが未来停止は終わった。つまり、もう脅かす物もなく直線に戻る、これが常識らしい。
だがこれは一般人の俺から見ても…
「斜めになっているのが分かりますね」
「このプリントがおかしいんじゃないの?
有機生命体の作る物でしょう」
朝倉は皮肉を込めていうが古泉は軽く躱す。
「いえ、これは長門さんに作って貰ったものです
以前は機関で用意しましたが機関の観測ではそういう意見も出ると思いましたので」
「これはわたしが観測し、生成した。
未来停止は継続している。
正しく12日後の深夜三時以降の未来はないのに変わりはない」
長門が話し終えると喜緑さんが口を開く。
「未来停止の原因となった藤原さんのTPDDは朝倉さんが壊しています。
時間原子爆弾の消失はわたしも長門さんも観測済みのはずです」
俺と朝比奈さんは会話をなんとか理解しようと黙って話を聞く。
「それが囮だったのですよ。
藤原某の脳内に蓄積された時間平面を破壊する「時間原子爆弾」はTPDDにより予約された時間に爆発し時間線を壊し、未来を焼くと言うのが目的の爆弾です。
一重に爆弾とは言えど、手榴弾の様に実際に爆発が起きる訳ではありませんよ。
未来人だけが見ることの出来る世界の時間線を爆発させるのです。」
古泉は俺に分かるように説明を入れている。
助かる。
「そして、その爆発・セット・予約・停止は全て脳内に埋め込まれた航時機「TPDD(タイムプレーンデトロイトデバイス)」、つまりタイムマシンですね。
TPDDで操作します。
時間原子爆弾はTPDDで作る物のため、TPDDが消滅すれば時間原子爆弾も停止します。
…しかしどうやら時間原子爆弾は藤原某のTPDDで作った物では無いみたいなのです。
遠隔操作にて作られた、そう…」
「それが朝比奈みくる、というワケね」
「え、ええ〜〜っ!?」
あ、朝比奈さんだと!?
どういうことだ、朝比奈さんがそんな恐ろしいことをするわけ…
「落ち着いてください。
なにも朝比奈さんが時間原子爆弾を作ったなどと言っていません。作ったのは藤原某です。
彼が遠隔操作にて朝比奈さんのTPDDを勝手に利用して作ったのです。
なので朝比奈さんに罪はありません…
しかし…もう解決策は一つです…」
「あ、朝比奈さんのTPDDを…壊すのか…?」
「……そうなります」
「そ、そんな…! TPDDを壊されちゃ困りますぅ!!!!
わたし、この時代にいれなくなっちゃう!!」
「長門、TPDDを壊された未来人はどうなるんだ?」
「藤原某同様、強制的に居た未来へ送還される。
そして一度TPDDを壊された者は未来規定により二度とTPDDを埋め込まれる事はない。
つまり二度と朝比奈みくるとは会えなくなる」
「ふえぇ〜やめてくださいい〜」
朝比奈さんが泣き出してしまった。
…くそ、絶対にそれはさせないぞ
「ごめんね朝比奈さん。
悪いけど壊させてね、それで解決だから」
「待て朝倉!やめろ!」
「なによキョン君。世界を守るためにはそれしかないでしょ。
それとも一人に会えなくなることを防ぐために世界の時でも止めたいの?
もうそれ本末転倒よ?
もちろん世界の時が止まれば例えこの時代にいても朝比奈さんには二度と会えないし喋れないわ。」
正論すぎる。 だがこれを看過なんか出来やしない。
俺が間違えているのか?
結果は朝比奈さんを犠牲に迎えていいハッピーエンドなのか!?
そ、そうだ…もうこれしか…!!
「あ、朝比奈さん!」
「ふぁ、はい…!?」
「ここで朝比奈さんのTPDDが壊され朝比奈さんが未来に強制送還されるのは既定事項ですか!?」
これだ。
もしこれが既定事項なら、朝倉にTPDDを壊させるのもOKだろう。
だって、それが既定事項である限り朝比奈さんに会えなくなることは無いのだ。
この朝比奈さんは成長した時、過去に遡行してあの長門が起こした世界再構築を過去の俺と共になんとかしに行くのだから。
俺は、飛ばされたハルヒ消失世界の時、助けてくれた朝比奈さん(大)と会っている。
その朝比奈さんはつまり、この未来停止を乗り切った朝比奈さんってことなのだ。
ええいややこしい。
だがそれには二つのパターンが考えられるんだ。
1つ。
このまま未来停止を止めることが出来ず世界が止まり、朝比奈さんだけの時間が進み俺を助けるために遡行して来てくれた。というバッドエンド。
もう一つは、朝比奈さんのTPDDを破壊し、一時的に強制送還するが、なんらかの力で再び帰ってきてくれる。ハッピーでは無いがなかなか良い締め方だ。
さあ、朝比奈さん。
俺に答えを…
「かく、確認しました…」
泣いてる朝比奈さんは言葉が詰まる。
それよりも今は答えが聞きたい。
「既定事項じゃありません、、、ひぐっ…。
情報統合思念体さんの独断専行ですぅ…」
「!!?」
くそ、最悪だ…
「じゃあもう仕方ないわよ。壊すわ。」
「待て、朝倉。待つんだ」
「なによ。早くに越したことはないでしょ?」
「そうじゃない。もしここで朝比奈さんのTPDDを壊せば朝比奈さんは二度と時間遡行が出来なくなる、んだよな?」
「ええ」
「なら、過去の俺があの改変世界に飛ばされた時俺を朝比奈さんが導いたという未来が変わるわけだ。
朝比奈さんが居なければ長門が改変する瞬間の時間に飛べない。つまり、俺はあの世界から出てこれず朝比奈さんのTPDDを破壊した瞬間に俺はここから消えるんじゃないのか?」
くそ、今日の俺はどうやら頭が良く回る。
喜緑さんは目を閉じ会話を聞いている。
長門は無言で。
古泉はメモを書いている。
朝倉は両手を出して今にもTPDDを壊しそうだ。
朝比奈さんは座り込んでしまっている。
俺はそれを朝倉からかばうように。
「確かに、そうなるとあなたは消えるわね」
「そしたらハルヒがやばいんじゃないのかよ」
「大丈夫よ。情報操作を舐めてないかしら。
あなた一人居なかったことにするくらいなんてことないわ。
その辺の誰かをあなたの代わりのポジションにするわ」
…お手上げだ。ごめんなさい朝比奈さん。。。
なんでも出来る情報操作を持つ人外には何も通用しなかった様です…
「だ、だが…!!」
「もういいかしら?
時間を開けても別れが辛くなるだけよ。
いい?もし時間が止まったらもう打つ手は無いの。
観測者ごと凍結するのよ。まさか未来人一人の思惑でこんなことになるなんて思わなかったけれどね」
「…例え、例え止まった時間に戻れなくても…
俺は今を捨てることなんて出来やしない!!
本を読む長門がいて!!!!
お茶を運んでくれる朝比奈さんがいて!!
俺とゲームをする古泉や、それらを盛り上げる鶴屋さんたちがいて!!!!
なによりお前らも…そして…そして…」
「俺に非日常をプレゼントしてくれた!!!
ハルヒがいるんだ!!!
俺は今を棄てれはしない!
それはあの改変世界で身に染みている…!」
ハルヒ…っ!!!
何やってるのー!?
バタン
「!?」(す、涼宮さん!?)
「あら?」(不可視遮音フィールドがあるはずなのに。)
「…」(長門さん。情報統合思念体より確認です。不可視遮音フィールドを解除しましたか?)
「…」(していない。涼宮ハルヒに効いていない模様)
「涼宮さぁん…うっ…ひぐっ」
「涼宮……ハルヒ…」
そこに立って居たのは…
俺たちの団長。
涼宮ハルヒその人だった。
ワケの分からん能力を持ち。
人を惹きつける能力もあり。
人を引っ張り俺をこんな非日常でせわしない世界に招待した。
ハルヒ、お前のこの登場は…
「プラスか?…マイナスか?」
「マイナスでしょ。どうみてもね」
「朝倉?なんでアンタがここにいるのよ!
それにアタシに内緒でなーにこそこそやってるのかしら〜?」
「涼宮さん、これはですね。
生徒会である喜緑さんが再びこの高校に転入なさる朝倉さんを僕と朝比奈さんと長門さんに紹介してくれたのですよ。
彼以外は朝倉さんとは面識がありませんでしたからね」
「…ふぅん? まあ、確かにアタシとキョン以外は1年5組じゃなかったモノね。
でもなんでみくるちゃんが泣いてるのかしら?」
「ふぇっ?あのぅ涼宮さん、わたし、泣いてませんよぅ?」
「あれっ?見間違いかしら」
(グッジョブだ長門…!)
「…」
(したのわたくしなんですがね)
「なんで屋上でやってるの?
人が居たら鬱陶しいからかしらね?
なんにせよこんな面白そうな集まりをSOS団のアタシ以外が居るのは気に入らないわ!
古泉くん、なんでアタシを除け者にしたのかしら〜??」
「除け者にしたつもりはないのですよ。
連絡がつきませんでして」
「嘘ね!アタシは常に携帯はポケットに…
あれ?2件来てるわね。
…気付かなかったの?
それはアタシが悪いわね」
(グッジョブ長門…!!)
(今度はわたしなんだけどね)
「ま!なんでもいいわ!
ここからはアタシも混ぜなさい!」
「涼宮ハルヒ」
「なに?有希」
「それよりもどうしてわたしたちが見えた?」
(長門さん?不可視遮音フィールドのことを話せないのにそんな聞き方します?普通。
涼宮さんが疑ってしまっては…)
「見えた?変な聞き方ね。まるで不可視遮音フィールドでも張ってたかの様な言い方ね。
なに、簡単よ。「不思議なもの、現象がみたいわ!」と思って歩いてただけよ
そしたら下から見上げた屋上に変な光が見えた気がしたから来たの。携帯の光か何か?
ま、気にしないわ。不思議な邂逅には立ち会えたし、満足よ」
ボソッ
「おい、古泉。お前じゃなくハルヒが超能力者なんじゃないのか?」
「んふ。確かにそう思いますよ、僕でさえもね」
そしてそのあとはなにも話すことも無いほど平和だった。
ハルヒを加え、再入と設定上なってしまった朝倉の為に学校案内をしたのだ(前通ってたのに)
喜緑さんは生徒会の仕事と言いながらどこかへ去っていった。
対応策を練るのだろう。
朝比奈さんが隣にいるがハルヒの前ではできないからな。
朝倉もおとなしく知ってる学校を案内されていた。
そして俺たちは帰路に着いた。
家に帰った俺は静かに眠りについたのだった。
未来停止まで 凡そ8日