剣崎元帥から辞令が下り、隣にいる白黒コンビ(俺的には毒舌コンビ)が先に部屋から退出した後、剣崎元帥と少し書類があるという事で待機しているついでに聞きたい事を聞いておこうと思ったので
「あの、待機と言われましたが具体的にどうしてればいいんですか?」
「えーとまずね、今回は特例で海軍総本部に一度集合しなければならなくてね。それで君にはうちの鎮守府に新しく着任した提督と言う扱いで行くことになるから今回のような昇格という形を取らせて貰ったんだ。だから君には初期艦を選んでもらわないと駄目だね、後書類にサインをしてくれるかな」
とてきぱきと机、近くにある書類棚と色んなところから書類を取り出しては渡してくる
「え、え、こんなに在るんですか!?書ききれませんよ!!書類業務なんてやったとありませんよ!」
「その辺はうちの秘書艦に手伝ってもらってくれればいいから…っていつまでほっつき歩いてるんだうちの秘書艦は…」
と愚痴を漏らした瞬間、背後の扉がぶち破られる
「司令官、お疲れ様!長良、走り込み終わりました!」
と白にセーラー服?に赤いスカートを履いた少女が入ってくる
「長良…、いつも言っているだろう秘書になった時はしっかり執務室に居ろって」
「だってー、動いていないと暇なんだもーん」
と悪びれる様子も無くてきぱきと業務にもどる長良と呼ばれた少女
「はぁ、頼むよ。後紹介しておこう、彼女が今日の秘書艦の」
「軽巡洋艦、長良型の1番艦、長良よ。今日は代理で秘書をやっているわ」
「よ、よろしくお願いします。…って代理?」
少し話しに付いていけなかった俺の挨拶はしどろもどろになってしまったが一つ気になるところを口にしてしまうと
「ああ、本当の秘書は今改装中でね、少し時間が掛かるそうだからその間の代理でね」
「そうやって長良で遊ぶのね!?」
「!?ちょっと!?誤解を招くようなこと言わないで!?憲兵=サンが来ちゃうだろ!!」
そんなことを言っていると突如、窓を突き破ってくる謎の人影が!
ガッシャーン!!
「ドーモ、提督=サン、憲兵デス」
「!?」
驚きのあまり固まる俺だが剣崎元帥は少したじろぐも
「ドーモ。憲兵=サン、提督デス。何か御用ですかな?」
少し冷や汗をかきながら少しずつ後退する剣崎提督に対し憲兵?さんは
「たった今特務官 長良殿の発言の真意を確かめに参りました」
特務官 長良殿ってことは一応艦娘は人扱いされていると言うことなのか
一応、海兵学校では『艦娘は人に非ず、情は掛けるべからず』という風に教えられて来た
俺もそれに関して正直何も思わなかったし、元々兵器なのだからという思いがあったためこの会話は俺にとって不思議な会話だった
「あ、憲兵さん、今のは言葉のあやだから大丈夫よ」
とさっきからずっと笑いを堪えていた長良さんが助け舟を出した
「そうでしたか、では失礼いたします。窓の方は少ししたら修理に参りますのでお手数ですが別の部屋にご案内いたします」
と言う事で別の部屋に案内されたのだが何故だろう、すごい監視の目が多い場所だ…
何か悪いことでもしたのか俺…
「ごめんね、逆月くん。うちの長良があんな発言するから」
と剣崎元帥が顔を寄せて小声で謝ってくる
「あ、いえ大丈夫ですけど。あの失礼なこと言うようで悪いんですがここの鎮守府では艦娘も人扱いしているんですね」
と長良さんが離れているときに返すと
「う~ん、ちょっと僕には彼女達を兵器だからと割り切れなくてね、ここに勤める人全員に艦娘を人扱いというとアレだけど差別とかするなって感じの命令だしたんだ。そしたら案外皆…全員ではなかったけどおんなじこと考えていたみたいでね。すぐに馴染んでくれて助かったよ。でも君はあまり良いようには感じてないようないい方だけど?」
と剣崎元帥が艦娘を人扱いする理由を教えてくれたが俺の胸の中を呼んだかのように心中を当ててきた
「…正直に言えばいいこととは思えません。兵器に情を入れれば私情が入り込みます。そのせいで駄目になった提督も居ると聞きます。だからたとえ少女の容姿をしていて人間らしい性格、行動をしていても私情を挟まないようにするには兵器として扱う方がいいと俺は判断します」
と隠すわけにもいかなかった為、本音を正直に話すと
「…ふむ、君の考えはよく分かったよ。僕はそれを否定しないし無理に変えろとも言わない、だけど自分の考えを変えるつもりもない。それに君もこれからは僕らと同じ指揮する側になる、そうすれば少しは僕の気持ちも分かると思うよ」
と少し悲しそうな顔をして微笑むと長良さんが戻ってきたからか元の顔に戻る
「お帰り、長良。頼んだ書類は見つかったかな?」
「長良に見つけられない物なんて無いわ!これでしょ?」
と自信満々で提督に書類を渡す長良さんを見るとどこからみても普通の少女にしか見えず少し自分の発言に罪悪感が心に残る
「?長良の顔見てるけどどうかしたの?」
「い、いえなんでもないです」
いかん、知らんうちに意識していたみたいだ、こう考えると自分の意志の弱さに泣けてくる
「じゃあ、この書類とこっちの提督業務のマニュアルを渡しておくからえーと、二日後までに読み切っておいてね」
と長良さんが手渡してきた書類にサインをしてマニュアルを受け取り、工廠に行くように言われたので挨拶をして退室した
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「…彼、どうでしょうね」
と逆月が出て行った後、口を開いた長良
「どう、か。僕の予想では彼は自分が悲しみたくないからあえて遠ざけているのだろうね」
と剣崎元帥は考えていた。だからこそ
「けれど彼は能力者だ。僕の見立てなら必ず彼は覚醒する。それも僕と同じ形で」
「あなたの覚醒の仕方はどう見ても異常よ、まず艤装を装着して海に出るという時点で間違っているわ」
と長良が昔を思い出すかのように目を閉じる。彼女の思い出には大体剣崎が無茶をしている所しか思い浮かばないだろう
「そうかなぁ?僕にはあれが最善だと思っていたけどなぁ。……けど今こうして元帥という席に座れて居るのは君達の力があったからだし感謝しても仕切れないよ」
剣崎元帥は立ち上がり、長良の頭を撫でながら感謝をすると
「てーいーとーくー…、なに私抜きでいちゃいちゃしてるんですかー?…」
「千歳お姉を泣かすと許さないよ!提督!」
扉を開けて入ってきたのは千歳と千代田だ
「改装は終わったかい千歳、千代田?」
「「はい。航改二に改装終了しました!!」」
としっかり敬礼をしながら報告する二人
「お疲れ様、それじゃ改装祝いに間宮でも行こうか、どう長良も来る?」
「「「行きます!」」」
三人を連れて部屋を出て行く剣崎元帥はとても幸せそうで千歳、千代田、長良の三人も幸せそうな顔をしていた
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工廠に向かった俺は先ほど話した剣崎元帥のことを思い出していた
‐僕はそれを否定しないし無理に変えろとも言わない、だけど自分の考えを変えるつもりもない‐
「自分の意見を曲げないか…、俺には無理だな。ここに居るのも流されてきた結果だしな」
それに自分の意見を曲げられなかったからあんな事件を起こしてしまったんだ
またあんなことを起こしてしまうぐらいなら流され続けた方が気が楽だ
「そういえば工廠ってどこだ、確か整備室の近くにあったはずなんだが…、まずここ何処だ」
やばい考え事し過ぎて迷った。もと来た道を戻ろうとも思ったが既にどの道から来たかさえ分からない
「うぐぐ…、悩んだって無駄か。一回外に出ようそうすれば誰か居るはず」
と外への出入り口を探すが見つかりそうも何ので誰も居ないことを確認してから窓から飛び出す
「にゃあっ!?」「うおっ!!」
飛び出すタイミングが悪かったらしく、横から走ってきた少女とぶつかり押し倒される形で少女を受け止める
「いつつ…、大丈夫か?」
腰をさすりながら少女を抱き起こすと
「だ、大丈夫っぽい?」
と言う回答が返ってくるので安心する
「すまんな、いきなり飛び出したりして」
「大丈夫っぽい、でもどうして窓から出てきたっぽい?」
と少女が崩れた服装を直しながら聞いてくるので
「ああ、工廠に行きたくて探していたんだが道に迷ったみたいでな。それで外から探そうと思って出入り口を探したんだが見つからなかったから窓から出てんだ」
と説明すると少女は
「工廠なら夕立も向かう所っぽい!一緒に行くっぽい!」
「ほんとか!ありがとよ!」
感謝のつもりで頭を撫でると
「ぽい~…♪」
目を細めて気持ちよさそうに鳴くので犬みたいだな…
「それでどうして工廠にいくっぽい?」
と工廠に向かっているときに聞かれたので
「ん?提督として着任することになったから行くんだ、なんでも初期艦がどうとかって」
「じゃあ、夕立の提督さんなのね!」
「…え」
この子、艦娘なの…か?
「君、名前は…?」
そう聞くと少女は少し離れて敬礼しながら言った
「白露型駆逐艦 四番艦 夕立よ、よろしくね!」
俺は驚愕した、こんな子が艦娘なのか!?、こんな子を前線に出して闘うのか俺達人類は!?
「そ、そうか俺は逆月 鳴海だ…こ、これからよろしく頼む」
と目線を合わせず頭を撫でる、今顔を見れば先ほど剣崎元帥に言った自分の意見を否定することになる、だから必死に体面を取り繕う
「よろしくっぽい!あ、工廠ついたっぽい!」
と赤煉瓦で出来た建物の前に着いた俺と夕立と言う少女
「やぁ、待っていたよ。逆月くん」
声がするが何処に居るんだと周りを見るが声の主が見つからない
「逆月くん、こっちこっち下だ下」
という声がしたので下を見ると俺の胸より下ぐらいに頭が見えた
「うわ、ちっさ…ごふっ!?」
本音を少し漏らした瞬間、鳩尾に鋭いパンチが入った。やばいこれ世界狙えるよ…
「失礼なこと言うのはこの口か?ええ?」
腹部を押さえてしゃがむと頬をつかまれ全力で引っ張られる、伸びるっ!
「しゅ、しゅひはせん(す、すみません)」
謝ると頬を開放してくれた
「うむ、素直に謝ってよろしい。私が工廠長の神流(かんな)だよ」
神流と紹介した子はどう見ても中学生ぐらいの少女、こんな子が工廠長なのか?整備室長は筋骨隆々のおっさんだったぞ
「神流さん、お久しぶりっぽい!」
夕立は神流さんと面識があるようだ
「じゃあさっそくで悪いんだけどこのリストの中から一人選んでくれ」
と渡されたのは五枚の紙
一枚目には《吹雪》吹雪型の一番艦
二枚目には《叢雲》吹雪型の五番艦
三枚目には《漣》綾波型の九番艦
四枚目には《電》暁型の四番艦
五枚目には《五月雨》夕立と同じ白露型の六番艦
「提督さん!悩むぐらいだったら五月雨を選んでくれると嬉いっぽい!」
と夕立が提案してくる、神流さんは
「吹雪は初期装備がすこしよくてね、叢雲は最近、第二改装が出来るようになってね。漣は戦闘向きではないけど支援や遠征で活躍して、電は少し情にもろい子でね、敵も助けようとするいい子なんだ。で夕立が進めている五月雨は第一改装をするといい装備を持ってきてくれるよ」
一人ずつ特徴を説明してくれた
俺としては吹雪か、漣なんだが隣できらきらした目で夕立が見てくるため…
「じゃあ、五月雨って子でお願いします」
「!提督さんありがとーっぽい!」
と背中に飛びついてくるため危うくバランスを崩すが何とか持ちこたえる
「おっけー、それじゃあ着任は数日後になるけどいい?」
と神流さんが何処からか出したタブレットで確認する
「あ、はい。それじゃあこの子はどうしたいいですか?」
夕立を軽く見て視線を戻す
「えーっと、その子はもう着任扱いにしておくからそのまま連れてて大丈夫だよ」
と願っていた回答とは真逆の回答がくるので
「いやあのどこか預ける場所とかは?」
「ん?無いよ?自分の艦隊を預ける人が何処に居るのさ」
完全に退路を潰されてしまい、俺は肩を落とした
「なんでそんなに肩を落とすのさ、これから一緒に闘う仲間だよ?少しでも友好関係を築こうとは思わないのかい?」
「俺は、兵器と馴れ合うつもりは…」
と続きを言おうと思うと神流さんの目つきが変わる
「君はこの子達を使い捨ての道具程度に考えているなら私は君の着任を拒否するよ。そんな奴にこの子達を任せるつもりは無いし、工廠長としてもこの子達を生み出す身としても君には渡さないし譲らない」
神流さんの目は本気だった、ここで下手なことを言うと間違いなく海のもずくにされるけれど
「俺は…使い捨ての道具とまでは考えません、がやはり兵器と馴れ合う気はありません」
「……ふぅん、でもその言葉私は貫けるとは思えないね。だって君の目には既に迷いが生まれてる」
「!?…そんなことない、です」
完全に見透かされているようだ、俺の顔を見た神流さんは
「…はぁ、強情なのは身を滅ぼすよ。仕方ないから正式な着任まではこの子達を預かってあげる。それまでに心決めておきなよ。じゃないと君は潰れるよ」
と言い残し夕立を連れてどこかに行く神流さん
俺に残された道は 彼女達を生かすために情をとるか 兵器と割り切り感情を殺すか どちらも俺にとっては無理な状態だ。
俺は…どうしたらいいんだ…
さっそく鬱に入っちゃいました(汗
でも実際に人型の兵器だったらこうなると私は思うんです
次話はすこし間が空きそうです。すみません