神流さんに言われてしまった…
「…心を決めろって言われてもな…」
誰も居ない工廠前で一人愚痴を洩らす
まず第一にここに居るのも軍の徴集だし、提督になったのも殆ど流れだし…
なんてすこし頭を抱えながらしゃがんでいると
「あの~、そこで何してるのです?」
「何か困ったことがあったら聞いても良いのよ?」
と頭の上から声がするので顔を上げるとそこにいたのは12、3歳ぐらいの少女が二人
「…君達は艦娘なのか?」
「そうよ!暁型三番艦 雷よ!かみなりじゃないわ!」
「なのです!電は暁型四番艦なのです!」
二人に質問すると笑顔で答えてくれた
この子達も艦娘なのか…、ますますこの国は何でこんな少女達を戦わせているのだろう…
「あの、貴方はどうかしたのですか?なにか困ってるみたいでしたけど…」
とすこしこの国自体に不信を抱いていると電と名乗った少女が顔を覗き込んでくる
「あ、いや、大丈夫だ。何でもない…。」
と立ち上がり気分を変える為にその場を去ろうと工廠に背中を向けた時、背後から思いっきり蹴り飛ばされた
「見ぃーつけた…、雷、電ナイスよ」
「…さすがにそれは酷いと思うよ」
聞いたことのある声を聞き急いで振り返るとそこに居たのは
「…毒舌コンビ、グホォ!?」
決めていた渾名を零してしまいグーパンが飛んできた…、今日殴られてばっかだな…
当たり所が悪かったらしく脳震盪を起こしてしまった…、やば…い、意識が…
と意識が離れて行き、その場に倒れてしまった
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目を覚ますとベッドで寝かされていた。ココ何処だよ…、医務室じゃないよな…
体を起こすと周りにあるのは書類やら衣類やらが所狭しと散らばっている
「逆月さん?大丈夫ですか?」
と先程逢った電が現れ、そばに来てしゃがみ殴られた部分の手当てをしようとするが
「あ、あれ?痣が無くなってる?」
と俺の顔をペタペタ触り、傷というか痣を探すも見つからないらしい
「な、なぁ傷が無いなら大丈夫だからどいてくれるか?」
とすこし体を離そうと身を引くと
「だ、駄目なのです!頭を強く打っているので念のため調べるのです!」
と頭を抱かれ、行動が取れなくなる。く、苦しい!
「あ!抵抗しないでください!」
違う!抵抗してるんじゃない!い、息が出来ないから!はなして!
なんてすこし暴れているとあ、やばいまた意識が…
「電~?逆月さんどんな感じ~?…!?電!そのつかみ方だと息できないわよ!」
「ふぇ?…はにゃあーっ?!だ、大丈夫ですか!?」
雷が様子を見に来てくれたらしく、俺の体を解放してくれる(字は間違えてない)死ぬかと思った…
「はぁ…はぁ…、だ、大丈夫だ。すまないがここは何処だ?」
「ここは司令官の部屋よ!片付けても汚すから今日はまだ汚れてるけど気にしないでね!」
汚れてるって域かこれ…、ほぼゴミ溜めだぞ…
「雷~、電~。戻ったわよ~ってあんたやっと起きたの?あんなんで気絶するとか愚図ね」
「…どう考えても白が悪いよ。ごめんね、素直に謝るよ」
と部屋に入って来たのはこの部屋の主、毒舌コンビ
「いや、俺もあんな事に言って済まなかった。えっと名前、聞いても良いか?」
そういやこいつらの名前知らないな、今のうちに聞いておこう
「ふんっ!あたしは星野真白(ほしの ましろ)よ。覚えておきなさい」
「…あたしは千野黒音(ちの くろね)。覚えておいてくれるとうれしい…」
星野に千野…どこかで聞いて事がある。確か軍の高位記録に…
「お前ら、十士族の…」
御曹司と続けようとした瞬間、顔の両頬に風が通る。
そして対面にいる二人の手には…銃が握られている。銃声が全く無いぞ…
「それ以上言うと…」
「…抹消…するよ?」
二人の目はマジだ、本気と書いてマジと読むぐらい。それに何か深い闇が見えた気がした
「…すまなかった、これ以上は言わないし聞かないからそれを降ろせ」
というとすこし躊躇うが銃を降ろし懐に仕舞う
「今のこと、上には内緒よ?」
「…あたし達が此処に居ること自体秘匿なの」
なぜそんな御曹司がこんな下っ端鎮守府に居るんだ…
「…分かったこのことは黙っとく、がまず俺はなぜ此処に居るんだ」
純粋にこの質問がしたかった。何故此処に寝かされていたのだろう、普通医務室に運ぶだろ
「…ああ、それはね。白が本当に済まないと思って自分で看病するつもりだったからムグゥ…」
「黒!!どうしてそれ言っちゃうのよ!!あ、全然そんなつもり無いからね!?あそこでほかって置くのは邪魔だと思ったから連れてきただけよ!!本当にそれだけよ!!」
なんだただのツンデレか、おっとそんなことより
「あのさ、済まないがこの部屋片付けて良いか?すこしお前らと話がしたいがこの部屋では汚い」
虫とか湧いていないからまだ良いが女の部屋としてはアウトだろ
「えっと、あんた片付けできるの?」
と真白(ながいからこれから白と呼ぼう)が聞いてくるので普通に
「片付けくらい誰でも出来るだろう、お前らは逆に出来ないのか?」
「「うぐっ…」」
なるほどやっぱりお嬢様暮らしをしてると自分でやる事無いんだな、執事とかメイドが居るから
「…出来ない理由はなんとなく分かった、片付けるから衣服だけ一箇所に纏めといてくれ。流石に下着とかあったら俺も困るし」
といって立ち上がり手短にある書類を一つずつ拾っていく
雷と電は二人で協力しながら衣服の山を部屋の端に集め始める
だが部屋の主である白黒コンビはおろおろするだけで掃除をしようとしないので
「お前ら、何もしないならすこし部屋の外で待ってろ…」
というとすこし肩を落としながら部屋から出て行った
「よっこらせっと、書類はこのぐらいかな」
近くに集めた書類を固める、にしても広い部屋だな…。俺の部屋(整備員寮)なんて四畳あるか無いかだぞ
「逆月さん、衣服纏め終わったのです。」
「お、おお、ありがとう…それじゃあ洗濯機は…備え付けなのか。ますます贅沢だな…」
洗濯をし、掃除機を掛けて、家具の並びを直して、あとは書類をファイリングするだけか
「白黒コンビ、終わったぞ」
と扉を開けて外をのぞくとすぐ下に体操座りをしながら何かを抱いている
「おい、終わったぞ?」
ともう一度声を掛けるとやっと気付いたのか立ち上がる、そして抱いていたのはアザラシ?
「オウッ!」
うおっ、こいつ生きてるぞ人形じゃないのか…
「オウッ!オウッ!」
…意外と可愛い。というか欲しい、すごい欲しい
「…それ、どうしたんだ?」
「待ってたら寄って来たから抱いてた、モフモフしてて気持ちいの」
と白がモフモフする。やべー、俺もやりたい
「…なんかうずうずしてるきもい」
と黒に図星を突かれ少し自重する、あときもいは酷いぜ…なんてしていると
「…んっ…」
と白がそのアザラシを差し出してくる。あ、尻尾が錨になってる。それにうさ耳?っぽいの付いてる
一先ず受け取る。やばい、この触り心地癖になりそう
「…あのさ、部屋入って良い?」
「あ、ああいいぞ。綺麗になったからもう汚すなよ?」
すこしトリップしていた、いかんいかんこいつは凶器だな人を駄目にする
「オウッ!」
アザラシを抱きながら部屋に入る、うむ我ながら綺麗に片付いた
「それで聞きたいことって何?」
白が片付いた衣類の中にあった炬燵(季節は夏なので布団は無い)の所に座りながら聞いてくる
「ああ、それなんだが…、彼女らの席を外させてくれないか?」
俺は彼女ら、雷と電の対席を頼んだ。流石にこれから話す内容は聞かせられないよなぁ…
「…いいよ。雷、電ごめんけど少し席、外してくれる?」
「了解なのです」「分かったわ司令官」
黒が二人に想頼むと軽く会釈をして部屋から出て行った(ついでにアザラシは持ってかれた…残念)
「それで?あんたは何が聞きたいの?」
「それなんだが…俺は提督になったが正直に言うと艦娘というか幼い少女達を闘わせることに疑問を覚えてる、だけど彼女達は兵器だそれに情を掛けかけている自分にも疑問が浮かんでる。お前らはどうゆう理由で闘っているんだ?」
と単刀直入に聞く
「はぁ?そんなの決まってるじゃない、この国のため、自分の家のため、なにより彼女達のためよ」
白はさも当然とした顔で言い放つ
「…私は家のためとか無いね、ただ私自身のために闘っているの」
黒は少し声音が低くなる、それに目つきが鋭くなる
何か暗い闇でもあるのだろうかこれ以上は触れない方が良いか…
「お前らはちゃんと理由があるんだな。俺は闘う理由が全く無いしそれに此処居ること自体、望んだことじゃないし…」
ほんとになんで俺こんなところに居るんだろう…、家業を継ぐために学校通ってたのに何時の間にか鎮守府勤めだもんな…
「……なんか哀愁漂っているけど詳しくは聞かないでおくわ、めんどくさそうだし」
白が少し同情したのか可哀想な目で見てくる、止めろそんな目で見るな!
「…で私達の理由を聞いて如何したいの?貴方は闘う理由が欲しいの?それとも戦いをしない理由が欲しいの?」
黒が俺に質問を返してくる
「…そうだな、できれば提督という職業に付くこと自体を辞める理由が欲しいが彼女達…艦娘達を戦わせない方法が知りたい」
そう言い切ると、二人は少し驚いた顔して互いに顔を見合わせるとすぐに何かいたずらを思いついたような顔をして
「じゃあ鳴海、一つだけ面白い方法があるわよ…?」
「…もちろん、私達も受けようとしていたものだけど貴方も受ける?」
と二人して顔をぐいっと寄せてくる。何か嫌な予感が…でも聞くだけ聞いてみるか
「…その方法は?」
「簡単よ、この適合試験を受けるだけだから」
と白が纏めていた書類の中から引っ張り出した書類を手渡してくる
「どれどれ……はぁ!?」
書かれていた内容は『能力者艤装適合処置手術』という内容が書かれている
「これどう考えても無理だろ!?」
と渡された紙を机に放り投げる
「それがね~、こないだ妖精さんが新しい技術を完成させてね。それがそれ」
「…その結果、今のところだけど能力者、可能者だけがその手術をの成功が確認されたんだ」
と成功したという証明である書類を黒が手渡してくれる。確かに三人ほど成功していることが確認されていた
「た、確かにだがどうしてこれのどこがおもしろい方法なんだ?」
「あんた自分で言ったじゃない。彼女達を戦わせないで済む方法が知りたいって」
「…つまりあなたが前線に出る分、闘う艦娘が減るってこと。まぁ自分が傷つくことを覚悟しなきゃ駄目だけどね?」
つまりこいつらが言っているのは自分が艦娘になって闘えば彼女達の負担が減るということか
「…なるほど、つまり俺自身が戦えば彼女達の代わりが出来る…と」
「簡単に言えばそういうことね。どうする?受ける、止める?」
白が肘を机につきながら聞いてくる、もちろん考えは決まってる
「面白そうだな、いいぞ俺もその手術受けよう。」
「…ほんとに良いの?失敗したら能力の覚醒さえしないかもしれないよ?ただの人間になるかもしれないよ?」
黒は進めたのは良いが手術の危険性を教えてくれるが
「ただの人間になれるならそれはそれで構わん、成功すればしたで彼女達を戦わせずに済む。どっちに転んでも結果は変わらんし」
「…分かったよ、それじゃあこれに名前書いといて」
と黒が先ほどの書類の候補者リストに記入すると白がそれを受け取り
「ちゃんと書いたわね、それじゃあ、明日の昼14時に入渠所に集合ね」
といわれそれに頷く。これで少しは闘う理由が出来たか?
「じゃあ、俺帰るわ。また話がしたくなったらここに来てもいいか?」
「好きにしなさい!次来るときはお茶くらい出してあげるわ!」
と白が鼻を鳴らしながら言う。ツンデレ発動か可愛いもんだな
「…待ってるよ、鳴海くん」
と黒が軽く手を振りながら言ってくれる。最初はすげぇ罵詈雑言で罵られたけど意外と優しい子なのかもな
そのまま白黒コンビの部屋から出て自分の寮目指して歩き出す
「…そういえば結局俺は彼女達を兵器としてもう扱えて無いじゃん…。」
「自分の意見をしっかり持てって元帥に言われたばっかなのに既に流されてんじゃん…」
と少し頭を抱えながら歩く。でもまぁ、良いか…後々どうにかなるだろ…
といった感じで強制的に欝ゾーンを脱出
次回、やっと五月雨を出せます(汗