「さて、心構えは出来たし…、整備長に報告に行くか」
多分まだ上からの報告届いてないだろうし…
説明しておかないと怖いし…、素手で鉄骨を持ち上げるような人だし…
--整備室--
「ただいま戻りました、整備長」
「おう、帰ったか。今日は何も無いから書類整理とお前の昇格祝いだ」
と整備室に備え付けられた机に座りながらもくもく書類をこなす整備長
「俺が昇進すること知ってたんですか?」
「当たり前だろうが、これでもお前の上司だぞ。部下の昇格の話くらい昨日のうちに届いたわ」
なんで教えてくれなかったんですか…、クビになるかもしれないと内心恐怖してたんだぞ…
「それで?昇格したのはいいがどれくらいあがったんだ?工廠か?憲兵か?」
「あ、そこまでは知らないんですね。急遽なんですけど、海軍本部直属の提督になりました」
と剣崎元帥から聞かされた事を伝えると、顎に手を当てて何か考え込む整備長
「どうか、したんですか?」
いつもの整備長なら笑って祝ってくれるはずなのにあまりにも黙りこむから心配になった
「…ん?、なんでもないぞ。あ、すまんがこれを神流まで届けてくれ」
と大きめの封筒を手渡された。それに何か隠してるというか誤魔化している様に聞こえた
「え、あ、はい。分かりました」
それを抱えながら部屋を後にする俺。最後扉を閉める瞬間に整備長が何か呟いたような気がしたが気のせいだろう
--工廠--
「すみませーん、書類届けにきましたー。」
工廠の職員部屋の扉をノックし、呼んでみるが誰からも返答が無い。誰か居ないの?
「しつれいしまーす…。っているじゃん…」
返事が無かったから勝手に入らせてもらうとソファーで神流さんと夕立と…見知らぬ青?水色?の髪の女の子が寝ていた…
扉を開けた音が聞こえたのか、神流さんが目を擦りながら起き上がった
そして欠伸をした後、俺と目が合う
「ふぁ…zzz。」
ソファーにまた倒れこむ
「欠伸して、俺が居ることを確認した上で二度寝は止めてください」
「なんでさぁ…、私は眠いんだ。睡眠は成長に良いんだぞ」
顔だけをこちらに向けて抗議してくる神流さん
「軍属になった時点でその願いを聞いていられるほど世の中は甘くないと知っているはずです。」
「むぅう…、これでもまだ14歳なんだぞ私は。軍に居るのは私が能力者だからだ」
「へぇー。14歳…。14歳!?しかも能力者!?」
軍に所属できるのは15歳からじゃないのか!?
(設定)
実際は18歳からが軍正式所属。17歳以下での所属は俗に言う特進クラスのみ
鳴海は特進クラス出身(他校からの強制転入のため)
海軍学校が6歳、12歳、15歳で進学することが出来る。
成績優秀者は特進クラスもしくは飛び級のどちらかで先に進むことが可能
特進クラス→ここに入ったら残り一年で卒業&軍への強制配属
飛び級クラス→自身の成績により移動できるクラスは変動。最高記録で小学部から高学部に飛び級した生徒が居た模様
「なんだ知らなかったのか。これでも私は成績優秀、飛び級クラスの卒業者さ。そこら辺の所属者より強いと自負している」
「だったらもうちょっとマシな行動を取ってくださいよ…」
これが飛び級なのか…、特進と何が違うのか知らないけど凄いとこなんだろうな…。特進クラスがあれなんだからな…
「やーだね。で、君は何しに来たわけ?」
「あ、そうでした。整備長から書類です。」
と整備長に頼まれていた者類を手渡す、それを雑にあける神流さん。封筒なんだから封を切ってあけてくださいよ…、再利用できないでしょ…
「ふーん、私も本部送りなのね。それと逆月くん、君も試験受けるんだ」
私も本部送り?試験?なんのことだ?…。あ、アレのことか
「そうですね、俺も受けるつもりです。それがどうかしたんですか?」
「きみ、ちゃんと試験の成功者を確認したかい?」
と額に皺を寄せながら聞いてくる。14歳のする顔じゃないぞそれ…
「一応見ましたけど、それが何か?」
というと「あちゃー…」と呟きこちらに向き直る
「一つだけ教えておいてあげる。あの手術の成功者は全て能力者であり、『女性』しか居ないことは気付いたかい?」
へ?
「その顔を見ると気付いてなかったみたいだね。大体の男性能力者は覚醒と共に艤装を使える人が多いからね。ワンオフな艤装持ちばっかだけどね」
え、じゃあ受けれないの?
「そんな悲壮な顔をしないでくれるかな?一先ず受けた人が居ないだけだから安心すると良い」
「そうなんですか。それを聞けて良かったです」
「(成功するとは思えないけどね…)」
「なにか言いましたか?」
「いや、なんでもないよ。…あ、そうそうそこで寝ている子が明日着任予定の五月雨だ。ついでだから彼女らをこの部屋まで連れて行ってやってくれ」
と見取り図を渡してくれた。これで迷わないだろう?と笑われた…
「誰からその話を聞いたんですか…」
「ん?夕立から聞いたよ。君の事をどう思うかって質問をしたら快く教えてくれたよ」
こいつめ…と夕立をジト目を送るも五月雨と仲良く寝ている
「じゃ、後は頼んだよ。私はこれから仕事があるから頼んだよ。」
とつなぎを掴んで出て行く神流さん。最後に扉から
「君が正式に着任出来たときの為に祝いを用意しておいてあげるからちゃんと頼むよ」
頼むよの言葉に複数の意味が込められていた事に気付くのはもう少し後の話…
と少し謎どころか疑問しか残らない終わり方でしたが次でその謎が分かります