やはり俺のネタは間違っている?   作:kue

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さあ、お前の罪を数えろ

『ジョーカー! マキシマムドライブ!』

「行くぜ」

『「ジョーカー・エクストリーム!」』

 

 風の勢いを利用しながら跳躍し、両手が鍵の形をしたおかしなドーパントめがけ、サイクロンとジョーカー、二連続の蹴りを時間差で叩きこむと大爆発を起こし、メモリが使用者から排出されて空中で砕け散り、顔面蒼白の使用者が地面に倒れる。

 

「後は警察の仕事だな」

『そうね。八幡。後は任せるわ。私はお好み焼きについて検索しないと』

「はいはい」

 

 倒れた格好をしていたドライバーの両サイドのメモリスロットを直角に立てると風が吹くとともに変身が解除され、元の姿に戻る。

 雪乃を相棒としてから早三日が立つが今まで以上にドーパントに関する情報が寄せられている気がする。

 

「いったいこの町で何が起きているんだ」

「お兄ちゃん?」

 そんな声が聞こえ、後ろを振り返ると買い物袋を持った我が愛しの妹である小町が立っていた。

「よう。買い物か」

「まあね。ほら、最近お兄ちゃん忙しそうだし」

 

 そう言いながら小町は手で狐さんを作ってくる。

 昔からの小町の挨拶みたいなものだがいつまで経って可愛いから困る。

 くぅぅ! 小町がこんなにもいい子に育ってくれて両親はもちろんだけどボッチのお兄ちゃんは嬉しいぞ! これで外面は小町が埋めてくれるからもっと俺は外に出なくていいな! うんう……ん? よく考えたらこれ、比企谷家に俺必要なくね? 小町がいれば……なんか複雑。

 だが最近、少し小町の行動に疑問を抱くことがある。

 寝る時間が遅いのか目の下にはクマが出来ているし、家にいる時間が少ないように感じる。

 一度、聞いたんだが何でもないといわれたのだ。

 

「ほれ、片一方貸せ」

「良いの? ありがと!」

 

 笑みを浮かべながら小町は何故か片手で持っていた全ての買い物袋を俺に手渡し、自由になった寮腕をグルグルと回しながら歩いていく。

 ん~……俺は片方だけ貸しなよと言った気もするがま、妹に重いものを持たせるわけにはいかない。昔から両親に言われたことだ。

 小町は小さくて可愛くて可愛くて愛しいんだから思いもはあんたが持ちなさい! だからあんたは体を鍛えなさいなんて言う事を親父と一緒に言われた時は二人で一緒に夜中に抜け出てラーメンを一緒に食べたもんだ。

 まぁ、その時に鍛えた体が今、役に立っているわけだが……まさかあの雪乃とか言う女子の手の平の上で転がされていたとわな。

 俺にジョーカーメモリ、ロストドライバーを送ってきたのもあいつだし、俺がそのメモリを最大限にまで引き出すこともあいつの中では予想通りだったわけだ。

 

「そう言えばお兄ちゃん」

「ん?」

「最近、ゴキブリ人間が出てるって噂知ってる?」

「なんだそれ」

「なんでも悪い人をやっつけるっていうヒーローらしいよ」

 

 まぁ、どうせそのゴキブリ人間とかいう奴はコックローチのガイアメモリを使用している奴が勝手にやっているだけなんだろうけどな。

 正義の味方をやっていようがそれで誰かが被害に遭っているならそれはヒーローじゃない。ヒーローっていうのは誰も傷つけず、悪を打ち倒す。それがヒーローだ。

 それにしても……最近は本当によくガイアメモリを使う奴が増えている。

 

「あのな小町、ヒーローっていうのは誰も傷つけず、悪を打ち倒す奴を言うんだ」

「かもね~。あ、もしもお兄ちゃんが誰かに傷つけられたら小町が助けてあげる! あ、今の小町的にポイント高い!」

「そうだな。八万点あげたいわ」

「お兄ちゃん、それは無いわ」

 おうっふ。妹に冷たい目で言われたでござる。

 

 

 

 

 

 

 ―――――――☆――――――

「ゴキブリ人間?」

「あぁ、お前なら何か知ってるかと思って」

 

 部室に入るや否や床から天井から壁にまで書かれている文字のあまりの量にドン引きしてしまった。

 どうやら今回、彼女が検索をかけているものはたこ焼きなるものらしく、お好み焼きは既に彼女の興味からは外れてしまったらしい。

 

「ええ、知ってるわ。でも興味がないもの」

「だろうな」

「ええ。だから今は話しかけないで。たこ焼きを調べているの。八幡は知っているかしら。たこ焼きというものは大阪名物の粉物料理として知られているけどその作り方は千差万別なのよ。しょうゆを入れたり、紅しょうがを入れたりたくあんを入れたりね」

「分かった。分かったからその長い説明はいらない」

 

 雪乃のくそ長い説明から逃れるために部室から抜け、いつものベストプレイスへと向かうとそこには既に先客がいた。

 はぁ……俺のベストプレイスが……。

 

「あ……あー!」

「は、はい?」

 

 突然、俺のベストプレイスに座っていた女の子が俺の方を見て叫んだかと思えば指をさしながらあわあわと体を震わせ、近づいてきて俺の手をギュッと握ってきた。

 な、なんだこの女子……というかなんで俺、女の子に手握られてるの?

 

「この前のヒーローさん!」

「この前……あ、あの時の」

 思い出した。確かコックローチドーパントに襲われていたところを俺が助けたあの女の子だ……でもあの時と髪型も髪の色も違うような気がするんだが……というかうちの学校って茶髪に染めるのってありだっけ?

「あの時はありがとうございました! 本当に……ありがとうございました!」

「い、いやこんなところでそんな弾下げられても」

「良かったらお礼をしたいんですけど」

「け、結構っす!」

 

 相変わらず他人と面と向かってしゃべるのは苦手だ。

 そんなことを思いながら女の子から離れてそそくさと学校から出て家へと帰ろうとするがさっきからやけに後ろから視線を感じるので曲がり角を曲がるときについでに後ろをチラッと見てみるとさっきの女の子が俺の後ろをつけていた。

 これを有難いと思うべきか……それとも迷惑と考えるべきか……いやいや。ボッチである俺にモテキなんぞあってたまるか。

 

「きゃぁ!」

「っ!?」

 突然、悲鳴が聞こえ、慌てて後ろを振り返るとコックリーチドーパントが女子の腕を掴んでいた。

「雪乃!」

『ジョーカー!』

 

 ジョーカーメモリを起動し、ダブルドライバーを腰につけた瞬間、サイクロンメモリがこちらへ転送され、それをスロットルへと挿入し、ジョーカーメモリを挿入しようとしたその時、コックローチの手元に目がいった。

 う、嘘だろ……違う……あれは……でも……。

 

『八幡?』

「っっ! 変身」

『サイクロン・ジョーカー!』

 

 ジョーカーメモリを挿入し、スロットルを両方同時に傾けると俺の周囲に風が吹き荒れ、その風を纏うと一瞬にして変身が完了し、コックローチめがけて飛び蹴りを加える。

「逃げろ」

「う、うん!」

 茶髪の女子を逃がし、コックローチと対面する。

 あの仕草はきっと偶然だ……誰だって同じような仕草はするはずだからな……きっと偶然だ!

「へぇ、今噂のヒーローさんか」

「悪いがここでお前を倒す」

「やれるならね!」

 

 コックローチがその場から駆け出した瞬間、一瞬だけ奴の姿が見切れたかと思えば胸の辺りに衝撃が走り、数歩後ろに下がるといつの間にか奴が近くまで移動していた。

 なんだ……コックローチと戦ったときはこんな能力は無かったはずだぞ。

 

『正規適合者よ。恐らく使用しているメモリも完成品よ。ここはあれでいきましょう』

「あぁ、あれね」

『ルナ!』

『トリガー!』

「させないよ」

「こっちの台詞だ!」

「っっっと!」

『ルナ・トリガー!』

 

 相手が構えた瞬間、回し蹴りをすると一瞬だけ相手が動きを止めたのでその隙にドライバーのメモリを交換し、フォームをルナトリガーへと変え、胸に装着されていたトリガーマグナムを手に取る。

 高速移動をする相手には弾道操作のルナトリガーってな。

 

「銃なんて当たらないよ?」

「そいつはどうかな?」

 

 引き金を引いた瞬間、黄色い光弾が放たれ、コックローチはその自慢の速さで放たれた光弾を一度は避けるがそれが途中で方向を転換し、奴の背後から二発直撃した軽く吹き飛ばす。

 

『ルナトリガーの最大の力は弾道操作。相当な速度じゃない限り、振りきるのは不可能な速度よ。八幡』

「あぁ、メモリブレイクだ」

『トリガー! マキシマムドライブ!』

 

 トリガーメモリをドライバーから取り出し、トリガーマグナムの挿入口へとメモリを装填し、マキシマムモードへと移行させて銃口をコックローチへと向けた瞬間、奴の手元があれへと変わる。

 っっ! やっぱり……お前は……。

 

「またね」

『八幡!』

「っっ! 逃がすか!」

 

 雪乃の声で我に返り、引き金を引くが既に奴は遠くの方へと逃げており、放たれた弾丸は一応、追尾していくが少し待っても爆発は起きなかった。

 ルナの操作能力は相手が視界に入ってこそ真価を発揮する。視界に入っていない見えない相手に追尾弾をあてるのはほぼ不可能だ。

 

『はぁ……少し検索に入るわ』

「あぁ……頼む」

 ドライバーからメモリを取ると風が吹くとともに変身が解除される。

 …………なんでなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――☆―――――

 学校へと戻り、部室へと戻ると既に検索を終えたのかホワイトボードにコックローチドーパントに関する情報がびっしろと書かれているとともに何故か俺の家のことまで書かれている。

 

「おい、雪乃。どういう意味だ。なんで俺の家の家族構成まで調べてんだ」

「コックローチによる被害は総武高校の周辺で起きているわ。時間帯・被害者を調べ、貴方の家族構成を調べれば容易に犯人は絞れたわ。それは貴方がよく理解していることでしょ?」

「違う……あいつはやっていない。証拠もない」

「あるわ。彼女は最近、寝不足であり、夜な夜な黙って外へ出ていることは貴方だって知っているはず。そして彼女は最近、日雇いのバイトを年齢詐称を行ってやっているわ。その稼いだ金額はちょうど」

「やめろ。もう良い」

「ガイアメモリを一本買える値段よ」

「いい加減にしろ」

 怒りを拳に乗せ、ホワイトボードを殴りつけるとボードが倒れ、部室内に音が響きわたる。

「あいつは何もやっていない。あいつがやる理由もない」

「はぁ……ここ最近の被害者を調べた結果、ある共通点が見えてきたわ。それは……比企谷八幡……貴方という存在にちょっかいをかけている人物であるという事よ」

「あぁ、確かに俺は教室じゃ結構、弄られている立場にある。だがそれがなんだ。それがなんであいつがやったっていう証拠になるんだよ」

「貴方と親しい存在ならば……貴方を大切に思っているという感情を抱いている彼女が起こす行動は合理性があり、行動をとっても何もおかしくはないわ」

「簡単に言うなよ……人の気持ちはコロコロ変わるもんなんだよ。あいつが……ガイアメモリなんかに囚われる筈なんてない!」

「それこそ何の根拠もない感情論でしかないわ。親しい存在だからという事で貴方は事実から目を背けている。事実を見なさい」

「……黙ってろ」

 

 部室から出ていつものベストプレイスへと向かい、あまりのイライラにコンクリートの壁を殴りつける。

 あぁ……俺だってわかってるさ。コックローチがいったい誰なのか……でも……

「随分、悩んでいるようだな」

「……先生」

「話は聞いていたよ……確かに君の気持ちはわかる。大切な物が犯人だといわれ、怒りに囚われるのも分かる……だったらなおさら、その事実から目を逸らすな。その行動自体が君が事実を認めていることになる。事実でないというならばその根拠を持って来るんだ……今の君は事実を知っているがそれを見てみぬふりしているの同じだ」

 

 先生の言う通り、俺の行動自体はあいつの評価を著しく落としているのと全く同じものだ……でも……でも俺にはあいつを倒す決意はできない……なんで…………いや、違う。

 逆なんだ。俺だから決意できないんじゃない……俺だからこそ決意をしなきゃいけないんだ。

 あいつをガイアメモリの魔力から解き放つことが出来るのは雪ノでも平塚先生でも他の誰でもない……紛れもない俺だけなんだ。

 俺が……俺だけがあいつを救う事が出来るんだ。

 

「良い顔になったじゃないか」

「先生……行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――☆―――――――――――

 コックローチメモリの使用者を呼び出し、集合場所で待つこと十分。

 後ろの方で足音が聞こえ、ゆっくりと振り返るとそこにいつもと変わらない笑顔を浮かべながら俺のことを見てくる彼女が――――比企谷小町の姿があった。

 

「どうしたのお兄ちゃん。いきなり電話でなんか呼び出して」

「あぁ……小町。お兄ちゃんに隠していること……ないか?」

「無いよ。小町がお兄ちゃんに隠し事なんてしないもん。いつでも小町はお兄ちゃんにオープンだよ」

「じゃあ、小町……袖、捲ってくれ」

 

 そう言うと小町は何のためらいもなく服の袖をめくると肘の部分にメモリのコネクタが見えた。

 …………小町にとってそのことは隠すようなことじゃないんだな。俺に問いただされた時、いつでも見せることが出来るものという感覚なのか。

 

「小町、今すぐガイアメモリを俺に渡してくれ。それはお前にとって害をなすものだ」

「ダ~メ。小町がお兄ちゃんを護るの。こも力で……小町はね、悔しかったの。お兄ちゃんが昔、いろんなことがあった時に何もできなかったこと……でも、今はできる。これがあればそこに隠れているゴミも片づけることが出来るんだよ」

 

 そう言われ、振り返ってみると木の陰から雪乃が姿を現した。

 ……追いかけてきたのか。

 

「だから」

『コックローチ!』

 メモリの起動音が聞こえるとともに風が吹き、小町の姿がコックローチドーパントへと変貌する。

「お兄ちゃんを護るにはこのメモリが必要なの」

「…………変身」

『サイクロン・ジョーカー!』

 ドライバーを押し倒すと風が吹き荒れ、一瞬にしてダブルへと変身を終える。

「…………一つ、俺は小町の異変に気付いておきながら見てみぬふりをした」

「お兄ちゃん?」

『八幡、何を言っているの?』

 良いから少し黙っててくれ……これは俺のけじめなんだ。

「一つ、俺は小町の助けを求める声に気付けなかった。一つ、俺は小町を信じ切ることが出来なかった……小町、俺は俺の罪を数えたぞ。さあ」

 

 

 

 

「お前の罪を数えろ」

 

 

 

『ジョーカー! マキシマムドライブ!』

 ジョーカーメモリをマキシマムスロットルに差し込んだ瞬間、強い風が吹き出し、それに乗って俺の体が浮かび上がる。

 小町……小町!

「『ジョーカー・エクストリーム!」』

 

 サイクロンとジョーカーの時間差による蹴りが直撃し、地面に背中から倒れたコックローチが爆発を起こし、木を失って倒れている小町の姿へと戻るとともにコネクタから砕けたガイアメモリが放出される。

 …………小町。もうお前は無理にヒーローをすることはない……。

 

「これからは俺がヒーローになる」

「俺達は……じゃないかしら」

「あぁ……そうだな」

 気を失っている小町を背負い、俺は俺たちの家へと向かってゆっくりと歩き始めた。

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